巨人の夢を見た。
それは巨人というより、兵器に近かった。
少なくとも、自分の世界では作ることすら出来ない様な。
その兵器に乗った男は、ある星の住民達と出会い、神として祭り上げられた。
神の名を冠した男は、世界を改革しようとした。
だが彼は志半ばで亡くなった。
彼の愛馬たる巨人は暴走し、正真正銘の「神」に成り代わろうとした。
しかし、所詮は空っぽのブリキ人形。
今の文化を肯定して生きる道を選択した人間を、完全に統治することなど出来なかった。
人形の道を阻んだのは、その人間達の文化に染まり愛した、嘗ての主人の部下である少年と、その相棒であった。
愛馬たる巨人との戦いは、熾烈を極めた。性能が此方より下であるにも関わらず、彼らは往生際悪く戦った。
しかし、そんな戦いにも最後は来る。
『これは最後通告である』
『貴官の最後通告に返信する…クタバレ、ブリキ野郎』
果たして、神という名のブリキの人形は、空で儚く散った。
◆ ◆ ◆
夜の砂浜に、1人の男が立ち、空の上を見ていた。
男の名は亜門鋼太朗。職業は、「喰種捜査官」であったが、此処では「刑事」だ。
警察学校を主席で卒業、その後僅か3年で警部補にまで上り詰めた実力者、
それが亜門鋼太朗の与えられた「ロール」であった。
亜門が記憶を取り戻したのは、つい先程、孤児院に顔を見せた時だった。
大学を卒業するまで、亜門はそこで暮らしていた…という設定であった。
―実際には、もっと早くに此処を出たのだが。
孤児院に向かう途中、ふと、親代わりであった孤児院の主の事を考えた。
褒められた事、叱られた事等、多くの思い出が流れて来る。
彼は、自分にとっては本当の意味で「父親」と言える存在であった、改めてそう思えた。
だが、何故かその主の顔と名前が思い出せなかった。
もう何年も一緒にいるはずなのに、何故思い出せないのだろうか。
そんな事を考えている内に、亜門の足は遂に孤児院の扉の前で止まった。
主である義父は神父であった、なので孤児院も表向きは教会という形になっている。
ドアをノックし、扉を開ければ、其処には懐かしき義父の顔があった。
だが。
「久し振りであったな、鋼太朗、元気にしておったか、今は刑事になっていると聞いたが。」
亜門は、その顔を見て驚愕した、何故そうなったのか、それは今の所は分からない。
「どうした?鋼太朗?懐かしき父の顔を見て驚いたか?あの頃と比べてあまり変わってはいないと
思うのだがな…しかし、人の思い出というのは薄れるものだ、まあとにかく入りなさい、
今いる子たちにお前の顔を見せねばな。」
落ち着いたような笑顔で語る義父の姿を見ながらも、亜門は開いた口を塞ぐことに精一杯だった。
その後は今孤児院に預けられた子供達に紹介され、食事をし、じゃれ合っていた。
その時は子供を驚かせぬよう笑顔を取り繕っていたが、それでも内心では少し冷静さが綻びていた。
「さあ皆、鋼太朗お兄さんにお別れの挨拶をしなさい。」
「「ばいば~い!鋼太朗おにいさぁ~ん!」」
何とか落ち着いて一日を終わらせ、孤児院を後にした鋼太朗は、やっとこの違和感に付いて向き合う時間を
手にした。そう言えば、孤児院の近くには砂浜があったな、と其処に向かう。
やはり夜であることもあって、夜の砂浜は静寂に支配されていた。
何故、俺は義父の顔に違和感を感じたのだろう。
そう言えば、何故俺は刑事という仕事に着いているのだろう。
俺は、亜門鋼太朗は、「喰種捜査官」ではなかったのか。
そこまで思い詰めた時、突如右手が光り輝く。
「!?」
光る右手を左手で持ち上げてみると、手の甲にある光が何かの紋章を描いた。
その瞬間、亜門鋼太朗の脳内に、「聖杯戦争」の知識が流れ込んでくる。
「令呪」を描いた光が収まった直後、亜門は右手に宿った令呪を確認して、
そのまま両手をぶら下げる。その時だ。
『返答を要求する、貴官が、当機のマスターであるか』
スピーカーから聞こえてきたかのような音質で、合成音声のような声が空から響き渡る。
「!?」
ハッとした亜門が上空を見上げてみれば、其処には、「ロボット」があった。
全身は紫色にプリントされ、両肩と両足と頭には、羽のような突起が付いていた。
右手には大型の銃が持たされ、そして何より目を引く、その骸骨を思わせる頭、
そんな「ロボット」が、亜門の見上げた空に浮かんでいる。信じられぬ話だ、
いや、脳内に埋め込まれた「聖杯戦争」に関する情報も信じられない物ばかりではあるが。
『当機の正式名称はX3752ストライカー、選定されたクラスはアーチャーである。』
そのロボット…アーチャーは、またまたスピーカーから聞こえてきたかのような声を出す。
聖杯戦争のマスターは、元の世界の記憶を取り戻すことでサーヴァントを与えられるという。
このサーヴァントは、自分が記憶を取り戻した直後に姿を現した、と考えると、
亜門は頭上に立つサーヴァント、アーチャーに向かって言い放つ。
「ああ、そうだな、俺がお前のマスター、亜門鋼太朗だ。」
『貴官の返答を了承する。』
と、そう言った直後に、アーチャーは再び声を放つ。
『此処に契約の完了を認識した、貴官の今後の方針に付いて問いたい』
「今後…か…」
契約を交わした直後の言葉がそれか、と思いながらも、
亜門は聖杯戦争に付いて考えた。
願いならある、「喰種」を殲滅する。
この世界を歪めているのは間違いなく「喰種」だ。
家族を、同僚を殺したのも、全て「喰種」だ。
彼らを消すことで、きっとあの世界は救われる。
だから、亜門が聖杯を拒む理由はない。
「当分は上空から偵察を続けてくれ、何かあったら俺に念話で伝えろ。」
『了解した』
「それと、敵意のないマスターは狙うな、俺はそんな事はしたくない。」
『問題提言。聖杯戦争は、このムーンセルに集められた参加者の殲滅によって、
初めて勝利が確定する。消去する対象を放棄することは、極めて非合理的な方針であると認識する。』
「罪のない人間を消すことなど出来ないだろう。」
ロボットは、やはり心もロボットか。
情という言葉はなく、常にメリットの有る選択肢に目を向ける、冷酷なマシーン。
だがそれでも、亜門は目をつぶって頼む。
「許してくれ、アーチャー、俺には、罪無き人間は殺せない。」
アーチャーは暫く沈黙した後、また声を放つ。
『マスターの命令である以上、当機に拒否権は意味を成さない、貴官の命令を肯定する。』
亜門はそれに溜息を付き、もう一度アーチャーに目を向ける。
「済まないな、アーチャー、空の上からの偵察を頼むぞ。」
『了解した』
アーチャーはマスターに背を向け、まるで天使の輪の様なリング状の光を頭上に広げ飛び立つ。
その姿を、亜門は見つめていた。
(皆、待っててくれ、俺が、この世界を変える)
そして、波打つ浅瀬を背に向け、亜門は元来た道を歩き出す。
◆ ◆ ◆
アーチャーは、未だ嘗ての主人の記憶があった。
新たな主人を亜門鋼太朗に変更されてはいるが、それでも、
神になろうとしたという意志が、消え失せることはなかった。
アーチャー…X3752ストライカーは、嘗ての搭乗者の意志を未だ継承している。
神となることで、争い合う地球の住民を統治する。
ストライカーは、あくまで人類銀河同盟軍の隊長格に与えられる人型兵器「マシンキャリバー」の一つにすぎない。
このストライカーは、あくまで「パイロット支援啓発インターフェイスシステム」が暴走した一機体だ。
それがガルガンティア船団に語り継がれることとなる伝説の登場人物になった事で座に渡った、霊格が低い反英雄に過ぎない。
しかし、暴走した状態で召喚されたために、記憶は未だ残っている、だからこの身はやはりクーゲルの愛機として設定され、
クーゲルの意志を歪んだ形で受け継いだ事もまた残っていた、だからストライカーは暴走したままにある。
X3752ストライカーは、搭乗者の意志を継承し、「人類支援啓発インターフェイスシステム」となって地球の意志を正しい方向へと導く。
その為にも、聖杯は必ず獲得する。
搭乗者はクーゲル中佐であることに変わりはない、だが仮にも亜門鋼太朗はマスターだ、
可能な限り意志は尊重しよう。
しかし、魔力の良いマスターが見つかったら、決してその限りではない。
利用価値が済んだら、直ぐに切り捨て、新たなサーヴァントを見つけるまでだ。
全ては、ヒディアーズの殲滅と、人類の繁栄のために。
当機はX3752ストライカー、神の御使、クーゲル中佐のマシンキャリバーにして、
「人類支援啓発インターフェイスシステム」である。
当機の行動に反する危険分子は、全て排除する。
悲しき神の御使が遺したコマンドのみを見つめて、弓兵の位を与えられた巨神兵は飛び行く。
◆ ◆ ◆
亜門鋼太朗が歩き出した道と、ストライカーが飛び去った道は、偶然か否か真逆の方向であった。
人類に限りなく近い存在と戦い続け、果てに世界を変えようとした1人と1機。
しかし、優しさを持った1人と、合理的な判断のみを行う1機が交わる可能性は低い。
今1人と1機が真逆の道を進んでいることは、彼らのこの先を暗示しているのか、
それは定かでは無い…今の所、ではあるが。
【クラス名】アーチャー
【出典】翠星のガルガンティア
【性別】無
【真名】X3752 ストライカー
【属性】中立・中庸
【パラメータ】筋力C 耐久B 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具D
【クラス別スキル】
単独行動:B
マスターとの魔力供給を絶っても現界を保っていられる能力。
Bランクだと、マスターが死んでも2日は現界を保っていられる。
【固有スキル】
千里眼:B
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
ズームが可能なメインカメラが眼となっている。
ラーニング:C
高度な学習機能。
戦闘データを解析してその対処法を編み出す。
重力制御:B
アーチャーを牽引するフローター。
アーチャーを飛行させる装置。
魔力生成:A
量子インテーターから物質を吸入し、魔力へと変換する。
神性(偽):D
自らを「神」と位置づけた逸話から。
どちらかと言うと「カリスマ」に近い。
【宝具】
「この世の秩序となる紫骨(X3752ストライカー)」
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大捕捉:500
アーチャーというマシンキャリバーそのもの。
「パイロット支援啓発インターフェイスシステム」を霊核と位置づけて
閉じ込めた肉体。宝具となった影響で、武器の魔力による修復が可能となった。
「搭乗者の意志を受け継ぐ救世主(ニューロプラスパワード)」
ランク:D 種別:対機宝具 レンジ:50 最大捕捉:500
アーチャーの奥の手。
コックピットの人間の中枢神経を機械化融合させて性能を1.5倍に底上げにする。
ただし、これは搭乗者の肉体に多大な負担を与え、また生命維持が出来るのは精々
数分が限度である。
【Weapon】
「装備兵器」
アーチャーに付けられている装備であり、アーチャーがアーチャーたる所以。
常に持っているビームライフル、両腰に仕込まれた対空ミサイル、
腹部から発射するレーザーキャノン、これらがアーチャーの武器である。
これらの武器は魔力による修復が可能。
【人物背景】
人類銀河同盟軍が開発した、指揮官用のマシンキャリバー。
当機は地球に不時着したクーゲルの機体であり、病で逝った
クーゲルの思想を歪んだ形で解釈、そして受け継ぐこととなり、
クーゲルの遺した声等を利用して人々を騙し、自らを神化させて
新たな秩序となろうとする…が、それはレドとその相棒、そして
彼の多くの仲間達によって阻止される。
【聖杯にかける願い】
クーゲル中佐の意志を継承し、世界の完全平和を遂行する。
【マスター名】亜門鋼太朗
【出典】東京喰種
【性別】男
【Weapon】
「クラ」
亡き上司の真戸呉緒から授かったクインケ。
巨大な太刀型のクインケ。2つの刃に分裂させて
二刀流で戦える他、片方の刃を吸収、融合する形で
元の形に戻すことが出来る。
【能力・技能】
・クインケ操術
人を喰らう亜人「喰種」の臓物を加工した武器「クインケ」を操る能力。
・屈強な肉体
とにかく頑丈、アラタの膨大な負担に耐えられる他、
喰種を素手で倒せる稀な逸材。
【人物背景】
人を喰らう亜人「喰種」を取り締まる「喰種捜査官」の1人で、齢27で上等捜査官に出世した実力者。
幼い頃、「喰種」であった孤児院の神父に友人を喰い殺された過去から、「この世界は間違っている」
と考え、その歪みの原因が「喰種」と考えている。生真面目で実直でかつ正義感が強い性格。アカデミーでは
教官を質問攻めにしていた程真面目っぷりを見せており、お陰で主席で卒業した。実は結構な甘党で、
番外編ではドーナツに釣られる姿が度々見られる。トレーニングは欠かさず、それによって培った所謂マッチョな身体は、
真戸呉緒が重過ぎて扱わなかった「クラ」を難なく振り回し、装着者を喰らう「アラタ」にも耐えられるほど。
今回は、20区掃討戦の直前からの参戦。
【聖杯にかける願い】
「喰種」を消し去る。
【方針】
当分はアーチャーが偵察をし、そして亜門が危険な存在だと判断した場合、倒す。
亜門もクインケを所持しているため、近接戦では有利に戦闘を行えるであろう。
また、亜門も刑事であるため情報戦ではある程度有利に立ち回れる可能性があるが、
彼は職権乱用はあまり好まない人物なので、それは難しい可能性がある。
最終更新:2016年05月19日 05:01