罪を着せられた人間は、鉄格子の中に投げ込まれる。
罪無き人間は、その与えられた正義を振りかざす。
天秤を手に断罪の神は告げる。真の世界を。
◆ ◆ ◆
今日も夜街にサイレンがけたたましく鳴り響く。
起こったのは強盗殺人事件、犯人は逃走中だが、逃げ足が速く追い付けない。
警察の組織力というのは決して、1人で太刀打ち出来るような物ではなかった。
しかし、この犯罪者はやってのけたのだ、囲んできた警察官を皆殺しにしたのだ。
そう、「サーヴァント」の力で。
追手は、既にこの世にいない。しかも、他の警官に連絡する前に、
サーヴァントは警官を斬った、故に、幾ら追っても見つからず、この様な事件はこれで9度目。
しかも1度目は2週間程前、2週間で、9度目。考えてみたら思わず笑ってしまうような数字であろう。
しかし、それを可能とするのが、サーヴァントという代物だった。
物を盗み人を殺した男はそのサーヴァントを侍りながら、走り続ける。
動機は聖杯戦争の軍資金だ。遊び呆ける金は無い、しかし金は人間が生きるための衣食住をいとも
手にすることが出来る代物であり、所持金が9桁もあれば大衆娯楽から土地だって好き放題手にすることが出来る、
更に使い方次第では人の心を操ることだって出来る、正に現代に残る一種の「魔法」だ。
彼は魔法はおろか「魔術」ですら使えない、マスターになった影響で魔術回路は発生させられたが、
結局はサーヴァントの燃料タンクとしか意味を成さない、それなら現代の「魔法」で頼っていく、
そんな方針だ。「魔法」と言っても、かなり捻くれた言い方だが。
しかし、遊びに使う暇が無いにも関わらず彼が資金集めに励む理由は、もう一つある。
詳細な理由は分からない、彼は異常者だから、強いて言うなら、これだ。
「人を殺したい。」
それだけで十分だ。
理由を付けて人を殺し、人が倒れる様を見て、男は恍惚とした笑みを浮かべている。
今はサーヴァントと共に路地裏を逃走しているが、もし止まれるならその場で自慰行為を
してしまいたいぐらいに、彼は興奮していた。異常だ。
だが、異常者とその片腕の眼に突然、遠い所から1人の男の姿が薄っすらと見える。
サーヴァントはマスターに念話で耳を貸す。
「マスター、彼からはサーヴァントの気配を感じます。」
しかし、遠くにいたはずのその男は、いつの間にか彼らとの差を凡そ2m程に縮めてしまっていた。
一瞬だ、僅か一瞬で、だ。この異常者の目から映る数値が、それが事実であることを表す。
一気にズームアップされた事で、男の風貌がよく見える。
結った髪に気品漂う端正な顔立ち、そして黒い着物の上に陣羽織を羽織ったという、
何とも時代錯誤に感じられる格好をしていた。そして腰には刀をさしている。
この格好からして、サーヴァントである事はまず確証されている。
恐らくは「セイバー」のクラスであろう。
「ぐ…マスター・敵を発見!」
冷静な態度を取っていたサーヴァントが歯を閉じながら武器を取り出す。
そしてそのセイバーもまた、腰に差した刀に手をゆったりと掛けた。
その瞬間、サーヴァントは槍を一瞬で抜き、彼の眼の前に構えた。
その時、カキィン!という音が鳴り、見れば、彼の槍にはいつの間にか
セイバーの刀がぶつかっていた。だがセイバーは、氷のように冷たい表情を浮かべながらも
平然としていた。
「成る程、流石は英霊だ、私の刀を見切られるほどの技量はあるか」
この時、異常者は、どの様な顔をしていたのだろうか。
◆ ◆ ◆
十台程のパトカーが、サイレンを鳴らさずに街を走る。
犯人は逮捕され、事件は収束した。
前から3番目のパトカーの後部座席に座る刑事…宜野座伸元は、
その犯人を捕まえた者として賞賛を受けていたが、
一方で、嘲笑を浴びせられたりもした。
それもそうだろう、宜野座は警視から警部補に格を下げられた人間だ、
それを笑う連中の1人や2人はいるだろう。
それに、宜野座も元々は嘲る側の人間であった。
人の事は言えんだろう。
(狡噛や親父も、こんな扱いだったよな…)
元の世界では、宜野座は「執行官」謂わば猟犬であった。
犯罪者と同じ精神状態を持った、社会の蚊帳の外にいる人間。
手綱を握る「監視官」の命令通りに銃を手にお仲間の犯罪者を
この手で狙う者、しかし、シビュラシステムに管理されたあの社会では
人間扱いされることはない、本来なら檻の中で矯正されるのが相応しい。
犯罪係数が上がった人間に相応しい仕事は精々がこの執行官だ。
だがそれでも人間扱いする者は殆どいない、会話をしていても
「銃を咥えた二足歩行の警察犬」としか見てくれない監視官など
ザラにいる、後輩の監視官が気さくに接した時は同僚の執行官は
さぞ驚いた、勿論宜野座もだ。
(にしても、これが親父が若い頃の、「シビュラの無い世界」か…)
今は亡き父親、征陸智己はシビュラシステムが置かれる前は
こんな時代で刑事をしていた。成る程、悪くはない。
いや、寧ろ良いかもしれない。宜野座がいた日本といえば、
家はホログラムで飾られ、料理も風呂沸かしも全自動であった。
しかし、建造物にそんな物は存在せず、料理はキッチンで、
風呂沸かしも手動で行う、まるでアナログという言葉を具現化したかのような
世界だ、昔の自分だったら何て辛辣な言葉を掛けていたかしれない。
今腰に下げられているのは、警察用のリボルバーだ、あんな重くて
よく喋る変形銃ではない、ロックは無いので悪用される危険性は
高いが、何故かドミネーターよりは軽く感じられた。
そういえば、狡噛も槙島相手にこの銃を使ったらしい。
そんな事を考えながらも、自分のサーヴァントに念話を掛けてみる。
『どうだった?セイバー、今回の相手は』
『大した相手ではなかった』
宜野座が引き当てたサーヴァント、セイバーは優秀だった。
今回の事件の犯人であるサーヴァントを倒したのも、セイバーだ。
セイバーの真名は、朽木白哉。悪霊「虚」を狩る死神。
所謂悪霊祓いを生業としていることから、霊の気配を感じ取る能力は
高かった、だから毎回逃してしまうと言われたサーヴァントの位置を
特定する事が出来た。
しかし、こうも職業柄が似ているとは驚いた物だ。
色素が濃くなった人間を撃つ執行官。
怨念に染まった悪霊を斬る死神。
そういう点ではある種の親近感を感じさせる。
けい
『そう言えば、聞いていなかったな、兄の願いを。』
願い…か…
確かに望みたい物は幾つかある。
父を生き返らせようか。
狡噛や自分を監視官に戻そうか。
だが、そんな物は手を朱く染めてまで手にしたい願いではない。
『…特に無いな、強いて言うなら、元の世界に戻る…事か?』
『そうか…所で、だ、マスター。』
返答を終えたセイバーから、更に恰も忠告するかのような声が響く。
『偶には、父の顔を見に行け』
(親父…か…)
父…征陸智己は、NPCとしてこのSE.RA.PHに生きている。
今は定年退職して、実家でゆっくりしているという設定だ。
宜野座は、彼に対して冷たく当たった事を後悔している。
彼に憧れたから、自分は公安局に入ったのに。
だからせめて、彼に対しては普通の息子として接してやりたい。
『ああ…そうだな…暇が出来たら、そうするよ』
心内でそう答えて、車の窓を見つめる宜野座を乗せて、パトカーは夜の街を走る。
【クラス名】セイバー
【出典】BLEACH
【性別】男
【真名】朽木白哉
【属性】秩序・善
【パラメータ】筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具A
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔力に対する耐性。
第三節以下の詠唱による魔術を無効化させる。
大魔術、儀礼呪法を以っても、傷つけるのは難しい。
騎乗:C
乗り物を乗りこなす才能。
野獣ランクの獣は乗りこなせない。
【固有スキル】
死神:A
虚を狩る者。
体術「白打」、移動術「歩法」、霊術「鬼道」
そして斬魄刀を操る「斬術」等のスキルを兼ねる他、
反英雄に対しパラメータに補正が掛かる。
Aランクとなると、卍解を習得し隊長格となっているレベルである。
黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生でどれ程の金が回ってくるかの宿命。
大富豪でもやっていける金ピカっぷり、一生金には困らない。
心眼(真):C
修行、鍛錬に酔って培った洞察力。
自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、活路を導き出す戦闘論理。
逆転の可能性が数%でもあるなら、その作戦を実行に移しだすチャンスを手繰り寄せられる。
【宝具】
「始解・千本桜(しかい・せんぼんざくら)」
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:5 最大捕捉:5人
セイバーの所持する斬魄刀の第一開放。
「散れ」という詠唱とともに起動。
刃を舞い落ちる無数の桜の花弁に変化させ、敵を八つ裂きにする。
「卍解・千本桜景厳(ばんかい・せんぼんざくらかげよし)」
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:30 最大捕捉:50人
セイバーの斬魄刀の第二開放。
斬魄刀を地面に落とし「散れ」という詠唱で起動。
散った千本桜の刃を収束、大量の日本刀の形に変化させ地面から出現させる。
そのまま千本桜を超える威力で刃を花弁として発射できる他、
刀に変化させた刃を敵に目掛けて放射する事が可能。
また、この宝具は、幾つもの応用技が存在し、臨機応変な戦い方が出来る。
【Weapon】
「斬魄刀」
セイバーが所持する、死神の基本装備であり、
宝具の本体となる日本刀を模した武器。
【人物背景】
死神の名門貴族「朽木家」の当主にして、
若くして護廷十三隊第六番隊隊長にのし上がった実力者。
妻、緋真を喪った際、義妹のルキアを守ると
約束したのだが、その時に掟を破ったことから、
彼は朽木家の当主として掟は二度と破らんと誓い、
気付けば守ろうと約束したはずのルキアを処刑台へと送ろうとしていた。
その時黒崎一護との戦いを経て和解。基本的に冷静沈着で感情を表に出さない。
しかし何処か不器用な優しさを向ける所があり、また美的センスは壊滅的で、
番外編では「ワカメ大使」という何とも可愛らしいキャラクターの
デザインを書いたりとコミカルな一面を見せたりする。
因みに子供の頃は負けず嫌いなやんちゃ坊主だったとか。
【聖杯にかける願い】
???
【マスター名】宜野座伸元
【出典】PSYCHO-PASS
【性別】男
【Weapon】
「警察官の装備品」
彼の「役割」上で与えられた、警察官としての装備。
拳銃、手錠、警棒等。ただし安易に使ったら罰則間違いなし。
【能力・技能】
これと言ってなし。
ただし、「元監視官」としての優れた捜査能力、統率力、
射撃能力を持っている。
【人物背景】
公安局に所属する監視官…だった男。
以前は伊達眼鏡を掛けていた。
生真面目な性格で、同じく監視官であった同僚が
色素を濁らせて降格された事から、色素を保つために
執行官は飽くまで「飼い犬」として見て関わりを避けていた。
それは父であっても例外ではなかった、しかし、その父が
槙島聖護によって殺害された為に色素が濁り始めたために
執行官に降格、それからは固い態度は捨て父に似た様な
軽い態度を取るようになった。
また、その生真面目さ故に大衆娯楽には大変疎く、
部下に「バレンタインは親しい男にチョコを配り回る行事だ」
という冗談に騙されて本当に同僚にチョコを配り歩いたという
経験がある。
【聖杯にかける願い】
父を生き返らせようだとか、狡噛を連れ戻そうだとか、
そんな願いは叶えるつもりは無い、ただ、シビュラに似た
臭いのするムーンセルについては詳しく調べたい。
【方針】
あまり積極的に参加する気はない。
ただし、秩序を乱す参加者は倒す。
また、自分と同じく巻き込まれた参加者と同盟を組むことも考えている。
最終更新:2016年07月20日 15:39