聖杯戦争に巻き込まれるということは、果たして幸運なのだろうか。はたまた不幸なのだろうか。
今は、まだ判らない。
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――本日の出演者の白菊です……。みなさん、よろしくお願いします……。
白菊ほたる。彼女の歩んできた13年間は決して平坦なものとは言えない。
それでも彼女は、いつかトップアイドルになれると、幸せになれると、そう信じて。
――はぁ?じゃあ、あの辛気くさいバーターだけで番組やれってか? 無理だよ無理!今日はもうバラして! おーい、そこの……アンタ! 今日はもう帰っていいよ!
現実は厳しかった。売れっ子アイドルが彼女と組むのを拒否してドタキャン。収録は当然中止となる。
必死に練習した笑顔も、事務所の人に付き合ってもらって磨いたトーク術も。更には自身の存在までもが。何もかもが否定された気がした。
――白菊。お前のせいで大きな仕事がなくなったよ。お前なんて移籍してこなければよかったのにな。本当、お前には『疫病神』の称号が相応しい。お前がいると、みんな不幸になる。
プロデューサーは彼女を静かに罵って。
そして、解雇を告げられた。頑張る場所が、帰る場所がなくなってしまった。
所属プロダクションがなくなるのはこれで何度目になるのだろう。今までとは違って、もう彼女を受け入れてくれるプロダクションはない。
もう、アイドルではない――何者でもなくなってしまった。
そこからのことはよく憶えていない。気が付くと涙が頬を伝っていた。全てを忘れ去ってしまいたかった。
涙と一緒に、嫌なことも、不幸体質も流れていってくれるといいのに。と思った。
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真夜中の公園。いつの間にかベンチで眠りに落ちてしまったらしい。差し込む一条の月光に優しく目蓋を撫でられ、白菊ほたるは夢から醒める。
記憶を取り戻してしまった彼女の右手には、己の存在を誇張するように妖しく光る令呪。
殺し合いに巻き込まれたなど、嘘だと言ってほしかった。これは悪い夢だと。
だが、そんな淡い期待は、残酷にも打ち砕かれることになる。
「アンタは……」
ひとまず自分が今住んでいることになっているアパートへ向かおうとする彼女。戦争に巻きこまれた焦りからか、不幸にも他の参加者に発見されてしまう。慌てて逃げようとする彼女に対し、他の参加者、売れっ子アイドルから浴びせられた罵声とは……。
ベンチから起き上がったほたるの視界には、バーターとして支える予定だった売れっ子アイドルが立っていた。距離は相当離れていた――この公園には東口と西口があり、噴水を間に挟むようにして、2人はそれぞれの入り口付近に立っている――が、それでも判るほどの、はち切れんばかりの憎悪と殺気を込めてほたるを睨んでいた。
「アンタがいたから…アンタのせいでこんな殺し合いに巻きこまれた……。アンタが疫病神だから! アーチャー! アンタのビームで早くこの疫病神を殺してっ!」
「あんなにカワイイのになぁ、殺すのはもったいないと思うんだけれど。
……冗談だってば。ちゃんと殺すからさ、そう睨まないでよ。仲良くやろうよ。ほら、スマイルスマイル」
どこからか現れた西部ガンマン風の少年は、売れっ子アイドルに睨みつけられて渋々と了承の返事をし、懐から取り出した拳銃の銃口をほたるに向ける。
「疫病神」と罵られるのはもうこれで何度目になるのだろう。所詮自分は、誰かに笑顔を。幸せを運ぶことなどできないのか。
(ここで終わり? こんな虚構の世界で。幸せにもなれず。笑顔にもなれぬまま。全てを失い続けて不幸のどん底で。私は…私は……)
「死にたくない……」
1秒。2秒。3秒……。
まだ生きている?
銃口を向けられたとき、反射的に閉じた目をおそるおそる開いてみる。
すると、そこには驚愕の表情を浮かべる売れっ子アイドルと、脇腹から血を流して悶え苦しむ少年。
――そして、彼女らの向こう側で1人の男が銃を構えていた。
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「オレの名は地球連邦平和維持軍のエース、不死身のコーラサワー様だ! ライダーのサーヴァントとして呼ばれた。マスター、助太刀するぜ!」
少年を撃ったとおぼしき赤毛の男が名乗りを上げる。
自慢げな表情を浮かべ、銃を持っていない方の手をほたるに向けて振っている。自らの手柄を誇るその動作は、飼い主に尻尾を振る犬のようにも見えた。
「くっ……。サワークリームだかクリームソーダだか知らないけれど、自ら真名を明かすなんて余程の馬鹿か自信家だね。恐らく両方か」
「アーチャー! 分析なんてしてないでさっさと殺してよ! あの男のステータス、てんで低いわ! 早くビームで焼き払って!」
「言われなくたって! 不意さえ突かれなければぼくの方がっ……」
アーチャーはしかし、言葉を最後まで紡ぐことはできなかった。
突如としてライダーの背後に巨大なメカが現れたのだ。
「んなっ……」
驚いた一瞬が命取りだった。その一瞬でライダーはメカに乗り込んでしまったのだ。恐らく起動の合図だろう。先程まで無色だったメカの瞳には美しい光が宿り、背面からは橙色の粒子が零れだした。
慌ててメカに拳銃からビームを連射するも、時既に遅し。堅牢な装甲の前に、ちっぽけな熱線は虚しく飛散していくだけだった。
有効な攻撃を与えられないアーチャーに対し、軽口をたたく余裕すらあるライダー。
「やっぱりライダーじゃなくて『スペシャル』だとか『アンデッド』って名乗った方が印象よかったかなぁ」
ライダーは間違いなくアーチャーを追い詰めていた。――いや、追い詰めすぎていたのだ。
「ふざけるな……ふざけるなふざけるなふざけるな! このぼくがあんな馬鹿野郎にいいようにされるなんてよぉ……我慢ならない! 奥の手で殺してやる!」
半ばやけになったアーチャーが、拳銃に魔力を集中させていく。
圧縮されたエネルギーが充填されていき、それが限界まで達した瞬間。アーチャーは引き金を引いた。
ちっぽけな拳銃から放たれたとは思えないほどの巨大なエネルギーの波が闇を切り裂いてライダーの乗る機体に突き刺さる。
「――え?」
先程までのものとは比べものにならない熱線に、為す術もなく貫かれる胸部の装甲。一瞬の静寂の後に、さながら花火のようにオレンジの粒子を撒き散らしながら爆発四散した。
そして、その爆風によって、機体の周囲――公園の半分近くが死の海へと変貌を遂げた。
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暴力的な熱風が吹き抜け、公園には元のように夜の帳が降りた。
草木は枯れ果て、生物が死に絶え、噴水だったものは情けなくチョロチョロと水を流している。先程までの喧騒が嘘のようだ。
そんな惨状の中で、ほたるは自責の念に駆られていた。
(私に関わったせいで3つもの人命が失われた……)
爆心地にいたコーラサワーはもとより、あれだけの爆風を直に受けたアイドルも少年の生存も絶望的だ。
何よりコーラサワーの死はショックだった。ほたるに味方をしなければ、彼が死ぬことはなかっただろう。見方によっては、ほたるが彼に死を運んだとも言える。
「私はやっぱり疫病神なんだ……」
「そんなことねぇよ、マスター。元気出そうぜ」
「ぐすっ……慰めてくれてありがとうございま……って、えぇ!?」
「そんなお化けを見るような目をするのはやめてくれよ。あの程度で死んでたら『不死身』なんて呼ばれないぜ」
赤毛に切れ長の眼――爆死したはずのコーラサワーがそこに立っていた。
「どうして……でも、生きててくれてよかった」
「マスター、自分のことを疫病神なんて言うなよ。この『幸せのコーラサワー』様が不幸になることは決してねぇからよ。
さあ! 移動しようぜ。騒ぎになったら面倒だ」
白菊ほたる。彼女はここ、聖杯戦争の地で劇的な出会いを果たした。自らと正反対の悪運の持ち主との邂逅によって、少しだけ幸せになれる気がした。
願わくば、彼女らの進む道に幸福あらんことを。
――――逃亡のために盗んだバイクで事故を起こしてしまったのは、また別のお話。
【クラス】
ライダー
【真名】
パトリック・コーラサワー@機動戦士ガンダム00
【パラメータ】
筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:EX 宝具:C
【属性】
秩序・善
【クラス別スキル】
騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、生物は乗りこなせない。
対魔力:E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
【保有スキル】
エース:A
地球軍のエースにまで上り詰めた腕の証。
Cランク相当の直感と勇猛、MSを操縦する際の補正を得る。
【宝具】
『市民守りし平和の象徴(GN-XⅣ)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:─ 最大捕捉:─
人型起動兵器『モビルスーツ』
疑似太陽路を動力に使っており、高い性能を誇る。
シールドやビームライフル、ビームサーベルを装備しており、汎用性が高い。
令呪によるバックアップをすることで、機体性能を3倍以上に引き上げる『トランザムシステム』を使うことができるが、出力を上げすぎると自爆してしまうので注意が必要。
量産機であるため、比較的少ない魔力で召喚が可能。
『不死身のコーラサワー』
ランク:A 種別:対人宝具(自分自身)レンジ:― 最大捕捉:―
夥しい数の死者を出した「対ガンダム戦」、「対ELS戦」において、最前線で戦っていたにも関わらず、無傷で生き残った逸話が宝具となったもの。
異様なまでの悪運の強さによって、あらゆる『死』及び『傷』を回避する。
ライダーの乗る機体が爆発四散しようと、通信機器の使えない状態で砂漠を彷徨う羽目になろうと、熱線の飛び交う宇宙空間に生身で放り出されようと、彼はかすり傷1つ負うことはなかった。
この宝具は、彼の悪運から来ているため、マスターの消費魔力はほぼ無い。
しかし、「彼の乗る機体は殆ど全ての戦いにおいて撃墜されてしまっている」という逸話ものこっているために、乗り物に乗っている場合、2ターンに1度何らかの理由でそれは大破する。
【weapon】
拳銃。彼の生きていた時代に流通していたもの。サイレンサー付き。
【人物背景】
スペシャルで2000回(以上のスクランブルをこなした)で模擬戦(では無敗)の男。
腕は確かだが、自信過剰すぎる性格にやや問題がある。
何度も撃墜されては無傷で生還してくるため、揶揄の意味を込めて『不死身のコーラサワー』という異名を獲得した。上司であるカティ・マネキンと結婚し、『幸せのコーラサワー』を名乗った。
【サーヴァントとしての願い】
はい、無いです!
【方針】
軍人らしくマスターの意向に従う。
【マスター】
白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ
【マスターとしての願い】
帰りたい。
幸せになりたい。
【weapon】
なし
【能力・技能】
「不幸体質」
【人物背景】
所属するプロダクションが次々と倒産していくという不幸な事態に見舞われている薄幸アイドル。
「疫病神」と呼ばれ続けていたせいか、常に低姿勢でネガティブ思考に陥ることもしばしば。
しかし、トップアイドルを目指すことは諦めておらず、幸せになりたいという強い意志と、誰よりも眩しい笑顔を持っている。
【方針】
これからライダーと話し合って決める
最終更新:2016年06月22日 18:04