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男が立っていた
広い道場の中央、月明かりを浴びて、わずかな動きも見せぬ。
その佇まいには、完全な脱力の態にありながら一切の弱さを見せぬ。
男は武人であった。

「聖杯戦争……伝説として名を残す程の強者達か…」

男の穏やかとも言える顔が、凄絶ともいえる笑みを浮かべる。
かつて倒した森守を思い起こし、男は猛る。
男の名はトゥバン・サノオ、人の身でありながら人を超えた域に到達した化物(ケモノ)である。

――――あの時の恐怖と歓喜…あれを上回る者がいる。

そう、考えるだけでトゥバンの心は沸き立ってくる。

――――この世で一番強いもの(森守)よりも強いものと遭えるのか、また魂が吼える程の強者が待っているのか。

そう、考えるだけでトゥバンの身体は歓喜に震える。
居ないなどとは露程にも思わぬ。己のサーヴァントを見れば判る。英霊とは己が今までに戦った者達を凌駕する存在だと。

「随分と嬉しそうだなァ」

いつの間にかトゥバンの正面に立っている青年。
腰に黒い帯を巻いた白衣――――トゥバンは見たことがなかったが、道着というものらしい――――を着た青年が面白そうにトゥバンを見ていた。

「お主は嬉しく無いのか?」

「殺し合いってのが趣味じゃ無いんでね。結果としての死ならまだしも、最初からどっちか死ぬまでやれっていうのはね……」

トゥバンは笑った。それまでの凄絶極まりない戦鬼のそれではなく、円熟した人柄を感じさせる笑みだった。

「だが、戦うのだろう」

「ああ…何しろ俺の一族は代々馬鹿で、俺はその中でも一番の馬鹿らしいからな」

トゥバンの笑みが深くなる。戦いの歴史とは武器の進化の歴史。槍を用い弓を用い、より遠くから攻撃出来る様、戦いの距離は時代を追うごとに開いてきた。
にも関わらずこの一族は代々素手――――最も距離の近い戦いの業を磨き続け、千年無敗を誇ったと言う。
そしてこの男はそんな殺人の業が何の意味も持たぬ平和な世に、態々己の受け継いだ業を衆目に晒して、己の業が最強であることを示したとのだという。
そんな男がこの舞台に心を湧かせぬ筈が無い。

「まあ…おっさんは此処に自分の意思で来たわけじゃ無いんだろう」

「ああ…気が付いたら此処に居た」

「だったら何の願いも無い上に戦う力も無いのに、此処に連れて来られて殺しあえと言われた奴だって居るかもしれんが、そういう奴がいたらどうする?」

「戦う力が無い者を斬ろうとは思わん」

「俺も同じさ」

だがそれでも、戦う目的を持つ者の方が多いだろう。そんな者達との闘いは避けられない。譲れない願いを叶えられる奇跡を求めるものが、そうそう簡単に身を引くとは思えない。
そういった手合いと戦うのは修羅たる二人にも重かった。

「俺たちの様なバカばかりだと気が楽なんだがな」

「ああ…全くだ」

そんな事は有り得ない。この二人の様な者達だけならば、そもそもどんな願いも叶える優勝トロフィーなど無用の長物。
只々、『強者を用意した。闘え』そう言うだけで嬉々として最後の一組になるまで闘うだろう。
そんな馬鹿ばかりでは無いからこそ、結果として彼等は不退転の決意で以って臨む者達と戦わねばならなかった。
当て止めなど有り得ない、どちらかの死を以って終わる闘争に臨まねばならない。

「お前は願いは無いのか?」

「死んでから叶えたい願いなんてないよ。おっさんは?」

「ワシにも無い…強いて言うならお主と闘いたいくらいか」

「怖いなあ…まるで鬼みたいな顔になってるぜ」

「そんなモノを前にして笑えるお主も同類よ」


二人には聖杯への願いなど無い。しかしこの聖杯戦争に招かれた誰よりも、この舞台に招かれた事を喜んでいた。
人の形をした死が、己の命を狩りに来ると知っていて猶。闘争の恐怖というものを知っていて猶。
その恐怖と死の向こうにあるものを見つめ続けていた。

恐怖を知りながら、その恐怖を乗り越え、永劫届かぬ天を目指し拳を突き上げる二人の修羅の聖杯戦争は未だ始まっていなかった。



【クラス】
バーサーカー

【真名】
陸奥九十九@修羅の門

【ステータス】
筋力:D+  耐久:D+  敏捷:D+  幸運:B  魔力:E  宝具:D

【属性】
中立・中様

【クラススキル】
狂化:E-
凶暴化する事で能力をアップさせるスキルだが、
バーサーカーは理性を残しているのでその恩恵をほとんど受けていない。
しかし、筋力と耐久が“痛みを知らない”状態となっている。

【保有スキル】

修羅
代々の陸奥がその血に宿すもの。強敵との闘争に歓喜し、闘争の中で己の死を感じて笑い、己の力で立てるのならば闘える。
最強を求めるという、天に向かって拳を振り上げるが如き行為を千年続けてきた者達の通称
EXランクの追い込みの美学の効果を持ち、相手に必ず全力を出させてから倒そうとする。

相手の平均ステータスが自分のより高ければ全ステータスに+補正が掛かる。
武器の性能に依らない強さで命の危機を感じれば++が掛かり、全スキルに++が掛かる。
この状態ではBランク相当の戦闘続行、怪力を発揮する。この怪力は筋力のみならず速度も上げる。
この状態を指して「修羅が目覚めた」と表現する。


臆病
バーサーカーは歴代の陸奥で最も臆病な陸奥であり。それが故に敗北を己の死よりも恐れ、結果“四門”を開くに至った。
修羅が目覚めた状態で敗北を感じた時全ステータスが1ランク上がり、“四門”を開くことが可能になる。


透化:C
無私の心。精神面への干渉を無効化する精神防御。

心眼(真):A
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
逆転の可能性がゼロではないなら、
その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

無窮の武練:B
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
いかなる地形・戦術状況下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

被虐の誉れ:B
肉体を魔術的な手法で治療する場合、それに要する魔力の消費量は通常の1/4で済む。また、魔術の行使が無くても、一定時間経過するごとに傷は自動的に治癒されていく。


【宝具】
陸奥園明流
ランク:D  種別:対人宝具  レンジ:1~4   最大補足:1人

代々“陸奥”の名を冠する者により伝えられてきた徒手格闘の技術。
“陸奥”に生まれた者が、生まれた時から鍛錬を積むことで人では無い“陸奥”となる事で初めて体得出来る術技。修得の途中で頑健スキルを得る。
修得の難易度は表せるものではなく、生まれにより決まるといっても過言では無い。
武に携わる者達の間で伝えられてきたものが、バーサーカーにより衆目に晒され、人口に膾炙した為に宝具へと昇華された。
バーサーカーは歴代の陸奥の誰もが開けなかった“四門”を開けることが出来る。
千年間その身に“修羅”を宿した化物(ケモノ)と闘い、不敗を誇ったことから、人間の英霊に対して筋力・耐久・敏捷・宝具にに++が掛かる。
この効果は、陸奥の歴史で唯一、宮本武蔵に引き分けた事からA+以上の無窮の武練により無効化される。


【weapon】
短刀:
代々の“陸奥”に与えられる。戦闘で使ったのは唯一宮本武蔵と戦った時のみ。

【人物背景】
歴史の影で千年間続いた陸奥園明流を自分の代で終わらせるべく、表舞台に出て世界最強を目指す。
園明流の業が衆目に晒され、業が研究されても、ボクシングという陸奥の業がほとんど使えない戦場でも、不敗で在り続けた。
全ての闘いに勝利し、天を目指し、拳を天に突き上げ続けた。


【方針】
強者を求め、闘う。マスターと闘いたい

【聖杯にかける願い】
無い




【マスター】
トゥバン・サノオ@海皇記

【能力・技能】
大陸最強の称号を持つ兵法者。作中で行われる会戦はこのおっさん放り込めば終わるだろうとか思わせる程に強い。全力を出すと折れるなまくら剣使っても大抵の相手や軍隊に苦戦しない。
レーザーとか回避できる。全身傷だらけの状態で、超高速で動き回る森守を同じ所を精確に斬る事で倒す。
夜目が効かないが、何の枷にもならない。
人間を突き詰めて人間を超えた化物。

【weapon】
ディアブラスから貰った剣:
トゥバン・サノオの業に耐えられる剣

【ロール】
剣術道場の師範

【人物背景】
大陸一と評され、生きながら伝説となった男。嘗て伝説の存在である『テラトーの森守』と戦い、これを退ける…が、実際には逃げ回ったら相手が引いただけであり、再戦の機を待っていた。
やがて自分の業に耐える剣をディアブラスから得たトゥバンは、森守と再度戦い、壮絶な激闘の果てに勝利。
その後はディアブラスの部下であったカンタァクを伴い、兵法求道・指南の旅へと出た。10年後に、ディアブラスとの約定でもあった、古の剣をカンタァクに譲った。なお、その最期は明らかになっていない。


【令呪の形・位置】
右手の甲に三本の縦線

【聖杯にかける願い】
無い

【方針】
強者を求め、闘う。バーサーカーと闘いたい。

【参戦時期】
原作終了後
最終更新:2016年06月22日 18:16