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ただ正義を貫け ~ Bent justice




学校の裏側にて、そこに正義は潜んでいた。
潜むというよりは倒れていた、という方が正しいかもしれない。
顔面につけられた目玉っぽい紋様の仮面みたいなもの。
服装はただ黒く、よく分からないもの。
つまりよく分からない人がそこにはいる。
でもそれは正義だ。彼の所持する日記は正義日記なのだから。
勝者が正義で敗者が悪となる、そんな歪んだ正義を持つ。
未来日記の所有者の一人、平坂黄泉はそんな人。
そして今、目覚めと共に正義を教える日記が声を出す。

『00時00分。バトルロワイアルガ始マル。倒スベキ悪ハマダアラワレナイ。』

平坂黄泉のバトルロワイアルが始まった瞬間だ。
目の見えない彼の驚異的な聴力が活かせるかは鍵となるだろう。
その耳に入ってきた声は、参加者を全員倒せという指令。
それこそが正義の行いであると、正義日記はそう語った。

「参加者ハ50名。私ヲ除ケバ49名……。催眠術ガドコマデ通用スルカ……。」

冷静に先ずは会場で主催者の発した言葉を思い出す。
参加者の数。首輪に備えられた効果。
能力を制御する能力が確かかは分からないが、本当なら催眠術はおそらく……。
催眠術以外で対抗するのは少し不利だ。幾ら正義日記があろうとも。
現実を表示させない視界が、平坂に他の参加者とのハンデを与えている。
平坂はそんな些細な事を気にすることもなく、この殺し合いに臨む。

この未来日記は、世界と自分を変えた代物だ。
12thの正義日記はボイスレコーダーとなっている。
未来の善行を伝えてくれるこの未来日記を、たったの50円で購入した。
外見から人に勘違いされて、冷めた正義の情熱を50円で復活させた。
それからの平坂黄泉はまた人助けをして街を彷徨った。

そして日記所有者同士のぶつかり合い。
12thの彼は、6thの殺害の為に時期を見計らって行動に出た。
悪である6thにはDEAD ENDフラグがたち、殺害は成功する筈だった。
だが1stと2nd。特に2ndの存在により彼自身にでもDEAD ENDフラグがたってしまった。
それを覆す事も無く、彼は9thから爆弾を借り、それを自身の体内にセット。
6thを殺害する為に突撃した彼はあえなくDEAD ENDを覆せず2ndによって殺害された。
これが平坂黄泉こと12thの結末。


そう、敗北した。

勝者は正義で、敗者は悪だ。


自身は敗北した、これで自分は悪になるのか?


『実は私、"正義のヒーロー"というのに憧れてましてね』


この意志が、彼を正義へと導いた。
正義のヒーローに憧れ、想像で自前のスーツ・覆面を作った。
それを着用した状態で今、自称正義のヒーローはこの学校の裏にいる。
死亡した筈の存在は今、正義を名乗る。


「倒スベキ悪ヲ倒ス、ソレコソガ私ガ、正義ガヤル役目ダ!」


一度死亡したなど、些細な事だ。
もう一度、正義として活動出来るならそれは12thにとっては幸せだろう。
まだ殲滅出来ていない悪を、再び殲滅出来るチャンスなのだから。
では正義日記が示す悪とはどんな対象なのだろう?
平坂黄泉が倒すべき悪とはどんな存在なのだろう?
変態的スーツを着用した正義は、未来日記に耳を傾けた。


00時10分。女の子の落し物を拾う。処理。


数分後にその未来は発生する。
未来日記に嘘は無く、また特別な行動も無く未来は変わらない。
正義の為、歩く事数分後に何かが足に当たった。
迷いも無くそれを拾って落とした張本人を聴力で探し………。


「スイマセン。」


そう声をかけて、手を差し出す。
落し物を持っている方の手を差し出す。


「コレ、落トシマシタヨ。」


相手から返事は無くて、不思議に思っていた。
善行を行っているが……もしかして、感動のあまり声も出ないのだろうか?
それほど大事な物を落として、今とても感謝しているんじゃないだろうか?
悪を倒す正義も感謝される。善行を行っている正義は感謝される。

暫く時間が経った時、正義日記が新たな善行を持ってくる。


00時16分。女の子が食べられようとしている。


よく分からない現象でも、それが悪の存在がいることを提示しているに変わり無し。
悪を殲滅すべく、平坂黄泉は動いているのだから行かないという選択は無い。
これが未来だから、そのままに平坂黄泉は動くのみなのだ。
いま存知している巨大な悪を倒す為に、小さな悪から先ずは消していく。
人を犠牲にしてまでも悪を倒そうとする正義、勝者が絶対的な正義。
歪んだ正義はどこまで貫かれるのか?



             ◆◇



後ろから声をかけられて見たものは、怪人だった。
変な覆面、黒い服装。手に持っているものは紙だった。
呆気に取られていると、怪人はそれを置いて何処かへ走り去って行ってしまった。
そんなあり得ない奇妙な出来事が開始僅か数分にして起きたのである。

「……………」

もう言葉を発する事すら忘れてしまっていた。
怪談は好き。でも、怪人に直面するのは無理。
何がなんだか分からず立ちつくすしか出来ない今。
ふと視界に映ったものを読んでみた。
紙に書いてあるのは、死際に書いたかのような血で書かれた文字。
5枚あるそれを、さっと読んでいく。
内容を理解してくると、途中で読むのをやめようと思った。

……でも、後戻り出来ない。

途中で中断すると先が気になってしまう。

どうしても気になってしまう。



続きを読みますか?

いいえ
はい



             ◆◇



「コノ音ハ………ッ!?何ダッ!?」

正義である平坂の耳に音が聴こえてくる。
凄く不快な音が、まるで誰かが何かを食べてるかのような音が。
鮮明に聴こえるその音は不気味で、プシューと何かが出てるような音もした。
音だけじゃ何が起きてるかよく分からない。
理解出来ないまま、平坂黄泉は正義日記に耳をあてた。



             ◆◇



食べる、食べられてる。
どっちが食べて、どっちが食べられている。

今、何をやってる分からないなあ。
何でかな、自分の感覚が、意識が遠くなっていく気がするなあ。

私って、今どうなっちゃっているのかな?

目の前にいる女の子は、今どうなっちゃっているのかな?

美味しい。それを感じてるのはどっちなんだろう?

分からないまま時間が過ぎて行く。

声が聞こえた。意識が遠くてよく聞こえないけど。


でもハッキリ聞こえた。


「私もいただきまーす♪」


女の子がそう言って、大きく口を広げてこちらへと近付いてくる。
そっか、美味しいと感じてたのは多分私だったんだ。
それはつまり、何かを食べてたんだ。
食べられてたのは向こうだったのかな?
でも食べられていないような気がする。
何故だろう?


ムシャリ


身体に痛みは感じない。
ただ何かが抜けていく感がする。
不思議な感覚、この体験談も話せたらいいな。


ムシャリ


今、食べられているのは………私。


ムシャリ


食べラレていく。タベラレテイク。


ムシャリ


サヨウナラ、私ノ全テ………。


ムシャリ



             ◆◇



『00時18分。女の子は食べられました。処理失敗。』


イレギュラーな情報が、正義日記から発せられた。


【篠崎あゆみ@コープスパーティーBCRF 死亡】


【E-1 学校裏側・一日目/深夜】
【平坂黄泉@未来日記】
【状態】健康
【服装】変態的ヒーローコスチューム
【装備】なし
【道具】基本支給品 正義日記@未来日記 不明支給品1~3
【思考】基本思考:正義のヒーローとして倒すべき悪を倒す。
1、何ダ……!?


【E-2 学校裏側・一日目/深夜】
ルーミア@東方Project】
【状態】健康 口元血だらけ
【服装】ルーミアの服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:???
1、美味しいな~♪


※【正義日記@未来日記】

12th、平坂黄泉の未来日記。
倒すべき悪事、守るべき弱者を記録する。
所有者が全盲なのでこの日記はボイスレコーダーである。


※【犠牲者の手記@コープスパーティーBCRF】

天神小学校に連れられ、死んでしまった生徒の怨念が籠っている。
全部で5枚セットで、4枚目までは読んでも問題は生じない。
………だが、5枚目を読み終わった時―――呪いが降り注ぐ。


sm009:チルミルマスター ~ CirmirM@STER 投下順 sm011:YUI&YUI
START 平坂黄泉 sm000:[[]]
START ルーミア sm000:[[]]
START 篠崎あゆみ 死亡


最終更新:2012年01月18日 17:35