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「ただいま」

学校から帰宅した士郎は自宅の玄関扉を開け、家の中に声を掛けた。
両親が生まれる前に建てられた家なので年数がそれなりに経過しているが、中々広いし、掃除もまめにやっているので快適に暮らせている。
靴を脱いでいると、ぱたぱたと駆ける音が近づいてくる。まもなく黒髪の小柄な少女が姿を見せた。

「お兄ちゃん、お帰りー」

抑揚のない声で、妹は士郎を出迎えた。
勉強熱心で細かい所まで気が回る出来た妹なのだが、年の割に感情表現が乏しい。
学校で苛められてやしないか心配していたが、最近は友人も増えた様なので安心している。
妹に応えようと向かい合った士郎の動きが止まった。

「……」

――思い出した。

俺に妹はいない……じいさんが亡くなってから、天涯孤独になった。
もっとも、藤ねえや桜がよく家を訪れていたし、最近は遠坂やセイバーがいるので寂しい思いはしていないが。

その時、士郎の脳裏に幾つもの光景が浮かんでは消える。
月を背に佇む少女と青い槍兵。夜の闇に立つ鋼色の巨人と白の少女――彼は以前、聖杯戦争に参加していた。
右手に熱っぽい痛みが走る。そこに浮かび上がった物を士郎は知っている。

「…お兄ちゃん?」

妹が怪訝そうな表情で、士郎の様子を窺う。我に返った士郎は慌てて立ち上がり、妹から右手が隠れる体勢に移る。

「…いや、何でもない」

ただいま、と言って士郎は自室に引っ込む。
妹は釈然としない表情を浮かべていたが、士郎はぎこちなく笑いかけるだけで取り合わない。
士郎は自室に入ると、後ろ手に扉を閉めた。
内面を思わせる小物が何も無い、実用一辺倒の殺風景な部屋。

≪いるんだろ?≫

勉強机に荷物を置いた士郎は、声を出すことなく控えている筈の何者かに語りかけた。
肯定する声が士郎の脳裏に響くと、部屋の中心に人影が現れる。

「あなたが私のマスターですね?」

角ばった輪郭に理知的な表情を浮かべる中年の男性だった。現代の人物らしく、眼鏡を掛けて白衣を羽織っている。
見知ったサーヴァントが現れるのではないかと期待していた士郎は内心、僅かだったが落胆した。
ざっと男を改めたが、立ち居振る舞いに隙を感じない。以前戦ったキャスターのマスターと男が重なる。

「あぁ、俺がお前のマスターだ…」

士郎はベッドに座り込む。
男は目で頷くと「ライダーのクラスで現界した、香川です」と丁寧だが冷たい口調で名乗った。

「早速ですが、あなたはどんな願いを聖杯に託す気ですか?」

香川は士郎の勉強机から椅子を引き、腰を掛ける。
士郎は咎めることなく何か考えるような表情で一点を見つめていたが、すぐに口を開く。



「聖杯に託すような願いはない…」

というより、これで二度目なんだ。興味を惹かれた香川が感嘆の息を漏らすと、士郎は冬木の聖杯戦争の経緯を静かに語り出す。
―夜の学校で二人組の戦闘を目撃した事、セイバーを召喚して共に戦った事、聖杯の正体…。

士郎が話している間ずっと、香川は思案するように沈黙している。
ただ、自分の名前を告げた時に僅かだが目を見開き、話がアーチャーとの因縁に入った時には首を動かして質問を投げてきたが、そこ以外は鎮座する石像のようだった。

「それでマスターはこの場でどう動くつもりですか?」

眼鏡の奥の目が冷たく光る。

「俺は街に帰りたい…けど、同じように巻き込まれた人々を助けたいとも、思ってる…だから、あんたの力を貸してくれ」

明るい色の頭髪に幼さを残す顔、うわついた印象は見られないが今風の高校生だ。もっとも、引き締まった表情や瞳に宿る覚悟の色が修羅場を潜り抜けてきた事を感じさせる。
香川は頭を下げた少年の評価を高めた。

「それは困難な道ですよ。全員を助けることは…不可能でしょう」

素っ気なく言い放つ香川が視線を送るが、顔を上げた士郎は怯まない。

「わかってるさ。けど、俺たちが動くことで助けられる命もきっとある。その為になら…俺は戦える」

右手が握り拳を作り、青臭くも強い決意を語る。
誰にも犠牲になって欲しくない。正義の炎が士郎の中で一層激しく燃え上がった。


香川が見るに、士郎は生前に出会った仮面ライダー・城戸真司とよく似ている。
ふと脳裏に無念と驚愕の記憶が過った。

香川は生前、多くの命を弄ぶ神崎士郎の計画を止めるべく、教え子を仲間に引き入れて行動していた。
しかし、戦いの中で愛弟子・東條悟が暴走。彼のファイナルベントで串刺しにされて道半ばで倒れたのだ。
自分を手にかけた東條も結局、ライダーバトルの中で命を散らせたらしい。最終的に神崎の計画は、仮面ライダー龍騎・城戸真司らが終わらせたようだが。


少し間を置いた後に香川が口を開く。

「…いいでしょう。私もこの戦いを止めたいと考えていました…協力しましょう」

香川は聖杯戦争を否定する。死者が生者の生命を摘み取り、未来を掴むなどおこがましい。
自身を招いた者が願望器に眼が眩んだマスターならば、速やかに命を刈り取って座に帰還する。
その懸念は杞憂に終わったようだ――香川の表情が和らいだ。

「―! ああ、よろしく頼む、ライダー!」

士郎は差し出された手を握り、二人は顔を見合わせて頷く。力強い香川の眼差しに、士郎の心中に宿った不安は影を潜めた。
嬉しそうな士郎を見ながら、香川は思考を巡らせている。

別の聖杯戦争が存在するとは興味深い。
聞いた限りでは基本ルールは似通っており、主催者が冬木の儀式を模倣した可能性は高い。最悪、このような戦いが他の場所でも…。
また、固有結界なる大技を習得し、前回の聖杯戦争を生き残ったこのマスターは貴重だ。東條のように暴走させてはならない。

(私をこの様な催しに招いたこと…後悔させてあげますよ…)






【クラス】ライダー

【真名】香川英行

【出典作品】仮面ライダー龍騎

【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷D 魔力E 幸運C 宝具B

オルタナティブ・ゼロ 筋力B 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運C 宝具B

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:E(B)
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
宝具を発動することでカッコ内の値に修正、三節以下のものを無効化できるようになる。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:E(C+)
騎乗の才能。大抵の乗り物なら何とか乗りこなせる。
宝具を発動することでカッコ内の値に修正、大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるようになる。特に契約モンスターに騎乗する際、効果が倍増する。


【保有スキル】

瞬間記憶能力:B+
香川の持つ「一度見たものを忘れない」能力。戦いにおいては相手の行動パターンを瞬時に記憶し、常に一歩先をいくことが可能。
同ランクの心眼(真)と蔵知の司書の効果を内包する複合スキルであり、同一の敵との戦闘が重なった場合に+の補正が発揮される。


【宝具】
『蟋蟀よ、鏡の中を狙え(オルタナティブ・ゼロ)』ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)

オルタナティブ・ゼロに変身することでスキルをカッコ内のランクに、ステータスを専用のものに修正する。展開中はアドベントカードを用いることで様々な戦法を取れるほか、鏡の中の世界「ミラーワールド」への行き来が可能になる。
ミラーワールドには適性を持たない者は侵入できない。オルタナティブ・ゼロの活動時間は8分25秒が上限であり、超過すると身体が粒子と化して消滅する。

香川が神崎の研究データと、仮面ライダータイガのカードデッキを参考に作成した「疑似ライダー」。
完成形であるオルタナティブと違い、腕や胴の側面にプロトタイプを示すラインが入っているのが特徴。13ライダーとは異なる形状をしているが、基本骨子は同様。
13ライダーと比較するとミラーワールドでの活動時間が短いが、設計者である香川によって基本スペックが強化されている。


『旋る黒鉄の戦輪(デッドエンド)』ランク:C 種別:対城宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1人

オルタナティブ・ゼロの「ファイナルベント」。サイコローダーに搭乗し、コマのように高速回転しながら相手に突撃する。


【weapon】
ホイールベント;サイコローグをバイク形態・サイコローダーに変形させる。

アクセルベント:一時的に超加速する。残像が分身をつくるほどのスピードを得る。

ソードベント:両刃剣スラッシュダガーを出現させる。強力な斬撃のほか、青い炎状のエネルギー波を放って相手を攻撃できる。

アドベント:契約モンスターであるサイコローグを召喚する。素早い動きと高い跳躍力を誇り、目からミサイル弾を放つコオロギ型のミラーモンスター。


【人物背景】
神崎士郎が在籍していた清明院大学の教授。
一度目にしたものは絶対に忘れない「瞬間記憶能力」によって、若くして教授の地位に就いた天才。

かつて神崎の研究資料に偶然、目を通した香川は彼の失踪後に資料の記憶をもとに調査を重ねる。ミラーワールドの脅威と神崎の企みを知った香川はミラーワールドを閉じるべく、疑似ライダーを作成。研究室の生徒を率いて、神崎優衣の抹殺を図った。
激化する戦いの中で、英雄への妄想が膨れ上がった愛弟子・東條悟の手に掛かり、死亡。

「多くを救うために一つを犠牲にする」という信条に基づいて行動するが、これは極限状況においては自分が汚れ役を買って出る、という意味であって彼は人命を軽視する男ではない。
冷静沈着ながら熱い正義感を持つリアリスト。


【聖杯にかける願い】
聖杯戦争の打破。




【マスター名】衛宮士郎
【出典】Fate/staynight
【性別】男

【Weapon】
なし。

【能力・技能】
「強化」
物体に魔力を通し、強化する魔術。

「投影」
イメージを元に、魔力で一時的に物体を作り出す魔術。

「無限の剣製」
心象風景を具現化させる大魔術・固有結界。
視認した"剣"の構造や本質を捉え、複製。結界内に貯蔵する。前述の魔術はこれに由来する。

【ロール】
高校生。


【人物背景】
穂群原学園2年C組に所属する高校生。幼い頃、冬木市にて発生した大災害によって天涯孤独の身となり、魔術使い・衛宮切嗣の養子となる。
養父の意志を継ぎ、アルバイトの傍ら正義の味方を目指して鍛錬の日々を送っている。

ある夜、居残っていた学校で争うアーチャーとランサーを目撃。口封じのために殺されかけるが、アーチャーのマスター・遠坂凛の手によって命を救われた。
ランサーによる二度目の襲撃を、サーヴァント・セイバーを召喚する事で生き残る。その後、遠坂凛や言峰綺礼から事情を聞き、戦いを止めるべく聖杯戦争に身を投じる。

UBWルートギルガメッシュ戦終了後・ロンドン出発以前から参戦。

【聖杯にかける願い】
聖杯戦争を止める。
最終更新:2016年05月28日 22:41