487: 名前:雷蓮☆2011/11/03(木) 18:15:43
~蓮side~
ガラッ
「来てやったぞ、生徒会共」
俺はノックなんてしない。
礼儀を守る不良になるからな。
「遅いぞ、不良野郎!!」
そうそう口が悪くなったのは生徒会長の須江金 奏太。
「ちょっと、奏太!いじめの相談かもしれないでしょ!?」
「んなわけねーだろ、このアマ」
「あら、蓮じゃない。何の用かしら? とりあえず、お茶飲んでく?」
「こんな奴に出すんじゃねぇ!せいぜい、スポーツドリンクにしろ!」
「……好み、分かってるのね」
何だかんだ言って、良いやつらなんだよな。
「あっ!蓮だーっ!蓮っ蓮っ!」
「千里、お前まだ生きてたのか」
ちょっといじる。
「ひっ、ひどいーーーーっ!もうお婿いけないーっ!」
「すでにいけないだろ」
「うわぁーーーーっ!」
ほらな。
反応が面白いんだ。
けど、本気でコイツは泣いてるわけじゃない。
「嘘泣き、へたくそだよな」
「やっぱりー? 最近、演技力を磨こうと思ってさ~」
「意気投合すんな!!俺!!生徒会長俺だから!!」
本当に反応が面白いのはこいつ。
「面白くない生徒会長なんていらないわ。もう辞めなさいよ」
書記の佐竹真奈は毒舌担当。
「そーだそーだー!」
「お前は調子乗ってんじゃねぇぞ?」
いつもこの調子だから、
生徒会の仕事もろくに進んでないんだろう。
すぐ傍の机には、山積みの資料がずっしり。
吐き気がしそうなくらいの量。
「おいおい。仕事もろくにやってねーんじゃねーの?」
「ん? あぁ、そこの資料のことか?」
「終わってないのが山積みじゃねぇか」
「そこにあるのは全部終わったやつだ。お前が先生に提出してくれるのか?」
「……は?」
よくよく見ると、その資料には全部生徒会の印鑑が押してあった。
「こんなに大量のもんを一日で?」
「あぁ」
「ここに来たのはいつだ?」
「ついさっき。お前が来る10分前くらいだ」
「嘘言ってんじゃねぇよ」
「嘘じゃないわ。私たち、仕事終わらせるの早いから」
「いや、早い以上にヤバいだろ」
490: 名前:雷蓮☆2011/11/03(木) 20:27:23
「それより、蓮。蔵間まで連れてきてどうしたの?」
「は? あぁ、蔵間も連れてきてたっけ」
「蓮ー!それより、呼び出された側なんだから
どうしたのって言われたことにツッコんでー」
「あらあらー。有能な右腕くんが忘れられてるなんて無様~。残念ね~」
「お前の性格もこの上残念でならないけどな」
奏太が割ってはいる。
「だまらっしゃいな。私は美女だから許されますぅー」
「お前のナルシストぶりもそろそろヤバいんじゃないの? キャラが濃すぎてよぉー」
「それよりご自身の心配をなされてはいかがー?
もうすぐ天の遣いがお迎えに来るころでしょうー?」
キャラの濃さで競争している二人は、結構仲が悪い。
付き合っているという噂もあるが、あれはデマ。
表向きは仲良さそうにしているけどな。
「どーでもいいけど、そろそろ本題に入ろーよー」
珍しく千里が指揮をとった。
「それもそうね。…で、蓮。あんた、教師に暴言吐いたりしてないわよね?」
「…………………………しねーよ」
「なげーよぉぉぉぉぉ!!」
「してるじゃないの。前に見たし」
「じゃあ、何で聞くんだよ」
「それでね、色んな先生方からも苦情がきてて。
蓮を相当怖がってるみたいなの」
「不良として好成績を納めたってことだな。んじゃ、俺行くわ」
「表彰されるとでも思ったの?」
「んなわけねーだろ。お前らのおせっかいが降りかかるのはごめんだ」
「おせっかいとは失礼ね!この学校の校風を守るのも、生徒会の勤め!
亜久間 蓮!今日から一週間、武塔先生の雑務担当!」
「はぁ!?」
「ちょっと待ってよ、真奈。いくらなんでも、そこまで……」
「蔵間じゅん!あなたの過保護も度が過ぎるのよ!厳しさも与えて!」
「えー……。だって、一応蓮も自分のことは自分で……」
「誰がそんなこと信用できるの? とにかく、雑務よろしく!終わり!」
バタンっ
飲みかけのスポーツドリンクと共に投げ出された俺と蔵間。
「な、な、な……」
「蓮…。えーっと……夕飯は遅めに作っておくね」
蔵間は基本、武塔のパシリだけは拒むから当然付き合うハズもなく……。
「……あぁ。なるべく、早く帰る」
今週の舞とのデートの有無の選択が迫られていた。
493: 名前:雷蓮☆2011/11/06(日) 19:54:04
…。
……。
「おい、蓮」
「…………」
「蓮?」
「………………」
「蓮!」
「おっ!? な、何だよ、驚くじゃねぇか」
「舞ちゃんとのデートは?」
「今週はロリコンのパシリだしな。行けないだろ……」
「せっかく予定まで作ってたのに?」
「……おい、てめ今、何て? 何でそんなこと知ってんだ?」
「昨日徹夜で考えてたんでしょ? 後ろに立ってても気づかないから相当集中して……」
「ぜってぇー誰にも言うなよ?」
「大丈夫だよ! 弱みとしては活用させてもらうけど」
俺と蔵間が教室に戻っている途中---
「おっ!いたいた、蓮きゅん」
事の発端と会った。
「ちょーどいいところにきたなぁ~、武塔せんせぇ~?」
「え、ちょ、何、え? あ、ははは、ちょ、蓮く…ってうぉっ!? ちょ、コンパスしまって!インポケット!オアふでばこ!あ、間違った!ぺんそーけいす」
「んなことぁ、どーでもいんだよ。ちょっと一発殴らせろ。大丈夫、一発だ」
「蔵間!!お願いだから、蓮を止めてぇ!!」
「嫌っスね。俺、基本仲裁だけど先生の味方にはなりたくないんで」
「そんなバッサリ言うなよぉぉぉぉぉぉー!」
「ほら、怖がんないでこっちおいで。怒ってないから……このロリコン教師」
「絶対怒ってるって!何、あの子!そんなに俺の事キライ!?」
「先生。ここまでくると、俺も止められないです」
「そんなっ……」
「すぐに終わりますよ」
「うん、何が!? てか、何する気!? あ、すいませ、ちょ、待てぇぇぇー!」
「……」
「大丈夫ですか、先生」
「俺は悪くねぇ。すべての事の発端はお前だ、ロリコン」
「にしても、扱いひどくない? いや、まぁ古い付き合いってのもあったから許すよ? 10発殴ったことは……」
「先生も苦労しますね。変な生徒がいると」
「お前もだぞ、蔵間。人事みたいに言うな」
「あぁ、そうだった。けど、蓮よりはマシだと思うよ~」
「もっかい言ってみろ!!」
「はいはい、もう血は交えない戦いにしてね。話し合いとか」
「男ってのはなァ、拳で語り合うモンだ」
「カッコいいこと言ってもダメ。それで? 俺に何か用事?」
「何か用事? だとぉ……?てめぇ、人様にパシリ強制してよ、んな清々しい面見せてんじゃねぇよ……」
「何、あの子。めっちゃ怒ってる。めっちゃ怒ってるよ、アレ。俺、聞いただけなのに。なんか口開くごとに、脅されてない?」
「お前のアホ面見るために、わっざわざ時間つくってらんねぇんだよ」
「だんだん口が悪くなってってるんだけど……」
「あ、隣のクラスの奴が呼んでるから、俺行ってくる」
「え、待って、蔵間……」
「俺、面倒ごと好きじゃないんで。んじゃ」
タタタッ……
「完全に終わった……」
「何がだ、ロリ教師。早うこっち来いや」
「ひぇ……」
494: 名前:雷蓮☆2011/11/06(日) 20:22:07
~教室~
ガラッ
「あ、蓮おかえり」
「舞……」
「ん?」
「……ごめん。今週のデート、誘っといて何だけど行けない」
「え……」
「ごめん。楽しみにしてたのに…本当、ごめん」
「ううん、そんなことないよ? 謝らなくていいのに」
「俺が誘って、俺から破棄するってかっこ悪ぃじゃん。謝らせて」
「っ……私、蓮とのデート楽しみにしてた。けど、今週だけが空いてるわけじゃないし、怒らないよ?」
「あぁ。それでも、しめしはつけておきたい」
「…ありがとう、蓮。大好き」
「っ…このタイミングでそれは……反則だ」
俺の体中の体温が上昇していく。
それと同時に、舞の顔も火照り始める。
「「舞のこと、泣かせてんじゃねーよ」」
この声…
495: 名前:雷蓮☆2011/11/26(土) 12:59:35
「康介…」
「何だ、その呆れきった顔は…」
「呆れるも何も、事実じゃなぇか。お前のバカさ加減」
「う、うるせぇっ!!」
「何がうるせぇだ。お前の雄叫びのがうるせぇよ」
「雄叫びじゃねぇぇぇぇー!!」
「はいはい」
康介は拳を振り回して暴れた。
「お、おい、あぶねぇって」
「うるせぇぇぇ」
「だっ、おい!後ろ!!」
ゴンッ
「ぶべしッ!!」
「あ……」
「……武塔……せんせ?」
「きょ、教師に熱い一発を喰らわすとは……ナイスガッツだな、康介」
「ちょ、ちょっと用事を思い出したんで、俺はこれd……」
ガシッ
「やり逃げはナシだぞ? こうすけくん?」
「うぅ……」
「……てことで、康介も居残りで俺のパシリ決定ー」
「うそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「俺はともかく、こいつまでパシリだなんて分が悪いだろ」
「れ、蓮……?」
「コイツの理解力は俺の上だ。
軟弱な俺じゃあ、逆に揚げ足を取っちまう。
だから武塔、コイツだけにした方が効率いいぞ」
「いや、何でそうなるぅぅぅぅ!?」
「いや、明らかに俺の意見で合っている」
「喧嘩はそんくらいにしとけ。
とりあえず、決定したことは変えられん。
張り切って望めー」
最終更新:2012年08月13日 01:37