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市内を身の丈六尺を優に超える偉丈夫が疾走している。野太い咆哮は雷鳴の様であり、市内を行く人々も顔を向けずにはいられない。
五分刈りにした厳つい顔は、困惑に満ちていた。

「うおおお――!」

小暮宗一郎は本来、警視庁の地下に存在する警察史編纂室の一員として資料整理の傍ら、時に非常識な事件の調査を行っていた。
それが突然、見知らぬ街にいる。小暮が記憶を取り戻した際、まず行ったのは警視庁への連絡だった・・・・・・結果は『圏外』。
東京の千代田区、警視庁に携帯が通じないなどあり得ないというのに。混乱した小暮は現在、警視庁に戻る道を探して、街中を奔走している。

「はぁ・・・一体何が・・・」

住宅街の一角に立つ公園で小暮は立ち止まる。
頭脳労働を得意とする男ではないが、闇雲に走り回っても成果は得られないだろう。
園内で目についたベンチに座り、次にとる手段を考えようとした彼に声をかける者がいた。

「落ち着いたかね?」

顔を向けると黒尽くめの男がこちらを見ていた。
長い黒髪を真ん中で左右に分けており、鋭い目つきで小暮を観察している。

「む、誰であります!」

突然の不審人物の出現に、小暮は声を荒げた。

「記憶は戻っているはずだ。よく思い出してみたまえ」

黒い男は、あくまで冷静に対応する。彼の穏やかな語り口に小暮の緊張も解けていく。
目線を外して記憶を辿っていると、未知の単語が浮かび上がってきた。

「・・・・・・もしや貴方は、自分のサーヴァントでありますか?」

再び視線を向けた小暮に、男はライダーのサーヴァントと名乗った。
聖杯戦争についての説明を要求すると、ライダーは快く応じて小暮に現在置かれている状況の説明を始めた。


☆

「殺し合いですか・・・」

説明を受けた小暮の表情は重い。
信じがたい話ではあったが、置かれている状況や過去に扱った事件に鑑みると、ライダーの説明を否定するのは難しい。
ライダーにも質問を幾つかぶつけてみたが矛盾点はなく、嘘を言っているとは思えなかった。


「君はどのように戦うつもりだ」

対するライダーは淡々とした様子だった。

「押忍!自分はこの殺し合いを仕組んだ犯人を逮捕するつもりであります!」

ライダーは、もうすぐこの街で人知を超えたサーヴァントという連中が殺し合いを始めるのだという。
これを放置しておけば、多くの犠牲者が出てしまうのは確実だろう。一警察官として、一人の市民として看過することはできない。
魔術だ、NPCだ、という胡乱な話は一旦置いておけばいい。いちはやく犯人を見つけ、確保することが重要なのだ。
表情を引き締めた小暮は、聖杯戦争を止める旨を力強く宣言する。

「そうか。私も協力しよう」

目の前で大男に吠えられたライダーだが、至極落ち着いている。

「押忍。ご協力感謝いたします・・・ですがその、よろしいのですか?・・・ライダーさんにも何か」

恐る恐る尋ねた小暮にライダーは気を悪くした様子もなく、小さく笑って答えた。

「私は聖杯の正体について興味があるだけだ。掛ける願いはないよ」

そういえば真名を名乗っていなかったな、とライダーは呟き、懐から何かを取り出す。
小暮が受け取ると、それは名刺だった。見ると「考古学者:稗田 礼二郎」とある。

小暮はライダーにずっと既視感を覚えていたが、それは先輩の義理の兄の民俗学者と発散する空気が似ていたからだと理解した。
普段はコンビで捜査に当たっているので先輩がいない現状を心細く思っていた小暮だが、ライダーの知恵を借りれば今回の事件も解決に導けるだろうと意気込みを強くする。

間も無く小暮は業務に戻ったが、それを見送ったライダーは渋い表情を浮かべていた。
話す間も無かったが、彼の宝具「探究者はここに記した(マージナル・マン)」は聖杯戦争において、あらゆる勢力の障害となりうる。
小暮が帰ったら、改めて今後の方針について話し合わねば・・・・・・ライダーは、それとなく空を見上げた。






【クラス】ライダー

【出典】妖怪ハンターシリーズ

【性別】男

【真名】稗田 礼二郎

【パラメータ】筋力E 耐久E 敏捷D 魔力D 幸運A++ 宝具EX

【属性】中立・中庸

【クラス別スキル】

対魔力:E++
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を僅かに削減する。
幾度となく奇怪な事件や生物から生還したライダーは、幸運判定に成功すれば削減値を倍増させられる。

騎乗:A-
 騎乗の才能。Aランクなら幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。
ライダーは後述の宝具を除くと、自動車や自転車といった現代の一般車両以外は乗りこなせない。


【固有スキル】

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
何度か同行者を伴っていた経歴が確認されているが、フィールドワークには概ね一人で赴く。

妖怪ハンター:EX
民俗学や考古学に関する東西問わぬ広く深い学識、異端児と呼ばれうる突飛な発想力をもって奇怪な事件を生き抜いた男の生き様。
同ランクの真名看破と仕切り直しを内包する複合スキル。地球の古い伝承や伝説に残っているなら、対象の正体をほぼ確実に推測できる。また危機的状況において幸運の補正を発揮。最良の一手により戦闘から離脱する。
この幸運補正はライダーの近くにいる味方にも発揮される。

神性:E
神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。
ライダーは生命の木の力を一時的に受けた為、獲得している。

【宝具】

『天磐船(あまのいわふね)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~70 最大捕捉:2人
風土記において天の若日子が天下りの際に乗ってきたという石の船。ライダーはこれに騎乗することで自由に飛行出来る。磐船はライダーが騎乗した時点で光に包まれた状態になり、ライダーの思念によりコントロールされる。
ライダーはこの宝具の本来の担い手ではないので真名解放は行えず、殺傷力において同ランク帯の宝具に大きく水を空けられている。

『探究者はここに記した(マージナル・マン)』
ランク:EX 種別:対界宝具  レンジ:会場全域 最大捕捉:1(個体)、50(群体)
多くの忌まわしき災厄と遭遇して生き残ったライダーの有り様が、宝具として昇華されたもの。ライダーは現界翌日から幸運判定を昼と夜で計2回自動で行う。
幸運判定に失敗すると、かつて遭遇した「骨の無い多腕多足」、「女性の身体を乗っ取る唇」、「独りでに歩き回る植物」などのうち一種類が、ライダー及びライダーのマスターの拠点をのぞく会場全域の何処かに放たれる。
これらはライダーの使い魔ではないので、何が放たれたのかは対峙してみないとわからない。ただし現界・維持にライダーの魔力を必要としない。
対処法は攻撃により耐久値をゼロ未満にすること、呪具による相殺のみ。ライダー自身は彼らから生き残った実績により、対応する呪具を作成できる。

『非時の香菓(ときじくのかぐのみ)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
世界中に残っている大樹伝説の原典である生命の木の種子。タジマモリが常世から持ち帰ったとされる果実。
 花のように見える生命エネルギーの結晶であり、取り込んだ者に神通力を与える。令呪1画を消費することで、ライダーは種子を1個作成することが出来る。
数百個も用意すれば死者蘇生を可能とするが、聖杯戦争中にそれだけの魔力を用意するのは困難を極めるだろう。


【Weapon】
宝具によって再現された怪物に対応する呪具。神秘を帯びているので霊体にダメージを与えられる。

【人物背景】
元K大考古学教授。日本中の様々な「奇怪な事件」の研究を生業としており、各地で客員教授や著述活動を行っている。
痩躯長身に全身黒ずくめがトレードマークであり、若い学生やマスコミから妖怪ハンターの異名を付けられた。

ただし彼自身に妖怪を狩る能力はなく、彼が立ち寄った先では事件の果てに祭が終わり、島や村が滅んでいった。

【聖杯にかける願い】

聖杯を名乗る正体不明の願望器について研究する。


【マスター名】小暮宗一郎
【出典】流行り神 警視庁怪異事件ファイル
【性別】男

【Weapon】
なし。

【能力・技能】

・武道
柔道三段、剣道三段、空手二段の技量と恵まれた体格をもってすれば、暴漢程度は相手にならない。

・霊感
怪奇現象に対してはよく霊感が働く。作中に出てくる退魔師から一目置かれるレベル。
魔術師ほどではないが、常人より魔力供給量は多いと思われる。

【ロール】
刑事。

【人物背景】
2000年代日本、警視庁警察史編纂室に配属された刑事。
主人公・風海純也が捜査した「コックリさん」事件を担当した際、所轄署の刑事だったが、事件後に風見と共に編纂室に配属される。
階級が巡査部長であることから自分より年下だが階級が上の風見を「先輩」と呼んで付き従っている。
実家は東京都東村山市で墓石屋を営んでいる。
流血沙汰と心霊現象が大の苦手。

【聖杯にかける願い】

殺し合い(聖杯戦争)を仕組んだ犯人の逮捕。
最終更新:2016年05月24日 18:46