469: 名前:+椎名+☆2011/12/04(日) 05:29:49
誰……?
参加者チーム…じゃないよね…
見覚えがない…あれ…?
でも…見たことあるかも……
ツインテールがなびいている。
この女の子って…
確か…葉山さんが殺した相手…
そう…管理人チームの!
でもなんで助けてくれたの…?
「リリス、もうこっちに戻る気はなさそうだね。
残念だよ。君の…殺し方大好きなのに」
「それは光栄ね。でももうどうでもいいわ。
確かに人殺しは楽しいけど…別に罪もない人を殺してもどうにも
ならないもの」
「ふぅん、変わったね?あの子に出会ってからかな?」
彼はナイフをしまってどこかに歩いて行く。
「…でも、きっと殺すよ…?雪奈ちゃん。
だって…ああいう子は……大好きだからね…?」
それだけ言い残して歩いて行く。
た、助かった……?
「大丈夫?はい、これで血拭くといいよ」
「…あ、ありがとう…ございます……」
管理人チームなのになぜ?
そもそもこの人は死んだはず…
「…あの、あなた…管理人チームですよね?」
少し警戒した方がいいかもしれない。
「え?あ、雪奈ちゃんと一緒のチームの子よね?
なら…助ける理由はそれかなぁ?」
…は?
何……?
よくわからなかった…
「…助けてくれたことは礼を言いますけど
私は…あなたを信用出来ません」
その時、一瞬彼女の顔が悲しそうな表情になった。
「…やっぱりそうよねぇ!
ふふ、気にしなくていいよ。好きで助けただけだもん」
彼女はそのまま振り替えることなく歩いて行った。
何…かな…もしかして……いい人だったのかもしれない…
470: 名前:+椎名+☆2011/12/14(水) 01:31:08
~リリスside~
…信用できない、かぁ。
さっきの女の子に言われた一言。
これでも結構ぐさって来てる。
雪奈ちゃんは私を信頼してくれてる。
信用してくれてる…
でも…もしかしたら…
それって『同情』してなのかな…?
冷たく閉ざされた過去を聞いて同情してくれて……?
でも…そんな信用は欲しくないよ…
信用は自分が努力して得るもの。
偽りの信用なんて…
……………
「あっ…」
私ってば…何馬鹿な事を…
一瞬雪奈ちゃんを疑ってしまった。
私を助けてくれたのに
恩を仇で返すなんてできないよ…
でも…
やっぱり…少し気になる…
雪奈ちゃんの本当の気持ち。
暁君の気持ちも知りたい。(ついでに)
自分は昨夜まで敵だった。
それがあっさり一日で仲間についた…
誰だって疑うのは当然。
警戒するのは当然。
それに私は冷酷で今まで酷い殺し方をしてきた。
今もそれが大好き…
これには嘘はつけない。
そんな人物をそばに置いて平気なのか。
暁君の腕の怪我…
アレをやったのは私じゃないか。
そんな奴が夜中に寝床を襲って殺す事もありうる。
信頼を利用して殺す事もありうる。
管理人チームの仲間に参加者チームの子を教えて
殺させるって事もありうる…
いつか自分がそうしてしまいそうで
…怖いの。
明日にはその笑顔は苦痛の表情になっているかもしれない。
そう考えると
雪奈ちゃん達のそばにいる事が
怖くなって不安になる。
471: 名前:+椎名+☆2011/12/14(水) 01:44:17
~十六夜side~
あーあ、
リリスが邪魔しちゃうから…殺し損ねちゃったよ。
悲鳴、聞きたかったのになぁ。
僕は血だらけの手を見つめた。
そう、リリスが不意に刺してできた傷…
血がキラキラと輝いているように見えた。
血はいつ見てもいいね…
僕は幼い時から見てきたけど飽きないよ。
その血が人間の体をナイフで突き刺すたびに溢れて飛び散る。
最高だよ。
「…おっ?」
…何かを感じる。
そう、これは…『疑いの心』かな?
それがリリスから匂いが漂ってくる。
「へぇ、さっきの一言で相当傷ついたんだ?
それで雪奈ちゃんをねぇ…」
リリスが少しでも雪奈ちゃんを疑い始めた…
これはいい機会かもしれない。
リリスにはこっちにいてもらわないとね。
雪奈ちゃんに最高の絶望って奴を見せてあげるために。
大丈夫、まだ殺しはしない。
…ま、雪奈ちゃんより暁君を先に殺しちゃうけどね?
472: 名前:+椎名+☆2011/12/14(水) 01:54:16
…そうだ。
こういう手もありかな?
え?どんな方法かって?
暁君とリリスを一瞬で苦しめて狂わせる方法。
雪奈ちゃんも好きな人と友達が狂ったらつらいよね?
[自分のせいで]ねぇ……?
なら、リリスを先にこっちに連れ戻さないと。
君にはとっておきの舞台を用意するよ。
暁君…君にも協力してもらうよ?
そのあとは殺しちゃうかもね?
まずは二人の弱点を握る。
雪奈ちゃん以外でね?
リリスは知ってるとして暁君はどうしようかな。
僕は自分のとある能力を使って暁君の過去を見た。
ふふ、誰にもまねできないだろうけど。
「…初恋相手に告白して翌日に相手が死んじゃたのか。かわいそうにねぇ」
名前は…宮本苗木?
どこかで聞いたことあるな…
あぁ、そうか。あの女の子か。
いやぁ、殺した相手なんかいちいち覚えてないよ。
ん?ということは…
彼女の好きと言っていた暁君はこの『暁鈴地』君だったのか。
なるほどね、これはいい。
利用させてもらうよ?
473: 名前:+椎名+☆2011/12/23(金) 11:33:33
~雪奈side~
「ふぅ…」
私は部屋のベッドにダイブした。
結局あの後は誰も襲ってこなかった。
でも明日は…わからない。
寝床を襲われる心配はない。
だって…この部屋は特殊な細工がしてあってね、
この部屋で相手のチームを殺すと自分が死ぬらしいの。
わかりやすく言うと相手の痛みが
自分にくるっていうしくみ。
刺されたりした相手は傷1つなく無傷。
刺した相手は刺したはずなのにナイフとか自分に刺さってる。
こういうしくみってリリスちゃんに聞いたの。
でもこれは夜の11時から朝8時までの間有効なの。
それ以外はそのシステムが作動しない。
まぁリリスちゃんのように相手を外に呼んで殺すのは
大丈夫なんだって。
あくまでもこの部屋だけだから…
今は11時30分。
だから安心して居られる。
…安心だけど怖い。
明日死ぬかもしれない。
…もう、こんなゲーム止めたいよ。
474: 名前:+椎名+☆2011/12/23(金) 11:42:03
……………
あれ?
ここは…
私の通ってる学校?
帰って来たんだ…私…
「ゆっきー!」
久しぶりに耳にした声。
振り返ると四人の女の子が立ってこっちに手を振っている。
「真波!香菜!華実!亜美!」
私は元気よく四人の下へ走り出す。
「…え!?」
目の前まで近づくと四人はふわっと消えてしまった。
…どこに行ったの?ねぇ…
「雪奈っ!」
私のすぐ後ろから声がする。
「真波!よかった…」
「ははっ!大げさだな~雪奈は。でももう大丈夫」
真波は私の腕を掴む。
そしてぎゅっと握りしめた。
が、それは人間とは思えないほどの怪力だった。
475: 名前:+椎名+☆2011/12/23(金) 11:57:29
「い、痛いよ真波!」
「うん、知ってるよ…」
そう言うと下を向いた。
そして顔を上げた。
するとさっきまでは普通だった顔が血まみれで
いつの間にか手も血だらけだった。
「でもね、私はもっともっと痛かったんだよ?
銃で撃たれて…しかも大好きだった親友に」
真波の腕の力が強くなる。
腕が…潰されそうだ。
「真波…っ!」
「ねぇ、痛いでしょ?雪奈。
これより痛い事なんて考えた事ある?」
真波は…やっぱり私を恨んでる。
だって信頼してた人に殺される気持ちって…
凄く憎しみが溢れてる。
「真波…ごめん…ごめんね…私…真波を撃っちゃった…
親友の…真波を…撃っちゃった…恨まれても仕方ないよ…
本当にごめんね…」
私の目から雫がこぼれた。
それは真波の腕に落ち、はじけた。
その瞬間、真波の腕の力が弱くなった。
「…フフ、何言ってるの…?雪奈ってば…
もう謝らなくていいんだよ」
そしていつもの優しい真波の声に戻った。
私は顔を上げる。
「謝ったって許すわけないでしょ?
それに…雪奈もこっちに来て償ってもらうから」
それは姿形は真波だがどこか違う…
真っ赤な目で八重歯があり、ギョロっとこっちを睨む。
まるで化け物のような姿になっていた。
「うああぁぁぁっ!!」
さっきより酷く腕が痛んだ。
そう、真波の爪が鋭くなって私の腕を貫いているからだ。
「雪奈…こっちに来てクレタラ許しテあげル…
ね、また五人で遊びニ行こ…?」
爪が刺さったまま腕をひっぱられる。
腕が取れそうだ。
死ぬのがこれより痛いなんて…考えた事もなかった。
476: 名前:+椎名+☆2011/12/23(金) 12:15:07
「ゆっきー」
今度は横から声がする。
この呼び方は…
「亜美…?」
じゃなかった。
亜美も真波と同じように血まみれで赤い目だった。
「ゆっきー、一人じゃ寂しいでしょ?」
亜美も私の腕を掴む。
「一緒に行こう?」
「楽しいから…」
華実、香菜も現れ、私の服を引っ張った。
「雪…ナ…ゆ…奈…雪……」
四人は完全に私の知ってる四人ではなくなっていた。
「雪奈雪奈…雪奈…ゆき………
嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ
嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ嫌イ
死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ
死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ
死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ死ンジャエ
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
やだ…怖いよ…死ぬなんて…怖いよ。
死にたくない…
怖い…
助けて…
「誰も雪奈ナンカ助けナい。
自分だけ助かルノは可笑シイよね…?
私達は死ンダノニさぁ!!」
嫌…!
嫌あぁぁぁぁぁぁぁ!!
「雪奈…!」
どこからかする聞き覚えのある声にはっとした。
「雪…奈…!」
助…けて……
「雪奈っ!」
「助けて!」
私は精一杯叫んだ。
最終更新:2012年08月11日 06:57