YUI&YUI
「あったかあったか~」
いきなりですが、こんなシーンです。
銭湯内で発せられるその声から、入浴シーンなのは理解頂けるでしょう。
では何故、こんな時なのにゆっくり入浴しているというのか?
今、入浴中の女の子は
平沢唯。
ドが付くぐらいの天然。一つの事に集中すれば素晴らしい結果を出すが、
かわりに他の事を忘れてしまう極端な子。
家でも床の上を5656してたり、ギー太と色々していたり。
どんな状況でも危機感を感じさせない雰囲気は唯の強みかもしれない。
バトルロワイアルでも、唯は動じる事も無くこうやってのんびり入浴しているのだから。
「ねえねえ~」
「………あっ、何かな?」
唯に喋りかけられたのは、
船見結衣。
少々男勝りな口調で、京子達と一緒にごらく部の日々を楽しんでいた者。
字は違えど、こちらも同じ読みで"ゆい"。
「私達、同じ名前で凄いよね~!」
「そう……かなぁ?」
ド天然な唯を相手にしつつも、結衣は考え事をしていた。
唯とは出会って、数分ぐらいしかまだ経っていない。
その短い時間の中、唯と結衣は会話をして互いの身内について知った。
知ったから、心が痛くなった。思い出したくも無い場所で落とした命。
あの二人の内の一人が部員、友達であると唯は言った。
それなのに唯は明るく振舞っている。その様子に、結衣の方が心が痛くなる。
もしもごらく部の皆がいなくなったら、絶対に自分はこんな風に振舞えない。
狂って、もしかしたら人殺しをしてしまうかもしれない。
願い事を叶えてもらう為に、多数の命を犠牲にするかもしれない。
その時は、既に友達を失った唯も殺すことになる。
(ああ……駄目だ!そんなこと、したくない……嫌だ……嫌だから……)
中学二年生の女の子にはハード過ぎる内容だ。
当然だが結衣は人殺しがしたい訳じゃない。
それをしなければならない時があるかもしれない。
でも、絶対にしたくない。この手で命を奪うなんて……。
「そうだよ~!」
「…えっ?う、うわぁ?!」
考え事をしていると、唯が結衣に抱きつこうとしていた。
こんな風な人でも結衣よりは年上、失礼が無いようにしている。
結衣は苦笑いしながら、まあいいかと。
第一、自分だってこんな時に唯と一緒ではあるが入浴している。
周りから見れば自分だって危機感のない人に見える。
「……すいません、先にあがります」
「え~……ん~、仕方ないかぁ~……私はもうちょっとだけつかっとくね!」
「はい。ではお先に」
いつまでも入浴してられない。
やっぱりごらく部が心配だ。
あの場所が無くなるのは絶対に嫌、だから……。
唯に無理を言ってでもこの銭湯を出発して皆を見つけたい。
あちらだって部員を見つけたいって思ってるだろうから……。
(何でこんな事になってしまったんだろう……)
名簿を見つめて、そう思いふける。
何故か
赤座あかりの欄だけ消しゴムで消された後みたいな薄さになっている。
それは置いといて、やはりここにはごらく部の面々が勢揃いしている。
全員が、特に
歳納京子を結衣は心配した。
ごらく部ではあんなに色々やってるが、昔を知るからこそ心配だ。
京子は中学生となって変わっている。でもこんな状況なら昔みたいに泣いてしまう気がする。
逆に泣いてないとしても、人様に迷惑でもかけてしまっていたら………。
最悪、足手まといと切り捨てられてしまうなんて事があれば………。
(ダメダメ……!変な事考えるな!京子も、皆も、絶対無事だ!)
無理してでもポジティブにならないと、自分が変わる気がした。
失うのが怖くて、身を血に染めてしまいそう。
この手で人殺しを行ってでもごらく部を守ろうとしてしまいそう。
「……………」
扉の方を見る。その先では平沢唯が入浴中だ。
(そういえば平沢さんと出会ったのはこの部屋だったなぁ……。
いきなりお風呂入ろって言われてびっくりしたけど、良かった。
もし平沢さんと会ってなかったら……私はどうしてたのかな)
結衣と唯の出会いは、今、結衣がいるこの部屋。
目が覚めて周りを見渡す結衣に唯が近付いてきた。
そして、お風呂への誘いをして現状。
それを戸惑いつつも承諾して、一緒に入浴。
入浴中は、色々と自分の事を唯は話して来た。
高校生、軽音部、友達、妹、ギー太、その他色々な事を話してくれた。
不思議とそれを聞くと心が和んだ。
何故だろう。唯にそんな力でも備わっているのだろうか?
心が和んだ事で、暫くは何も考えず安らいでいた。
でもやっぱりこの状況を放っておく訳にはいかない。
結衣はそう思ったから、浴室から出て行った。
この心への和みがなければ、どうなっていたか。
人殺しをしたくなくても、するしかないと思ってしていたかもしれない。
今と変わらず、どうするか必死に頭を悩ませていたのかもしれない。
絶対に殺しはしないと即決して、動いていたのかもしれない。
(今更……かな。取り敢えず今は……)
考えても仕方ない、今は動かなくてはならない。
ごらく部は誰一人として欠けてはいけないのだから。
自分が支えなければ。京子だけでは荷が重い。
絶対に見つかって欲しいと、そう願って………。
「ふぅ~、気持ち良かったぁ~♪サッパリサッパリ~」
扉が開いて現れたのは、唯。
表情から分かる通り、相当気持ち良かったらしい。
こんな時間を過ごせるのは今だけだったかもしれない。
もう少し、この時間を大事にしても良かったかもしれない。
でもそうはさせてくれない。
早く部員達を見つけたい気持ちは、それ程に強く思っていたのだ。
「また、皆と入りたいなぁ~♪」
気楽な発言をする唯。
同意。結衣は縦に首を振った。
特に意味がある動作では無いのだが、確かに皆と入浴したい。
ごらく部や、他の皆も一緒に風呂でゆるゆるしたいな、と。
もうそれが永遠に叶わない。そんな状態にさせられかけている。
皆が笑顔、楽しそうに入浴しているそんな光景が懐かしい。
「よいしょっと~。よしっ、行こっ!結衣ちゃんっ!」
「え……?あっ、は、はい」
突然、呼ばれてびっくりする結衣。
唯はいつの間にか用意が完了していたようだ。
ついに始まる。部員を探す、殺し合いの中の冒険が。
待っているのは探し求めた友達か、人殺しをする悪魔か。
この生が続く限り続くYUI&YUIの冒険は始まったばかり。
【F-3 銭湯・一日目/深夜】
【船見結衣@ゆるゆり】
【状態】健康
【服装】七森中学校制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:ごらく部の皆を探す。殺し合いはしたくない。
1、皆、きっと無事だ…!
【平沢唯@けいおん!】
【状態】健康
【服装】桜ヶ丘高校3年制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:???
1、気持ち良かった~♪
2、結衣ちゃんと同じ名前って、凄いっ!
最終更新:2011年12月06日 19:05