451: 名前:+椎名+☆2011/10/27(木) 19:05:28
雪奈が映っている…
それは…相手に参加者と知られてしまったという意味だ。
相手に知られたということは…
雪奈も相手チームに命を狙われる。
くそっ!俺があの時油断さえしていなければ…
「鈴……地…」
雪奈の顔も優れない。
俺はすぐに駆け寄った。
「どうした?雪奈、具合悪いのか?」
「………」
雪奈は何も言わなかった。
ただずっと拳銃を見つめてる。
するとそこにまた一人あらたに人影が現れる。
「雪奈ちゃん!暁君!」
「赤星!」
多分さっきのあれを見てきたのだろうか…
「雪奈ちゃん…大丈夫?」
「……うん」
「雪奈…」
どこか悲しげな表情はまるで何かを思いつめてるみたいだった。
「雪奈…!」
「…え!?ちょっ…鈴地!?」
俺は雪奈を力強く抱きしめた。
「そんな悲しそうな顔すんな。
俺が守る。何かあったら呼べって言ったろ?」
「…うん、ありがとう……」
…好きな奴の悲しい顔は見たくない。
それに守ると決めた。だから…
せめて雪奈だけでも守りたい。
452: 名前:+椎名+☆2011/10/27(木) 19:33:49
~雪奈side~
私が鈴地のとこに駆けつけると
鈴地は女の子を刺していた。
平然とした顔で……
「鈴地…?」
鈴地は何かを考え込んでいるように俯いた。
なんだか…今の鈴地は怖い。
そう思っているととあることに気づいた。
鈴地の…殺したはずの女の子が立ち上がる。
生きている…!?
彼女はポケットからカッターを出した。
どうしよう…!助けないと…
でも私の手元には…拳銃しかない。
これ…は…
拳銃…は……
鈴地は彼女の存在に気づいたように振り返った。
…過去にとらわれるより、鈴地を助けたい!
私は銃の引き金をひいた。
その引き金は重さを感じさせた。
その銃弾は女の子に命中した。
鈴地は私に気づくと驚いた表情を見せた。
そっか…確かこのゲームは殺した相手と殺した本人が…
なら私も…
…それにしても、また…この武器で人を殺めちゃった…
手を汚すのは…一度でよかったのに…
この武器で…この…拳銃で…
親友を…殺しちゃったんだ…
もう…この拳銃で人は殺したくなかったのに。
悲しすぎるよ…やっぱり。
殺し合いなんて…大っ嫌い……!
456: 名前:+椎名+☆2011/10/29(土) 22:57:16
~十六夜side~
そっか、思い出した。
暁君は…あの時の暁君か!
やっぱり聞いたことあると思ったよ。
…しかし分からないな。
なぜみんな他の人をかばうんだろう?
自分が死ぬかもしれないのに。
まったく理解できない。
馬鹿、だからかな。
かばっても自分を危険に犯すだけ。
何の利益もない。
なのになんで命を捨てられるんだろうね。
まったく理解できないよ。
それで命を落としたら終わりだよ?
他人の心配なんてしてる場合なのかな…?
あの時もそうだったね…
ん…?あの時?
…そうか、あの時も一緒だったね。
馬鹿な奴だよ。
他人をかばって死ぬなんてさ。
犠牲にしてまで救う価値はあったのか?
ま、そのおかげで今がある。
感謝は一応してるけどね?
457: 名前:+椎名+☆2011/10/29(土) 23:15:11
それにしても暇になったなぁ。
バーチャルの誰か殺して遊ぼうかな?
「ねぇ、君」
「ん?何?」
僕は1階の廊下にいた男子に話しかけた。
手には愛用のナイフを持っている。
「死んでよ」
ドス…
僕は最高の笑顔で奥深くへと突き刺した。
突き刺す時のこの音がたまらない。
男の子はその場で倒れた。
そしてのたうちまわっている。
「ねぇ、君には分かるかい?
自分の命を犠牲にして他人を救う理由。
…ま、バーチャルだからわからないよね?」
ざくっ…
「あぁぁぁ…ぁ……!」
僕はとどめにナイフを顔に突き刺した。
そしてナイフを左右に揺さぶり、引っ掻き回した。
もうだれか分からないくらい顔は血まみれでぐちゃぐちゃだ。
「はははは!」
やはり人を殺す瞬間が一番楽しい。
どうして誰も理解できないんだろう?
バーチャルなのでやはり何事もなかったかのように
みんな僕の前を通りすぎていった。
でもバーチャルばかりじゃつまらない。
そろそろ『本物』も殺したいな…?
458: 名前:+椎名+☆2011/10/29(土) 23:32:43
~遥side~
何よ…アレ…
私、参加者チームの安部遥は
とりあえず相手の様子をうかがっていた。
仲間の…暁君と葉山さんが減らしてくれたから
結構動きやすい状態。
でも私は職員室前で見てしまった。
私はバーチャルの世界では学級委員という設定らしく、
今書類を運んでいた。
その時、なにやら悲鳴が聞こえたので廊下を見てみると…
「はははは!」
「ああぁ…ぁぁ……」
何よ…あれ!
一人の男の子がナイフを持って笑ってる。
ナイフには血がべとりついている。
その男の子は倒れてのたうちまわっている子に
とどめで顔にナイフを刺した。
その後も廊下を通る人を男女問わず殺している。
何よあいつ!バーチャルを無差別に殺してる!?
あいつが管理人チームの一人?
あんなやばそうな奴がいるなんて…
とりあえず隙をついて殺さないと…
464: 名前:+椎名+☆2011/11/25(金) 21:21:55
でも…どうやって近づこう……?
今近づいたら確実に殺されるよね?
あっ、そーだ!
このための拳銃があるんじゃない!
私は拳銃を腰から抜き取り、物陰から狙いを定める。
しかし動きまわるため、なかなか狙いが定まらない。
拳銃で殺すにはリスクが大きい。
まず一つ目、狙いが定まらないこと。
二つ目、音が大きいため、一発で当てないと
相手も気づき、完璧に殺しにかかってくるだろう。
それに近くに仲間がいるかもしれない。
出来るのか…?こんな状況で…
ううん…やる…しかないんだよね…
相手を殺さないと自分達が死ぬ。
この世界は弱肉強食、
弱い者が死に、強い者だけが生きる。
そういう世界なのよ。
だから…私もこの自然の掟のためにあいつを排除する。
467: 名前:+椎名+☆2011/12/04(日) 04:35:31
私は陰からチャンスをうかがった。
「……」
一発勝負…
当たれば私の勝ち。
外れれば私の負け。
この賭け…私が勝ってみせる!
丁度今動く気配はない。
ただ立ったまま上を見上げてる。
何を考えてるのかわからない。
でも一瞬の隙が命とり。
…死んでしまえ!
引き金を引こうとした瞬間、
彼はそのまま笑い出す。
「…くくく……」
何…?気味悪い……
そしてまた静かになるとうつ向いた。
そしてこっちを見て笑う。
…えっ!?
何アイツ!
気づいて…るの?
怖い怖い怖い!!
私は引き金を引いた。
しかし彼は極限まで笑いながら
銃弾をかわした。
え…?
何が起こったのだろう。
まるで一瞬時が止まったようだった。
そして彼は……
今、私のすぐ目の前で笑ってる。
468: 名前:+椎名+☆2011/12/04(日) 05:00:23
ひっ……
彼は壁にバンと手を叩きつけ、ナイフを私の首に当てた。
「…君、本物の人間だよね?」
「…な、何よあんた……」
「…ふふっ、怯えて…可愛いね…
うっかり殺してしまいそうだよ…」
彼は私の首を軽く切った。
痛みは感じないが、血が流れていくのはわかる。
こいつ…狂ってる……
私は手に持っていた銃を落とす。
涙も自然に流れてくる。
「あーあ、泣いちゃって…
せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
こいつ……!
彼は右目が真っ赤に染まっていた。
こんな人間……いるの…!?
その目で見られると…怖い…!
助けて…
誰か助けて……
ザシュッ……
ポタ……
彼の右手にナイフが突き刺さった。
彼はナイフを落とす。
それに…誰かがいる……
「十六夜…そこまでにしてもらおっかな?
…その子を解放して」
最終更新:2012年08月11日 06:55