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 ―――雨が降り注ぐ。

 どこまで見渡しても変わることのない灰色雲。突き抜けるような青空は、けれど今は見えることはない。雨雲に遮られて。
 暗い、暗い色の空。暗鬱な。それは、まるでこの世界を取り巻く理そのものを現しているよう。


「後悔なんざ、オレはしちゃいねえさ」


 静寂に満ちた、歩く者が一人としていない街の中。
 空と同じ灰色に染まった細い道。反響する雨音と湿った土の匂いに満ちたその場所で。

 その男は立っていた。傘を差すこともなく、ただ濡れるがまま。
 静かに立っていた。男は静かな、何かをやりきったかのような表情をして、そこにいた。


「ベッドの上で死ぬなんてことも期待しちゃいなかった。オレはカウボーイだからな、ああなるのも覚悟のうちってもんだ」


 奇妙な風体をした男だった。時代と国柄を間違えているとしか思えない服装は西部開拓時代のカウボーイを思わせるもので、しかし彼の全身から滲み出る凄味が、それが単なる伊達衣装の類ではないのだと如実に示していた。そして事実、マウンテン・ティムという名のその男は伝説的なまでの腕前を誇る牧童であった。
 静まる街。断続する雨音。
 水のような静寂の中で、彼は尚も言葉を続ける。


「オレは、帰る場所が欲しかったんだ。旅に出たら帰る場所、ただそいつが欲しかった」
「それで、アンタはそこに帰ることができたのか?」


 応える声があった。
 不純物を拭い去る雨音の中にあって響く声は青年のもの。
 年若い、恐らくはティムよりもずっと若い男の声。

 帽子の男だった。ティムとは違い東洋人種の、恐らくは日本人か。
 レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に影響されたような服をスマートに着こなす男だ。その小説ジャンルをティムが知ることはなかったが、第一印象として帽子の良く似合う男だと受け止めていた。

男の声音にはどこか突き放すような、それでいて相手を慮るような響きが含まれていた。
 それは、彼にも半ば直感していたことだからだろうか。
 ティムがどのようにしてここへ訪れたのか。どのような結末を辿ってしまったのか。
 その旅の結末を。どのような凶手が幕を閉じさせたのか。


「いいや。あの人の心はとっくに別の男にゾッコンでね。オレなんかが入り込む隙間は最初からなかったのさ。
 だが、まあ」


 ふっ、と。
 ティムの口元が、笑みに変わる。


「悔いはない。叶わぬ恋と分かっちゃいたし、それでも彼女はオレの『帰る意味』であってくれた。彼女のために戦ったことに一片の曇りもない」


 その言葉に嘘はなかった。後悔など、ただの一欠片だってティムは抱いてなどいなかった。
 何を得ることもなかったのだとしても、その想いを口にできたというだけで全てが報われていた。ただ彼女が救われてさえくれていたなら、それこそがティムにとっての最上の救いだった。


「ま、生きて帰れるってんならまた彼女のために戦うだけさ。ジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリが全て受け継いでくれたと思いたいが、それでも心配なものは心配だからな」
「惚れた女のためならば、ねぇ……いいぜ、そういうのも嫌いじゃない」


 何を気取っているんだ、とは言わなかった。ティムの目から見ればこの男はサーヴァントとして呼ばれたのが不思議なほどに甘ちゃんのハーフボイルドで、しかしだからこそ人々の憧憬を勝ち取ることのできた英霊であると分かっていたがために。

 ふと、ティムはここに至ってようやく、自分が傘も差さずにここまで歩いていたことに気付いた。
 聞いたことがある。傘もいらない人間は、自分の人生を呪っている人間なのだと。目的のためなら痛みも意に介さない。
 半分正解で、半分間違いだ。確かに自分は彼女を守るためなら自身の痛みだって構いはしない。だが、それは断じて自分の人生を呪っているからなどではないのだ。


「言ってろよジョーカー。曰く"切り札"のサーヴァントか。その名がこけおどしで終わらないことを期待してるぜ」
「当たり前だ。俺がアンタの"切り札"になってやるよ、マスター」


 軽口を叩き合い、すっかり見慣れてしまった土砂降りの雨を、ティムはただ静かに見据えた。かつての世界で最後に見た、ムカつくくらいの雨と同じ光景を。
 電子の海が紡ぐ聖杯への道は、未だ見通すことはできはしない。
 そこに何の意味があるのか、自分がこうしてここに在る意味とは何なのか。
 あるいは自身の帰還をと、ティムはただそれのみを求め往く。

 先の見えない雨の壁から目を逸らし、彼は振り返ることなく、帰路へと足を向けたのだった。



【クラス】
ジョーカー

【真名】
左翔太郎@仮面ライダーW

【ステータス】
筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運A+ 宝具B

【属性】
中立・善

【クラススキル】
運命の切り札:EX
切り札は常にジョーカーの元へと舞い込んでくる。彼が辿った逸話と、その精神性がもたらす土壇場の爆発力を現したスキル。窮地において幸運に+の補正を与える。
厳密には確たるスキルというわけではなく、EXランクが示すのも超越性ではなく特異性。これはあくまで、ジョーカーの仮面ライダーとしての在り方が形となったものである。
また、相棒を失ってなおたった一人で戦い続けた彼の生き様でもあるため、低ランクではあるが戦闘続行と単独行動のスキルも併せ持つ。

【保有スキル】
専科百般:D
多方面に発揮される才能。
追跡調査に代表される探偵としての諸般のスキルを取得している。

都市に吹く風:B
風都を守護する仮面ライダーの都市伝説。他者の守護や救出、都市の防衛のための戦闘に際しスキルランク分の戦闘ボーナスを取得する。
ジョーカーではなく「仮面ライダーW」としての現界、及び召喚された土地が風都であった場合にはスキルランクがEXまで上昇するが、今回はランクが大幅に低下している。
なおライダーとしての側面を持つスキルであるため、同ランクの騎乗スキルを内包する。

無冠の武芸:B
正確にはその亜種スキル。
その正体を隠し戦った逸話により、宝具未使用時にはサーヴァントとしての気配を発さず、戦闘時において相手からは全ステータスが1ランク下がって見える。
真名が露見した場合、上記の効果は全て消失する。

【宝具】
『最後に残された切り札(仮面ライダー・ジョーカー)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1
筋力C+ 耐久C 敏捷B 魔力D
地球より汲み上げた「切り札」の記憶を封じたメモリ。そしてロストドライバーにメモリを挿し込むことで変身する「仮面ライダージョーカー」そのもの。
メモリ一本分の力しかないため出力自体は極めて低いものの、「切り札」の名が指し示す通りにメモリが有する技量・格闘能力が極限まで上昇する性質を持つ。
宝具使用時はステータスを上記のものに修正され、Bランク相当の心眼(真)のスキルを付与。攻撃の度に幸運判定を行い、成功することでダメージにクリティカル補正を発生させる。


【weapon】
・ロストドライバー
ガイアメモリを使用する変身ベルトの初期型。
ガイアメモリを差し込んで展開することにより、仮面ライダーに変身できる。

【人物背景】
風都にて『鳴海探偵事務所』を営む私立探偵。
『いかなる時も情に流されない鉄の男』であるハードボイルドに対して強い憧れを持っているが、本人の気質は非常に人情家で涙脆いため、半人前のハーフボイルドなどと呼ばれている。
実は私生活や家族関係、及び本編以前の出自等がかなり謎に包まれているミステリアスな人物でもある。

【サーヴァントとしての願い】
特にない。悪逆さえしないならばマスターの好きなようにやらせる。




【マスター】
マウンテン・ティム@ジョジョの奇妙な冒険 第7部「スティール・ボール・ラン」

【マスターとしての願い】
悔いや未練を残しているわけではなく、聖杯に固執する理由もない。
強いて言うならば、生きて帰れるならそうしたいし、またルーシーの力になりたい。

【weapon】
投げ縄と拳銃。

【能力・技能】
「オー!ロンサム・ミー」
荒野の異常現象「悪魔の手のひら」に立ち会ったことで獲得したスタンド。
縄を媒体に発動し、縄上で自身の肉体をバラバラに分解する能力を持つ。
バラバラにした肉体は縄で繋がれ、縄の上を自在に移動することが出来る。
他者の肉体も触れることで投げ縄上でバラバラにすることも出来るが、発動時の隙が大きく戦闘では余り実用的ではない。

・カウボーイ
彼は伝説的なカウボーイであり、彼の前では馬ですら頭を下げ、敬意を払うと言われる。
更には投げ縄や拳銃の腕前も高く、馬が残した僅かな痕跡からその状態や蹄鉄の正確な形状、更には馬と乗り手の心理状態などを分析することが出来る。

【人物背景】
大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」に参加したカウボーイ。
彼の前では馬も頭を下げると言われる程の伝説的な牧童。
かつては騎兵隊に所属していたが、その時に「悪魔の手のひら」と遭遇しスタンドを獲得している。
レース中に殺人事件が発生したことで臨時保安官として任命される。
ルーシー・スティールに想いを寄せ、彼女を守る為に合衆国大統領の部下ブラックモアと交戦したが敗死した。

【方針】
聖杯戦争や舞台について調査する。
積極的に戦うつもりはないが、最終的にどうするかは未定。
最終更新:2016年05月24日 18:48