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「機動戦士ガンダム0079 AfterWAR 3話改編という名の新造」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

機動戦士ガンダム0079 AfterWAR 3話改編という名の新造」の最新版変更点

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 ダカール防衛ラインでは爆発音が連続していた。
 
 ジムコマンドが隊列を組み眼前のジオン混成MS部隊と砲火を交え次々に互いを残骸に変え潰し合う。
 別の場所では量産型ガンキャノンの主砲集中砲火でザクが火を吹き倒れてゆく。
 90mmで脚部を貫かれ転倒したザクにビームサーベルで止めを刺そうとジムが近付いた瞬間、黒煙から現れたグフのヒートロッドで上半身を半壊させられた。
 鹵獲されカーキ色に塗り替えられたジムがザクの120mmを撃ちながらも追い詰められ複数のジムに八つ裂きにされ断末魔を上げる。
 左腕を失ったジム改が防御もままならず砲撃の前に為す術も無く撃ち砕かれてゆく。
 
 ここはもう戦場だ…1年戦争の時と同じ、生き残るだけで精一杯の…
 
 
 
 違う点がただ1つ、圧倒的な連邦軍の数の前に目に見えて整備不全と分かるジオンのMSは短時間で押し潰されて行っているということだ。
 
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 0080/09/15
 
 NT-1改強奪事件から2ヶ月が経過していた。
 ギャンブル大隊は拠点をオデッサからダカールへと移しジオン残党狩りの橋頭堡守備としてその戦力を存分に発揮していた。
 
 件のNT-1改は斥候部隊の目撃情報や内通者からの情報により北アフリカ戦線で運用されているものと推測され、その進撃コースからダカールへ進んでいるのは明らかである。
 被害も相当なもので連邦が鳴り物入りで開発していたMSだけに基本スペックは高くノーマルのジムでは手に余る。
 部隊全滅の憂き目も何度か遭わされており基本的に遭遇次第の撤退を余儀なくされている。
 そしてその当て馬として設定されたのがゼファー小隊であった。
 ダカールの30km手前を半島ごと封鎖、展開された封鎖線は60kmに渡り5機編成に拡大されたゼファー小隊はNT-1改を迎え撃つべく、この長距離を移動する為に試作のドダイ改を予備機込みで7機も追加配備された。
 これでNT-1改が出現したときには即座に駆け付けることが出来る。
 
 一部ではこの待遇に不満も出ていたが<ホワイト・ライトニング>の名前とNT-1改のスペックに匹敵する唯一のMSを保有している小隊ということでそれなりに受け入れられている。
 
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 ダカール基地と防衛戦はギャンブル大隊と旧コジマ大隊を母体としたバズィング大隊の2個大隊で24時間体制の警備が行われる。
 その物量のお陰で未だダカール防衛戦は一度としてジオン残党に突破されることのない鉄壁ぶりを発揮していた。
 
 ダカールの立地条件上、海上から攻撃は避けられないがこれに対して最早海が埋まるのではないかというほどの機雷を敷設し、更にジオンから接収した水中用MA『グラブロ』2機が投入されている。
 しかし海上からの攻撃は余り想定はされていない。
 ユーコン級が停泊、整備の行える港はほぼ全て連邦が抑えるか破壊されて使用不能になっている。
 さらに水中用MSの運用上耐圧殻の点検は必須でありなおかつビーム兵器を内蔵した為にその整備も複雑を極める。
 本格的な整備が行える設備はもはやジオン残党には殆ど残されていない。
 よって水中用MSは耐用限界が近い機体が多いと判断されている、実際つい最近鹵獲されたズゴックなど酷いものだった。
 水中を進むというよりももはや溺れながらなんとか進むといった様相だったのだ。
 上層部は機雷と対潜ヘリだけで十分対応できると判断したが念のために『グラブロ』を2機も配備した、完全なオーバーキルである。
 
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 一方北アフリカジオン残党軍は追い詰められていた。
 ダカールを足掛かりに連邦は掃討作戦を推し進めいくつかの主要な拠点も陥落させられるか破壊され放棄を余儀なくされている。
 今も中破したダブデ陸戦艇を応急修理して司令部として使用している有様だった。
 
 そして組織そのものも瓦解寸前といった状況である。
 元北アフリカ司令部参謀ドゥラーム・セットー大佐はやつれていた…
 現在階級の上で頂点にある彼はこれ以上の戦闘は不可能と判断し南下して同胞に合流するか最悪降伏をするつもりだったのだが
 MS部隊指揮官ハイブリッツ・フォーレス中佐を筆頭とした戦闘継続派によって命令は無視されただのお飾りと化していた。
 しかし会議で戦闘継続を叫ぼうとも大量の負傷者を抱え補給はある訳も無くドゥラームは何とか事態を打開しようと日々根回しを行ってはいるが余り成果は上がっていない。
 
 そして彼の努力も空しくハイブリッツ中佐は周囲の残党を纏め上げダカールへの強行突撃を決定、1週間後に実行に移される。
 
 最初の連邦によるダカール侵攻作戦で司令部の上層部がほぼ全滅し自分のような佐官風情が司令部最高指揮官に収まっているのが間違いではあるが
 だからといって責務を放棄する訳にはいかない、負傷者のほとんどが自分の子供と言ってもおかしくない年端もいかぬ少年少女なのだ。
 そして1週間後に始まるであろう戦いに参戦するのも大半が子供だ…若い彼らを無駄死させる訳にはいかない…
 その信念がドゥラーム大佐を突き動かしていた。
 
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 0080/09/17
 
 新生ゼファー小隊の面々はNT-1改の要撃準備の一方で通常の出撃もこなしていた。
 MS2機とファルケン戦闘ヘリ1機のチームで戦闘を行っているのだが小隊長であるガラッツは基地でジムカスタムの調整に勤しんでいた。
 ジムカスタムと言っても中身はもう別の機体に等しい、おまけに極めてピーキーなセッティングで慣熟訓練に梃子摺っているのだ。
 
 「お前の操縦ならこれで問題ないだろう。」
 
 NT-1改専属チーム主任アルフ・カムラは言い切った。
 このアルフ・カムラという男は神経質そうな風貌に違わず事実神経質でMSの設計、整備に関しては超一級の知識と腕を持っているのだがゼファー小隊の整備班からは煙たがられている。
 しかしそんなものは知った事ではないと言わんばかりにジムカスタムの改修を行い、今も調整に尽力してくれているので神経質なだけの男と言うわけでもないようだ。
 
 「もう少し反応早くならないか?
  あのグフのパイロットがそのまま乗って来るならこれじゃあ遅い。」
 
 「これ以上は無理だ、反応速度自体はアレックスと変わらん。
  ここから先はお前の腕次第だ。」
 
 アルフは言い切った。
 
 「確かにサイコセンサーの分だけ向こうさんが有利だが実際に使えるかは分からんのだろう?」
 
 ハゴット整備班長もコックピットハッチの外から顔を覗かせる。
 
 「そうだ、それに例のグフのパイロットがニュータイプだとは俺には思えん。
  サイコセンサー自体はニュータイプが使わなければただのお荷物だ、
  だから俺はお前をアレックスのパイロットにすると言う条件でこの戦線に送ることを許可したんだ。」
 
 アルフの言葉は暗に俺にニュータイプとしての素養があると言っている。
 だが正直なところはそんなものはどうでもいい、今はNT-1改を何としても倒すことが第一だ。
 このままではリードの墓前に顔向けが出来ない…
 
 「…了解、このまま一度模擬戦をやってみたいんだ。
  点検を頼む。」
 
 「ああ、わかった。
  ハゴット班長、機体の方を頼む。」
 
 「あいよ。
  お前ら終わったらハッチ閉じろ、すぐに出すぞ。」
 
 ハゴットの指揮で整備班の面々が慌しく作業を終えてゆく。
 コックピットのディスプレイが警告の赤い表示からOKの緑の表示に次々と切り替る。
 アルフはコンソールを操作しながら接続したモバイルPCのディスプレイに流れるログを確認して一人頷くとコードを引き抜き
 
 「OKだ、いつでもいけるぞ。」
 
 と言いコックピットハッチからハンガーのキャットウォークへ出た。
 整備班も機体から離れていく中ハゴットはもう一度コックピットを覗き込み
 
 「あんまり気張るなよ、お前さんはやれるだけやったんだ。」
 
 そしてガラッツから反言を聞かずにキャットウォークのセーフゾーンへと歩いていった。
 
 「………ゼファー小隊ガラッツ・ミドナードより管制塔へ、
  これより第03MS訓練場にて慣熟訓練を再開する。」
 
 『こちら管制塔、了解。
  第03MS訓練場での訓練再開を許可します…頑張ってくださいね中尉。』
 
 女性オペレーターは笑顔で励ましてくれた。
 そんなに暗い顔をしていたのだろうかと顎を撫でながら考えたが詮なきことと頭から追い出した。
 
 「ジムカスタム出すぞ!全員注意しろ!」
 
 外部スピーカーで声をかけてハンガーから機体を離し模擬弾の入った90mmマシンガンを火器ラックから取り出し格納庫から出る。
 既に訓練場ではイトウ少尉とトロント准尉が待機していて後は自分が到着すれば訓練の再開だ。
 
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 0080/09/18
 
 ダカール基地の建造はまだ6割程度しか完了していない。
 実際滑走路も第4滑走路までしか完成しておらず計画されている第5、6滑走路はまだ舗装すら行われておらず第7滑走路に至っては予定地だけ確保して未だに手も付けられていない。
 お陰で滑走路は連日大渋滞を起こしている始末である。
 
 そんな中でティア・アール准尉は悲鳴を上げていた。
 連日の物資の搬入だけでもう限界だというのにここ1ヶ月オーガスタ基地からのMS部品の搬入が激増しているのだ。
 ギャンブル大隊補給部隊の規模に対して入ってくる物資は過剰を通り越して無謀だった。
 もちろんバズィング大隊も一緒に補給物資の管理を行っているのだが先にダカールに入ったギャンブル大隊が船頭を執る形になっている。
 残念ながらダカール基地守備隊は手続きの関係上まだ機能していない為、更にギャンブル大隊の負担が増大してティア・アール准尉の悲鳴の原因を作っていた。
 
 「あー次のミデアの中身は何!?食料品以外なら第08備蓄庫へ、あそこならまだ余裕があったはず!!」
 
 「は~い、それじゃ移動の手続きしておきますね~。」
 
 ティア准尉の指示にのんびりした声が答えた。
 フランドール・M・ジャクスン曹長は基地無線で移送班へ指示をやはりのんびりした声で出していく。
 ただし携帯端末に高速で入力をしながらなおかつ片手で器用にキャンディを取り出して口に放り込みながらである。
 幸せそうな笑顔を浮かべているところに
 
 「あなたはまた仕事中に~~~っ!」
 
 前を歩いていたティアはまるで般若面の如く目を吊り上げて振り返る、何かもう口から火を吹きそうな勢いだ。
 
 「先輩カルシウム不足ですよ~、このカルシウム入りのキャンディーを差し上げmきゃん!」
 
 フランドールに殺人デコピンクラッシュが炸裂した。
 指先から湯気を昇らせながらちゃっかりキャッチしたキャンディーを口に放り込み、ティアは次のミデアの目録に目を移した。
 
 「っ~、またオーガスタから!?何機分MS部品入れれば気が済むのよ!!フラン、今すぐカムラ大尉を呼び出して!!」
 
 「う~痛いですよ~、そして繋がりましたよ~。」
 
 基地無線の小さなディスプレイに眼鏡の男が映し出されている。
 
 「カムラ大尉、以前からお願いしていますが今は基地の工事用の物資が最優先です。
  MSのまして試作部品なんてものは後にしてください、これはジャブロー司令部の命令ですので無視されても困ります。」
 
 『ふむ、ちゃんと連絡が回っていないようだな。俺の部品はこれで終わりだ、ただし<ホワイト・ライトニング>がMSを壊さなければの話だが。」
 
 眼鏡の位置を直しながら続けた
 
 『今回の部品は備蓄庫に入れずに直接うちの格納庫に持ってきてくれていい、他になにかあるか?』
 
 「いえ…失礼しました大尉、失礼します。」
 
 ディスプレイからアルフの姿が消えた瞬間壁に拳がめり込んだ。
 そして2度3度と拳が叩きつけられていく。
 
 「糞眼鏡がえっらそうにぃ~…」
 
 「まぁまぁ先輩これでしばらくは楽ちんになるじゃないですか~。」
 
 「120%が100%に戻っただけだーーーーーーーっ!!!!」
 
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 ギャンブル大隊、バズィング大隊とは別にダカール基地配属予定の中隊、アンブシュア中隊が居る。
 しかし実際はギャンブル大隊から株分けされた中隊でありMSの配備すら追いつかない鹵獲されたザクとドムを中心とした部隊である。
 同部隊長アントール・フォークルヤ大佐はこの処遇に不満だった。
 
 終戦からこっちずっと冷や飯食いだ、なぜ士官学校をトップで卒業した自分がこんな僻地でたかが中隊の司令に収まっているのか。
 ギャンブル大隊から厄介払いをされるようにダカール基地守備隊に回されしかもその守備隊としても未だ手続きの遅れから機能していない。
 飼い殺し以下の放置に等しい扱いだ。
 
 先日のRX-78 NT-1改強奪事件では事前にジオン残党に情報をわざとリークして罠を張って待っていた。
 しかし残党はリークした情報とは別のルートから基地へ突入したのだ。
 そのお陰で基地の周辺警備を指揮していた自分の責任を追及されてしまった、責任を取らされるような事態は避けたものの経歴に傷がついたのは間違いない。
 
 何とかして挽回しなければ…
 
 この思いがアントールの頭の中を駆け巡っていた。
 
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 0080/09/19/13:21
 
 昼下がり、ガラッツ達ゼファー小隊の面々は他の小隊と交代するべく防衛線へと一緒に追加配備される改ビッグトレー級に便乗して移動中である。
 ここ数日ジオン残党の動きが活発化しているのだがなぜかレーダーレンジに入った途端に撤退するという目的不明な行動だ。
 
 目的は判明しないものの放置するわけにもいかず哨戒機を増発し残党の動きを探ろうとしていた。
 残党の目的がハッキリするまでは防衛線に配備する部隊も増強され調整が終わったばかりのジムカスタムと共にゼファー小隊も配備される。
 ビッグトレー2隻、ヘヴィーフォーク4隻で編成された艦砲打撃部隊へ追加配備される改ビックトレー級はMS母艦として運用できるように改造された鑑だが今はMSは搭載されていない。
 現地のMS部隊を艦載機として運用する予定だったので相乗りすることができたのだが車長から一旦降りてMSで先に進んでくれと連絡が入った。
 ジオン残党から投降の意志ありとオープンチャンネルで通信が入ったらしい、しかも通信の発信者は現在北アフリカ残党のNo.3と目されるドゥラーム・セットー大佐からであった。
 今日日付が変わると同時に開始される作戦の詳細と現在の負傷者リストとそのカルテのコピーが一緒に送られてきた、カルテは手書きだが逆にその深刻さを伝えることとなった…
 
 改ビックトレー級車長は一度ダカール司令部に指示を仰ぎ投降するダブデの臨検する為の陸戦隊とMPを派兵する為にここで待機命令を受けた。
 ガラッツは念のために残ると車長に進言したが車長はやんわりと断った、ガラッツ達と交代で一度基地に戻る部隊が居るとのことだった。
 その部隊を立ち会わせる旨と英雄さんは早く戦場に行って仲間を励ましてやってくれと伝えてきた。
 
 「英雄…かぁ…」
 
 MSのコックピットハッチに足を掛けながら独りごちる。
 複雑なモノを抱えながら改ビックトレー級からMSを出し防衛線の3つの拠点の中の一つ、αポイントへと足を向け歩き出した。
 だがガラッツはこの時交代部隊を待つべきだったと後悔することとなる。
 
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 0080/09/19/15:07
 
 ゼファー小隊がαポイントに到着すると同時に交代のザルヴィ小隊は改ビックトレー級へと出発した。
 この日はジオン残党の動きは少なく夜の作戦に備えていると思われまだ防衛線全体に弛緩した空気が流れていた。
 MSや各種装備の総点検をしている整備兵達が忙しく走りまわっているぐらいなものだ。
 
 到着してすぐのゼファー小隊は敵の侵攻作戦開始2時間前に配置、それまでは割と自由な時間となった。
 イトウ少尉は地理条件と天候をチェックしに観測部隊に顔を出しに行き、メイベル少尉は深夜の作戦に向けてさっさと睡眠をとるべく仮眠室へと引っ込んでいった。
 トロント准尉とテナー准尉は連れ合って配給所で食事をとっている。
 
 隊長であるガラッツはMSハンガーで留守番となった。
 正確にはMSの傍を離れる気になれなかったのだ、猛烈な悪寒が足元から這い上がるのを感じる…
 
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 0080/09/19/16:54
 
 ダブデが投降してきたとβポイントの前方へ移動していた改ビックトレー級とそれに搭乗した臨検部隊から連絡が入った。
 ほぼ予定時刻で事前通告の指示どおり主砲を全て後ろへ向けた状態で姿を現し重症の乗組員以外は甲板上で白旗を持って待機していた。
 
 しかしその1時間後、艦内の武装解除と捜査が完了したのでβポイントへ曳航すると同時に軍医とベッドを用意して欲しいという連絡を最後に全ての通信が絶たれた。
 爆発音や戦闘の振動は検知されておらずダブデの巨大なキャタピラの走行音だけがαポイントへ向かって進行中と観測班から報告され、α及びβ、γポイントは第1級戦闘態勢が発令された。
 だが深夜の作戦に合わせて整備や補給を行っていた部隊がほとんどでαポイントでは動ける部隊は1/5程度だ。
 整備中のMSや61式は途中で切り上げられるものから順次戦闘態勢に入っていったが今度はβポイントが通信を途絶した。
 有線ケーブルでの通信なのでミノフスキー粒子による撹乱ではない、どころか通信自体はしているのだが応答がないのだ。
 途絶寸前に聞こえたのは何かを嘔吐しながら通信マイクに何かを吹き込もうとするも言葉を発することが出来ず倒れる音だけが響いた。
 
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 0080/09/19/17:02
 
 ドゥラーム大佐以下降伏に賛成した者達によって戦闘継続派の立てた作戦で後方から艦砲射撃を行うことになっていたダブデを丸ごと強奪、作戦開始前に連邦軍に投降するという手筈になっていたのだが予想以上に抵抗が少なく容易に計画を実行できた。
 元々主砲の残弾も少なく交戦に積極ではない乗組員が多いために軽視されていたのだろうとドゥラームは考えていた。
 既に連邦軍によって臨検も始まった、これで自分は戦犯として逮捕される。
 極刑は免れられないだろう…月に残してきた妻と娘にもう一度会いたかった…
 
 そんな逡巡をしている時に異変は起こった。
 
 ダブデの右舷で小規模な爆発が起きた。
 そして周囲に展開していた連邦軍の兵士が次々に倒れだしたのだ。
 艦内の捜索を行っていた連邦兵士何か操作を間違えて弾薬を爆発させたのかと思われたがそもそも弾薬は全て既に投棄している。
 ビックトレーの前で整列してチェックを受けていたジオン兵士達も何事かと周囲へ視線を走らせていたが彼らも次々に倒れてゆく。
 眼や耳、鼻に口最後には体中の皮膚から血が吹き出し全身を痙攣させもがき苦しんで動かなくなる…
 そんな地獄絵図が蔓延し連邦ジオン関係なく呑み込んでいく。
 その最中薄れいく意識の中でドゥラームはジオンのパイロットスーツに身を包んだ人影を見た。
 
 「ジークジオン」
 
 その言葉を聞き届ける事無くドゥラームの意識は月の家族の元へ旅立っていた…
 
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 0080/09/19/17:11
 
 αポイントに集結している各部隊の隊長が集められ状況の整理と対応が練られている。
 ジオン残党の攻撃には間違いないのだが一体何が行われているのか検討が付かない…
 いや本当は誰もが頭の片隅に懸念を持っているがそんな愚かな行いを実行するわけが無いと思っているのだ。
 だがその甘い考えは会議室として使っているテントに乱入してきたイトウ少尉によって打ち砕かれた。
 
 「G3ガスだ!!さっきβポイントの生き残りのMSから通信が入った。
  症状と状況からいって間違いない!!風向きが変わったらこっちにも来る!!装備の無い連中の撤退をっ!!」
 
 テントに入るやいなや叫んだイトウ少尉に会議に参加していた全員が振り返りその言葉を理解する為に1秒以上費やした。
 
 「少尉、説明を。」
 
 短く言ったウレモノア中隊長に略式で敬礼してホワイトボードの前に立ったイトウ少尉は
 
 「先刻βポイントのフェール小隊員より無線が入りました。
  屋外にて作業中だった整備兵が次々に吐血して倒れその救護に同隊MSパイロットがコックピットハッチを開けたと同時に通信途絶、 以下MSで歩哨に立っていた者以外皆同様の症状で昏倒、死亡したものと思われます。
  またMSの外部センサーによりG3ガスと酷似した成分が検出されたことと倒れた部隊員の症状、この2点からG3ガスと判断しました。
  いえ、たとえG3でなくともこの状況を鑑みてBC兵器が使用された可能性が大きく気密装備の無い者は風上への退避を。」
 
 ウレモノア中隊長の表情が曇る。
 61式も簡易ではあるが気密しているがこの砂漠の砂の影響で気密パッキン等の細かい箇所のダメージは計り知れない。
 こうなるとMS以外に完全な気密を保てる装備は無いのだがここのところの残党との小競り合いでMSは余力として残している20機以外はダメージを負っているような状況なのだ。
 とても今から全機の気密チェックなど行う時間は無い、しかも最近は地上でパイロットスーツを配備されず戦闘機用の対Gスーツを改装したものが主流になっており防護服替わりには使えない。
 ウレモノア中隊長は目を瞑り言った。
 
 「全部隊のMSと61式以外はγポイントへ移動!!
  整備班長、今気密チェックまで完了している可動可能なMSの数は?」
 
 「23機と今日到着した5機で28機、今から突貫作業すればもう2機は仕上げられます。」
 
 「よし、今すぐ整備兵全員を使ってでも完了させろ。」
 
 中隊長の言葉を聞き終わる前に整備班長はテントを駆け出て行った。
  
 「艦砲打撃部隊に伝達、即座にダブデを撃沈、後に全力で此処へビックトレーを寄越して兵の退避の支援をしろ。
  気密チェックの終わっていないMSは2隊に分けビックトレーの護衛と艦砲打撃部隊の護衛に付ける、振り分けはシャンソー隊とクラッシク隊に任せる。
  チェックの完了したMSはゼファー隊に預ける、βポイントへ急行して残存しているMSを回収保護、
  61式は1km北上して砲撃体制にて待機、通信は確実に行え味方を撃つなよ。
  …そして敵が来るとすれば半分空き家になった此処かβか…」
 
 「βポイントへの大規模攻勢はありえないかと。」
 
 イトウ少尉が続ける。
 
 「残党の使用するMSの整備状況や装備からガスへの対応が出来るとは思えません。
  …ただNT-1改は突破してくる可能性が非常に高いと思われます。」
 
 この意見には会議に参加している小隊長達は賛成した。
 今まで最も近くでジオン残党のMSを見てきたのだ、中隊長は一つ咳払いをし
 
 「先程の命令を変更する。
  ゼファー小隊はβポイントにてNT-1改を迎え討て、
  チェック済みのMSはクラッシク隊に預ける、ここで待ち伏せて残党を殲滅しろ。
  シャンソー隊は艦砲打撃部隊の直衛と同時に第2防衛ラインとして展開。
  艦砲打撃部隊に追加で伝達、ダブデ撃沈後は風上から各隊の支援砲撃を。
  以上何かあるか?
  無ければ何時もの訓練どおり冷静沈着迅速に行動しろ以上、解散!!」
 
 テントからイトウ少尉と並んで出たガラッツはイトウに部隊員の招集を頼むとMSハンガーへ駆け出した。
 普段ならMSで急行すれば済むのだが想定される戦闘の過酷さから脚部への負担を少しでも軽くする為にドダイを使用する。
 そのためにドダイへの給油と点検を整備班に頼まなくてはならないのだ。
 MS2機の整備と機密チェックで忙しい整備班に無理を言うことになるので隊長のガラッツ本人が顔を出すことにした。
 
 --------
 
 0080/09/19/17:25
 
 普段ならゼファー小隊付きの整備班なので気兼ねすることも無いが今は中隊として行動している、なのであまり顔を知らない整備兵ばかりだ。
 ウレモノア中隊長の命令書を持って整備班の指揮所に入るが誰が責任者なのか分からない、というよりも大量の人間が右往左往走り回っていてどこに誰がいるのか分からないのだ。
 しかしこういうときに有名人というのは役に立つらしい。
 ふと目のあった若い整備兵が「あっ」という顔とともに駆け寄り
 
 「ガラッツ・ミドナード中尉!!どうしました!?MSの整備に何か問題でも!!??
  やはりペダルが硬すぎましたか!!!???」
 
 「あ~いやいや別にMSに問題は無いよ、ついでに俺のMSのペダルはいっつもあんなモンだ。
  そして何より落ち着けー、そんでもってここの責任者は何処にいる?ちょっとお仕事のお願いだ。」
 
 そういいながら命令書を見せると整備兵は書面をフンフンと読み顔を上げた。
 
 「了解しました。今班長を呼んできます!!」
 
 ビシッと敬礼を決めて駆け出そうとするがガラッツはその肩を掴みながら
 
 「いいよ、こっちから行こう。
  こんな状況で余計な仕事を頼むんだ、こっちから顔を出すのが礼儀だろう?」
 
 「はぁ…しかし命令書が出ている以上は。」
 
 「いいのんいいのん、パイロットは整備班に恩売っとかないと後が怖いの。」
 
 そう言いながら整備兵をぐいぐい押しながら案内をさせようとしたとき。
 
 「久しぶりだな<グフハンター>、いや今は<ホワイト・ライトニング>か?
  ガラッツ訓練生。」
 
 書類で埋もれたデスクから声を掛けられる。
 禿げ上がった頭と額と頬に大きな傷のある大柄な男性だ、メガネを掛けているが絶望的に似合わない。
 
 「ティンパー教官!?」
 
 思わず後ずさりながら敬礼をする。
 
 「相変わらず口の利き方がなっとらんな、まぁいいここに来たということは何か用事があるんだろう?」
 
 「あぁ、いえ教官にではなく整備班の責任者に用事がありまして…」
 
 「それなら私だ、用件を聞こうガラッツ。」
 
 「え!?何故教官が?というかよく考えたら何故ここに?キャルフォルニアベース奪還戦でそのまま向こうに配属されたんでは?」
 
 「まぁ昔話はこの戦いが終わってからにしようガラッツ、用件は大方ドダイの点検と補給だろう、それならもうやっている。
  さっさと部隊の指揮に戻らんか、もう時間は無いぞ。」
 
 「了解です、教官。」
 
 「生きて帰れよガラッツ、私の教え子で生きているのはお前ぐらいなんだ…」
 
 「それも了解です、いつも教官にしごかれてたのは伊達じゃありませんよ。
  では戻ります。」
 
 敬礼して駆け足で指揮所を後にする。
 
 「ティンパー大尉…<グフハンター>というのは?」
 
 若い整備兵が不思議そうに尋ねる。
 
 「うむ?アレがまだMSの機種転換訓練中にオデッサ奪還作戦があってな、
  1機でも多くMSを投入する為に訓練生まで駆り出したんだ。
  そのとき訓練生の癖にグフを4機も仕留めたんだよ、以来訓練生の間でアレの渾名は<グフハンター>になったんだ。
  今となってはそれを知っている連中もほとんど残ってはいないがな…」
 
 ティンパーは少し天井を仰ぎ懐かしむように言った。
 
 --------
 
 0080/09/19/17:38
 
 「全員揃ってるな。」
 
 MSハンガーの前にゼファー小隊パイロットが待機しているのを確認してガラッツは声をあげる。
 
 「それでは行くとしようか。」
 
 「ちょっと待ってくださーい!」
 
 先程整備班指揮所で会った若い整備兵が台車を押しながら走ってくる。
 
 「ティンパー大尉がこれを持って行けと。」
 
 「ナニコレ?」
 
 「旧式ですがパイロットスーツです。
  型落ちになって未開封のままうちの倉庫で置きっぱなしになってたんですよ。
  皆さんのサイズで合ってるハズですが一応SからLLまで持ってきました。」
 
 「隊長、どんな知り合いがいるんですか…?」
 
 トロントがハテナマークを浮かべながら聞いてくる。
 
 「軍に長く居ると変な繋がりが出来るもんさ。
  ありがたく使わせてもらおう、コックピットで着替えながら行くぞ。」
 
 パイロットスーツを受け取って各々のMSへと走っていく隊員を眺めながら
 
 「ティンパー大尉によろしく言っておいてくれ、今度酒でも引っ掛けながら昔話でもしましょうってな。」
 
 そう言いながらジムカスタムへと歩いてゆく。
 
 「戦果を期待してますよ、中尉!!」
 
 背中で聞きながら振り返らずに手を振る。
 これでNT-1改強奪から始まった一連のジオン残党狩りに決着をつけよう。
 
 --------
 
 0080/09/19/17:45
 
 ドダイ改が沈み始めた太陽を背に上昇してゆく。
 それと同時に到着していた改ビックトレー級へ整備、事務、陸戦隊の人員が乗り込みが始まる。
 撤退の随伴MS部隊がゼファー小隊に手を降っているのを眺めながら高度を上げβポイントへと機首をむけ加速を掛ける。
 今後の天気予報での風も北北東からで北緯にあるγポイントへのガスの流入は無いと予想。
 ただしβポイント付近は夕刻にしては珍しく砂嵐の発生の兆候がある為G3ガスの拡散が期待されている。
 
 情報を整理しながらドダイをオートでβポイントへ向かわせる。
 コックピットでパイロットスーツへ着替えるのだがとにかく狭い。
 
 「やっぱ着替えてからにすればよかった…
  狭すぎて死ねるわ…」
 
 ぼやきながら着替え終わると左のモニターを眺めた。
 左の腰にマウントされた連邦のMSには似合わない無骨な刃が鈍く光る。
 
 NT-1改強奪事件の際に放棄されたグフの装備だ。
 リードのジムコマンドカスタムのコックピットに風穴を開け、テナーの量産型ガンキャノンの右肩に突き刺さったヒートソード。
 わざわざジョシュアに直談判までして搭載したものだ。
 ただの個人的な感傷に無理に付き合わされた准将を筆頭にマウントを製作したハゴット達整備班の面々、ヒートソード用にOSの調整に駆り出されたカムラ、無事帰還したらまた頭があがらないだろう。
 正直整備班にはボコボコにされる気がしないでもない…まぁそれは甘んじて受け入れよう。
 これが最後になるかもしれないから…
 
 
 
 この戦いが終わったらきっと俺はもう戦えない。
 今まで連邦軍の一兵士として戦ってきた、顔の無い兵士として…
 だが今度は違う、明確に個人の私怨で相手を殺すために戦おうとしているのだ。
 これは軍事行動ではなくただの殺人に成り下がっている。
 たとえ生き残ってもきっとその重みに俺は耐えられないだろうから。
 
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 0080/09/17/17:51
 
 ゼファー小隊がドダイで飛び立った今αポイントにはクラッシク隊を中心に8個小隊+αの25機のMSが熱遮断シートを被り岩陰で待機していた。
 地中に埋設してあった対MS地雷からの反応が既に東から西へ向かっていくつか消失している。
 対MS地雷といっても対艦機雷を改造して対MS地雷として使用しているだけなのだがその威力は侮れない。
 元々が大型艦を航行不能の陥らせるほどの威力をもった機雷はMSを行動不能どころか撃破すらしてしまうのだ。
 この地雷のお陰で残党軍は進撃速度をかなり鈍らせている、今となってはただでさえ貴重なMSをたかが地雷ごときで失うわけにはいかないのだろう。
 ただジオン残党軍も馬鹿ではない、最近では無人のマゼラアタックにザクのシールドを取り付けて地雷処理を行ってから進行するという手段を整えている。
 しかしこの方法では時間が掛かってしまうのだが弾薬の乏しい残党軍では地雷除去に弾薬を消費してしまえばますます困窮してしまう。
 
 地雷を除去していくマゼラアタックの後ろにMSが並ぶ光景はシュールでもある、そして狙撃の格好の的になるのだ。
 高台の頂上で熱遮断シートに身を包んだ陸戦型ジムのメインカメラが仄かに輝く…
 その手に抱えられた180mmキャノンがマゼラアタックの後ろに続くドムに照準を合わせ、そして…
 
 
 
 
 180mmキャノンが火を吹き砲弾が山なりの軌道を描き吸い込まれるようにドムのコックピットへ直撃。
 ドムが上半身と下半身をバラバラに吹き飛ばされ周囲の地雷へ接触して強烈な閃光が起こる。
 
 「よーしまずは1機…」
 
 陸戦型ジムのパイロットが呟く。
 だがジオン残党の対応も早かった、ドム8機編成の部隊が地雷を踏む覚悟で散開してジャイアントバズを撃ち返してくる。
 陸戦型ジムは熱遮断シートを翻しながら高台の影へ飛び降りパイロットが叫んぶ。
 
 『こちらホワイトフェザー!!ドム1機とマゼラアタックを撃破!!
  ドムの団体さんが突っ込んでくる、各隊迎撃よろしく。
  こっちは引き続き後続を戴くぜぇっ!』
 
 岩場や窪地で息を潜めていた8小隊24機のMSが一斉に熱遮断シートを引き剥がし90mmマシンガンの雨を降らせる。
 7機のドムの内1機が地雷を踏み閃光に消えた。
 それでも怯まずジャイアントバズを撃ちながら更にスピードを上げて前進する。
 各々のドムの左手に鹵獲したジムのシールドを持っている為に90mmでなかなか貫通出来ないのだ。
 だが20機以上からの集中砲火で頑丈なジムのシールドも徐々に形を失い最後に弾丸の雨に直接晒されたドムが倒れてゆく。
 6機のうち4機を失いながらも残った2機は一番近くに居たジムにジャイアントバズを向けると同時に360mm弾頭を放つ。
 しかし弾頭はジムに届く前に横からまるで暴風のような弾丸の嵐で叩き落とされた。
 量産型ガンキャノンだが名前のキャノンの代わりに大型のガトリング砲が突き出て猛烈な勢いで弾丸を吐き出している。
 見慣れぬMSにドムが一瞬怯む、そしてその隙を見逃さず量産型ガンキャノンは火線をそのまま2機のドムに合わせ込む。
 とっさにシールドを突き出すがガトリング砲の高速連射の前に一瞬でシールドは引き裂かれそのままドムの重装甲に弾丸が喰い込み薙ぎ倒される。
 2機のドムは弾丸の嵐の前に重装甲も役には立たず無力化された。
 
 
 
 量産型ガンキャノンSS仕様
 両肩のキャノンを100mmガトリング砲に換装し大容量カートリッジを追加、両マニピュレータに100mmマシンガンと小型シールドを装備。
 中距離砲撃支援から中距離面制圧を単独で行う為に生まれ変わったMS。
 現在ギャンブル大隊に2機、バズィング大隊に1機が配備。
 
 
 
 だがこのドムを囮にして後続のザクとグフを投入、残存したドムと鹵獲されたジムの姿も確認出来た。
 既に地雷原の安全地帯は確保されている…残党軍MSは迷うことも、躊躇うこともなく駆け抜ける。
 
 白羽根のスナイパーはそのスコープに新たなMSを捉えていた。
 陸戦型ジムのカメラがザクの動きをつぶさに捉え再び180mmキャノンが咆える。
 ザクの上半身がバラバラに吹き飛び下半身がその場で倒れこみ再び砂を巻き上げた。
 スポッター替わりに各所に設置された赤外線カメラ搭載の複合センサーからの情報を統合しつつ陸戦型ジムの左肩に増設された複合センサアレイが薄暗く砂塵が舞う中でも敵の姿を曝け出す。
 
 
 
 陸戦型ジム ホワイトフェザー仕様
 機体そのものは陸戦型ジムそのままだが左肩に複合センサアレイの増設、通信システム強化に伴い頭部大型ロッドアンテナを追加。
 180mmキャノン支持用に左膝にジャッキを右膝に滑り止めのスパイクの追加を行っている。
 なおパイロットの趣味により大型ロッドアンテナは白く塗装されている。
 
 
 
 しかしそれでもMSの運用に関してはジオンに一日の長がある。
 狙撃によって撃破されたMSの残骸を掴みそれを盾変わりに突っ込んでくるのだ。
 180mmキャノンやミサイルは防ぎきれないが100mmマシンガンや90mmマシンガンには十分過ぎる防御力を発揮する。
 簡易の多重装甲板となってAPFSDS弾の貫通力をも無効化するのだ。
 ジオン軍は砂漠の過酷さをその身を持って叩き込まれMSもそれに対応させてきた、その結果砂漠でのビーム兵器の精度や威力が砂塵と熱波によって著しく低下して維持運用は手間がかかるだけで使い物にならないと判断している。
 そして連邦軍も同じ結論に至った結果このような死者を盾にするというゲリラ戦法が編み出されていった。
 現地改修でMSの残骸を盾として使う為の補正プログラムも入れているらしく弾丸に対して正確に防御して見せている。
 
 そしてなによりも想定していたよりも残党軍のMSが多く徐々に距離を詰めつつある。
 20機近いMSが接近していたがそれでもスナイピングと猛烈な弾幕で14機まで減らされている。
 
 「これなら余裕で始末できるな…」
 
 一番先頭に立っているジム改のパイロットが独りごちる。
 次の瞬間コックピット内に砲撃警報のアラームが鳴り響く、後方に待機していたマゼラアタックからの長距離支援砲撃だ。
 長距離砲撃では砲身の少しのズレが着弾精度に致命的な誤差を生む。
 MSでの長距離砲撃は使い物にならず未だ戦車の独壇場である。
 
 『くそっ!!砲撃くr』
 
 ジム改が外部スピーカーで叫び終わる前に吹き飛んだ。
 そして釣瓶撃ちに次々に着弾してゆく中一気にザクとグフを中心にした部隊が突貫してくる。
 
 最早こうなれば乱戦だ。
 
 ジムコマンドが隊列を組み眼前のジオン混成MS部隊と砲火を交え次々に互いを残骸に変え潰し合う。
 別の場所では量産型ガンキャノンの主砲集中砲火でザクが火を吹き倒れてゆく。
 90mmで脚部を貫かれ転倒したザクにビームサーベルで止めを刺そうとジムが近付いた瞬間、黒煙から現れたグフのヒートロッドで上半身を半壊させられた。
 鹵獲されカーキ色に塗り替えられたジムがザクの120mmを撃ちながらも追い詰められ複数のジムに八つ裂きにされ断末魔を上げる。
 左腕を失ったジム改が防御もままならず砲撃の前に為す術も無く撃ち砕かれてゆく。
 
 ここはもう戦場だ…1年戦争の時と同じ、生き残るだけで精一杯の…
 
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 0080/09/17/17:55
 
 αポイントで連邦軍とジオン残党軍が激突を始めた頃ゼファー小隊はジオン残党軍からの対空砲火で思うようにβポイントに近づけないでいた。
 ギリギリでβポイントを通過する前にジオン残党軍と接触に成功したものの元々防御に適した岩場を防御陣地として使っていたが故に上空からの攻撃も困難を伴っている。
 イトウがバイザー越しでも分かるぐらいに表情を曇らせて言う。
 
 「隊長、これじゃ近づけませんよ。
  工作班もいい仕事してる…それに火線が予想より多い。」
 
 「ドダイ改って一応スペック上は2機まで搭載して飛べるよな?」
 
 ガラッツは口元を歪めてイトウに確認する。
 
 「スペック上は、ですが。
  ただまだ飛ぶのが精一杯で戦闘機動なんて出来ませんよ。」
 
 「オーケー、テナー准尉!!しっかりドダイをコントロールしろよ!!」
 
 「えぇ!?り、了解です。」
 
 テナーが答えると同時にガラッツはドダイ改を急降下させながらジムカスタムを跳躍させた。
 イトウのドダイ改を踏み台にして更に高く跳躍して八艘飛びさながらにテナーのドダイ改へ着地する。
 ガラッツの乗っていたドダイ改は重力を味方につけ驚異的なスピードで地表に激突し、大爆発を起こした。
 燃料が満載されていたドダイは大規模な爆発を引き起こした。
 
 「イトウ少尉とトロント准尉は支援を!!
  テナー准尉突っ込め!!メイベル少尉も続け!!」
 
 砂塵と黒煙が巻き上がる中へ2機のドダイ改が急降下してゆく。
 ガラッツはドダイ改が着地する前に再びジムカスタムを跳躍させドダイ改の墜落ポイントの傍に居たザクを蹴り倒して着地した。
 
 「メイベル!!トロント!!周囲を確保、ガンキャノンの降着誘導しろ!!」
 
 ゼロ距離でザクのコックピットに90mmを3連射して沈黙させながら指示を飛ばす。
 
 「了解、トロント准尉は西を私は東を警戒する。」
 
 メイベルのジムコマンドカスタムとトロントのジムコマンドライトが90mmマシンガンで牽制射撃を開始する。
 上空からもイトウの量産型ガンキャノンとテナーの量産型ガンキャノンSS仕様が弾丸の雨を降らせながら降下している。
 この間にもガラッツは機体を走らせ次の獲物に狙いを定めていた。
 
 軽量化の為に小型シールドしか搭載していないジムカスタムには陣地確保に向かないことは百も承知だ。
 陣地確保の支援に周囲の敵機の連携を断ち切りもうしばらく混乱してもらう、必然的に生まれた役割分担だが予想以上に上手く機能している。
 ガラッツはザクにビームサーベルを突き立てながら少しだけ安心していた。
 訓練期間も短く連携に不安を感じている部分もあったが今のところ問題無い、いけるさ。
 
 2機の量産型ガンキャノンが着陸して展開するが同時にジオンも冷静さを取り戻し撹乱に徹していたガラッツを連携して包囲し始めた。
 ここまで生き残り抵抗を続けてきたジオン残党だけあって腕も確かだ。
 中でも動きの違う2機のドムがあった、例のNT-1改強奪事件に加わっていたドムだ。
 
 「あのドム…あの時の!!」
 
 テナーのジムコマンドライトが駆け出す。
 ジムコマンドを装甲を犠牲にして軽量化機動力を向上させた。
 砂漠のような足場では重量級のMSでは砂に足を取られて機動力が大幅に低下させてしまう。
 重量級だがドムのようなホバー機動は砂漠のような平坦な場所の多い戦場ではますます手が付けられない機動性を発揮する。
 その対策としてのジムコマンドライトだが防御力は著しく低下していてザクの120mmや90mmが致命傷になりかねない。
 
 「なんだあのセミヌードのジムはー?」
 
 「ジムの改良型みたいね、注意してマイア。」
 
 双子のドムはジグザグの機動で距離を詰めにかかる。
 マイアのドムが左手に持った120mmマシンガンで牽制を加えながら右肩に担いだジャイアントバズで本命の一撃を狙う。
 だがジムコマンドライトはその身軽さをもって直進からいきなり直角に横跳びして躱し切る。
 そしてそれに留まらず90mmをドムに直撃をさせ縦横無尽に駆けまわりドムへと襲いかかる。
 
 リベンジだ、あの日何も出来ずに無様に気を失い気が付けば全て終わっていた。
 
 
 
 こうしてβポイントでも戦闘開始の狼煙が上がった。
 
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 なんかものすんごい長くなるので一旦うp
 これでラテがパクッたら笑うの通り越して腹筋ちぎれるw
 
 - 乙  -- 名無しさん  (2010-10-10 12:18:46)
 - まさか二次創作とはいえども、ジムコマのライトアーマーがでるとは渋いな作者乙  -- 名無しさん  (2010-11-14 23:05:21)
 - 喜んでもらえたようで何よりです、全部書き終わったら改修MSの詳細も上げてみようかな  -- 中身  (2010-11-20 06:12:13)
 - 立体化は俺にまかせろー  -- 名無しさん  (2011-01-04 21:03:43)
 - バリバリ  -- 名無しさん  (2011-01-06 11:28:03)
+- やめて!  -- 名無しさん  (2011-01-06 16:03:02)
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