小町4
うpろだ583
登場人物
小野塚小町
死神で三途の川の船頭。何と今回はヒロインになりました。
○○
映姫の補佐にして恋人。ようやく一人前に気遣いを覚えたら、今度は激甘男に。
●●
彼岸の常連。小町の話し相手。生きてます。
三途の川。
その先は死者を裁く是非曲直庁が存在する。
生きた身では渡る事も叶わず、
渡れば引き返す事の出来ない生死を分かつ川。
その彼岸。
渡し場に腰掛ける死神は、語れぬ幽霊にもよく話す事で知られている。
「というわけさ」
口なき幽霊には返す言葉も無く、ただただ聞いているのみ。
幽霊にしてその話が有意義かどうかは分からぬ事だが、
語らぬ陰気な死神よりは、好感が持てることだろう。
死神に好感を持つ事がよいかどうかは分からないが。
「そうなんですか」
しかして、この時ばかりは死神に答える声あり。
今は彼岸に腰を下ろす死神、小野塚小町。
その一言一句を楽しげに聞くのが、今口を開いた男。
彼、●●は小町の隣に腰を下ろして相槌を打っていた。
「ああ、そうさ。もうてんやわんや」
「でも良かったですね。丸く収まって」
「まあね。映姫さまもアレで乙女なもんだからさ」
「良い事じゃないですか」
「そのおかげで、こじれて大変さ。まあ、アイツの方にも問題はあったんだけどさ」
「不器用な方なんですね」
小町が話す事は、最近直属の上司の身に起こった事。
色恋の沙汰は、他人からしてみれば話しの華ともなる。
「しっかし、あんたも暇だね。こんなところまで一人で来るなんて」
「お暇はお互い様ですよ」
「そうでもないんだけどね」
「え?」
「おっと、なんでもないよ」
サボり、というわけでもない。
三途の川の橋渡しは、担当するもののペースで行われる。
そも、渡る幽霊があふれる事も無ければ暇なものである。
または、その仕事さえ見つけなければ、大義名分的に暇なのだ。
「小町さんは、その上司の映姫さんが好きなんですね」
「なんだいそりゃ?」
「その、映姫さんのお相手の、○○さんと言う方の事も好きなんですか?」
「ちょいと、よしとくれよ」
恥ずかしそうに、小町はそっぽを向いた。
「映姫さんの事を思って、身を引いたんですか?」
小町と話す彼は尋ねる。
対する小町は、ぽりぽりと鼻頭をかいた。
「そんなんじゃないさ」
そういう気持ちが無かったか。
思うまい。
そもそも、そういう次元の話じゃなかったのだ。
「あたいはさ……」
「?」
「うん、そうさ。あの二人が好きだったのさ」
大好きな上司と、大事な仲間。
その二人が仲良くやる。それならそれ、満足なのだ。
「なんていうか、照れくさい話だね」
「そうですね。でも、とてもいい話を聞かせてもらいました」
「よしておくれ。というか、この話は他にはしないでおくれよ」
「はい。心にとどめておきます」
「ああ、そうしといとくれ。常連さん」
「そういうと、僕が死人の常連みたいですね」
「ここに何度も足を運んでるんだ。似たようなもんだよ」
すでに幾度と雑談を交わした仲。
小町が死人と間違えて話しかけたことからの始まりだった。
「さて、今日のところはこれでお暇させてもらいますね」
●●が、腰を上げる。
「っと」
彼は少しふらついた。
「おっと、大丈夫かい?」
その体を小町はとっさに助ける。
「あ、いつもすみません」
「いいってことさ。まったく、死人に見間違えるくらい病弱ななりしてんだから」
小町と彼にとってはいつもの事。
もはや自然な事になっている。
「ありがとうございます。……コホ」
「ほうら、まただ。咳をするような体調なら休んどきなって」
「いえ。大したことじゃないんですよ」
彼にしてみれば、そういうこと。
小町にしてみれば、そうでもないこと。
しかし、
「まあ、あんたの予定はまだまだ先みたいだし。大丈夫さ」
「そう言ってもらえれば安心です」
死神には人の死の予定が分かる。
こういうことは、本来部外秘なのだが。
「ではまた来ますね」
「気をつけて帰りな。再三言うけど、ここは生きてるうちに来るところじゃないよ」
「また来ますよ」
「ああ、また来な」
死者に対する者が生者も同様に触れあう。
小町にしてみれば変わりのない事である。
しかし、物言わぬ幽霊を相手にする事が多い小町にとって、
話の出来る相手は、実に楽しいものだった。
その際、若干ながら仕事にルーズになる事もある。
もとより、自分のペースで出来るのが先導の役得。
多少、上司に起こられる事は合っても、大局的に支障をきたす事も無かった。
「最近楽しそうですね、小町」
小町の上司たる映姫が言う。
「映姫さまほどじゃありませんよ。今度はどこでイチャついてたんですか?」
「そ、そんなこと言う必要ありません!!」
「イチャついてる事は否定しなくなりましたね、映姫さま」
「こ、小町! あなたは上司に対する立場というものを!」
「あ、○○」
「え、ど、どこですか! あ、別に私は怒ってるわけでは……。って、小町?」
「仕事に行きますねー。映姫さまー」
「こ、小町!!」
楽しい事のおすそ分けをもらい、少しばかりおすそ分け。
またも●●と、話したり。
「てわけさ」
「意地悪ですね、小町さん」
「でもまさか、○○の名前一つで反応するなんて思いもし無かったよ」
「それだけ、好きなんですね」
「ああ、そうさ。もう手が付けられないね。式も近いんじゃないかい」
「その時は僕もお祝いに駆けつけたいですね」
「そりゃ喜ぶよ。多分。祝う人間は多い方が良いさ」
「そうですね」
仲の良い男と楽しく話をして。
「僕は小町さんのこと好きですよ」
「あははは。冗談きついよ」
笑いながら実はドキドキしてみたり。
映姫と一緒で、小町も幸せだった。
ある時、また、●●がやってきた。
気付いた小町は、いつものように雑談でもしよう。
そう思った。
そこにいたのは、幽霊。
●●だった。
「あれ?」
何かの間違いだと、思おうとした。
けど、死神たる小町に、間違いは。
残念ながら無かった。
だから、納得した。
「そうかい……。死んじまったのかい……」
幽霊も、小町の呟きに頷いたようだった。
小町の知る予定では、まだ先のことだったはず。
だが、予定は所詮予定。
早まる事も、あるのだ。
「乗るんだろ? 乗りな。この小町さんが漕ぐんだ。退屈はさせないよ」
小町の声に、幽霊は……。
●●は、笑ったように思えた。
「会った時は想像もしてなかったねえ。こういうこと」
「……」
「いやいや、そうでもないか。いつかはこうなることだったんだしね」
「……」
「病弱なわりに、何度も足を運べたもんだよ。結構丈夫だったもんだねえ」
「……」
返事はない。
頷きもない。
幽霊に口はない。
「そういや、映姫さまって、あたいの前じゃイチャつくの隠さなくなってね」
「……」
「○○のやつも、分かってるのか分かってないのか。映姫さまに甘くってね」
「……」
「なんていうか、ああいうのも最近ちょっとばっかし、うらやましくなってねえ」
「……」
話しながら渡る、三途の川。
いつもと変わらぬ、橋渡し。
なのに、ひどく
静かな小船。
「ところでさ」
「……」
「前に、あんたさ。あたいのこと……好きって、言った事があったねえ」
「……」
「そういえば、そのこと。あたいは何も言わなかったねえ」
「……」
今更、言う事は無い。
答える言葉もない。
ただ、
「あたいも……」
「……」
ポツリ、と、雨の一雫。
三途の川に飲み込まれる。
「あたいも、あんたが……好きだったよ」
「……」
嗚咽をこらえる苦しげな声で、
過去形が、ひどく悲しく響いた。
小町にとって、生者も死者も変わらない。
だが、生者と死者は決定的に違う。
そして、死神として死者と会うことは。
今生の別れにも等しかった。
来世は、せめて、幸せに。
続く雫に想いが流れた。
「それでは、裁判を始めます」
是非曲直庁。幽霊を裁く裁判が始まる。
裁判長を務めるのは四季映姫・ヤマザナドゥ。
その横には補佐である○○が控えていた。
小町は、この裁判を影で見守っていた。
「さて●●。あなたの罪状を述べましょう」
生者は何かしらの罪を犯している。
生きるために何がしかの命を糧にしてするもの。
様々。
しかし、病に倒れたであろう彼に、何の重い罪があろうか。
隠れる小町は思う。
だが、
「あなたの罪は重い」
映姫は、そう言った。
小町は聞き間違いを信じる。しかし、覆りはしなかった。
「あなたは晩年、病床に伏せる身でありながら不摂生に動き回り、周囲に迷惑をかけた」
小町の知らぬ事だった。
いや、分かりそうな事ではある。
体の弱いの彼のことだ。有り得なくはない。
「その罪は重く。容易く償えるものでは有りません」
そも、裁判は閻魔の独断でその罪が決まる。
これを罪とそう呼ぶなら、罪だ。
しかしそれが、万人に納得できるか。
別の話だ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、映姫さま!」
それは小町にも同様の話だ。
「小町、裁判の途中だ」
「○○! あんたは黙っときな! あたいは映姫さまに言ってるんだ!」
「小町! 言われたとおりです。これは裁判ですよ!?」
一介の死神が口を出すような自体では、全くない。
だが、小町は納得できなかった。
「だって映姫さま! そんなことで罪が大きいだなんて!」
「小町! 裁判を冒涜するんですか!」
裁判は、閻魔の公正な裁きよってなされるもの。
閻魔は常に公正な判断をもつ故、これは映姫自身が侮辱されたも同然だ。
「それに小町! あなたは仕事をサボりすぎる!」
「今それは関係ないです! ですから!」
「関係あります! 私が知らないとは思っていないでしょう!」
「……!」
知らぬはずがない。
浄玻璃の鏡と人の過去を見通す道具がある。
これをもって、閻魔は公正な裁きを行えるのだ。
「あなたは、このものと懇意にしている事はしっています!」
「でも!」
「でも! ではありません! この者は、あなたの、死神としての仕事を妨害したに当たります!」
「そ、そんな! 違います! これはあたいが!」
「控えなさい小町!」
言葉と同時に、補佐の○○が動く。
小町を後ろから羽交い絞めにした。
「ちょっと! 離しな!」
「じっとしていろ」
「ふざけないどくれ!」
「これは、仕事だ」
何故だろう。とは思う。
分かってはいる。
この二人は、ただ、公正に仕事をしているだけなんだ。
大好きだと思っていた二人に、
自分を好きだと言ってくれた人を裁かれる。
なんて悪夢なんだろう。
そう思うと、小町の体から力が抜けた。
「最後まで聞け」
○○が小町の耳元で呟いた。
「……それでは、裁きを言い渡します」
小町がおとなしくなったのを見計らって映姫が言う。
「自身のみを省みずに迷惑をかけ、当死神を怠惰にせしめた罪」
浪々とした声が、裁きを行う。
「当死神の職務は幽霊の橋渡し。自己都合で融通の利く職務にありながら更なる怠惰を招かせた」
自身の事が返る。
小町は自分が憎らしくなった。
そして……、
「元よりサボり癖のあった死神に雑談をしたり、是非曲直庁な部の話を漏洩させたり!」
話は、
「そもそも、上司に悪戯や嘘の報告をする罰当たりな死神であったり!」
どんどん、
「個人のプライベートを面白おかしく話して楽しんだり!」
小町の悪口になっていた。
「人のことばかりで自分のことはどうなのかと!」
「え、映姫さま?」
「よって!!!!」
一段と大きな声が鳴る。
「●●。あなたは自身の過ちを正すべく、この死神つきの補佐に任じます!」
それが、裁判の声だった。
「え?」
小町には、意味がよく分からなかった。
「最後まで聞けと言ったはずだ」
と、すでに小町を解放した○○は言う。
そうは言うが、そんなことを言ったのは小町が激昂した後だ。
しかし、そんなことはどうでもいい。
「え、映姫、さま?」
「どうです小町。不満がありますか?」
是非曲直庁。
幽霊を裁く裁判長。閻魔。
四季映姫・ヤマザナドゥが言う。
むっつりとした顔。
でも、満足げな顔で。
「ありま、せん……」
半ば自失したように、小町は答えた。
「では、早速仕事に戻りなさい」
「え、あ、はい」
「待て」
よくも分からずに頷く小町を○○は止める。
「その男を連れて行け」
指をさす。
その方向。
そこには一人の男。
優しげに微笑む。
好きだと言ってくれた人が。
「えっと、その……」
恥ずかしげに笑う彼。
「これから、よろしくお願いします」
その言葉に、小町は、
「あ、ああ。うん! よろしく頼むよ。●●!」
涙目で笑った。
「ふう、なんとか無事裁判も終わりましたね」
「ご苦労だったな、映姫」
「ええ、あなたもご苦労様です。○○」
「今回の事は骨が折れたな」
「そうですね。裁きも、なんと言いますか……」
「ふむ。日ごろの鬱憤を晴らすような物の言い様だったな」
「うぅ。ですけど……」
「間違ってはいないな」
「……まあ、そうですね。それも、あるんですけど……」
「どうした?」
「……私情を挟んだ気がします」
「そうか」
「ひどいものですね。貴方は嫌いますか?」
「いや」
「そう、ですか」
「俺はお前が好きだぞ」
「あ、あの! そういうことを聞いたんじゃないですし、ここでそういうことは言うものじゃないです」
「そうか。なら二度と言わん」
「あ、いえ、その。……別に言うのはかまわないんですよ?」
「そうか」
「そ、それと……」
「なんだ?」
「もうちょっと、言ってくれませんか?」
「それで小町さん」
「なんだい?」
「やっぱりサボってたんですね」
「う……。そういうこと言うかい?」
「言いますよ。僕は小町さんの補佐になりましたから。そのあたり厳しくいきますよ」
「うわ。勘弁しとくれよ」
「でないと、僕、クビになっちゃいますよ」
「そいつは、……イヤだねえ……」
「小町さん……」
「いや、そんなんで感動しないどくれ」
「ところで小町さん」
「またなんだい?」
「あのときの言葉、本気で受け取って良いですか?」
「……………………そういうことは確認しないどくれ」
幻想郷の彼岸、三途の川に死神が二人。
二人の死神による夫婦漫才は見ものとのこと。
しかし、聞くのは幽霊のみ。ウワサは信憑性に欠ける。
ただ、彼岸に行けば話好きの死神と会えるのは昔と変わらない。
上司の愚痴と惚気と馬鹿話は尽きる事も無いとのこと。
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8スレ目 >>147・148・149
死神反省日誌
◯月人日
業務日誌は生前書いていたが、死神になってまで
日記のようなものを書くことになろうとは思わなかった。
それもこれも同僚がすべて悪い。
俺が同僚と、
「映姫様って可愛いよな。」
「同感だ。あの幼女臭がたまらんヒャッホーイ!」
「いや、幼女はないだろ…。」
なんて馬鹿話していたら、すべて映姫様に聞かれていたらしく
罰として俺は反省日誌、同僚はラストジャッジメントくらってた。
映姫様は幼女といわれるのは嫌いらしい。気をつけよう。
そういえば今日はめずらしい客が来ていた。
怪しげな森に住む人形使いの人形だ。
同僚の小町に、
「◯◯は死神のくせにお節介過ぎるね。いや、悪いって訳じゃないよ。」
なんて言われている俺は、よく悩んでいる魂の話を聞いたり
困っている妖怪の厄介ごとに首をつっこんだりする癖がある。
今回も例に漏れず傍目悩んでいる人形達の話を聞いてしまった。
なんでも、人形達のマスターが好きな人間に告白しようとしたら緊張のあまり
勝負をしろ、と言ってしまったらしい。
人形達としては二人には早くくっついて欲しいらしく
どうすればいいかと悩んでいたとのこと。
聞けばずいぶんベタな二人なので王道で攻めてみてはどうだろうか?
とアドバイスしておいた。
そうしたら人形の一人が良い案を思いついたらしくきいてみた。
どこのソードマスター最終回ですか?
ていうか君らどこでそんなネタを仕入れたんだ?
◯月貧日
今日はあまり仕事のない日だった。
小町と徒然なるままに話し込んでいたらいきなり
頭の中に声が響いた。
神社の巫女と紅魔館の主が一人の人間をめぐる
痴情のもつれが生中継されていた。
どうやらスキマ妖怪の仕業らしく本人が嬉々として解説していた。
俺は小町との会話を邪魔されたので機嫌悪く聞いていた。
そんな俺を見て小町はケラケラ笑っていた。
………あとでいぢめてやると決意。
そんなことをしていると頭に生中継されている
三角関係がついにクライマックスを迎えていた。
どうやら男がどっちかを選ぶ展開になったらしい。
もはや気分は野次馬、おらおらさっさと決めんかいボケェとか思っていたら
「俺は、俺は胸が大きい方がすきなんだ!!胸の小さな奴は女性と認めていないんだ!!」
なんてかなりの女性を敵に回す発言をしてやがりました。
そしたら地響きのような音を立てて
かなりの人数が神社に向かっていた。
どうやら先程の発言が気に入らない貧ぬー&貧ぬースキーの方々だ。
我等が上司たる映姫様も鬼の形相で飛んでった。
『イチャスレ住人』と書かれたTシャツを着た人間もちらほら。
俺はというと、そんな光景をぼんやり眺めていた。
だって俺は小町みたいな大きい方が好きだし。
そう思いつつ、先程の発言で飛んでった上司を苦笑しながら眺めていた小町の
肩を組みつつその大きく実ったモノを揉んだらフッ飛ばされた。
顔を赤くしてプンプン怒っている小町を見ているといつも思う。
お前今度東方プロレスで女帝永琳に挑戦してこいや。
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8スレ目 >>745
「月見酒ってのもいいね~」
「ああ、そうだな。ところで小町。訊きたいんだが、何でそんなに薄着なんだ」
「①暑いから
②クールビズ
③この後○○と××する予定だから
オススメは3番。いいじゃん、大事な所は隠してるんだし」
「無難に1でいい…。際どい発言は控えろ」
「ははは。ほら、○○も一杯どうだい」
「おお、サンキュ。って、おいちょっと待て。何でそんなに近づく」
「口移しで飲ませようと思って。ほれ、もっと顔近づけな」
「さてはお前酔っているなっ!?」
「酔った勢いであたいと○○はナニしてしまいましたとさっ!」
「うわっ……!」
「……○○ぅ~?(ニヤニヤ) 何してるのかなぁ?」
「お前…冗談きついぞ」
「あははは、あたいだって嫌がってる相手にそんな事する気は無いさね。ほら湯呑みだしな」
「おう」
何故だろう。試合に勝って勝負に負けたような気がする…。
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9スレ目 >>149
三途の川の手前岸、一人酒を煽りながら歩く
死んだわけではない、友人に会う為である
「よう小町、サボってるか?」
「やぁ○○、サボってるか、って聞くもんじゃ無いよ」
ずいぶん前、死に掛けたときに出会った死神の小町、生き返ってからもたまにこうして会う
「また閻魔様に怒られるんじゃないか?」
「昼真っから酒を飲み歩くような奴には言われたくないね」
「はっ、俺は仕事終わってるんだからいいんだよ、お前は仕事中」
気だるげに、ぽかぽか陽気にゃ敵わない、と熱く語るお馬鹿さん
「・・・飲むかい?」
「あー・・・」
キョロキョロと周りを見回す小町、怪しい
「うふふー頂こうか」
「ほら」
瓢箪を投げて渡した
「・・・ぷはー!美味い!仕事中の酒は格別だねぇ」
「おいおい、閻魔様が聞いたらなんていうか」
「いいのいいの、どうせ見てないみたいだし、あの人は固すぎるんだよ、胸も硬い、なんちゃって」
「胸が硬いって、どういうことでしょうか?」
「そりゃあ脂肪分が少ないからまな板みた・・・い・・・・で・・・」
「そうですか、小町に自殺願望があるとは存じませんでした」
「どーも閻魔様、こんにちは」
「あら○○さんこんにちは、いいお天気ですね」
「四季様!?今のは四季様の事ではなくてですね」
「諦めろ小町、お前は既に死んでいる(笑」
「上司への暴言、仕事中に飲酒・・・さて小町、どんなお仕置きがいいですか?」
「○○っ!?助けて~!!」
ずるずると引き摺られていく小町にひらひらと、手を振ってやった
「うらぎりものぉぉぉ」
きこえないきこえない
「もうエッチな事させてやらないぞぉぉぉ」
これはこれは、聞き捨てならん台詞ですな
「こ、小町!?何を破廉恥な事を」
ごん
「きゃん!?」
あ、気絶した・・・
「閻魔様、この莫迦にはよく言い聞かせておきますのでどうか許してやってくれませんか?」
「・・・あなたが代わりにお仕置きを受けますか?」
「あ、結構です、じゃーな小町、俺仕事に戻るから、それじゃあ閻魔様、失礼します」
「うらぎりものぉぉぉぉ小町ちゃんをみすてるきかぁぁぁ」
ごすっ
「きゃん!?」
小町の悲鳴を背にして、俺は仕事へと急ぐのだった
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10スレ目>>533
「よう小町~また来たぜ」
「また・・・あんたそろそろ死ぬんじゃない?」
俺はただの東方好きの好青年
なぜか失神するたびに三途の川に行けるようになってしまったのだ
最初は驚いたね、失神して、気がついたら彼岸花に囲まれて、そして大鎌持った少女が呆れ顔で見てるんだもんよ
「で、今度はどうしたの?」
「んーたぶん稽古中に失神・・・ちょっと前まで記憶がないな、帰りに事故ったのかも?」
失神前後の記憶がないのだからどうしようもない
「・・・気を付けなよ?何の拍子で死ぬか解らないんだから」
「ダイジョブダイジョブ、もし死んでもそんときゃそん時さ」
向こうで失神してる時間=彼岸にいられる時間
ではない事が解ってきた、大体向こうの一分がコッチの2時間に相当するぐらい
「なぁ、どうやりゃ幻想郷にいけるんだろうな」
「あんたの世界から?・・・相当運がいい、いや悪くないと行けないんじゃないかな?でもあんなトコいっても死ぬだけさ」
「そーだよなぁ・・・ま、俺はどうせここに来たかったわけだし」
「・・・自殺願望でも有るのかい?」
「んー無いと言えば嘘になるけど、今は死なずにここに来れる事が一番嬉しい」
大体まぁ・・・4時間ぐらいかな、あと3時間ぐらい?
「なぁ小町、失神または死なずにここに来る方法ってないの?」
「んーアンタの世界からは・・・無理かなぁ」
「そっか・・・うむむ」
しょうがないので彼岸花を避けるように、寝転んだ
一応空はある、川の向こうは暗いけど、コッチは十分明るい
「なぁ小町、俺がお前の事好きだって、お前に惚れてる、って言ったらどうする?」
「え・・・じょ、冗談・・・だよね?」
空を見たまま、お互いに顔を見ない故、声から相手を読み取る必要がある
小町の声は、少し上ずって・・・驚きや焦りのような物を感じる
「そろそろ俺の体も限界だから、次ぎ来た時に言おうって思ってた、もう来れないと思うから」
「○○・・・」
「俺は小町が好きだ、大好きだ・・・今まで話し相手ありがとな・・・いつになるか解んないけど、俺が死んだとき、また会おうな」
俺としちゃあ人生において最高の思い出だった
失神しておきたら彼岸、小野塚小町に会えて、話まで出来て・・・告白まで出来て、本当に良かった
「ねぇ○○」
「なんだ?」
「・・・私もあんたの事好きだって、愛してるって言ったら信じる?」
「へ?あ、え?ちょ、ほんとに?」
「・・・あんたが来るのは無理だけどさ・・・私が会いに行くよ」
「え?」
「だから!私から会いに行ってやるって言ってるんだよ!だから・・・さよならなんて言うんじゃないよ?」
俺が呆気にとられていると、体が薄くなるのがわかった
「・・・早かったなぁ」
「あ、帰るのかい?」
「ああ・・・遊びに来てくれるんだろう?来なかったら酒無しだからな」
「はは、それは重大だ・・・じゃあ・・・ばいばい」
俺は首を振って、小町の言葉を否定した
「ばいばい、じゃなくて・・・またね、だろ?」
「うん、そうだね・・・またね○○」
「ああ、またな小町、酒用意して待ってるから」
そう言って、彼は消えた、いや・・・帰った
「・・・ふぅ、仕事に戻らなきゃ、映姫様に怒られる」
怒られてばかりだと休暇ももらえないかもしれない、それは凄く困る
さて、さっさとやっちまいましょう
「小町、随分優秀に働いてますね・・・天変地異の前触れでしょうか?」
「私も心を入れ替えて・・・少しだけ」
「ふむ・・・何かありましたか?貴方が一所懸命になれる何かが」
「えへへ~恋人が出来たんですよ~♪休暇だもらえるようにがんばってるわけですよ」
「・・・まぁ動機は不純ですが・・・結果が出ているのでまぁ良しとします・・・下がっていいですよ」
ギィ・・・バタン
「恋人かぁ・・・いいなぁ」
あの小町が、あそこまで頑張ってしまうほど・・・恋人というのは凄いのか
「出会いはないのでしょうか」
私の独り言は、独りの部屋に虚しく、響いた
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10スレ目>>833
彼岸花の咲く川原で、一人の青年が本を読んでいる
「ねぇ○○」
「・・・」
近くにいた少女が話しかけるが返事は返ってこない
「ねぇってば!」
「んー・・・」
青年は本を読むことに夢中らしく、呼びかけに対しても生返事を返すばかりである
「・・・もう、つまんないねぇ」
「・・・」
「相変わらず無口だねぇ・・・なんか言ったらどうだい?」
「・・・ん」
「・・・ねぇ○○、キスしてよ」
「ん」
ゆっくりと身を起こし、本にしおりを挟んだ
少女へと向き直って、唇を重ねた
「きゃ、んっ!?んーんーぷぁっ」
「ふぅ・・・」
少女は口付けの余韻に浸っている
反対に青年は事も無げに腰をおろした
「○、○○!も、もっとこう、雰囲気とか、その・・・」
「・・・小町」
「え?な、なに?」
「愛してるぞ」
不意打ちの一言は、少女の頬を赤く染めるに十分であったらしい
「う、うん・・・私も、愛してるよ」
三途の川は今日も変わらずゆっくりと流れていた
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10スレ目>>890
「小町」
「わっ!・・・なに?」
「今サボってただろ」
「さ、サボってないよ!」
「うそつけ」
「んっ・・・さ、サボってないって・・・」
「ほんとに?」
「あぅ・・・さ、サボって・・・ない、です・・・」
「ほんとは?」
「う・・・ちょ、ちょっとだけ・・・」
「やっぱり」
「ご、ごめんなさい・・・」
「怠け者と嘘つきにはお仕置きが必要だな」
「え・・・や、やだ・・・」
「駄ー目」
「や・・・はぅ・・・」
ん、パチュリーさん何ですか?今いいところでウボァー
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最終更新:2011年03月27日 22:16