量子力学が始まった当初「原子から発せられるエネルギーは連続の値をとらず、不連続の値をとる。」ということが知られていた。
つまり、俄に「量子の世界は古典的力学に違反するものがあるのではないか。」と囁かれるようになる。
また、Rydbergは水素の発光する光の波長は次のような式で導かれ、整数によって支配。つまり非連続な値を取ると主張した。
すべての原子においてこの非連続性は説明できないだろうか。
Bohrは次のように仮定し非連続性を説明しようとした。
- 原子中の電子は量子化されたエネルギー状態を取る
- 安定した状態(後に定常状態と呼ぶ)では光を出さない。
- 各エネルギー状態間の遷移でのみエメルギーの吸収・放射が起こる。
- エネルギー差はhνに相当。つまり、ΔE=hν
- 電子の角運動量は量子化される。これについては次式が主張する。

(ただしnは整数)
さて、ここで最後の条件を用いて次のことを考えてみる。
「陽子の周りに電子が円運動している」を古典力学的に考えると運動方程式は次のようになる。
この式とBohrの最後の条件の式を用いて計算すると次の結果が導ける。

(1)
またここからエネルギーを計算してやると次のようになる。(ただ単純に古典力学的に運動エネルギーと位置エネルギーの和で計算すればよい。)

(2)
(1)、(2)式から原子の半径とエネルギーは整数によって支配される。つまり量子化されることが分かる。また、半径が大きくなるほど(つまりnの値が1,2,3・・・と増えると)それに応じてエネルギーも大きくなることがわかる。また、段階的に半径は一般的にK殻(n=1)、L殻(n=2)、M殻(n=3)、・・・と呼ばれる。
よってこのことから、原子の発光・吸収はある殻からより違う殻に移動する際に発生する余分のエネルギーとして考えれば、発光・吸収のエネルギーの非連続性を説明することが出来る。
さて、この議論となった整数nは主量子数と呼ばれ、エネルギーを特徴づける整数と意味付けすることが可能である。
最終更新:2009年05月31日 02:23