第十三話


灰色の最終決戦場と化した東京。そこでは既に凄まじい戦いが繰り広げられている。ある者は奮戦し、ある者は儚く散り、ある者は逃げ惑う。―――壮絶である。

熊坂「くっ、数が圧倒的だ。……劣勢か。……こうなれば!」

戦場を後にし、熊坂は地球防衛軍本部へと帰っていった。猛将・熊坂の突然の消失により、M機関勢の士気は大きく低下した。

玉木「……熊坂さん!?」


―――X星人・母船上

カラカル「見るニャ。相手の強者が一人減ったニャ!」

眼下を指差し、猫と女性の融合体・カラカルが告げる。

リカオン「へっ、あの熊坂の野郎が逃げるとはねぇ。」
ジャッカル「……今が……好機だな。」
コヨーテ「……我が爪が強者の魂に飢えている。」

X星人の四人はそれぞれ喋り終わると、一斉に地上の戦場へと飛び降りた。着地した四人はすぐに地球防衛軍の軍勢の中に飛び込んでいった。

リカオン「ヒャハハハッ!ここんとこずっと動いてなかったからな。暴れまくってやるぜ!」

凶戦士・リカオンは武器である大鎌『ディノサイス』を振りまわし、敵を蹴散らしていく。リカオンがディノサイスを「振る度に血しぶきが舞う。」なんという命中率であろうか。―――殺しのプロである。

リカオン「こんなもんかよ!ハハッ、泣けてくるぜ。こんな連中と戦うのを心待ちにしていたとはよ。」

コヨーテ「……リカオンはうるさいな。…オレはリカオンとは違う。…一瞬で消してやる。」

寡黙の狼・コヨーテ。腕に装着している巨爪『サーベルネイル』は怪しげに煌いている。と、見てみれば既にそこには地球防衛軍の兵士たちが横たわっている。コヨーテのサーベルネイルも血で彩られている。リカオンののろまな大振りとは違い、神速の斬撃で相手を一撃で仕留める。―――それがコヨーテである。

カラカル「私も頑張るニャ。」

半獣半人のカラカルの戦闘スタイルは猫ならではのしなやかな動きと人間ならではの体術を組み合わせたものである。―――後ろから地球防衛軍の兵士が迫る。それを見もせず、兵士の顔面に肘打ち。そして振り向きその兵士に馬乗りする。最後は鋭い爪で何回も顔面を引っ掻いて絶命させた。まさに獣である。

残るジャッカルは一人、最前線で戦っていた。そして腕輪のようにして付けてある装飾品を手に取る。

ジャッカル「このような雑魚どもにこれを使うのは流儀に反するが、すぐに終わらせたいのでな。…………バルキリアスッ!!」

ジャッカルが装飾品を思い切り振ると、その先端から光でできた伸縮自在の刃の剣・「バルキリアス」が姿を現した。それを見た地球防衛軍の兵士たちは、思わず後退する。

ジャッカル「くらえっ!」

ジャッカルがバルキリアスを振ると刀身が伸び、広範囲を攻撃。まるで鞭のようである。


―――地球防衛軍本部。そこには、先ほど戦場から抜け出した熊坂の姿があった。
ほとんどの兵士が外部で戦闘しているため、施設内は気持ち悪いくらいに静まり返っている。熊坂の足音は執拗に響いている。―――すると熊坂の足音が止まる。そこには一つの部屋。国木田少将の部屋である。ドアを開ける。室内は薄暗く、国木田が使用する机がぽつんと置いてある。

熊坂「国木田少将。」
国木田「……熊坂。…どうした、お前が戦場から抜けてくるとは。M機関の軍勢はお前に任せてあるというのに……。」
熊坂「御願いがあって参りました。」
国木田「……御願い……?」

国木田が顔をしかめる。そして少し間を空けてから、熊坂の口が動いた。

熊坂「……バラゴンの出動を……許可してもらいたいのですが。」
国木田「なに……?」
熊坂「このままの戦闘を続けては、我が軍の敗北は時間の問題。我が軍の勝利を確実にするために、一刻も早く…!」
国木田「なにを言ってる、我が軍と敵軍を合わせて二十万は人がいる。そんな乱戦状態に巨大なバラゴンを放ったら、余計に死者が出るだろう。」
熊坂「しかし!」
国木田「……そうか、戦に死人はつき物ってか?それならよかろう、出動を許可する。私もその内、戦場に参ろう。」
熊坂「あ……ありがとうございます。では!」
国木田「………ふっ………。」

一人部屋に残された国木田は、不気味に鼻で笑った。

熊坂「あの国木田少将がこうまでもあっさり。……くっ。またあの時の胸騒ぎが。」


―――最終決戦場東京

尾崎「数が多いな。きりがない。」

X星人の隊員を軽くあしらいながら尾崎は呟く。さすがはカイザーなだけあって、見事な武勇である。もっとも、まだカイザー化はしていないようだが。

渚「うるさい。無駄口叩いてるヒマがあったら、一人でも多く潰せ!」

稲妻型の刀身をもつ愛剣・「雷帝剣」でX隊員を斬り倒していく渚の怒声が響く。

一貴「やれやれ。戦の時くらい静かにできんのかねぇ。……っとぉ、敵が。くらえ、※『山突(やまづき)』!!」

※ 『山突』:空手の型。万葉集に詳しく記述。

後ろから迫ってきたX隊員に山突を御見舞いする。空手の技が達人の域に達している一貴の技を受け、X隊員は呆気なく息絶えた。
それからしばらくし、戦場に戻った熊坂の指示が飛ぶ。

熊坂「輸送隊!至急、本部内の『訓練平原』へ向かい、バラゴンを出動させろ!輸送隊には、誰でもいい。護衛がつけ!」
玉木「え?バラゴン?」

まるで吸い込まれるように本部へ輸送隊が移動する。が、おかしなことに護衛が一人もついていない。輸送隊が撃破されるのは時間の問題である。

ジャッカル「……敵め、なにかするつもりだな。そんなこともあろうかと。……今だ、伏兵!」

ジャッカルの指示が飛ぶ。次の瞬間、身を潜めていたXの伏兵が現れ、輸送隊の進路を阻む。輸送隊はあっという間に包囲されてしまった。

伏兵「バカめ!そう思い通りにいくと思うなよ!」
輸送隊長「くっ!しまった!」

伏兵が一斉に輸送隊へ斬りかかる。―――刹那、三つの影が割って入り、いとも簡単に伏兵を一掃した。――そして影が正体を表す。

輸送隊長「……!?」

影の主の一人、浮葉和也は静かに刀を下ろす。

和也「……さぁ、本部へ。」
輸送隊長「すまない、助かった!」
鈴菜「ニャハハ~♪こっからは、和也チームの独壇場だぜぃ♪」
大輔「ぬおおおおお!近藤大輔の活躍、しかと目に焼き付けよっ!!」

一通り喋ったあと、3人は一丸となって地獄の戦場へと突っ走っていく。

大輔「邪魔だ邪魔だ邪魔だぁぁぁっ!!」
X隊員「こいつ、声がでかいなっ!」

愛用のドデカバズーカで道を塞ぐX隊員の大軍を次々と蹴散らしていく大輔。それに習うかのように、鈴菜も得意の空中からの攻撃で華麗に舞いながら敵を倒していく。…そんな中、和也は一人最前線へと向かっていた。

鈴菜「あっ!和也!」
大輔「あいつ、一人で!出過ぎだ!自重せよ!」

仲間の制止にも聞く耳を持たず。最前線の軍勢と共に戦う和也。しかし、明らかに数では敵が有利。さすがの和也もこれには苦悶の表情を隠せない。…すると、和也は目と閉じ、静かに名刀・村正の切っ先を天に向かって突き出した。

和也「大軍とは、実に面倒だ。一気に片付ける。……我流剣術奥義・※『凪月(なぎづき)』!!」

※「凪月」:オリジナル技。万葉集に記述。

天に掲げていた村正を思い切り振り下ろす。すると村正の刀身から、月のような形をしたエネルギー弾が放出され、地を抉りながらX星人の群れ、約数100人を吹き飛ばした。和也はかつてゴードンが使用したこの刀に新たな力を感じ、独自にこの技を完成させたのだ。

和也「……ようやく実戦で使用できた…。―――!?」

吹き飛んだ大軍の後ろには、先ほど前線で猛威を見せていたジャッカルが身構えていた。彼の後ろには、……また大軍。その光景に和也は言葉を失い、わずかだが身震いしている。

ジャッカル「……ほう、見たところ少尉か。それにしては良い腕をしているな。」
和也「……お前、……できるな?」
ジャッカル「少しはな。」
和也「………オレは浮葉和也。…恐らく同期の少尉の中では一番強い。」
ジャッカル「…オレはジャッカル。X星人幹部3人衆、Ⅲ-Xの№1だ。…一応な。」

張り詰めた二人の周りの空気。周囲の兵士たちは、二人の一騎討ちを見物しようと二人から離れできた空間は二人の闘技場となった。和也は名刀を。ジャッカルは光剣を構え、対峙する。

和也「――いくぞ…!」
ジャッカル「こい!」


―――心中の世界。

優馬「……すっ、すごい!」

そのころ心中の世界では、なにが起こったか純白の地面は地割れで割れてしまったかのような有様に。――そう。これは優馬がやったのである。

カオス「へぇ、大した威力じゃねぇか。少しは見直したぜ。ヘタクソ……いや、優馬。」
リンク「この技をこんな短時間で完成させるとはな。……優馬、お前は才能があるぞ。」
優馬「そうですか。でも、この技を知っていたリンクさんも素晴らしいですよ。」

優馬は改めて自分が創った地割れの中を覗き込む。今にも吸い込まれてしまいそうである。それを見た優馬は少し身震いしていた。

リンク「ふっ…。その技さえあれば、何人たりともお前を止めることはできなかろう。」
優馬「ありがとうございました、リンクさん。じゃあオレ、行きます!」
リンク「……よし、行け!この破邪剣聖・リンクが直々に叩きこんだ武で、敵を滅するのだ!」

リンクが腕を振り上げたその時、優馬の体が光に包まれ純白の空間から消えていった。

カオス「……けっ。あの野郎、もしかしたらとんでもねぇ奴かも知れねぇな。リンクさんよ。」
リンク「……ふっ、そうだな。私は信じている。あいつが、この危機を救ってくれるとな…。」


―――最終決戦場東京。和也はジャッカルに苦戦を強いられていた。

ジャッカル「……貴様はオレには勝てない。道を開けろ。時間の無駄だ。」
和也「誰が開けるか……!」

するとその時、後方で戦っていた大輔と鈴菜が駆け付ける。

大輔「和也!助太刀いたす!」
鈴菜「一人で行くなんて、水臭いなぁ。あたしたち仲間なんだから。ニャハッ♪」
和也「……くっ。お…お前たち。」
ジャッカル「数が増えても同じことだ。……皆の者、殺れ。」

その合図でX隊員とデストロイア幼体群が瞬く間に鈴菜と大輔を包囲。そしてX隊員が一斉に光線銃のトリガーを引く。銃口から放たれた何百本ものオレンジの閃光は鈴菜の体を一斉に貫いた。それに続きデストロイア幼体が2匹、鋭い腕で大輔の腹を同時に貫く。

鈴菜「……ぐっ。……ニャハ…ハ。痛いなぁ……。そ…それに体が動かなくなってく…。」
大輔「……無念……!」

深手を負った二人は地に伏せた。体から禍禍しい紅を流しながら―――。

和也「…な…。」
ジャッカル「……できれば殺したくなかったが、やれねばオレがいらぬ叱責を受けるのでな。」

下を向いて黙り込む和也。――そして、静かに顔を上げる。しかしその顔にあの冷静沈着な彼の面影はなかった。

和也「……………………………………あアアアアアアアアアッ!!!」

物凄い形相で、ジャッカルに突進する和也。―――しかし。

ジャッカル「弱き者が吼えたところで、なにもかわりはしない。」

突進してくる和也の腹をバルキリアスで瞬断。―――M機関少尉№1の和也も、呆気なく地に伏せてしまった。――しかし、それを見たジャッカルの目には光るものが……。


伝令兵「―――熊坂殿!伝令です!」
熊坂「むっ、どうした?」
伝令兵「M機関少尉、浮葉和也・近藤大輔・藤森鈴菜が戦死した模様!」
熊坂「……!………そ、そうか。……バラゴンは?」
伝令兵「あと数分で到着するとのこと!」
熊坂「……わかった。……皆に知らせてくれ。オレもその内、最戦線へ出よう。」
伝令兵「はっ!」

そう言うと熊坂はその場を後にし、本陣で向かった。一体なにがあるというのか。

熊坂「劣勢だ。お前たちの緊急出動を許可する。」

熊坂が視線を向けていた先には、まるでヤンキーのようにしゃがんでいる隼人と廃墟と化した建物に腰を掛けている沙織の姿があった。

隼人「へっ、やっとか。待ちくたびれたぜ。」
沙織「この劣勢、覆してみせるわ。」

二人は喋り終えると、戦場の最前線へと駆けていった。

成宮「オレたちはもう少し待ってみるか。多分あいつらは、オレたちより強い。」
北原「・・・なんだか、切ない・・・。」


――最前線。

地球兵士「うわあああ!だ、ダメだ!やられる!!」

地球防衛軍は少数。X軍が多数。地球軍は大勢のX隊員やデストロイア幼体に囲まれている。・・・そして2軍の間が一気に縮まる。万事休すか、と思われたその時。空中から、なにやら巨大な物体が落下した。Xやデストロイア幼体はその衝撃により一斉に吹き飛んだ。落下物の正体――それは。馬鹿でかい・・・口と目と耳と・・・。頭部にはオレンジに煌く一角。地球軍の守り神・「バラゴン」は甲高く、勇ましい咆哮を辺りに轟かせた。

地球兵士「バッ・・・バラゴン!?良かった。輸送隊は無事本部まで辿り着いたんだな。」

バラゴンの登場で地球軍の士気は大いに高まり、一気に戦線を押し上げようとする。・・・そのような中、ジャッカルは余裕の表情を浮かべてバラゴンに近づいていく。

ジャッカル「ほう、面白いオモチャが残っていたな(!)。」

次の瞬間バラゴンがジャッカルに向かって角を突き出し、突っ込む。しかし当たらない。そしてジャッカルはバルキリアスを伸ばし角に巻きつけた。レーザーでできたこの刃で巻きつけ、そして締め付けも加えれば怪獣の角だろうとバラバラになるだろう。しかしそうはさせまいとバラゴンが頭を振り上げる。同時にジャッカルの体も宙に浮く。そしてそのまま投げ飛ばす。物凄い勢いで、ジャッカルは灰色の廃墟へ突っ込んだ。すかさずバラゴンは突進を仕掛ける。―――しかし、この攻撃には避けられない欠点がある。

ジャッカル「バカめ。突進ばかりしてくるとは。・・・直線的動きをする物体は横からの衝撃に弱いのだ!」

寸前で横っ飛びでかわし、間髪入れずバルキリアスでバラゴンの脇腹を深く抉る。バラゴンの絶叫が木霊する。怯んでいる間に角を切断。これで突進時の脅威はなくなる。そして、今度はその突進自体をさせまいと、バラゴンの左足を斬りつける。もはや、バラゴンは動けない。

ジャッカル「眠れ・・・・永久(とこしえ)にっ!!」

トドメの一閃を思い切り振り下ろす。バラゴンの体は頭部から尾の先までかけて、真っ二つになってしまった。恐るべし、バルキリアスの切れ味。―――その時。

沙織「・・・ド派手にやってくれるわね。」
ジャッカル「何者!―――うっ!」

振り向いた瞬間、メーサーが吹雪の如くジャッカルの体に向かって飛んでいく。弾け散る火花。煙が晴れたかと思えば、今度は後ろから頭を思い切り殴られる。ジャッカルは吹っ飛び、地面に叩きつけられる。

隼人「今度はアンタがド派手に殺られる番だぜ。」

何故だか隼人と沙織の姿はまるで勝利の女神のように見えた。ジャッカルが起き上がる。

ジャッカル「なるほど・・・。一筋縄ではいかない連中みたいだな。」
隼人「そういうことだ!」

会話を裂くように、隼人がジャッカルに殴りかかる。しかし拳は空を切る。だが、隼人はそのまま地面に手を付け、まるで側転するかのような豪快な蹴り技を放つ。見事、ジャッカルの首に直撃。のけぞるジャッカル。チャンスとばかりに沙織が突っ走る。それに気付いたジャッカルは体勢を立て直し、沙織に向かってバルキリアスを振る。しかし寸前で沙織はジャンプにかわす。そしてジャッカルの肩を足場にし、大きく飛躍。そのまま空中からガトリング・メーサーガンを放つ。だがその閃光は空しくもバルキリアスによって弾かれてしまう。だが、そこが狙い。腕を振り上げ無防備になったジャッカルの土手ッ腹に隼人が思い切り、「後ろ回し蹴り」を叩き込む。ジャッカルの体は数mほど吹っ飛ぶが、空中で体勢を立て直し着地。

隼人「へっ!どうだ。」
沙織「私たちが優勢よ。大人しく降伏したらどう?」
ジャッカル「・・・仕方がない。無駄な死人を出したくなく、今まで極力手を抜いてきたが、このままではオレがやられてしまいそうなのでな。・・・本気でいくぞ。」
沙織「・・・なっ!?・・・」
隼人「っかぁ~、参ったな。手を抜いてた状態でこんだけ強えぇのに、まだ強くなるってのかよ・・・。」

だが、隼人が喋っている間にジャッカルは既に彼の後ろへ回り込んでいた。隼人の背筋が凍りつく。

ジャッカル「なにをしている。戦場では一時の油断も許されぬぞ。」
隼人「あ~あ、なあ。アンタ、人の話は最後まで聞こうぜ?」

次の瞬間、隼人の背中は斬り裂かれた。まるでトイストーリー(え)のオモチャのように、あっけなく地に付してしまう隼人。

沙織「・・・そ、そんな。隼人ぉっ!」
ジャッカル「次は貴様だ。」

ジャッカルの冷たい視線が沙織に向けられる。そしてバルキリアスを伸ばし、沙織の体に巻きつける。手に持っていたガトリング・メーサーガンを地に落としてしまう沙織。

沙織「くっ!しまった!」
ジャッカル「この刀身はレーザーによってできている。締め付けてしまえば、貴様の体なんぞあっという間にバラバラだ。・・・さっきも言ったが死人は増やしたくない。大人しく負けを認めろ。さすれば解いてやる。」
沙織「誰がそんなこと・・・!それに私は軍人。戦場に散るのは本望・・・!」
ジャッカル「・・・そうか、残念。・・・・では、さらばだ。」
隼人「・・・や、や・・・めろ・・・!」

ジャッカルがバルキリアスの刀身に力を籠める。沙織はもう、死を悟り目を閉じた。
―――が、次の瞬間バルキリアスの刀身は何かによって砕かれた。巻きつけは解かれ、沙織は思わず地面に座り込んでしまう。そして、そのなにかとは―――。

ジャッカル「次から次へと。・・・小賢しい!」
優馬「大丈夫?沙織さん。・・・隼人も。」
隼人「・・・へ・・・・遅せぇっての・・・。」
沙織「優馬・・・きてくれた・・・。」

そこに立っていたのは、修行を終え急いで帰ってきて、マスターソードでバルキリアスの刀身を斬り裂いた皆本優馬であった。
最終更新:2008年04月18日 22:29