田舎っ子の恋物語 続き

30: 名前:ゆいもん☆02/21(月) 17:38:16
「ご、ごめんなさいっ!私あなたのこと分かりませんッ」

梨子は深々と頭を下げた。
すると、桃が背中をぽんぽんと叩いて、

「大丈夫。あんたは過去を思い出さないほうがいいよ」

桃は廊下に出て行った。

「はいッ!私転校するんですけど仲よくしてくださいっ」

梨子はもっていたバックを抱えてにっこりと笑う。
まだ今の梨子は、過去に何があったかはわからない。

「ねえ梨子!転校するってホント?」
「嘘ですよね!?」

春加と夏未が聞いてくる。
そして、冬麻が低い声で答える。

「本当だ……」
「ッ……お前のせいだろ?お前が桃と……ッ」

秋が、冬麻の襟首をつかむ。

「俺は、梨子が好きだったんだ……で、冬麻と理子が付き合うって知ったときは、悔しかった。だけど、おまえが友達だから……親友だから幸せになってくれよって思ったんだ。なのに……なのに……!」
「秋……あたしのこと好きだったの?」
「あぁ」
「……ねぇっ教えて?私の過去を。何で自殺しようと思ったのを」
「……」
「……」

梨子がそういうとみんな静かに黙っている。

「誰か教えてっ!」

梨子が言えるのはそこまでだった。




31: 名前:ゆいもん☆02/21(月) 18:27:55
「私、明日の夕方出るの。遠い遠い北海道まで……」
「えぇっ?急すぎない!?しかも明日なんて……」

めったに涙なんか見せない夏未が泣いている。
可愛い顔がどんどん濡れて行く。

「そんな急なんだ……じゃあ明日来てくれるよね?」
「う、うん。そのつもりだけど」
「分かった……じゃあ明日またね」

夏未は、教室を去って行った。




32: 名前:ゆいもん☆02/21(月) 18:47:05
【夏未side】

私なぜか泣いてる。
久しぶりに泣いた気がする。
廊下が私の涙で水玉模様に染められていく。

「夏未ぃ!待って!」

梨子が追いかけてくる。
でも今の顔じゃ梨子が安心していけないよッ!
私は顔が見えないようにハンカチで覆い後ろを振り向いた。

「ごめんっ……明日までよろしくね……」

私はそういうと靴箱に向かった思いっきり走り去った。

「うっ……うっ!グスングスンッ」

私は、校舎裏の楠木で大泣きした。

―5分後……

「はぁはぁはぁ……」

私は、疲れ果てた。






35: 名前:ゆいもん☆02/23(水) 17:19:40
私はゆっくり立ち上がって、教室に戻った。
廊下は、静けさが漂っていた。

私が一歩教室に足を踏み入れた途端、クラスの全員の視線が私に集まっているのがわかる。

教壇には、梨子が建っていて何かを言っていた途中だった。

「ぁ……梨子……言っていいよ?」
「うん……皆知っていると思うけど、私は桃が冬麻のこと好きって知っていながら、冬麻とカップルになりました……なので、桃は悪くないです……わ……私が……悪い……ん」
「もう言わないでくれっ!」

冬麻が久しぶりの怒りという感情を見せた。
顔は怒りいっぱいという顔だ。

「俺が無理やり付き合ったんだ!無理矢理でも付き合わせたかった!」
「……!」

皆目を丸くしている。

「俺は……初めて梨子と会った時から好きになった。
それから4年間思い続けてやっと告白できた……。桃も梨子も悪くない!俺が悪い……」

知らなかった。
今気付いた。この事件は誰も悪くない。
桃も梨子も冬麻も……悪くない……。

運命が……神様が悪いんだ。


私は、誰も悪くないと知ったときにまた梨子と別れることがが苦しくなった。

そしてまた涙がポロリとしたたった




36: 名前:ゆいもん☆02/23(水) 18:46:50
(35の話の前に、梨子は記憶取り戻しました!書いてなくてすいません!)




二日後…

梨子は今日、この田舎を後にする。
夏未も春加も……秋も冬麻も桃も……皆に別れを告げる。

「お、おはよう……」

教室に、梨子が足を踏み入れた。
その時後ろを向いていた、桃は振り向いてた。

その顔の頬に一本の筋が流れていた。

「……!桃!」
「ん……な、何?」

桃は流していた涙をシャツの袖で拭きとり、何事もなかったように問いかける。

「今……泣いてた……?」
「はあ?そんなわけないじゃん」

―やっぱり泣いてなかった……

梨子はそう決めつけた。


梨子は今日お別れの挨拶をしてからすぐ出発。
もう一緒に居れる時間などない……。

「おはようございます……今日一人仲間が転校します」

先生が暗い顔で教室に入ってきた。

「その子は……「有利梨子……」
「し、知っているのか!?高城」
「当たり前でしょ?この学校は狭いんだから」

低い声で桃が言う。

「そうか……有利。来い」
「はい……」
「最後にあいさつしろ」
「えっと……幼稚園の時に秋と春加と夏未と私でいつも遊んでいました。そして小学一年生になったときに冬麻とモモが転入してきました。それから6人で毎日のように遊びました。とても楽しくて楽しくて……でもとうとうお別れの時が来ました。これからも親友でいてください!」

梨子はそういうと走り去って行った。

―もう涙を見せたくない
 もう皆の涙が見たくない
 もうキッパリ別れたい
梨子はその気持ちで走り去って行った。
そしてふと靴箱のほうを見ると桃が来ていた。

桃は大粒の涙を流していた。
そしてこう叫んだ。

「あんたのこと!大好きだよ!ひどいこと言ってごめん!」

といって。
梨子は悲しくて悲しくてしょうがなかった。

今日は……スタート!


40: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 17:26:00
翌朝―

「梨子……起きなさい。今から新しい学校に行くわよ。お母さんはお仕事で一緒に行けないけど頑張りなさい」

一昨日学校を離れて昨日は自宅で留守番。
私は今日スタートする。

「はーい」

部屋は昨日掃除したからきれい。
制服も昨日届いて綺麗。
私の髪は腰まであったのを肩にぎりぎり着くぐらいにした。
もう田舎であったことは忘れたい。
だけど、そこで出会った親友は忘れない。

私は、二人だけの朝食をとり、制服を着た。

「行ってきまーす」

私はそういうとアパートを出た。








* * * * * *





41: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 17:32:26
―新しいクラスでの友達紹介―

川野 咲(kawano saki)
松本 芽衣(matumoto mei)
上高山 杏(kamitakayama anzu)

そのほかにもいっぱいいます!




42: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 17:45:13
「今日は!可愛い女の子が来てるぞぉ。男子必見!はい。入ってきて」
「は、はい」

―か、可愛いって……

私はそう思いながらも、教室に入った。
教室は先生の一言でざわめいている。
―ざわめくほど人数が多い……

「は、初めまして!有利梨子です!宜しくお願いします」

「よ、よろしく!」「お前だけずりぃ!よろしくな!」
「俺俺俺!花畑薫!」

よろしく、というのは男子ばっかりで女子はコソコソ話をしていたりする。
嫌な予感が脳裏をよぎった。

「……じゃあそこの席についてね」

先生が指定した席に座る。
男子は私が歩いただけど目を輝かせていた。

「今から自習です!静かにね」

先生は出て行った。
すると、クラスは静けさを取り戻した。

だが、さっきの嫌な予感は……
























       的中していた。




43: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 17:55:05
梨子は田舎から持ってきたドリルをノートにしていた。
相変わらず男子は梨子をガン見。

すると耳元で誰かが囁いた。





『可愛いからって調子乗ってんじゃねぇよ、ブスっ』





私は思わず後ろを振り向いた。
だが誰もいない。
空耳と思ったのだがハッキリ聞こえたのだ。

周りの女子はクスクスっと笑ったりしている。
―私何かしたっけ?
そう思ったが、空耳かもしれない。

梨子の一日目は不安が残る一日だった。




44: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 18:12:47
「ごきげんよう。梨子さん」

梨子にあいさつしたのは、上高山杏。
上高山財閥の一人娘。
大金持ちだ。

「お、おはようございます!宜しくお願いします!」

ふと後ろを振り向けばすっきりした顔立ちにスラーッとした鼻。純白の肌。ぱっちりした目。長い睫毛。

―び、美人……!

「今日からよろしく」

杏はそういうと、教室の中に入った。
すると教室は一気に冷め皆立ち上がる。
そして。

「「「「杏様!ごきげんようです!」」」」

と叫ぶ。杏は。

「皆さま……ごきげんよう。そしてお知らせがあるわ。梨子さん。ちょっと来て頂戴!」
「は、はい」

梨子は言われるままに教室に入った。

「今まで、奴隷は芽衣だったけど、今日から帰るわ。つまんない。なので、梨子さんになってもらうわ」





―ど、奴隷……?





「なので今からこの人は私の奴隷になってもらいます。以上」
「あの……ど、奴隷って??」
「奴隷の意味もわかんないの?馬鹿ね」

梨子は何が何だかわからないまま2日目を終えた。




45: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 18:46:03
翌日

「あのー。宿題やってきた?」
「は、はい?」

杏が聞くと何も知らない梨子が聞き返す。

「だから宿題やってきたかって聞いてんだよっ!!」

杏はそういうと長い脚で梨子を蹴りつけた。
まるで、汚いものを蹴るように。

「……聞いてないですけど」
「それがご主人様に聞く言葉?」

杏は梨子を睨む。
そして後ろの、咲と芽衣に目で合図をした。

「あんた、気に入らない。ちょっとやっといて」
「はい!」

私は膝に傷がついたが、引きずられながらトイレに連れ込まれた。
だが梨子はそれどころじゃない。のどが渇いている。

「す、すいません……のどが渇きました……」

力を振り絞ったが、その力は無駄だった。

「そっかぁ!じゃあお水飲んでねぇ」

そういうと、咲と、芽衣は梨子の前髪を引っ張り、わし沖のトイレに顔を突っ込ませた。

「オホッ……ゴホッ……うえっ、やめて……ください……」

梨子は苦しい限り。
だが咲と芽衣からのいじめは増すばかり。

「早く、杏さまの言うこと聞かなきゃ……










      死ぬよ……アーハハハハッ!」




46: 名前:ゆいもん☆02/25(金) 18:53:28
「ご、ごめん……なさい……!」
「やっと謝ってくれた。まあ今回は多めに見てやる」

私、どうしたんだろう。冬麻、秋、春加、夏未、桃……会いたいよ……助けてよ。

叫びたかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

切ります!




47: 名前:ゆいもん☆02/27(日) 18:19:41

「お帰りなさいませ、杏様!」

杏の玄関に並ぶメイド達が家じゅうに響くぐらいの声で叫ぶ。
「今日は楽しかったわぁ、明日は何して遊ぼうかしら」

玄関でローファーを脱ぐとバックをメイドに渡して自分の部屋に戻った。

杏の部屋はあけたときに目の前にカーテン付きベッドがある。右側には机や棚などがあり、左側にはクローゼットがある。その上には3人写った写真がある。

その写真には杏のつらい思い出があった。

右側に映っている『華』は杏が知らないところでいじめられていて、それで杏の目の前で死んだ。自殺。

杏はそんな出来事を心の奥の奥にしまっておいた。

悲しくならないように。

「杏様ぁ。お食事のお時間です!」

杏は「はーい」と返事をすると急いで一階の部屋に入っていった。

夜食はステーキ、サラダなどの物。

杏は黙々と食べ始めた。


50: 名前:ゆいもん☆03/01(火) 20:48:01
1ヶ月後……
私はやっと慣れてきて、あっちの親友の顔がちょうど薄れてきた。
「宿題やってきたぁ?」

朝、教室のドアを開けると、いきなり杏の顔が飛び出てくる。
「は、はい……」

私は手提げからノートを3冊出すと杏に渡した。
すると男子がこっちに来て

「おいおいおい!今日転入生が来るってよ!」

男子は興奮してたけど、特には気にしてなかった。
そして先生が入って来た。後ろには背の高い見覚えのある顔………………ぉ!?

私は思わずその男の子をガン見。

何故なら











冬麻だったから―……




51: 名前:ゆいもん☆03/01(火) 21:13:29
「……!」

私は大きく目を見開いた。
あの顔立ち。あの背の高さ。どこから見ても冬麻そっくりなのだ。
向こうでは女子が

「あの子イケ面じゃね?」
「うち惚れたぁ」

と言っている。
杏さんと芽衣さんと咲さんは

「アイツかっこいい!」
「好きになったかも」
「うちもぉ!!」

とか言っている。
私は相手が杏とも認識しておらずいきなり話しかけた。

「あの……」

小声で話しかけると

「うっせーよ! このクズっ!」

と言って自分の席に座った。
先生は冬麻を前に出し

「二人目だが転入生を紹介する」
「初めまして。雪山冬麻です……宜しくお願いします……」

冬麻は先生の指定して席に座った。
そこは私の隣。

あっちはまだこっちに気付いていない見たい。

「あの……と、冬」
「はぁ?いきなり呼び捨てとか?初めて会うくせに」

杏はそう言い放った。すると冬麻が

「こいつは俺の彼女なの」
「……!意味分かんない!初対面な「俺たちは前同じ学校だった」

覚えててくれた……!
今でも彼女ってこと覚えててくれた……!

私はつい涙がこぼれた。




52: 名前:ゆいもん☆03/02(水) 17:08:01
「なに泣いてんの!? 意味わかんない!行こっ」

杏はそういうと二人と廊下に出て行った。

―――杏side―――

「マジアイツうざくね?」

あたしの日々でいつも思ってることはそうだった。
華が死ぬまでは。


夕方
「ねえ杏。後で屋上来てくれない?」
「う、うん……」

その時あたしは特には気にしてなかった。

「あのね……」

杏はそういうと制服をまくり始めた。
そしてお腹には大きい痣が露になった。

決して偽物ではない。

本物の痣。

そしてスカートを下ろすと
まっ下に落ちて行った。

たった5分のことだった。

そしてあたしの人生がブチ壊れた。




53: 名前:ゆいもん☆03/02(水) 17:22:22
梨子side――――

「ねえ覚えててくれたんだね……嬉しいよ」
「当たり前だろ……俺の初彼女なんだし……」

と言った。嬉しくてうれしくてたまらなかった。

今までの地獄は一人だと思っていたが、冬麻が来てくれてなんとかなる。……ううん。絶対どうにかしてくれる。

私はそう誓った。




杏も優しい心だと思う。



これからの私の人生は華やかです!!

END

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最終更新:2011年03月07日 17:22
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