空の便利屋
「う~ん……一体何が~……」
とある場所にて少女一名、頭を傾けて悩んでいた。
彼女が悩んでるのは、何故自分がこんな所にいるのかということ。
殺し合いをしてもらいます宣言より前の記憶からしてもいるのはおかしい。
何故なら彼女は一度、死んだ筈なのだ。
彼女、篠原世以子は天神小学校という所で命を落とした筈だ。
如月学園の学園祭が終わり、鈴本繭という男子にも人気のあった女の子のお別れ会をした。
委員長の会談話があったり哲志のビビリがあったり妹さんが登場したり。
最後には委員長の提案で、その場にいる人とはずっと離れずにいつまでも友達で居続けられるお呪いをした。
幸せのサチコさん、9回サチコさんにおねがいしますと唱えて人形を引きちぎる。
そう、これはただのお呪い。これが地を震わせるとかいう効果を引き起こす訳が無い。
だから教室内に亀裂が入って、その亀裂が穴へとなって皆を暗い闇の底へと落とした。
あの一連から状態はおかしくなってしまったんだろう。
先々で待っていたのは、親友の直美。それと、天神小学校。
行動していく内に人魂や死体といった刺激の強過ぎるものが辺りにあった。
それに直美は耐えきれなくて、保健室周辺で直美と離れてしまった。
………そして気がつけば、厠にいて―――少女一名がそこで死亡した。
その少女が自分、篠原世以子の筈なのだ。
だから今、世以子がこんな場所で生きてるというのはおかしいのだ。
自身の死体を見たという訳ではないが、確かに死んでしまった筈。
でもここで生きている。心臓の鼓動も聞こえてくる。
さっきまでの天神小学校での記憶は夢の一部だったのか?
……いや、それはあり得ない。リアル過ぎる夢というよりリアルそのものだった。
あれが夢である筈が無い。じゃあ、逆にこの場所にいることこそが夢?
それもまたあり得ない。夢だとしてもこれもリアル過ぎる。
一体、自分はどうなっているんだろう?
死んだ?死んでいない?生きている?生きていない?
ここは夢?現実?一体、何が起きている?
全てが分からない。ただここは殺し合いが行われているらしい。
天神小学校内では生きるのと脱出が目的で直美と行動してきた。
ここに直美がいるのか分からないが、もしいるなら会いたいと思った。
あんな喧嘩の後だけど、こんな所だけどちゃんと仲直りをしたいと思った。
直美は、ここにいるんだろうか?それとも、天神小学校に未だ残されているのだろうか?
「……あっ、そうだ。確か……」
思い出す。そういえば支給品って奴があるんだっけと。
その中には名簿があるらしい。これで誰がいるか分かるかもしれない。
他にも色々あったが先ずは名簿を世以子は確認した。
「岸沼君……委員長……持田君…の妹さん……私……森繁君……だけかな、知ってる人。
直美、いないんだ……。仲直り出来ないけど……こんな所にいなくて良かった。」
少しだけ残念でもあるけど、大半は良かったと思った。
直美が殺し合いをする場所になんか呼ばれちゃったら、不安で仕方なかった。
案外精神脆いから、下手すれば錯乱しちゃってたかもしれない。
だから世以子はもう一度思う。本当に直美がここにいなくて良かったなって。
でも直美以外の一部の人はいる。皆、絶対に殺し合いはしない人達だ。
委員長こと篠崎あゆみは怪談好きだけど結構怖がりだし、というかここは怪談現象が起きるというより
現実的な人と人の空間。この場の空気には耐えれないかもしれない。
持田君の妹こと
持田由香ちゃんもきっと一人で怯えているのかもしれない。
岸沼君、森繁君の男子二名はこんな所だけど何とか行動してくれてるかなと思う。
つまり世以子は先ず篠崎あゆみと持田由香を探そうかと決めた。
「……でもそう簡単にはいきそうにないなぁ~……誰か頼れる人が保護してくれてるとか、
そんな都合の良い事になってないかなぁ………。」
もし保護されてたら、きっと大丈夫。
逆にずっと人に見つからないように隠れてるのもいいかもしれない。
でも高校生がこんな時にそんな判断、容易に出来るとはあまり思えない。
それに精神的に少し追い詰められてる状態なら尚更のこと。
だからあるとすれば保護ぐらいしかあり得ないと思う。
(……まあ、無事を祈ろう!上に考えよう!うん、それで気が楽になるって!)
世以子はポジティブ思考だ。これも直美との喧嘩の原因だが……。
深くは考えず、取り敢えず出会える事を祈っておけばいい。
楽観的な思考のまま辺りの違和に言葉をかける。
「……で、何でコンビニに何も置かれてないの?」
コンビニは大体が24時間営業してるから、品が一つもない状態なんて考えられない。
でも今まさにコンビニはもぬけのから。ただ電灯が点いてるだけの建物。
そんな姿のコンビニは珍しいものだった。レジの中身すら何もない。
店内の奥にも何もない。世以子は店内を歩き回ってそれを確認する。
何も無いとなれば、もうこんな場所に用なんて無かった。
こんな所に長くいても無駄ならば、退室してしまえばいい。
一秒でも早く皆を見つけ出したいから、こんな所で時間を潰す訳にはいかない。
と、いうことで世以子はコンビニの自動扉を開いて店内から出て行った。
―――そして、銃声が鳴り響いた。
「えっ……?」
その音に驚いて、ただ考える時間なんて無い。
世以子の身体には命中しなかったが、その弾は背後のコンビニのガラスに当たった。
ガラスは割れなかったものの、銃弾が当たる音が聞こえる。
周りを咄嗟に見渡しても人影は何処にも見えない、なら―――。
世以子は急いでその場から退いた。コンビニの建物の後ろに逃げる。
銃弾が背後のガラスに当たったなら大体の位置は把握出来る。
コンビニ内の道もあったが、世以子はコンビニの後ろを選択した。
逃げる最中にも、銃声は3,4回鳴り響いたが世以子に命中することはなかった。
命からがら世以子は逃げる事に成功した。
「はぁ……はぁ……どうしよう……!?」
だがそこからどうするかなんて考えてなかった。
対抗出来る武器……そうだ、武器。
デイパックの中身を焦りつつも確かめる。だが、武器の一つも無かった。
運に見放された。取り敢えず出て来たものをデイパックへと仕舞う。
この間にも距離を詰められてるかもしれない、今相手は何処に?
考える暇もくれず、銃声が聞こえてくる。
「うあっ!い、痛!」
ついに銃弾に被弾してしまった。幸い命中したのは心臓ではなく足の部分。
だが足でも痛い。走るのは厳しい状況となった今、隠れ通すのが最善の方法。
こちらの場所が把握される理由を考えれば、原因は直ぐそこにあった。
コンビニのライトが、世以子の位置を明確にさせていたのだ。
つまりこの建物から離れれば暗闇に紛れる事が出来る。
(頑張れ、私の右足……!)
痛みを堪えつつ世以子は方角も気にせずコンビニから離れる。
その判断は正しく、それから銃声が鳴り響く事も無く世以子は逃げる事が出来た。
ここがどんな場所か分からないが、取り敢えず世以子は地面に座る。
被弾した右足からは血が出ている。大量出血という訳ではないが痛い。
足への被弾はこれから後々どう響いてくるだろう?
数時間で直るだろうか?分からないが、今は休憩するのが一番だと思った。
さっきの銃撃者がこちらの存在に再び気付いた時は、終わりだろう。
(こんなんじゃ……凄く不安になってきたよ……でも、頑張らなきゃ。
これぐらいで世以子さんを絶望に落とせませんよー?ファイトファイト!)
襲撃されて尚、世以子は自分を励まして頑張るという意気になっていた。
そこが世以子の強みだろう。………そして。
「ごめん、君何か包帯のようなもの持ってない?」
「えっ、ほ、包帯……?な、ない。ないよ……」
「そっかー……ま、いいや。気にしないで」
逃げた先にいた一人の少年。
これに気付いたのは座って数秒後だった。
少年は先に気付いていたようだが襲ってくることはなかった。
だからこうやって包帯ないか求めた。
結果は残念だったけど、でも少年は大丈夫な人なのは分かった。
「私、篠原世以子っていうんだー。高校生だけど、人生経験は豊富なんだよー?」
出来るだけ明るく振舞う。直美と一緒の時のように明るく。
その人生経験はとても語れるような内容じゃないのは言うまでもない。
というか、常人には言えたような内容じゃない。というか信用出来ないだろう。
まさか穴に落ちた先の小学校の厠で死んだなんて、現実離れし過ぎた内容過ぎる。
そしてその少年の名は天野雪輝という訳だ。
世以子は単なる殺し合いに呼ばれた参加者の一名であると思っている。
だが彼はサバイバルゲームの参加者でもある。そう、彼は未来日記所有者。
優勝すれば神の座に立てるサバイバルゲームの1st。
未来日記とは、未来が書かれた日記。その通りに時間が進む。
今だって、雪輝の無差別日記通りに事が進んでいた。
00:20 高校生の女が接近。右足を負傷しているようだ。
そして今の時間は、お互いに名前を言い合うと書かれていた。
まだDEAD ENDフラグはたっていない。この女、世以子の戦意は0のようだった。
雪輝自身の戦意は0ではない。だが雪輝だって人殺しをしたい訳じゃない。
3rdを殺したのは本当だけど、アレは奇跡のようなもの。
DEAD ENDフラグがたっていたからあんな行動をとったんだ。
ここの世界の参加人数は50人。勝率はかなり低い。
奇跡でも起きない限りは、たった一人の少年が優勝するなんてあり得ない。
無理だとも思っている。取り敢えず今は生存を優先して行動するつもりだが。
こういう相手が油断している時を狙って、人数を減らしていけばいいんだろうか?
今、この世以子という人を殺すのが最善といえる行動なんだろうか?
それとこの場所には由乃まで呼ばれている。
由乃は狂ってる。自分を守る為なら何でもする。
守られる方からすれば心強い。でも由乃は自分以外には無差別だろう。
こんな殺し合いの場。由乃が人殺しの一つもせずのままにいるとは考えられない。
絶対に殺している。しかもそれは天野雪輝という一つの存在の為に。
この戦意0な世以子という人だろうが関係無く由乃は人を殺すだろう。
由乃は自分を殺す訳が無い。大丈夫だ、由乃はどんな状態であろうが自分は襲ってこない。
そんな自信がある。由乃と出会っても逃げなくていいとは思う。
また助けてくれる。脅威的な能力を持つ彼女が僕を助けてくれる。
僕は傍観者だ。殺し合いの会場でもそれは変わらない。
積極的にする必要なんてない。ただ見ていればいいんだ。
今、由乃は何をしているんだろう?
未来日記で僕の行動を観察しているんだろうか?
迷惑だ。でも、この無差別日記の組み合わせる事で最強となる。
由乃の発見は僕にとっては非常にありがたいこととなる。
傍観者は、行動に出ない。
世以子の事は様子見程度で今は考えてる。
牙をむく時はいつになるか、雪輝日記の所有者こそがそれを先に知る。
【A-1 ???(ファミマ周辺)・一日目/深夜】
【篠原世以子@コープスパーティーBCRF】
【状態】疲労(小) 右足出血
【服装】如月学園女子制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3(武器は無し)
【思考】基本思考:如月学園の皆を探す。
1、右足の出血を止血しておきたい。
2、さっきのは誰だったんだろう……。
【天野雪輝@未来日記】
【状態】健康
【服装】普段着
【装備】なし
【道具】基本支給品 無差別日記@未来日記 不明支給品1~3
【思考】基本思考:生存を優先する。傍観者なので積極的には動かない。
1、由乃とは出会っておきたい。
2、世以子という人はどうしようかな………。
※【無差別日記@未来日記】
自分の身の周りの事が無差別に書かれる。自身の事は書かれない。
由乃の雪輝日記があれば最強の未来日記となるだろう。
◆◇
そして、襲撃者。
精神的には少し辛かった。
その襲撃者も一般人だ。銃の扱いが下手だったのは頷けるだろう。
いきなり殺し合いをしろと言われて、焦らない方がおかしいと思える。
したくはなくても、やるしかない。やらないと死ぬ、それがこの場所だから。
まだ志半ばの状態。こんな所で死ぬ訳にはいかないのだ。
襲撃者であるが本職はアイドル。人に笑顔を与えるアイドル。
ファンだっている。ファンがいきなりそのアイドルが死亡したと知れば……?
下手すれば、後をおって自殺する者もいるだろう。
自身の死は非常に良くない事態を引き起こす。だから死ねない。
………でも自分なんかが生き残れる訳がないと思っていた。
そのアイドル、萩原雪歩なのだが彼女は自身をダメダメアイドルと思っていた。
人気が出てきてから彼女の内気な性格も少しずつ変わり始めていた。
アイドルになりたいという夢。それが叶った、後はもっと上を目指す。
765プロの皆と一緒に目指していた道の途中でこんなイベント。
初めはドッキリか何かだと思った。でも違う、あんなリアルな光景は撮影現場とは思えない。
これは本当の殺し合いだ。そう思ったのは人の首がぶっ飛んだ辺り。
雪歩にはその内容は辛すぎた。
結果、雪歩は震えつつも支給されていた銃を持って撃った。
全然当たらないから尚更焦って、やっと一発当たっても殺せないまま終了。
自分のダメダメさを呪った。やっぱり変わってないんだと思った。
昔と同じ、やっぱり自分はダメダメ。それが改めて感じさせられた。
だから変わらなくちゃいけない。この苦難を乗り越えて。
人を殺すというチャレンジをしてでも、変えようと思ったのだ。
手にある銃器、ベレッタM92Fを強く握ってそう思ったのだ。
【A-1 ファミマ周辺・一日目/深夜】
【萩原雪歩@THE IDOLM@STER】
【状態】疲労(小)
【服装】普段着
【装備】ベレッタM92F 8/15 (予備弾30発)
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:自分を変える為に、人を殺す。
1、やっぱり自分はダメダメなんだ………。
※【ベレッタM92F@現実】
イタリアで開発された多目的拳銃。
アメリカ軍が1985年に「M9」の名称で正式採用した事で、
一気に各国の軍部や警察からの注文が殺到した。
現在アメリカ軍、イタリア軍、韓国軍を始めとする
軍隊、各国警察機関、航空保安官、麻薬捜査官などの国家機関に、幅広く使用されている。
しかしスライドに大きな窓があり、
バレルが大きく露出しているせいで5000発も撃つとスライドが割れてしまう事が良く、
改良型のベレッタM92FSを発表。
M92Fとの交換が進められている。基本的にM92Fも、M92FSも「ベレッタM92F」と呼ぶ。
世界中で使用されている事、見栄えが良いなどの理由から、ハリウッド映画やメディアなどには繁盛に出てくる。
拳銃の代名詞の1つ。
最終更新:2011年12月06日 19:04