桜の華..舞い散る..、 続き2

32: 名前:雫☆2011/08/29(月) 08:47:20 
  • in the distant past 華-     訳:華の過去において

私にもあの時までは普通に友達もいたし彼氏もいたんだ...




告白されたあの日、2年生の新学期直後だったと思う


校庭の桜が綺麗だったことを今でも鮮明に覚えてる



  • in the distant past 華-     訳:華の過去において

中学2年生になって最初の放課後友達との部活帰りだった、

1人の男子に引き止められる


それが日向 悠次 (ヒナタ ユウジ)だった


まだ、新しいクラスの子は覚えてないがその人が日向だというのはすぐ分かった、




それ程目立っていたしカッコ良かった


「何?どしたの?」

私は友達に先に帰ってくれる様頼む、

予想はできたから、










その日の夜、

自室のベッドで人形を抱き考え込んでいた


溜息が出る、思い出すと顔が火照た

それに...まだ着替えていない制服の胸ポケットから銀色に光るピアスを取りだす、


手の中で遊ばせてみる、銀色の鎖を表すチェーンのついた大人めのアクセ...、


穴..開けるんだよね.....、ゴロっと体の向きを変える






このピアスは私達が付き合うことの証...






思わず顔が綻ぶ(ほころぶ)
明日が楽しみだった...、




39: 名前:雫☆2011/08/30(火) 09:42:42 

慌てて玄関を出ると門の前で暇そうに座っている悠次がいた
待たせたかな..、

「悠次!」

声をかけると悠次の顔が明るくなる
優しいな・・悠次の表情を見てそう思いながら遅れてきた事を謝る

「良いよ、てか髪型可愛い」

今日の髪型はいつものポニーテールと違った編み込みツインだった、大きな手が私の髪を撫でる



幸せな時間....、







私たちが付き合っていることは1日しない内にクラス全員に広まる

噂は怖いなぁ~と2人で笑いつつも喧嘩をすること無く笑顔も絶えなった







こんな日がずっと続けば良かったのに....、














40: 名前:雫☆2011/08/30(火) 19:04:38 

付き合い始めたその日から女子の視線が痛い...、


そりゃ、そうだよね
悠次はカッコいいし面白いし人気者だもん・・私なんかといてホントに楽しいのかな?


そんな心の内を私の親友、関谷 波 (セキヤ ナミ)に話した


「ん~・・華も悠次くんと並べるくらい美人だょ?悠次くんも華といる時の方が断然楽しそうだしぃ・・」

「そ、そうかな?」

「そうだよ!」

波の笑みに私もつられ笑顔になる
やっぱり波といると落ち付くなぁ・・




でも、波は気付いてる・・?
今でもクラスの女子達から悪口が聞こえているのを・・、





41: 名前:雫☆2011/08/30(火) 22:56:54 

「華ってさぁ、少し可愛いくらいで調子に乗って無い?」

「あ~分かるぅマジうざいよね」

「何?私たちの悠次取って良いと思ってんのぉ?」




甲高い笑い声と共に女子達の悪口が聞こえてくる

華は彼女たちの発言にブルッと身震いをした、
でも、・・大丈夫だよね?・・だって悠次がいるもん・・


幸い波は委員会でいない・・ホッとする、聞かれてなくて良かった・・



私は彼女たちの悪口に気付かないような素振りでいつも通り悠次と学校生活を楽しんでいた










悠次―・・








「え?」

電話越しに暗い声の悠次が放った言葉を理解できなかった・・

「だから、俺・・引っ越しが決まったんだよ・・・」

声が震える、目まいがした気もした

「ぅ、嘘だよね?・・嘘・・何だよね・・?」

瞳が潤む、涙が零れる(こぼれる)

「こ、こんな悪質な嘘・・言う筈無いだろ・・・」

悠次も泣いていたのが分かった、声がこだまする様に響く

私も嗚咽しながら声を震わせながら泣きじゃくる・・

「ごめん、ごめんな・・華・・・」









華は自らの髪をくしゃっと掴んだ


きっと夢だ、そうだよ・・夢・・、












ツー・・ツーと虚しい音を立てる受話器を見つめながら私はいつしか睡魔に襲われていた




42: 名前:雫☆2011/08/30(火) 23:09:23 

「おはよ..、」

いつも通りの朝・・の筈なのに2人の空気は重かった


「転校・・いつだっけ・・・」

沈黙に耐えきれなかった私は最悪な話題で断ち切ってしまった

悠次は一瞬黙り込み口を開く

「来週の月曜・・・本当は・・前々から知ってたんだ・・」

「うん・・」

2人なのに1人・・の様な寂しい感じ・・


    • もっと悠次の傍にいたかった・・・
















―そんな2人の感情に容赦なく別れの時間は迫っていく―



43: 名前:雫☆2011/08/31(水) 07:51:33 
  • present 華-      訳:現在の華

カクッと首が前に落ちる


―夢だったのか・・―


思い返しているうちに寝ちゃったんだ...、
手の中に転がっていたピアスを握りしめ、また開き耳に付け直した

肩に重みがあった、温かい重み..見ると彼が私に寄りかかり眠っている


今の状況で私は人肌が恋しかったのかもしれない、彼に・・赤月に傍を離れて欲しく無かった..

結局私はあの頃から何も変わって無くて..弱虫、泣き虫、なだけなんだ...



そんな裏の感情を打ち止めするかのように私はまた眠りに着いた...、




45: 名前:雫☆2011/08/31(水) 11:19:10 
~豹side~

彼女が寝たのを確認する


別の意味でビクッた..、


ほんの冗談でアイツの隣で寝てしまったけど..いや、普通見ず知らずの男が隣でもたれてたら蹴るよな?(彼女の場合







それが今俺の肩にもたれ小さな寝息を立てている

可愛い....

この前よりもずっと彼女の容姿を確認できた

猫目の長いまつげに白い肌、細身の体に透き通るように艶のある黒髪...

ヤバい..超可愛い..抱きしめたい..壊れるくらいに、

何か自分が変質者みたいな立場になってるが.....、








この前彼女と同じ中学の後輩に聞いた
中学時代はあんなツンツンした冷徹女じゃぁ無かったらしい

理由を聞いても答えてくれなかった





俺は..護れるかな?、彼女にとって居心地の良い存在になってやりたい

作り笑いじゃなくて..本当の笑顔の彼女を見たい...















屋上の床を見渡すと色あせた桜の花びらが一枚落ちていた―・・

48: 名前:雫☆2011/08/31(水) 17:46:42 

第3話『一瞬の温もりは春風の様に通り過ぎる..あの色あせた華ビラと共に..』


目を軽く擦ると周りを見る、彼は未だに私に寄りかかり眠っている
爆睡しすぎ・・

私は鞄の中身を整理し立ち上がる、もう、4時を回っていた


「華..?」


手首を掴まれた、ぎょっとして振り返る
赤月が私の事を見つめ引き止める

寝惚けたような目じゃなかった
ずっと..寝たふりをしてたの?

てか、いつの間にか華って呼びつけだし....、


そんな事を考えながらも手を振り払えない
今の状況に私はパニックに陥っていた、

顔には出さないけど



「何?私帰るの、日も暮れちゃう前に・・


言っている途中で豹は私を引っ張ると抱き寄せた

!!?......


「ちょッ....何?は、話聞いてた?」


予想外の出来事に私は焦り噛んでしまった

それでも彼は真剣な顔……私一人だけ大声出して、バカみたいじゃんか…………。








彼は私の腰に手を回したまま片方の手で自らの携帯を取り出す

そして表情を一変させ


「離してやるからメアド教えて?ッ..」

とヘラヘラと笑ってきた



ドカッ



鈍い音が彼の腹わたでする

だって蹴ったから

真面目な状況にしといて…私のキョドった所見て楽しんでいた

それを思うと頭に血が上る

だから蹴った



「アンタ…マジでふざけてんの?」

立ち上がり膝に付いた砂を払いながら私は鞄を持つ

「いや、さっきはフザけて悪かった!だからメアドを教えてください!」

そう言いながら土下座をする、

白々しいけど…先輩なのに…土下座…


私は噴き出しそうになる口を必死に押さえる


此処で笑えば完全になめられるから















私は土下座に免じてメアドを教えてやった

49: 名前:雫☆2011/08/31(水) 18:29:18 
~豹side~

自室で俺は頭を抱えていた


あの時…マジで理性飛びそうになった
気がつけば腕の中に華がいて…焦った表情の華がいて…


フザけた様に繕ってしまった
呆れるかな?
メアドは教えてくれたけど…



俺は携帯のカーソルを回し友達の名前を順々に見ていく



最近…遊んでねぇな………

家に帰っても華の事ばっか考えて
ボーっとする事が多くなった


メールの服歴は止まったままというのが等しいのか…?
いや、受信メールは腐るほど来る、
俺が返信をしていないだけだ



虚ろな目で携帯の待ち受けを見る








52: 名前:雫☆2011/09/01(木) 16:45:55 

華.....華には.....

何か人に話せない悩みがあるのか…?
本当に1人が好きな人間なんていない筈だ、

中学校の頃の華は普通に友達もいた………彼氏も

苦しんでいるなら....不安なら....寂しいのなら....
俺はそれら…いや、それら以上の華の苦しみをほぐしてあげたい


それらごと受け止めて…抱きしめてあげたい........















俺は番号を押すと携帯を耳に当てた









~華side~

タオルで髪を拭いていると洗面所近くに置いていた携帯が着信する

両親以外からメールが来るのは珍しかったが華は容易に予想できた

赤月か…?


部屋へ向かうための階段を登りながらボタンを押す




「はい、?」


一呼吸したかの様な息遣いが聞こえた



「ぁ、華か?今…話しできる?」


緊張してる…?電話だけで?




そう思いながらもうんと相手に見えるわけでもないのに頷き呟いた



53: 名前:雫☆2011/09/01(木) 18:07:24 
~豹side~

思わず掛けてしまったけど…何を言えばいいか分からない…

伝えたい事は腐るほどあるってのに.....、

そんな自分に苛々する腹立たしい
言葉にできていない様な言葉を口にしそうだ



だから深呼吸をしてしまった


「ぁ、あのさ...お前中学の頃は明るかったんだって?」





沈黙が訪れる





一発目の発言がコレかよ?
なんか相手の古傷えぐったみたいになったじゃねェか!!


携帯を持つ手が震える
軽くミシッと音がした

ぜってぇー切られる、嫌味気に言ったから尚更

でも意外な返事が来る




「うん、...」

今日はやけに素直だな…と言いそうになった言葉を俺は慌てて抑えた

ったく…何でこんな事しか言うことしか思い浮かばないんだよ!

悪口の天才って言われるのも分かった気がする…って今まで自覚が無かった自分にビックリしたけど


「…それでな、普通明るい人間が急に冷たくなるってあり得ないし…それには理由があるわけで」


俺の言い掛けてる途中で華は遮る

「ねぇ、私ってそんなに冷徹だった?」


悲しげな声色(コワイロ)...


顔から血の気が引くのが分かった
慌てて謝ろうと焦る

「悪りぃ、そーゆーわけじゃッ」





「いいの....そのかわり...私の話し聞いてくれる?」










華の最後の言葉は聞こえ辛いくらいにか細かった.......




56: 名前:雫☆2011/09/01(木) 22:31:13 
~豹side~

俺はいつも通りに朝から屋上で寝転んでいた


華は午前の授業だけ出るらしい
そして、昼から此処で会って話をする予定だ

あの時の電話の雰囲気はいつもの華の感じじゃ無かった


あれは華が俺に初めて弱みを見せてくれたと取って良いのか……?



















思えばもう6月の末―…
華と出会って2カ月もの月日が流れていた


~華side~

授業中―…

ふと窓越しに外を見る
桜の華は跡形も残すこと無く散り無くなっていた

変わりに辺りの木木達は若緑色に染め、昨晩降った雨の雫がそれらの風景に良く合う


頬杖をついたまま視界を上げる
空を見ると昨日よりよどんでいて曇り雲があった
昼から降るのかな…?



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最終更新:2012年01月25日 20:55
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