◆
この世界に証明を。
己の存在の証明を。
己の強さの証明を。
◆
時刻は深夜、場所はとある中学校の屋上に設置されたプール。
空に浮かぶ三日月と水面に浮かぶそれの鏡像。
二つの月が揃う場に少女が一人。
月の光には生き物の老いを止める作用がある、だなんて都市伝説の根拠になりそうなほど、月に照らされる彼女の肌は透き通るように――否、最早それ自体が光を放っていると錯覚するほど白さを増していた。
少女は鳶色の髪を肩口辺りで切り、それに加えてピンクヴァイオレットのエクステを付けている。
服装は黒を基調とし所々が破かれいて、アンシンメトリィなものだ。
彼女の名前は二宮飛鳥。
十四歳にして此度の『聖杯戦争』のマスターに選ばれた少女である。
暫くの間プールサイドを歩き回った末、彼女は靴と靴下を脱ぎ、飛込み台に寄り掛かるようにしてその場に座り込んだ。
側から見ると、まるで水浴びをする聖女のような神秘に満ちた光景である。
「……一体、何の用があってこの場に来た?」
と、その時、彼女の側に一つの影が現れた。
それは瞬間移動による現象という訳ではない。さっきまで霊体化していた飛鳥のサーヴァント――ランサーがそれを解いただけである。
姿は見えずとも先程からその存在を感じ取っていた彼女は、彼の出現に大して驚きもせずそちらを向く。
ランサーは茶色の前髪を横に流し、赤と黒を基調にしたコートを身に纏った二十代くらいの青年であった。
「なに、このセカイに来る前に定期的にしていたことを此処でもやろうかと思ってね」
「何故定期的にこんな場所に来る」
「夜に空と月を見上げ、それに思いを馳せる……この行為にわざわざ他人を納得させる理由が必要だと思うかい?」
「それは別にプールサイドでなくても出来るだろう」
「此処でやるからこそ良いのさ」
そう言って、彼女は両手でプールの水を掬う。すると、その場に三つ目の月が現れた。
「ボクは――いや人間は月みたいなものだ。何かに照らされてようやく存在出来る」
「?……下らん。他人が居ないと証明できないほど弱い存在など、無いも同然だ」
突然出された話題に不思議がりながらも、ランサーは答える。
「そう言うものでもないよ。何せ、月は太陽に照らされることで他の星よりも明るい存在になれるからね」
飛鳥は頭上を見上げた。
其処には数多の星と、それら以上の明るさを放っている月が浮かんでいる。
「ボクも同じさ。ボクはプロデューサーや周りの人々、ファンのみんなに照らされて今までよりも広いセカイにヒカリを届けられる存在になれた。君の言葉を借りれば『強くなった』のさ」
「……で、結局貴様は何を言いたいんだ?」
「まあつまり、だ。自分と似たような存在が二つ――いや、ボクの手元にあるコレも含めれば三つか――存在する夜のプールは、ボクにとってとても落ち着く場所なんだよ」
此処でようやく二宮飛鳥はランサーの『どうして夜中にプールに来て夜空を見上げるのか』という質問に明確な答えを返した。
それに対して彼は納得したような、しかし何処か腑に落ちない部分があるような、そんな感じの表情を浮かべる。
「もっとも、たまに用務員さんが見回りに来て慌ててしまうこともあるんだけどね」
「たまにでも慌てる事態が起きる所を『とても落ち着ける場所』と言って良いのか」
ランサーのツッコミに飛鳥は『おっと』とでも言うような顔をした後、『フフ』と短く笑う。
「けど、何もこれだけが此処に来る理由ではないんだよ」
「他にも理由があるとでも言うのか?」
「そうだね、例えば――」
飛鳥が次の言葉を言おうとした瞬間、遠くの方から人の悲鳴がした。
思わず二人は屋上の柵に近寄る。
「……こういう風に、夜の町で騒ぎが起きた時、すぐにその位置が把握しやすいのさ」
おそらく後付けであろう飛鳥の説明を聞きながらランサーは悲鳴の発生源を探し出した。
其処には、道行く人々を襲い暴れる異形の存在が居た。おそらく、此度の聖杯戦争ち呼ばれた他のサーヴァントであろう。
「魂喰い、か……はん! 弱者を屠って得られる魔力に頼るとは、呆れたサーヴァントが居たものだな」
そう言いながらもランサーの顔は、無力な一般人を狙う卑劣なサーヴァントへの怒りを露わにしていた。
彼はそのまま右手でコートをマントのようにバサリとはためかせてから、ベルトのバックルのようなものを取り出し腰に嵌めた。
それの名前は『戦極ドライバー』。ランサーの宝具にして、彼が『アーマードライダー』に変身するために必要な道具である。
「助けに行くのかい?」
「そんな甘い理由ではない。俺はただ、己よりも弱い者を狙うアイツが気に入らないだけだ」
彼はそう言うともう一つ、拳よりも一回りほど小さい何か――『ロックシード』を取り出しドライバーにセットする。
すると、何やら陽気な声が流れて、それと同時に彼の頭上の空間から大きな黄色いバナナのような物体が現れた。
それはそのままランサーの頭に落ち、彼の身体を覆う鎧のような形態に変形する。
月光に照らされる彼の鎧は普段よりも一層輝いて見えた。
これこそが彼の宝具が一つ、『バナナ・アームズ』である。
「ボクも付いて行くよ……と言いたいところだけど、そうするよりキミが一人で行った方が早くことが済みそうだね」
「その通りだ。貴様はこのまま呑気に天体観測を続けてろ」
ランサーはそう言うと、『そうかい、それじゃあボクは此処で大人しくしておくよ』と溜息混じりに呟きながら飛込み台の近くへと戻っていく飛鳥の姿を背中に、屋上の柵に足を掛け、そのまま下界へ飛び降りた。
彼がクラスすら分からぬサーヴァントと相対してどうなったかは言うまでもあるまい。何せ彼はかつて人間を越え、世界を滅ぼさんとした程の存在なのだから。
生半可な相手に負けるような男ではない。
それでも結果だけ言えば、この後無事主の元に帰った彼は、再び彼女と共に明け方まで夜空を見上げることになるのであった。
【クラス】
ランサー
【真名】
駆紋 戒斗@仮面ライダー 鎧武
【パラメーター】
筋力E 耐久D 敏捷E 魔力E 幸運D+ 宝具A+
(この場合のEとは一般人レベル。耐久のDは後述のスキル『死の超越者』による補正が入ったもの)
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
対魔力:B
魔術に対する守り。三節以下の詠唱による魔術を無効化する。
【保有スキル】
カリスマ:D(B+)
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
単独行動:C
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
死の超越者:B
B相当の戦闘続行とC相当の頑健を内包したスキル。
死というどうしようもない己の運命すら一度乗り越えてみせた彼の逸話がスキルとなった物。
【宝具】
『刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
バナナロックシードにより、『アーマードライダー・バロン』(筋力C 耐久C 敏捷B)へと変身する。
皮を剥いたバナナのような槍『バナスピアー』を武器とした近接戦を得意とする。
基本形態であるため特化した能力がないものの、バランスが良い。
必殺技は『バナスピアー』にバナナのオーラを纏わせて相手を貫く『スピアビクトリー』。
『殴り砕く山吹の戦棍(マンゴーアームズ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
マンゴーロックシードにより、『アーマードライダー・バロン』(筋力B+ 耐久B 敏捷D-)へと変身する。
重量級メイス『マンゴパニッシャー』を用いた近接戦を得意とする。
攻撃力に秀でているが、その一方でスピードにおいてはバナナアームズよりも劣る。
必殺技はエネルギーを纏わせた『マンゴパニッシャー』を相手に叩き込む『パニッシュマッシュ』。
『射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
レモンエナジーロックシードにより、『アーマードライダー・バロン』(筋力B 耐久C+ 敏捷A)へと変身する。
両端に刃の付いた弓『ソニックアロー』を用いて近距離戦、遠距離戦の両方に対応する。
必殺技はソニックアローにロックシードをセットし矢を放つ『ソニックボレー』。
『運命超越す緋色の王(ロード・バロン)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
ランサーがヘルヘイムの実への耐性を身に付けた末にそれを口にしたことによって、人間を越えた力を得た形態『ロード・バロン』。
この宝具はその力を解放するものである(筋力A+ 耐久A 敏捷B)。
長剣『グンバリャム』、自身の気体化、念動力といった人外の力を用いて戦う。
この時、彼の『カリスマ』はカッコ内まで上がる。
このように、かなり強大な能力だが、その分魔力の消費量も相当のものとなっている。
【weapon】
上記の宝具
【サーヴァントとしての願い】
弱者が一方的に虐げられる世界の破壊と新世界の創造
【人物背景】
仮面ライダー『バロン』に変身する、『チーム・バロン』のリーダー。
幼少期に経験した『ユグドラシル・コーポレーション』の強引な再開発が原因で両親の経営する町工場を潰された過去から、力が無ければ何も守れないという意識を持つ。
オーバーロードインベスの一人、レデュエから受けた攻撃により、毒に蝕まれていた彼はゲネシスドライバーによってその症状を抑えていた。
が。
戦極涼馬と相対する際に戦極が予め仕込んでおいた『キルプロセス』を実行され、ゲネシスドライバーが封じられ、圧倒的不利に追い込まれる。
だが、そんな戦極に屈せず新たな力を求めるべくヘルヘイムの果実を口にした結果、彼はオーバーロード『ロード・バロン』と化し、その圧倒的な力で戦極を倒す。
ついに世界を凌駕する力を手に入れた彼は、その力で古い世界を破壊し新しい世界を作るべく、同じく人間をやめてオーバーロードとなった紘汰と激突。
激戦の末に紘汰に敗北し、彼の強さを認め、息を引き取った。
【マスター】
二宮飛鳥@アイドルマスター シンデレラガールズ
【マスターとしての願い】
生きて帰りたい
【weapon】
なし
【能力・技能】
歌と踊りが出来る
【人物背景】
静岡県出身、十四歳のアイドル。
自分でそうだと公言してしまうほどの自覚を持った中二病のボクっ子。
趣味は漫画を描くこと。
自分の目で見ない限り、ウワサは信じないらしい。
最終更新:2016年05月27日 05:26