恋と嫉妬と友情と 続き

37: 名前:ゆいもん☆03/26(土) 09:30:07
またまた間違い!
30レス目の「一人いたよ」と31レス目の「愛梨……」は!口パクです……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「Hなんかしてない! ……!」
「喋った……」
「今そんなことどうでもいい!」

確かに喋った……けど
柚希は愛梨の後を追っていった。
愛梨は屋上に行っていた。

「もうばれちゃしょうがないねぇ」
「え……?」
「っだからばれたら死ぬしかない!」

愛梨は手を大きく広げ、

「今ならひと押しで殺せる。ほぉらね?」

愛梨は徐々に前に傾いていく。

「ちょ、愛梨ぃ!」
「……い、痛い!」

柚希は腕を力強くつかんだ。

「離してよ! 離しなさいよぉぉ!」

愛梨は私の腕を振りほどこうとする。
その拍子に柚希も屋上の柵の向こう側に落ちて行った。


ドンっ!


校庭にすごく重いものが落ちたような音が。
宙斗たちがゾロゾロと出てくる。

「あ……あッ……ゆ、柚希……?」

愛梨はパニック状態。
柚希は……愛梨の下にねそべっている。


40: 名前:ゆいもん☆03/28(月) 19:26:45
「あ、あのさ……愛梨説明してくれないか?」

宙斗は慌てて駆け寄る。
愛梨はもうパニック状態に陥っていた。

「え……あ……落ちてて……」
「もういい! 早く先生読んで救急車呼べ!」

宙斗はクラスのみんなに指示を呼びかけた。
その顔は真剣そのもの。

「加田さんッ!? どうしたんですか?」
「先生! なにもたもたしてるんですか! 救急車を!」
「そうね! ちょっとまっててね」

先生はポケットから携帯を取り出し、病院にかけた。

「あの! 今生徒が頭から血を流して倒れてるんです!」
『えっとその学校はどこですか?』

という会話が聞こえる。
柚希の様態は相変わらず気絶している。

「えっと……彼氏いるけどごめんっ!」
「……!」

省多はいきなり柚希の唇に自分の唇を重ねた。
宙斗は目を見開き眉をしかめている。

「おいっ! 俺の彼女に何してんだよっ!」
「お前、彼女助けたくねぇのかよ!」
「はぁ!? 助けたいのは山々だよ! でもお前こそ素人が!」
「言っておくが僕の父さんは医者だ!」
「……!」

宙斗は黙りこむ。
その前で省多は黙々と人工呼吸を始める。
宙斗は心に怒りという気持ちがあふれているが、
柚希を助けないわけにはいかない。

『ピーポーピーポー』

救急車のサイレンが聞こえてくる。
柚希は徐々に目を開ける。

「……ひ……宙斗……」






41: 名前:ゆいもん☆03/29(火) 10:33:21
「ゆ、柚ぅぅぅぅぅぅぅッ!」

宙斗は、必死に声をあげるが柚希は
そのまま救急車の中に運ばれた。

「おい、愛梨! どうしてくれるんだよ!」
「あ……え……ご、ごめん。ごめんなさい!」
「ごめんで済む問題じゃねぇよ!」

宙斗は、愛梨の襟元を掴む。
顔は悲しい顔をしている。

「おいッ! お前女子に喧嘩を売るのはやめないか」
「お前こそ最低だ! 人の女にキスしやがって!」
「最低じゃねーよ! 人を救う、当たり前だろ?」

宙斗の気持ちに省多が入り込む。
するとまた口論が始まった。

「はあ……はあ……」
「お前なんか絶交だッ!」
「それは俺のセリフ!」

二人とも涙を流しぶつかり合う。
その涙は乾いた砂を潤していた。

第7話   崩れた友情








42: 名前:ゆいもん☆03/29(火) 10:59:32
一週間後

いつもは元気な太陽が黒い雲に覆われているような
顔をした先生が教室に入ってきた。
そして重い口を開いた。

「えっと……今日はお知らせがあります。
 あれから一週間になりましたが
 いっこうに目を覚ましてくれないそうです。
 いわゆる……植物状態……」

最後まで言い切れずにポケットから
ハンカチを取り出し目を拭く。

「……気の毒です……」
「でも、死んではいねぇんだろ? 先生」
「まあそうです……」
「じゃあまた目を覚ますように帰ってきたら励ましてあげようぜ」

ある一部の男子が目を輝かせて言うとみんなはうなずく。
その一言からクラスは見違えるように明るくなった。
だが、決して嬉しい訳じゃない。
楽しい訳じゃない。


クラスのみんなは 



     悲しみで





溺れそうになっていた。


だが、いっこうに宙斗と省多の仲は戻らない。






43: 名前:ゆいもん☆03/30(水) 11:31:32
――原島病棟――

「――ん……?」

僕は目が覚めた。
周りを見ると真っ白な部屋に
ベッドの上で寝ている柚希。

そういえば昨日の夜俺ココ来てたんだっけ。

目をこすり、病室の洗面所で顔を洗った。
相変わらず柚希は寝たきり。

初めて会った時のつぶらな瞳。

あのときの姿が忘れられない。
だけど今はその瞳が今は見えない。

少し口元が笑って見える。
かすかだけど微笑んでいる。

僕はそんなことを考えていると
また睡魔に襲われた。






44: 名前:ゆいもん☆03/30(水) 12:03:19
『―――ろ……ひ……ろ……』
柚―――……?
『愛梨……はどうなった――?』
反省しているみたいだよ
『はらしょーと喧嘩したの?』
うん。
『じゃあ仲直りして……?』
なるべく頑張るよ。
『そっか―あと、私戻れないかもしれない』
うん――……でも待ってる

どんどん遠ざかっていく柚希を
僕は見ていた。

そして少し顔が見えたとき
悲しい顔だった。

「ゆぅずぅぅぅぅッ!!」
「――なに……?」

ハッ!

目が覚めた。
身体中汗がびっしょり。

目の前にはぱっちり目を開けた
柚希の姿がある。


「……ゆ、柚――?」
「えっとさっき目が覚めた……」
「そっか……ってえぇ!?」
「今きづいたの……?」

僕は目の前にいる柚希が
ウソみたいにうれしくて
まだ現実を受け入れられない。

「えぇ?! ちょ、嘘! 幻?」
「ううん違う。本当。現実」

僕はついつい抱きついた。
ギュッと当たるおわん形の胸。

「きゃッ! ちょっとぉ」
「ごめん、お姉さん呼んでくるね」

僕はあわてて公衆電話に向かった。

『もしもし……』
「えっと柚のお姉さんですか?」
『はい……』
「宙斗です。大ニュースです! 柚が目を覚ましました」
『えぇ!? 今から行くから!』

お姉さんはすぐさま切った。
多分びっくりして切ったのだろう。
僕は又すぐ病室に戻った。

だがどこにも柚希の姿が見当たらない。
跡形もなく。
ベッドにはいつもどうりの柚希。

すると、頭にすごい激痛が走った。
そしてかすかに聞こえる声。

その声を聞いたとき僕は寒気が背中をよぎった。


「――……柚ね、死んじゃったの……」






45: 名前:ゆいもん☆03/31(木) 10:19:51
「えっ?」
「――だから柚死んだの」

耳にその言葉が貫く。
僕は徐々に力か抜けて行くのを感じた。

―――え?まさか本当に死んだわけじゃないよね?
柚は冗談が好きだなぁ

「本当は三日前に死んでた。先生は知ってた。
 今日は宙斗が分かってて来たのかと先生は思ってると思う。
 言っておくけど私は死んだ」
「――……嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁぁッ!」

僕は頭をかきむしる。
そのまま病室に倒れた。

「はぁ……はぁ……」
「本当なのッ! 嘘じゃない!
 だけど私まだ成仏できてない。
 私を成仏できるのはアナタ。

     宙斗、アナタだけなの!」
徐々に見えてくる、柚の姿。
目から頬にそって一本の筋が流れているのがわかる。

「あぁ分かったよ!お前死んだんだろ?
 死んだんだろぉぉぉ!?」
「そう! 私は死んだ。だから成仏さして?」
「成仏さしてやるよ、どうすればできるんだ」

僕は喜びも怒りも哀しみも楽しみも何もない。
心は空っぽ。大きい穴ができたようだ。

「私にキスして」


48: 名前:ゆいもん☆04/02(土) 11:49:11
「キ、キスぅぅぅ!?」
「ん? なに? いきなり」

周りを見回すと、僕のクラスの人たちが
いっぱい集まっている。隣には柚。

「今日、何日?」
「えっと、3月24日」
「え?」

僕は携帯のカレンダーを見た。
確かに24日に丸がされている。

「今何時?」
「今? 11時42分だけどどうしたの?」
「ううん、何でもない」

柚が落ちたのは24日の9時40分。
ということはほぼ2時間前に落ちたってこと?

「あ、あのさ9時40分ぐらいに柚屋上から落ちた?」

僕は恐る恐る聞いた。
胸の鼓動が一層早くなる。

落ちたのか?それとも
落ちてないで僕が間違っていたのか?

「えっと、! 落ちたよ? 屋上から」




51: 名前:ゆいもん☆04/04(月) 10:15:47
「えっ!? い、生きてたの?」
「う、うん。生きてちゃダメ……?」

久しぶりに見た、柚希の甘えた顔。
口元が若干アヒル口になっているが、それが僕は大好きだ。

「ううんっ! 全然いいっ!」
「うるさいぞ、そこ」
「す、すいません……」

こう笑っていた柚希は目が悲しんでいた。
外からは見えない心の気持ち。

多分柚希は愛梨と仲良くしたいと思っていると思う。
僕も省多くんとまた仲良くしたい。


第8話  昔の気持ちが蘇る









52: 名前:ゆいもん☆04/04(月) 10:41:53
私は今、部屋の掃除をしています。
机の中がすっごく汚くて、死にそう。

そうやっていろいろ、引き出しから出していた。
すると、ピンクのくま柄の小さな袋が出てきた。

中には折り紙やメモ紙が入っていた。
確か、小3の時のれ、蓮……?

【土日ずっと柚希さんのこと考えてた。
 柚希さんは土日どうだった?

      大好き】

折り紙に広がる思い思いの言葉。そして

―――大好き……

っていう言葉にひかれた。
大好き……っていう言葉は宙斗の口からは聞いたことないよ。
蓮のほうが私を愛してたのかな……?
それとも宙斗が恥ずかしいだけ……?

蓮っていうのは小3の時両想いで、私も本当に好きだった。
いわゆる彼氏的な存在。

授業中しゃべれないからメモ紙で言いたいこと伝えてたっけ。
時には嫉妬したり甘えたり。

今蓮は私と同じクラス。
小5までこの中は続いてたんだけど
一回うわき……?的なことされてから
犬猿の仲になった。

あの手紙。

私はまだ思いは少しは変わっているかもしれないけど
隅に君への思いがあるよ。

何度でも言う。

―――大好き……


54: 名前:ゆいもん☆04/07(木) 18:04:53
馬鹿みたい。私の気持ちがわからない。
誰かを好きになるってどういう意味?好意を持つ?本当にどういう意味なの?
そうあれこれ考えていていつの間にか始業式。クラス替えの日だ。
階段を上がるたびに、ドキドキと胸の鼓動が聞こえる。
はらしょーと宙斗と蓮と……そして愛梨と。
最上階の3階に着いた。廊下がザワザワしている。それは毎年のこと。
階段から一番手前教室に張り出されている名簿を見てみる。
私の名前はここの名簿にあった。3年A組。他の人の名前を探す。
探した結果、宙斗だけだった。
はらしょーは3年B組。蓮も3年B組。愛梨は3年D組だった。みんな見事にバラバラだ。

「同じクラスだね……」
「だね……」

私は宙斗とそれだけ会話を交わすと空いている席に座った。
さっきと変わらないざわつき感が出る。
このクラスは私とあんまり関わりのない人たちがほとんど。
私は教室に居づらかった。時々聞こえる、話はほぼ私のこと。
あの子が屋上から落ちた子だよ、自殺らしい!とか、
友達と絶交したんだって、しかも自分から無理やり!とか。
まず自殺しようとしてない。
絶交した覚えはない。
誰かが変なうわさを流している。

私は急いで屋上に向かった。








55: 名前:ゆいもん☆04/07(木) 18:40:32
「はぁはぁはぁ……」

勢い良く上がったせいか息がすごく荒い。汗も出ている。
そして、重く閉じているドアを開けた。
風が勢い良く入ってくる。心地よい。

一歩、また一歩、屋上へと進む。
目の前に広がる、14年間住んでいる町。
―――これが本当に住んでいた町……?
そう思えるほどだった。

すると別の荒い吐息が聞こえる。
そして振り向いたとき見えたのは
私が片思いしていた原島省多。

「はぁはぁ……ごめん、ついてきちゃった。あの話があって……」
「そっか、全然いいよ。で、何の話?」

私はこの後はらしょーがなんというかもわからないでいた。
私も鈍感だから。
そしてはらしょーは重い口を開いた。

「あのさ……」




56: 名前:ゆいもん☆04/08(金) 20:30:43
「あのさ……」

眼鏡の奥から見える、熱いもの。それは涙だった。奥歯を食い縛り、泣くのを我慢している。
柚希はそんなことにも気付かずじっと省多の目を見つめていた。
省多は大きく深呼吸し、またしゃべり始める。

「小2のころ両想いだったよね。かっだーの今の気持ちは
 僕のこと、どう思っている? 僕は……変わってない」

その一言に柚希の目には熱いものがたまっていた。徐々に目から流れる涙。
省多の頬にも一筋の線が描かれていた。

「ついこの前まで変わっていなかった。ついこの前までは気持ちは一緒だった。だけど宙斗からスキって言われて付き合った。本当は隅っこにはらしょーへの気持ちはあるよ」

柚希の顔は真っ赤に染まり、目をそらしている。
朝日が顔にかかっているのかもしれない。

「そっか、じゃあそのままでいい。僕は宙斗と戦う、やってみるよ。その……ほかのクラスだけど、宜しく」

二人はその場を離れた。





57: 名前:ゆいもん☆04/08(金) 21:34:00
お知らせです。
ところどころ実話じゃないところがあります。
文句は無しで、よろしくです。






58: 名前:ゆいもん☆04/08(金) 21:42:40
【省多side】


生まれて初めて告白しようと決めた。
僕がどう?、というようにきいたらかっだーはこう答えた。

「本当は隅っこにはらしょーへの気持ちはあるよ」

その言葉は僕の心を貫いた。

―――隅っこ……はらしょーへの気持ち……

その言葉の意味はまだ好きってこと……??
隅っこだけど好きってこと……??
なら……戦う。

宙斗と戦う。
どっちが柚希に相応しいか。かっだーに認めてもらえるように頑張る……。

僕は真っ赤に顔を染め、屋上を後にした。


60: 名前:ゆいもん☆04/10(日) 15:20:39
またまた作者登場です。
やっぱりまだ進展がないので今から描く続きは実話ではありません。
ご了承くださいっ!




61: 名前:ゆいもん☆04/10(日) 16:10:05
「はぁ……」

柚希は騒がしい教室の隅でため息をついた。
―――知っている人も少ないし、喋れる人もいないし。
そう思いながら窓から見えるきれいにすんだ青い空を眺めていた。ぼぉーっとしているのがとても気持ちいい。

「あのぉ、これ書いてくれませんか……?」

声が聞こえたので柚希は後ろを振り向いた。手にはプロフィール帳。その声の主は、めっちゃ可愛い少女。
澄んだ瞳に、赤い唇。髪は腰まである茶色い髪。絶対もてている顔。でも裏がありそう。
柚希はそう思っていた。すると、

「おいッ! 宙未。何してんの?」
「ひ、宙未……?」

宙斗が後ろからその少女に怒鳴った。
―――宙未? その子の名前かな。

「こいつ、俺の双子の妹。今日からこの学校に通うことになった」
「始めまして! 私は元林宙未です。兄がいつもお世話になっています!」

宙未は深々と頭を下げた。
柚希も慌てて頭を下げる。

「柚。そんな気を使うな」
「うん。今までどこの学校通っていたの?」
「私は学校は通っていなかったよ。私、生まれつき体悪くて……」

優しそうな笑みをこぼす宙未。だがその恵美の裏側にはまた、別の世界があった。

「私は加田柚希。これからよろしく」




62: 名前:ゆいもん☆04/12(火) 18:39:21
【宙未side】

「うんッ!宜しくね」

私は満面の笑みを浮かべた。気付かれないように。
私は貰い子だった。たまたま元林家に引き取られた子。
だが宙斗は知らない。本当の兄妹と、思っている。

まだ1歳の時に引き取られたので分かっていなかった。
なぜ、気付かれないようにかって??

それは、私が宙斗を愛してるから。
大好きだから。家族としてじゃなく、恋で。

柚希と戦う。柚希と宙斗の仲を引き離すために。
大好きだよ?おにぃちゃんッ。






63: 名前:ゆいもん☆04/12(火) 19:02:05
第9話   兄弟愛とカレカノ愛【ナレside】

そしていつものように授業を受け弁当を食べ仲良く遊んだ。
だが一つだけ違う。
宙斗はずっと宙未としゃべっている。

「あのさ、今日家に遊びに行っていい?」

柚希は宙斗に聞いた。

「うん、いいよ。宿題もってこいな」

そう一言だけ言うと宙未としゃべり始めた。
―――見たことないなぁ。あんな笑顔。
そう思っていたが兄妹だから。


そう思い込んだ。

【放課後――……】

「おにぃちゃぁん、入っていぃい?」
「ああ」

その時宙斗は宿題を始めていた。
ゆっくり開かれるトビラ。その向こうから宙未が現れる。

「あのさぁ」

そう言いながら宙未は宙斗に近づく。
そして手を取り、ベッドに押し倒した。

「おにぃちゃんッ。あたし、妹じゃないから良いよね……?」
「な、何言ってるんだよ、宙未」

苦笑いをする宙斗をよそにして、宙未は体を触る。

「おいッ! 妹じゃないってどういうことだよ!」
「本当だよ……? あたし、妹じゃないもんッ」

そして宙未の手は徐々に下へと降りて行く。
体は、宙斗に抱きついている。

「お、おい、やめろよ」
「やめないよ、あたし、おにぃちゃんが大好きだもんッ」

そういうと手はズボンの下に入りボクサーパンツに入って行った。
優しく撫でる、宙未の手。

「お、おぉいッ! ちょ、うわぁやめろ」
「うわぁ! 大きくなってるよ? なんかへんな白いやつも出てる」
「おいッ! ホントにやめてくれ!」

そう言いかけた時、地獄の扉が開いた

「あのさぁ、宙いる……」






64: 名前:ゆいもん☆04/13(水) 07:09:38
「あのさぁ、宙いる……」

ドアの向こうから柚が入ってくる。
携帯をいじっているのでまだこちらを見ていない。

「あ、こっち見るなよ!」
「えぇぇ、そう言われると見たくなる……ぅぅう!?」

柚はそう言いながら見てしまった。
そのまま静止する。

「ゆ、柚……?」
「……」
「ふふふッ、これを見て言葉も出ないか」

宙未が挑発する。
すると静止していた柚希が

「……ッなんなのよぉぉぉッ!! はぁはぁはぁ……」

大きい声で叫ぶ。
息切れして膝に手を当てる。

「はぁ? 意味わかんないですよぉ?」
「だから兄妹で何してるんですかって聞いてんの」
「見てわかんない?」

柚はゆっくり近づく。そして宙未の前に来た。
そして


   【パチィン】

部屋にすごい音が鳴り響いた。






65: 名前:ゆいもん☆04/14(木) 18:22:50
「った……」

宙未は自分の頬を押さえながら柚希を睨みつける。
柚希はその視線に気づき睨み返す。

「何なのよ!? 入ってきていきなり殴るとか」
「そっちこそ何なの? 兄妹でえっちなこと?」
「はぁ? 関係ないでしょ? 聞かないでよ」
「関係ありませんけど? 聞いてるつもりはありません!」

宙斗、そっちのけで喧嘩を始める二人。
どっちも謝る気配がない。

「あぁもういい! あたしと宙斗は兄妹じゃないんですけど」
「はぁ? 意味わかんない。兄妹じゃない? 頭くるった?」

柚希は頑張って言い返す。
めったに言い返すことはないが
今回は堪忍袋の緒が切れたんだろう。

「本当だもん。宙斗のお母さんに聞いてみて?」
「あっそ、それが本当だとしても人の男に何してんのよ」
「人の男? ふーん……だったら、あたし法に裁かれんの?」
「そ、それは……」

柚希は小さくなって答える。
それを見ていた、宙斗はついに、怒りが最高潮に達した。

「……ッおいッ!! 見てれば兄妹じゃないとか人の男とか、いろいろうるせぇ! 俺は俺! 柚は柚、宙未は宙未。
これでいいだろ?」

宙斗の怒り姿に二人は黙りこくった。
そして少し沈黙が続いたあと一番最初に言葉を発したのは柚希。

「……ごめん、宙斗。あたし全然考えてなかった。宙斗の気持ち」






66: 名前:ゆいもん☆04/14(木) 18:48:31
「そっか……有難う。僕もいきなり怒ってごめん」

二人は謝るが宙未は相変わらずふくれっ面。

「……なッなに二人で謝ってんの? 意味わかんない」
「お前も謝れよ、僕のこと好きなんだろ?」
「はぁ? す、好きだけど、そのぉ……柚希ちゃんに負けた」

ふくれっ面がどんどん緩やかな顔になって行く。
宙未は一筋の涙を流した。

「あっ、こんな時に泣くなんて変だねってかあたしのキャラ崩壊? みたいな……」
「いい加減素直になれよ」
「……だってあたし柚希ちゃんに勝てそうにないよ。あたしだって本当に、真剣に好きだった。それとあたし偽ってた。本当は素直で純粋な女の子になりたかった。だけど……」

すると宙未の汚れた心に小さな日差しが包み込んだ。

「……辛かったね、悲しかったね、寂しかったね。全部私にぶつけてくれたんだね。気付かなくってごめん」

柚希も同情したのか、泣き始める。微笑みながら。

「ごめん……ごめんなさい。これからも友達でいてくれる……?」
「当たり前でしょ? これからよろしくね」

柚希は優しく微笑みかける。

これは終わりではない。
始まりなのだから。


69: 名前:ゆいもん☆04/14(木) 18:54:41
第10話  終わりの始まり(最終章)
71: 名前:ゆいもん☆04/14(木) 18:58:36
翌日、なぜか教室の前がにぎやかだ。
私は教室にいるみんなに問いかけた。

「ねえなにかあったぁ?」
「お前しらねーの? はらしょーが転校するって」
74: 名前:ゆいもん☆04/14(木) 19:11:07
―――はらしょーが……テンコウ……スル……??

「よッ、かっだー! 僕転校することになったんだけど」

そっか……本当のことだったんだ。
転校することが決まった今私の頬に一筋の涙がこぼれた。

「あっ、ごめんね。私笑顔で見送るね、その……」

我慢した。すっごく我慢した。
だけどあふれる思いが止まらない。
どんどん目から熱いものが出てくる。

「はらしょー……寂しいよぉ」
「泣くなよ、かっだー。僕も泣きたく……なるだろ……」

はらしょーの目にも涙がこぼれた。
愛梨も宙未ちゃんも泣いている。

私は思わず屋上に走りだした。
後ろから宙斗と、はらしょーと愛梨と宙未ちゃんがついてくる。
そして5人で重い扉を開けた。

そして真ん中で手をつなぎ、私は思った。

―――皆で一緒成長して泣いて笑って怒って、楽しかった。
   私はみんなに教えてもらった。








    ありがとう。



               END

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最終更新:2011年05月23日 18:34
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