萌えます。年下男子 続き24

267: 名前:HARU☆04/29(金) 19:27:58

「てか…、夏休みに勉強した時に先輩からしてきたじゃん」



奏太くんがぼそりと小さく呟いた

あ、そうだっけ?



「奏太くんのちゅうが濃厚すぎて忘れて「だーかーら!そういうこと言わないの!」



頬を染めて、奏太くんは遮るように言葉を被せる

ふふふ、可愛いなあ



「…完全に遊んでるでしょ」
「ちょっとだけね」



手を繋いでいる方と逆の手に持っている鞄を、私は楽しげにくるりと振り回す

困った顔も取り乱した顔も本当萌えます


日も暮れた頃、私の家の前に着く

いつも思うけど私の家の方が学校から遠いのに、せっかくの部活休みなのに



「本当ジェントルマーン」
「何いきなり意味のわからないことを」
「ううん、優しいなって」
「…本当意味わからん」



少し恥ずかしそうに不満を漏らす奏太くん

顔がまたにやけてるのか、奏太くんが私の頬をつねりながら「こら」と言う


すると私の家の扉が開き、二人の視線がそちらに向く



「くるみ?」
「あ、お父さん。帰ってたんだ、おかえ」



おかえり、と言おうとするとマッハで私達の傍まで来て
私に触れていた奏太くんの手をがしっ、と掴んで一言



「何者だ、あんた」



――――――…やば。






268: 名前:HARU☆04/29(金) 19:53:23

奏太くんとお父さんが出会うのは初めて

て、今は本当そんなことどうでもよくて!



「痛っ…」



ギリギリと奏太くんの手に力を入れてるお父さん

焦ってその手を掴み、離そうとすり



「お、お父さんやめて!奏太くん痛がってる!」
「コレが奏太!?」



コレ、と反対側の手で奏太くんを思い切り指を差す

とりあえず無理矢理引き離すと、奏太くんは痛そうに手首をぶらぶらとさせる



「お父さんって…、若くないですか…?」
「35歳、なんだよねー…」
「35歳!?」



奏太くんはびっくりして繰り返し私に聞き返す

そりゃそうだよ、お母さんより4つ年下のでき婚だもの

当時22歳のお母さん、18歳のお父さんから産まれたのが私



「お前がお父さんとか言うな!」
「え、わっ。ごめんなさい!」
「もうっ、お父さん!」



そして完璧なる"親ばか"

私が言うのもあれだけど、私のことが大好きで可愛くて仕方がないらしい



「美代が言ってた"可愛い彼氏"ってお前のことか」
「み、美代?」
「軽々しく呼ぶな!」
「えぇ!?」
「美代ってお母さんのことねっ、てかお父さんうるさい!」



お父さんと奏太くんの不安定且、お父さんの言葉足らずのやり取り

私の説明がなくちゃ会話が成り立たない



「とにかくっ、お母さんから聞いて知ってると思うけど!
私、奏太くんと付き合ってるんだから邪魔はしないでよねっ」



ぎゅうっと奏太くんの腕を引き寄せてそう言うと、
「近い!胸が当たってる!」と、しょうもないことしか言わないお父さん

め、面倒くさーいっ!






269: 名前:HARU☆04/29(金) 20:53:19

「~~~っもう奏太くん行こ!」
「へっ?どこにっ?」



とりあえずぐいぐいと引っ張って奏太くんを連れて、お父さんから遠く離れようとする

私の名前を呼ぶお父さんの声が聞こえるけど完全無視!

幸い追ってまでは来ないし、見えなくなる適度な距離を取った所で足を止める



「ふうっ」



深く息を吐き、肩の力を下ろす



「なんかごめんね。普段は全然普通の父親なんだよ?
でもどうも親ばかで私に執着してて…。たぶん若いうちに
できた子だってことと大好きなお母さんにそっくりなせいだと思われ、ます」



語尾がぎこちなくなりながらもぺこっ、と頭を下げる



「若くて綺麗なお父さんでしたね」
「顔、はね。性格は見ての通り」



あはは、と苦笑いをする私

じっと奏太くんを見つめると「?」と首をかしげる



「どしたの?」
「嫌い、に。ならないでね?私のこと…」
「は?」
「や、お父さんがあんなんだから…。ちょっと思って…」



少し探るように聞く私を見て、額にぺしっとでこぴんをする



「ばーか。そんなんで嫌いになるわけないでしょ」



ほら、駄目だ

奏太くんのくれる素直な言葉にすぐ顔が緩みそうになっちゃう

なんかずるいな、私

言って欲しくてわざと問いかけたみたいで

でも、……嬉しい




271: 名前:HARU☆04/29(金) 21:07:20

とりあえず近くにある公園のベンチに腰を下ろす



「それにしても、難関だ」



奏太くんがはぁーっ、と長いため息をつく

私もため息つきたいです

日和さんにも八尋さんにも、そして奏太くんのお父さん歩さんにも
私は受け入れられて、奏太くんをよろしくねって言われてきた

それはただ単純に素直に嬉しくて幸せで

私のお母さんだって奏太くんのこと気に入ってて、
正直目に見える親からの私達の関係は順調だって思ってた

でもそれは私のお父さんに今まで奏太くんが出会ってなかったから

完全なる親ばかで、だからお母さんも口出しするなとは言っていたんだろう

でなくちゃ、今まで何か言ってきていたはずだし


それがまさか対面したことによって、あんなことになるとは……



「…お父さんの馬鹿」



小さく呟きむすっと膨れる

大好きなお母さん似の顔に一人娘だから"親ばか"に
余計に多く"ばか"をもう一つつけてやりたい気分だ



「手、大丈夫?」



お父さんに掴まれて力を加えられた手に触れる

ほんのり赤くなっていた



「ん、大丈夫」



優しく笑う奏太くんを見て、ぎゅーっと抱きつく

こんな大好きな人と絶対離れたくありませんっ




273: 名前:HARU☆04/29(金) 22:51:17

お父さんなんて関係ないもん!

あんな親ばかな、ただ若いお父さんなんて知らない!



「くるみ先輩?」
「…ごめんね、奏太くん」
「だから大丈夫ですって」



「ね?」と言いながら頭をぽんぽんと撫でてくれる

あぁもうっ、好きだ!



「もう暗いし、戻りましょ?」
「え、やだ!」
「やだ、って…」



お父さんと顔合わせたくないもん!

駄々をこねてわがままなのは充分承知だけど嫌!



「ちゃんと近いうちに挨拶に行く。認めてもらいたいから」
「…なんか、結婚の挨拶みたいだね」
「…確かに」



わ、恥ずかし

お互い目が合うと顔がほんのり赤く染まる



「…ま、それはいつか。…ね」



小さく耳打ちでそう伝えてくれる奏太くん

それって…―――

ぎゅっ、とネックレスに通された指輪を握る



「18歳で子供欲しいの?」
「や、それは早いです」



顔を赤くしながら手で顔を覆う奏太くん

可愛くてもっと見たくて手をそっとどける



「ひひ、真っ赤だ」



私が悪戯っぽく笑うと奏太くんは「ばか」と一言だけ言い、そっと唇が重なる




282: 名前:HARU☆05/01(日) 20:26:24



奏太くんに送ってもらい帰宅するなりお父さんが私に絡んでくる

「なんだあれは」
奏太くんを"あれ"とか言うな
「年下なんて頼りない」
いや、お父さんお母さんより4つ年下だから
「どこまでやった」
堂々とセクハラ質問!



「なっにっがっ、気に食わないわけ!」
「くるみの彼氏だから」
「じゃあ友達だったら良いわけ!?」
「…………、や。もう駄目だ」



か、会話するのが面倒くさい!

腕組みしていかにも認めません的な態度

ソファーに足組みまでしてなんてふてぶてしい

よくこんなわがままなお父さんとお母さんは結婚したな、としみじみ思う



「なんで奏太くん駄目なの?良い子じゃない」



お母さんが台所からそう言ってくれる

だよね!



「美代は外見に騙されてる。あれは性格悪いね、絶対」
「さ、最低ー!お父さんの方がよっぽど性格悪いから!」



近くにあるクッションを思い切りお父さんに向かって投げる

奏太くんは人に気を遣える優しい人だもんっ

てかそんなこと本当は関係なくて、私が好きだから傍にいてくれるだけでいい

お父さんだってお母さんのことそう思ってたんじゃないの?






283: 名前:HARU☆05/01(日) 22:31:44

「悪いことは言わないから別れなさい」



さらりとお父さんが言う

悪いことは、って充分奏太くんを悪く言ってるし!



「奏太くんと別れろって言うならお父さんともう口聞かない。っ一生!」



べーっと舌を出してお父さんの嫌がる反応も無視し、
リビングの扉を勢いよく閉めて二階の自分の部屋へと行く

鞄をベッドに投げつけて、乱暴に制服のネクタイを解く



「~~~っむかつく!」



バフッとベッドを真上から殴り付ける

こんなにお父さんのこと嫌だと思ったことはないくらい嫌!


小さい頃からいつもお父さんが傍にいて、私を大事にして可愛がってくれてた

「くるみはお母さんみたいに優しい人に」がお父さんの口癖だった

純粋に二人のようになりたいとも思っていたのに



「…なんだかなぁ」



はぁ、とため息がこぼれる

奏太くんのこと、もっと芯からお父さんに見てもらいたい






284: 名前:HARU☆05/02(月) 20:26:05




「今日家に来て」
「は!?」



次の日の昼休みを使って奏太くんに会いに行くなりそう頼む

と、見事予想通りの返事



「部活終わってから一緒に家で夕飯食べよう」
「いやいや、急すぎて意味わかりませんから。…てゆうかお父さん、は」
「ばっちり早帰りです」



私が親指を立ててグッとすると嫌そうな顔をする奏太くん

壁に肘をあて、何やら悩むポーズ



「だって、ねぇ…。俺すっごく嫌われてんですよ?」
「それを認めさせるんだよう」
「……や、難関すぎる。レベル100だ」



お母さんには伝えたけど、もちろんお父さんには
奏太くんが来ることは伝えていないしお母さんにも内緒にと頼んでおいた

来るってわかってたら駄々こねそうだし、どこか行っちゃいそうだもん



「家族で食事とかハードル高すぎ。緊張半端なくてご飯どころじゃないって」
「頑張ろうっ、私のためにっ」
「…さらっと言わんで下さい」



はぁーっ、と長く重いため息を奏太くんはつく

私だってつきたいさ

半分嫌そうな顔、半分仕方なさそうな顔をして「…わかりました」と言う



「愛されてんね、私」
「そういう恥ずかしいこと言わない。俺の身になりなさいって」



額にコツンとでこぴんをされ、「馬鹿」と言われる

でもなんだかんだ引き受けてくれたり頑張ってくれる奏太くんが好きよ?

なんて、本人には言わないけども




286: 名前:HARU☆05/02(月) 20:37:06

放課後、奏太くんは部活に私は満里奈と帰宅



「うわ、あのくるみパパと対面したの!?」
「いえす」



全ての経緯を満里奈に話すと「あちゃー」と言う表情をする

満里奈は何度か私のお父さんに会っていて親ばか具合を知っている



「私から見たら若いかっこいいお父さんなんだけどねー、彼氏となると…」
「超邪魔された」
「くるみ溺愛だもんね」



はは、と苦笑いをする満里奈

私の友達には分け隔てなく優しいお父さんなのに

まぁ、いつかは出くわすだろうと予想してたけどさ

さすがに、うざい



「くるみパパ、奏太くん来たらどんな反応すんのかね」
「なんでいるんだ、帰れ。…だろうね」
「まさか娘が本当に彼氏つくって、しかも生で見ちゃったらねぇ」



満里奈はさすがと言うべきか、うちのお父さんの行動がよく想像できるみたい

はぁ、気が重い

でも私が口で言うだけじゃ絶対に認めてもらえないのは目に見えてる

だったら無理矢理でも会わせて"奏太くん"を知ってもらわなくちゃ

それぐらいじゃ足りないかもしんないけどやらなくちゃ変わんないし



「うしっ、頑張ろ!」
「頑張りな」



ぐっと力を入れて気合いを注入する




296: 名前:HARU☆05/04(水) 22:59:04




「奏太」



サッカー部の練習が終わり、帰り支度をしている奏太にそう声をかけたのは、



「……佐々木」
「そんな眉間にしわ寄せないでよ」
「何?」



奏太が佐々木から目を逸らしながら、鞄の口を閉める

そして鞄を背負うと「用がないなら帰るけど」と、冷めた声で伝える



「体育祭、同じ紅組だね」



佐々木がそう言うと明らかに、は?という表情をする

佐々木は7組、同じ紅組だなんて奏太はとうに知っている

そんなことを何故?と疑問に思う奏太



「同じ紅組だけどさ、どっちが多く1位取れたら勝負しようよ」
「勝負?」
「そ。俺が奏太よりたくさん1位を取れたら、さ」



佐々木の続きそうな言葉に奏太の目が細まる



「くるみ先輩を譲れ、とか?」
「…それは、無理でしょ」



はは、と苦笑いをする佐々木



「……告白だけ、させて」



奏太の呼吸が止まりそうになる






297: 名前:HARU☆05/04(水) 23:08:19

"想いを伝えさせて欲しい"

そう言う佐々木



「それで運が良ければ俺のこと考えてくれるかもだし」



制服のポケットに両手を突っ込んで俯きながら言う

奏太は開きかけた口から出そうな言葉を一瞬止め、



「―――…わかった」



と一言だけ返事をした

そして奏太はすぐに方向転換し、



「悪いけど、俺今それどころじゃないんだ」



と言い、足早にグランドから立ち去って行く

奏太の頭にはいろいろな想いが巡る



佐々木との勝負はする、絶対に負けない

だけど今は認めてもらわなくちゃいけない人がいるから

目の前のことに全力で向かわなくちゃいけないんだ



奏太はくるみの父親がいる相沢家へと足を進めて行く




304: 名前:HARU☆05/05(木) 21:24:11




「まだ夕飯食べないわけ?」



お父さんが机に付くなりお母さんにそう問いかけた

一瞬私はどきりとしたけど、お母さんがすぐに
「味付けが上手くいかなくて」と、すかさず上手に答えを出す

ふう、と一息ついた瞬間、私の携帯が音を鳴らして振動する



「あ」



奏太くんから「今着いた」の連絡

私が急いで玄関に向かう姿をお父さんは?マークで見る



「う、わ」



私が勢いよく玄関を開けると少し驚いた様子奏太くんがいた



「いらっしゃいっ…、じゃないか。おかえりなさいっ」
「た、だいま」



一見夫婦のようなやり取りに少し頬を赤くする奏太くん

か、可愛い…っ



「あ゙ーっ!かんた!」



後ろから怒鳴るような驚いたような声が聞こえた

振り返ると、…やっぱりお父さん

それもすっごく嫌そうな顔をして



「かんたじゃなくて…か、な、た!」
「なんでお前がいんの、ここは相沢家です。北條家じゃありませーん」



べーっ、と舌を出して子供みたいなことを言うお父さん

は、恥ずかしい!




306: 名前:HARU☆05/05(木) 21:57:18

「夕飯、奏太くんも一緒に食べるのっ」
「はあ!?」



何だそれという表情をするお父さんを余所に、私は奏太くんを招き入れる

お父さんが再び何かを言おうとした時、
「いらっしゃい」とお母さんが声をかけてくれる

奏太くんは、ぺこっと頭を下げお母さんに連れられてリビングへ先に入って行く



「奏太くんのこと、もっと知ってもらおーと思って」



廊下でお父さんにそう伝える

すると何かを言いたそうな表情をするが、
渋々「今日だけだからな」と嫌そうに吐き捨てる

…ま、これだけでも良しと思うべき、…かな?


リビングに入るとお母さんがうきうきでお皿を並べていた

「お母さんが奏太くんの隣座っていい?」とまで言う始末に

案の定お父さんを横目で見ると不機嫌

あぁ、いい歳こいてまだ嫉妬ですか



「奏太くんの隣は私。お母さんは奏太くんの前、いいね」
「はぁーい」



全く、お父さんの機嫌を損なわせないでよう

奏太くんに至っては見た感じでわかる、緊張気味



「いひひ、なんか楽しいね」
「人の気も知らないで…」



すごく不思議だ

奏太くんが私の家族の中にいるって


お父さんは無言だったけど、お母さんがよく話す夕ご飯の時間が過ぎていった






307: 名前:HARU☆05/06(金) 22:18:54

「ごちそうさまでした」



奏太くんが両手を合わせてそう言うと、
「お粗末様でした」とお母さんが嬉しそうに言う

会話はお母さんのおかげか、気まずい食事にならずには済んだ

が、お父さんに至っては一言も喋らなかった



「どうする?まだゆっくりしてく?」
「え、っと…」



お母さんが尋ねると「悪いです」と奏太くんが遠慮をする

てゆうかまだこのまま帰っちゃ駄目だって!

お父さんと奏太くん何も話し合ってないし!



「あのね、「くるみ」



私が口を出そうとすると、お父さんがやたら静かなトーンで言葉を遮る

な、なに?



「こいつのどこが好きなの」
「へっ?」



お父さんの突然の問いかけに間抜けな声を上げてしまった

まさかお母さんと本人のいる前で聞いてくるなんて思ってもみなかったから

横目で見ると奏太くんも私と同じ少し恥ずかしそうな表情をしていた

う、わ…、恥ずかし



「私を好きな、とこ」



躊躇いながらもそうお父さんに伝えた






308: 名前:HARU☆05/06(金) 22:30:54

黙ったまま、お父さんからの答えはない

な、なに!私が恥ずかしい!



「美代とくるみは退出」
「は?」



ようやく喋ったと思ったらそれ

意味がわからずに?マークを浮かべていると「ほら、早く」と足される

お母さんはくすっと笑って「行くよ、くるみ」と私の背中を押していく

意味がわからないまま半ば無理矢理リビングから退出させられる

奏太くんも意味がわからない様子と不安な表情

ふ、二人きりにして大丈夫なのかなあ…?


バタン、とリビングの扉が閉まり、
部屋の中には完全にお父さんと奏太くんだけになった






変な緊張感が張り詰める相沢家のリビング

4人席に対角線に座っている奏太とくるみの父親



「葉月」
「え、」



先に口を開いたのはくるみの父

奏太には何の単語かわからず、疑問の返事をする



「相沢葉月、俺の名前」
「はづき、さん」
「お父さんて呼ばれんの嫌だから仕方なくな」



けっ、と嫌そうな顔で吐き捨てるように葉月は言う

奏太も改めて自分の名前を名乗り直した



「奏太、ね」



肘をついた手に顎を乗せ、目線を下げながら小さく葉月は呟く



310: 名前:HARU☆05/06(金) 22:43:21

「今日くるみに誘われたんでしょ?大方何故かは予想できるけど」
「…はい」



こくんと頷く奏太

ふう、と葉月はため息をついて「退屈なら聞き流していいよ」と言い話し出した



「見てわかると思うけど、くるみは完全に美代そのまま。
遺伝がそのままいってんのね。顔とか性格とか…、好みとか」



ここで言う葉月の好みとは間違いなく"年下好き"のことだと奏太も理解する

正直奏太は少し驚いている

まさか葉月が自分に真面目に話をしてくれる、なんて



「くるみは可愛いよ。相当モテんのも、分け隔てない性格もあの子の魅力」
「はい」
「付き合ったきっかけが何であれ、今付き合ってるっていうのが現実なんでしょ?」
「…はい」



奏太の返事に少し渋い顔をする葉月



「くるみ、彼氏って初めてなんだわ。それが年下だって別に嫌じゃない。
現に奏太達は1つ差だけど俺と美代はいつまでたっても4つ差なわけだし」

「…不安、とかないですか?」
「不安?」



奏太が初めて問いかけた

男性が彼氏が年下だと言うことにだ



「ないね。好きだし」



はっ、と自信満々に吐き捨てるように笑う葉月

その姿が奏太の目にはただ真っ直ぐ映る

好きな人の、父親の姿が




315: 名前:HARU☆05/07(土) 21:56:44

「てか、なんで俺あんたにこんな話してんだろ。敵なのに」
「敵、って……」



葉月は気付いたようにそう言う

そして「あー」と唸りながら頭をがしがしとかく



「くるみが頼むもんだから仕方なく今いるけど…、腑に落ちねぇ」



奏太はなんて反応していいかわからず困ったように黙る

すると葉月が急に、



「くるみのどこが好きなわけ?」



と、遂にはストレートに尋ねた

奏太は一瞬言葉を詰まらせる

彼女の父親に一体何を言えば、どんな言葉がいいのか、
と必死に試行錯誤するがそんな短時間で上手い回し言葉が出てこない

ただ、一息おいて、



「俺のことを好きでいてくれるところ、です」



と答えた

葉月は目を丸くした表情で「気付いてる?」と奏太に問い掛けた

奏太は「え」と質問の意味がわからない様子でいると、



「それ、さっきくるみが言った言葉」



と、葉月が言う






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最終更新:2011年07月25日 16:27
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