聖なる預言書にには、今もどこかで十字架と共に崇められているであろうかの救世主に従う、
四人の騎士がいた。四人はそれぞれ、人類を滅ぼす「権威」を与えられた。
「支配」
「戦争」
「飢餓」
「疫病」
四人の騎士達は、今この世界の何処かで起こっているであろうこの4つの出来事の原因なのか、
それは定かではない。
救世主が4人の封印を解いたのかどうか、
それもまた定かではない。そもそも我々が知りうることではない。
だが、この四人の騎士の名を冠す者が現れた。
月という名の量子コンピュータ「ムーンセル」の中で。
だが、彼らの使命は、「滅ぼす」なんてものではない。
「聖杯」・・・またの名を「ムーンセル・オートマトン」
救世主が最後に口をつけた杯の名を冠したアーティファクト。
あらゆる願いを叶える万能の願望機。
ここでは、その聖杯を取り合う「聖杯戦争」と呼ばれる、
かつて極東の地で一部の魔術師達が行っていたとされる一種の儀式・・・
いや、それに近いものが行われていた。
彼らの使命は、優勝カップである「聖杯」を管理すること。
月が0と1を混ぜあわせて創ったこの世界で、
「英霊の座」から招き寄せられた騎士達は、
1つずつ器を手にしている。
彼らはこの願望機を守らなければならない。
彼らは誰がこれを手にするのかを見届けなければならない。
圧倒的な力で。
激的な争いで。
絶望的な飢えで。
呪いの名に相応しき病で。
夜空に妖しく光る羊は、四色の柱を呼び寄せ、
今、「滅び」ではなく、「願い」を呼び寄せる
儀式の封印を解いた。
聖杯戦争の舞台たるSE.RA.PHとは別の空間に設置された4つの杯。
その上には、4人の「裁定者」がそれぞれの杯に立っていた。
白の杯には、目を金色に発光させる1人の美少年が。
赤の杯には、ねじれ曲がった黒い石版が。
黒の杯には、白いドレスを身に纏った少女が。
青の杯には、紫色の水晶と黒いドレスをその身に包んだ美少女が。
「数え切れないほどにいた参加者も、とうとう数え切れる程には減ってきたようだね。」
何やら余裕に満ちた笑みを浮かべた、白い杯に立つ少年が第一声を上げた。
「制」のルーラー、征服を司る第一の騎士、それがこの少年であった。
彼の宝具はムーンセルのデータベースと直結しており、
実質上このSE.RA.PHの設備を支配しているのは、彼と言っても過言ではない。
(36体のサーヴァントを確認、違反行為は発見していない。)
その時、3人の脳内に声が響いた、所謂テレパシーであろう。
それを発しているのは、赤の杯に建てられた黒いレリーフであった。
変わった形状をしているはものの・・・この石版が、
「争」のルーラー、闘争を司る第二の騎士であった・・・。
霊格に関しては、他の三体よりは格上であろう。
「それじゃあ、私はそろそろ戻ります。」
黒い杯に立つ、白いドレスに身を包んだ少女が戸惑い気味な表情でそう言った。
彼女は「飢」のルーラー、黒い杯を管理する裁定者のサーヴァント。
「え?もう帰っちゃうの?」
青い杯に立つ少女、「病」のルーラーが驚いた表情でそう聞く。
「はい、やっぱり、久しぶりにこうやって過ごすのが、懐かしいというか、嬉しいというか・・・。」
「飢」のルーラーは、SE.RA.PHにいるNPCの中に紛れて行動をしている。
もし、秩序を乱す様な事をしているマスターがいたら、直ちに警告をするのが、彼女の役割である。
すると、「病」のルーラーは、口元は笑いながらも、どこか儚げな表情へと変わった。
「そうなの・・・何となく分かるわ、その気持ち。」
「病」のルーラーの精神は、その存在そのものによって蝕まれていた。
しかし、それでも彼女には、普通の少女としての心は僅かながら残っていた。
「飢」のルーラーは、それを見て、少し驚いた顔をしながらも、その身を粒子へと変えて、SE.RA.PHへと戻った。
記憶を眠らされ、今日もこのプログラミングされた世界で
何気ない日常を送っている参加者は今何人いるだろう。
きっと彼らは、呼びだされた英雄の手綱を握り、
戦っているであろう。
月に呼び出された数多くの参加者の数も、今はそれの数分の一にまで減った。
黙示録の頁はいよいよ少なくなってきた。
さあ、いよいよ大詰めだ。
裁定者:【「制」のルーラー(リボンズ・アルマーク@機動戦士ガンダム00)】
【「争」のルーラー(統制者@仮面ライダー剣)】
【「飢」のルーラー(円環の理@魔法少女まどか☆マギカ)】
【「病」のルーラー(桜満真名@ギルティクラウン)】