クイズ協会が行うべき「初心者対応」についての提案


 ☆2017/4/15に協会理事に提出したものとほぼ同一の内容です。
 ☆なお、あくまでこれは「神野が協会に対して行った提案」であり、実際の日本クイズ協会の事業を説明しているわけではない、ということはご理解ください。一部採用された部分もありますが、採用されなかった部分もあります。
 ☆(5/16補筆)なお現在日本クイズ協会は初心者向けクイズ体験会を準備していますが、これは神野による提案以前より独自に計画されていたものであり、神野の提案で始められたものではありません。しかしながら共感できるところも多々あるため、こちらも議論の一材料として当文章を提示したものです。そのむねご理解の程よろしくお願い致します。

【0.はじめに】


 シンサクール蒲田他に所属しております神野です。よろしくお願いいたします。
 「ナナマルサンバツ」アニメ化、クイズブーム……という状況の中、初心者~中級者に対するクイズ界の対応はまだ後手に回っている状況です。
 「日本クイズ協会」が発足した一方、現状まだ協会が何をやるかがはっきり見えていない状況下、協会が主導で現状不足している初心者対応を実施するのは意義のあることと考えます。

 協会がさまざまな方に「初心者対応」についての相談をしている、と伺っております。
 私・神野もできる範囲で協力するつもりでいますが、まず皆様のご意見をぜひお聞かせ願えれば、と思います。
 その叩き台として当文章を簡単ではありますが作成いたしました。ご一読の上、ご意見頂戴できれば幸いです。

【1.まず、理想のクイズシーンとは?】


○クイズ界全体では……持続可能
 → 一時的な「ブーム」ではなく、50年100年と続く「カルチャー」へ

○個人では……継続可能
 → 学生のときだけ、初めて4-5年ではなく、生涯楽しめる趣味へ

 短期的なブーム、人生のごくごく一部にしか触れない趣味ではなく、中長期的に継続し、個人としても長期間楽しめる趣味として、クイズ文化を確立すること。
 今回の検討についてはそこを大きな目的としています。

 「クイズ界の人口」をいたずらに追いかけるつもりはありませんし、数値目標を求めることもナンセンスと考えます。
 ただし、「クイズ文化の安定継続」のためには、一定数に新規加入が続くのが必須です。1年に何%かは様々な理由でクイズを離れるからです(もちろんここの歩留まり向上は別途施策を立てるべきですが、立てても一定数はクイズを辞めます)。少なくとも減った分は新規参入がなければ先細りになります。
 またクイズの知名度、テレビ番組の数などと比較すると、まだまだ「やるクイズ」の楽しさは訴求しきれていません。

【2.そのためには】


○継続的に新しい人が入ってくる
 →「クイズ研の高校・大学」以外からも人が入ってこられる仕組み作り。
  (新規クイズサークル設立・運営サポート、体験会)

○それぞれの実力・スタンスの人が、それぞれに合った形で楽しめる
 → フルオープンのNo.1決定戦以外のイベント、幅広い人が楽しめるサークル

 両方が必要。たくさん人が入ってきたとしても、定着しなければ意味がない。後者の整備も必要です。
 本来であれば「初心者を卒業した中級者」(大学卒業した人、クイズ歴5年を越え「新人王」基準を卒業した人など)に対する対策も急務です。
 が、ここについては民間のイベントに任せるべきで、協会が手をつけにくいと考えます。

【3,一方で現状は】


(1) 入口の告知不足

○ クイズ界に入ってくるルートの大半は、いまだに「高校・大学のクイズ研」。
○ QMA・ヒミツキチラボの影響などで社会人スタートの方も増えてきているが、いまだに「どこに行けばクイズができるか」が明確ではない。

(2) 初心者が楽しめる場面の不足

○ イベントの大半は「フルオープン」で、いきなり強豪との対決を強いられる。
○ サークルは各サークルによって違うが、大半のサークルは特に「初心者を受け入れる」ことは前提としていない(特に社会人サークル)。
○ 学生サークルについては、「初心者=1年生が楽しめる」ことに気を配っていることが多い

 以上より、「初心者に対する意識の高い社会人サークル」か「学生サークル」以外で、初心者がクイズを楽しむのはなかなか困難。 
 向上心を持ってクイズに臨むか、他メンバーとの交流(飲み会などクイズ以外も含む)、スタッフワークなど競技以外の部分にやりがいを見出さないと、定着しにくいのが現状。
 統計をとっているわけではないですが、5-7年でクイズから離れる方(高校スタートで大学卒業とともに辞める、社会人スタートで新人王→早押王基準になった後に少しずつ離れる、など)が非常に多いと思われます。

【4.「協会としてやること」「協会以外がやること」……判断基準と優先順位】


(1) 判断基準

  • 「いろいろなクイズがある」というのは大前提。
  • 「既存でのクイズの楽しみ方」を尊重。協会としてスタイルを変えさせることはしない。
  • 「各主催者が自発的にサークル・イベントを運営」するのが理想。それでやりきれないものを協会がやる。

(2) 優先順位

  • 1 初心者向け体験会
  • 2 初心者を受け入れられるサークルの情報整備・情報提供
  • 3 サークル新規立ち上げ・運営サポート
 以上3つは「民間」に任せていても自発的に行われる可能性は低い。
 一方で今後のクイズ文化の発展を考えると必要であり、協会が運営する意義がある。

【5.協会がやるべき3つの事業】


(1) 初心者向け体験会

  • 「実際にクイズ・早押し機に触ってもらう」のが目的
  • 「中高生」と「大学生以上・社会人」で分ける。
  • 参加費はとる(300-500円前後)。無料にすると客層悪化が懸念される。
  • 2-3時間を1コマとして考える。途中参加・退出も可能。
  • 早押しは「2○3休、参加者の3/4抜け」……なるべく多くの人に正解が出るように心がける。
  • 早押し以外の形式を入れる(早押しはどうしても苦手、という人もいる)。団体戦、ボード、発想力系、択一など。
  • クイズにはさまざまな傾向があって、今回はあくまでそのごくごく一部、というのは最初におことわりする。
  • 3部屋前後(15人程度)でできれば望ましい。一部企画は大部屋(50人)で。
  • 休み時間等にはスタッフから参加者にお声がけする。ただし、あまり露骨な勧誘は行わず、興味があるようであれば情報提供するくらいのスタンスで。

 ☆2003-2011年に実施した、クイズ体験イベント"xyz"のノウハウが活用できます。こちらについてはスタッフと共有可能です。

(2) 初心者を受け入れられるサークルの情報整備・情報提供

  • 協会サイトから、各サークルへのリンク作成。
  • 特に「初心者歓迎」「初心者受け入れ可」のサークルはそれを明記。

 ☆ただ、「初心者歓迎」と言っておきながら実際には「難しすぎる」「レベルが高すぎる」という事例がある……ここをどうするか。
  基準を示した上で「歓迎」「受け入れ可」というように区分する必要あり。

(3) サークル新規立ち上げ・運営サポート

  • 「クイズ研を新たに設立する中学・高校・大学」「各地域のクイズサークル(までいかない不定期な集まりも含む)」の新規立ち上げを促す。
  • 具体的には「運営ノウハウの掲載(協会HP内にコーナーを作るか、まったくの別サイトにするか)「早押し機のレンタル」「企画(問題+形式のセット)の提供」

 ☆「サークルを作る」というとハードルが高い。「まずは一回集まってクイズやってみたら。機材は貸します」くらいからスタートした方がいいか。
 ☆協会が主導で新規サークルを立ち上げるのは困難。ただ、各地域でコアになる人に働きかけることは協会として行ってもいいと考えます。

【6.人員について】


協会理事について

 上記事業については、統括して担当する理事を専任で置いていただきたい。
 連携して実施するのが望ましいので、1-2人がまとめて担当するのが望ましい。

協会がやるか、協会外がやるか

 体験会については下記の形が望ましい(or分科会)。
  「協会の名義で実施し、HPも協会サイトを使用する」
  「が、当日の運営は外部団体に委託(地方については各クイズサークル等との共催)」
  「運営費は極力参加費収入で賄うが、赤字になったら協会から補填」
 最大の理由としては、「金が絡む話であること」と「協会が直接実施すると”こういう傾向こそがクイズの本流”と誤解される恐れがある」ため。

 一方、情報整備・運営サポートは協会で実施した方が良い。信頼性・ネームバリューのため。

理想のスタッフ

 極力「初心者を卒業した人が、初心者のサポートをする」体制が理想(大学1年が高校生向けの大会を、若手社会人が大学生向けの大会をやるように)。
 そのことが、参加者にとっては「親しみやすい」のとともに、スタッフにとっては「中級者にとってのやりがい(プレーヤーとしてやりがいを感じにくくても、別のやり方でクイズに携わる場面を創出する)」につながると考えます。
 ただし、「同じ人が何年も初心者サポートにかかりきりにならないとうまくまわらない」体制になってはいけない。「余力があれば手伝える」人がたくさんいる、というのが理想。
 そのため、中長期に継続するためにも、コアになる部分は理事・外部団体トップなど幹部が担う必要あり。

 また、「女性を呼ぶためには女性が必須」。
 スタッフのうち最低1名は女性を入れ、女性から女性に話しかけるようにした方が良い(さらに言えば、女性スタッフが必ず1名はいるむね謳った方が良い)。

 以上、取り急ぎではありますが、叩き台として私の意見をまとめました。よろしくお願いします。

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最終更新:2017年05月16日 06:12