―その進歩は病原。
◆ ◆ ◆
「アナタとツナガル」フォンブレイバーこと「ジーン」。
「遺伝子」或いは「誕生」の名を持つ歩くケータイは、
その意志を連結させ世界を崩壊へと導いた。
しかし、ジーンは彼らと同じ「歩くケータイ」の犠牲によって
消滅した。
「フラネット」を通してジーンをばら撒いた犯人の名は…間明蔵人。
ジーンの一件が終着した直後、間明は直ぐ様姿を消し、
どこかの隠れ家で、只々、PCのキーボードを打ち続けていた。
眼は虚ろになり、クマができている、携帯ショップの広告に乗っていた
あの爽やかな表情は消え失せていた。
ジーンが消えた後も、恐らくアンダーアンカーのメンバーは
警察からの尋問を受けているはずだ、彼らの口から間明蔵人の名が出るのは
そう遅くもないだろう。しかし、これから自分はどうすればいいのか、
間明は未だ決まっていなかった。
間明が逃げる時に手にしたのはクレジットカードとPC一台、
そしてポケットルーター。ケータイはGPSで見つかるために
どこかの廃ビルに捨ててきた、今頃はきっといい囮になっている頃だろう。
だが、このまま自分が見つからないという保証は無い。
ジーンは消えた、いっそ自首でもしようか…
等と考えながらも放心していたその時。
隠れ家を探すためにまたどこかを彷徨いていた間明は、
ある情報を入手する。「月の中で、願いを掛けた殺し合いが始まる。」
聖杯戦争に関する情報だ。
その時、間明は口を歪めた。
だが、彼は世界への復讐など更々考えていない。
それでも分かることは只一つ。
彼の願いは、普通の人間じゃまず願わない様な、歪な願いであること。
彼の行動は早かった。
早速PCを立ち上げ、キーボードのカタカタという音をピアノでも弾くような感覚で
奏で初める。素人が見たら目を回すであろう記号の羅列が、ディスプレイを埋め尽くす。
果たして、間明蔵人は、PCのキーボードに頭を落とし、倒れる。
◆ ◆ ◆
草木も眠る丑三つ時の空を、激しい爆発の火煙と轟音が彩った。
また、SE.RA.PHで戦いが起きていたのだ。
そして、その爆発の中心といえる所に、黒い大きな槍が突然姿を表した。
そして、槍の先端から徐々に柄が、そして持ち手が、胴体が、足が、顔が、
そして翼が出現していき、遂には巨大なロボットが、その全貌を露わにした。
槍で何かしらを貫いたかの様な姿勢を取るロボットは、姿勢を取り直すと、
関節を複雑な形で動かす、ガチャガチャと。
顔は仕舞われ、胴体は変形し、手足は尚も複雑な関節運動を行い、
遂には戦闘機にその姿を変えた。そして、戦闘機は姿を消した。
◆ ◆ ◆
PCのディスプレイとデスクライトだけが明かりを照らしている真っ暗な部屋があった。
カタカタというキーボードの音と、ズルズルという小汚い音が、この部屋を彩る
唯一の音であった。部屋の中にある机では、間明蔵人がカップラーメンを食べながら、
PCに映る何かしらのデータに手を付けていた。
その時、間明のPCから突然ウィンドウが立ち上がる。
「Mizell Vision」という名称の謎のプログラムのウィンドウには、
端正な顔立ちをした、しかし虚ろな目をした少年の姿が映っていた。
そして、その少年が声を出す。
『たった今、サーヴァントを一体倒したよ、マスター。』
そう、彼こそが、間明蔵人の司るサーヴァントだ。
真名はミゼル、世界中を恐怖のどん底に陥れた最凶最悪のプログラム。
「ご苦労だったね、ライダー。」
間明は礼を言うとともに、キーボードを操作し、あるファイルを立ち上げる。
「実は、君に見て欲しい物があるんだ。」
立ち上げられたのは、何かしらの図面。
グラフィックソフトを通して映されたのは、升で仕切られたスマートフォンの図面であった。
「何だい?これは。」
「これは『ミゼル・ジーン』、僕がフォンブレイバーのデータを応用して開発したスマートフォンさ。
そして、君の新たな拠り所となる端末だ。」
ライダーのサーヴァント、ミゼルの最も脅威的と言える所は、「電子機器に乗り移る」という能力だ。
本来なら、ライダーがフラネットの工場を利用して大量生産した小型ロボット「ベクター」を利用する
事が出来る。ベクターは、触れた機械を完全に支配することが出来る。だが、小型ロボットを大量に
召喚して無闇矢鱈と暴れさせてみろ、ルーラーの眼には容易く映り、処罰は免れない。
間明が開発した「ミゼル・ジーン」は、その代わりとしてライダーの能力と、自らの願いを成就させる為に
作成した端末だ。これはフォンブレイバーのチップ構成を応用して作っている。その為極めて画期的に
感じられる設計で謂わば「ジーン2号」とも言えるスマートフォンだ、しかし、フォンブレイバーの
脳とも言えるラムダチップは愚か、CPUですら搭載されていない。
ライダーから鋭い返事が返ってくる。
『ひょっとしてこれ…ベクターのデータを応用しているのかい?』
「正解だよ、ライダー。言っただろ、これは君の拠り所だと。」
間明は、前にライダーからベクターの設計図を借りていた。
バッテリーもモーターもCPUも使わずに操作されるロボット。
ライダーのハッキングをより円滑に行うためだけに作られた雑兵。
「僕は、フラネットの名義でこの携帯をSE.RA.PH全体にばら撒く。その時に、君のデータを
分散させ、このスマートフォンに入れる。そうすれば、どうなると思う?」
ライダーの表情に、笑顔が灯る、間明は笑顔でそれに答える。
「この月は、君の物さ、そうすれば、君の願いはようやく叶うよ、ミゼル。」
そう言う間明を、ライダーの戦闘機は乗せて走る。
これこそライダーの宝具「姿を晦ます黒き鴉人(ミゼルトラウザー)」。
またの名をエクリプス、ライダーの拠点となった戦闘機だ。
そして間明が今いる部屋は、この宝具の中にあったものだ。
『ベクターのゴーストジャックは使わないのかい??マスター。』
「あれは切り札だよ、ライダー。工場の作業員に休暇を取らせて製造したのは
いいけれど、それを初戦で使い倒してしまっては困る。持ってこられる材料にも限度があるからね、
当分は偵察用として使わせてもらうよ。』
成る程、機械を乗っ取るベクターを使えば、戦況は一気に此方側に傾くであろう。
だが、間明は勝つことには興味が無い。
間明が聖杯を手にしたら、きっと世界を壊すこととかそういう事に使うだろう。
ムーンセルにハッキングする時は、それを願うつもりでいた。
だが、このライダーが引かれた為に、彼の考えは変わった。
ミゼルは「世界を最適化」するために生まれた存在である。
「アダムとイブ」というコンピューターが死ぬ間際に作成した
ウィルス。
旧約聖書に、カインという聖人がいる。
アダムとイブが最初に生んだ子だ。
カインは、嫉妬に駆られ弟のアベルを殺めた、謂わば「原初の殺人」だ。
最強のAIが産んだのは、最凶のウィルス。
正にそれは、アダムとイブとカインの関係に近い。
そしてミゼルの行動理念は「世界の最適化」。
人間の進歩は、この世の自然を喰らい尽くした。
吸い尽くされた石油はやがては地球を蒸し焼きにする
温室効果ガスという名のビニールハウスとなり、
今も尚多くの生き物は絶滅の一途をたどり、
地球の芯が作り上げた輝かしい鉱石はいよいよ少なくなっていった。
更に今も尚人々は闘い憎しみ合い、余計に自然と命を壊していく。
これを知った人工知能は人間を「不完全な生き物」と判断し、
消去しようとしていく。
ミゼルの判断は、まるで「ジーン」と同じだ。
つまり、あの計画をもう一度実行できる。
あの時とほぼ同じ様な、世界の終末を見届けることが出来る。
ここは地球ではない、自分もこの世界もプログラムで構成されている世界だ。
しかもここにいる人間は世界人口の凡そ二十分の一に及ぶかどうかだ。
そこからNPCを差っ引けば人間なんて何人いるか分からない。
小石を拾えばすぐに分かる程しかいない。
だがそれでも、間明の純粋なようで歪なあの計画は実行出来る。
もう一度、「ジーン」の最適化を見届ける事ができる。
例え自分がいる「世界」が滅びる事が見えなくても。
間明蔵人は、それで十分だったのだ。
◆ ◆ ◆
今やネットワークは、世界そのものと成りつつある。
情報も医療も通信も何もかも、ネットワークが受け持つこの世界は、
ネットワークに依存していると言っても過言ではない。
だが、もし、このネットワークを「支配」する事が出来たら。
その者は間違いなく「支配者」となるであろう。
もし「破壊」することが出来たら。
その者は紛れも無い「破壊者」となるであろう。
【クラス名】ライダー
【出典】ダンボール戦機W
【性別】無し
【真名】ミゼル
【属性】混沌・中庸
【パラメータ】筋力- 耐久- 敏捷- 魔力- 幸運C 宝具A+
【クラス別スキル】
対魔力:-
魔力に対する耐性。
何の神秘も体も持ち合わせていない彼に、魔力の耐性など無い。
電子の乗り手:A+
電子機器に乗り移れるコンピューターウイルス。
ネットワークを通し、携帯端末、工場、
戦闘機等様々なCPUに乗り移れる。
ライダーの場合、更に自らのウィルスとしての
プログラムを移すことも可能。
【固有スキル】
電脳魔術:A+
所謂ハッキング能力。
オフライン状態のサーバーにも容易く侵入できる他、
何人もの優れたハッカーを翻弄させるほどの力を持つ。
自己改造:A
自己に体を与えるスキル。
肉体が滅びればまた別の肉体に移る。
エンチャント:A+
物を開発、改造する能力。
物理的製法無しで機械を開発、改造したりすることが可能である。
【宝具】
「世界最適化施行電脳程式(ミゼル)」
ランク:A+ 種別:電脳宝具 レンジ:100 最大捕捉:ー
ライダーそのものが宝具となったウイルスプログラム。
ネットワークを媒介に様々な機械を乗っ取ってしまう。
戦闘機や工場をも乗っ取ってしまう危険な代物。
その気になれば社会を混乱に貶めることだって
出来てしまう。
更に、兵器に強化改造を施してしまう。
「姿を晦ます黒き鴉人(ミゼルトラウザー)」
ランク:D 種別:対城宝具 レンジ:30 最大捕捉:1000
神谷重工が開発したステルス機「エクリプス」を、
ライダーがハッキングして乗っ取り、巨大ロボットに
変形出来るようにした戦闘兵器。これを召喚する宝具。
高い戦闘力を持つ他、拠点としても機能する。
【Weapon】
「ベクター」
彼が大量に生産し、手駒として使っているホビー用小型ロボット「LBX」
ただし、CPU、モーター、バッテリーは存在せず、それなのにミゼルの打ち出したコマンド
に従って動き出している。このLBXに触れた機器は全てミゼルに感染してしまう。
「ミゼルオーレギオン」
対ミゼル用に作られた最強のLBX「オーレギオン」を、ミゼルが乗っ取って自らの本体とさせた姿。
様々なLBXの固有技を使用出来る。
【人物背景】
最高の人工知能「アダムとイブ」が削除される直前に怨念を以って生んだウィルスプログラム。
世界を最適化するために暴走。オメガダインの施設を乗っ取り自らの端末となるアンドロイドや
「ベクター」を大量生産、ホビー用小型ロボット「LBX」にプログラムを流し込んで感染させ、
世界を混乱に貶め、更にはオーレギオンをも奪取し「ミゼルオーレギオン」へと変化させるが、
LBXを操る子供達に敗北する。
【聖杯にかける願い】
世界の最適化。
【マスター名】間明蔵人
【出典】ケータイ捜査官7
【性別】男
【能力・技能】
・手先が器用
手錠を外したり用意周到なトラップを作ったりする。
・IT技術
フォンブレイバーのバディに抜擢される程であるため、
相当な物かと思われる。
【人物背景】
アンダーアンカーの元エージェントだった謎の人物。
穏やかな態度を取る美青年だが、何処か異常性を秘めている。
携帯電話型ロボット「フォンブレイバー」に対しては、
禁則事項とされている「並列分散リンク」に強い興味を持っており、
その為に態々網島ケイタとセブンを拉致したりもした。
やがては量産型フォンブレイバー「ジーン」を生み出し、
フラネット社を創設し、大量のジーンを日本中にばら撒く。
そしてそれらのジーンを全て並列分散リンクさせ、世界を崩壊
させようとする、しかし、計画は失敗し発狂。
好物はカップラーメン「ラーメン一本道」。
【聖杯にかける願い】
今度は、この月が崩れ行く様を見届けたい。
【方針・戦法・備考】
基本的にはフラネットの工場を使ってベクターやミゼル・ジーンを生産しながら、ミゼルトラウザーで他の敵を倒していく。
また、ミゼル・ジーンを使ってネットワークをミゼルの管理下に置く、という作戦を立てている。
仮にミゼルトラウザーが破壊されていてもミゼルオーレギオンがあるのでバックアップが作れる上、
これも一応神秘が入ったLBXなのでサーヴァントにもある程度太刀打ち出来る。
現在はベクターを偵察用として街中にばら撒いています。
最終更新:2016年06月14日 04:23