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DESPAIR GIRL




トン、と音が鳴り響く。
ボールを跳ねる音が、床を走る足音が、鳴り響く。
そんな場所、体育館とはそういう場所だ。
音一つ一つが鳴り響く大きな空間。体育の時間でお世話になるところ。
それ以外にも集会等で集まったりする。そんな便利な場所。
こんな所に一人でいると、何というか寂寥感を抱いてしまいそう。
だだっ広い空間の中、一人立ちつくしていると何処か寂しい。
そう、寂しい。寂しいというより、今は………絶望に近かった。

慧心学園初等部6年C組、湊智花は絶望していた。
慧心学園初等部女子ミニバスケットボール部のエース、湊智花は絶望していた。
何故か、それは簡単だ。失ってしまったのだ。

彼女は転校してこの慧心学園とやって来た。
転校の原因は部活、やっていたバスケットボールが原因。
智花は部活にはとても力を入れていた。試合には勝たないと気が済まない。
毎日これでもかと練習していた、それを他の部員にも強要した。
結果、部の中で孤立。それで逃げた、その学校から逃げた。
転校先の慧心学園には女バスが無い。だから諦める事が出来る。
でもそれまで智花にはバスケしか無く、友達は誰一人とも仲良く出来なかった。
そんなある日に担任がバスケをしようと提案。男女が張り合っていた。
嫌だ、本気になれない。それならしない方がマシだと、そう思っていた。
………でも先生が本気を出していいと言った。そして、出して男子を圧倒させた。
自分一人だけのゲーム、また一人だけ。もう友達は絶対に出来ない。
そう思っていたのに近寄ってくれた女の子―――三沢真帆
真帆にバスケをやめた事を話すと、真帆はバスケ部を作ろうと言いだした。
顧問は担任の先生がやってくれる、部員は真帆が集めてくれた。
そして出来た、女子バスケ部が出来た。でも、また勝ちしか見えなくなるかもしれない。
………でも皆が楽しくやった。智花自身も楽しくバスケをする事が出来た。
この時が初めてだった。楽しくバスケをする事ができたのが。

そう、手に入れた。バスケの勝ち負けよりも大事なものを手に入れた。
真帆達とのバスケなら平気。真帆達の輪、ここが一番の大事なもの。
真帆、そしてみんなのおかげで手に入れた。
バスケよりも大事な、あの5人の場所。バスケはその次に大事。
………そう、5人。自分と真帆、紗季、ひなた、………そして、愛莉。
この5人の場所が、智花にとっての一番の宝物。

智花は考えた事も無かった。バスケが無くなる事は考えた。
あの時、昴に助けてもらえていなければ女子バスケ部は廃部。
バスケが抜けてしまった、5人の輪がそこにはあっただろう。
二番目に大事なバスケを失うのは、智花にとっては辛いだろうけど、
でも一番大事である5人の場所は無くならない。

………ただ、この逆パターンなんて考えた事がある訳が無い。
5人の場所が無くなってしまう。それは、どういう状況で起こるのか。
喧嘩して、仲直りが出来なくなってしまった、そんな状況もあるだろう。
でもこんな事は予想外、いや予想出来ないというかする訳が無い。
信じたくない。信じられない。でも………あれは、本当。
夢だとしても嫌。現実ならもっと嫌。………ここは、現実………。
5人の内の一人が………死ぬなんて事を考えた事が無かった。
………そう、死ぬ。死んだ。死んでしまった。殺された。


女子バスケ部のセンター、香椎愛莉は目の前で殺された。


あの瞬間、5人の場所は消え失せた。残ったのは、絶望だった。
バスケも同時に失ったに近い。5人でやるバスケだけが平気なのだから。
代用なんて出来ない。ましてやあの愛莉。尚更代用は不可能。
智花は、体育館の中でずっと下を向きながら絶望していた。


(愛莉………)


下を向きながら、智花は泣いていた。
もう何をしても取り返す事の出来ない日々。
香椎愛莉の死は、智花にとってはあまりにも大き過ぎた。
他の3人がいるけど……でも、智花は動く事が出来なかった。
ショック過ぎて、希望の光も智花には永遠に射さない。

雨上がりに咲く花は、もう枯れてしまった。


(みんなぁ………うぅっ……)


智花はもう、殺し合いの事なんて頭に入っていなかった。
愛莉の死で全ては吹っ飛んだ。優勝すれば願いが叶うとか、もう忘れた。
泣く事しか出来ない。どうあがいても敗北、絶望。
慧心学園へ来る前は勝たないと気が済まない意味で壊れていた。
今の智花は、大切な友達を失ってしまって、何も出来ない状態へと壊れていた。
壊れた智花に今、生きる希望はほとんど無かった。
かろうじてあるなら………それは、女子バスケ部を助けてくれたコーチ、長谷川昴

(昴さん………昴さんは………)

昴さんはどうなっているのかな、そう思いながら………視界がぐらつく。
段々と意識が薄くなっていく。視界が黒くなっていく………。
絶望………完全に絶望………昴さんでも………もう………。


(昴………さ―――)


智花の体が、床へと倒れる。
意識を失ったのだ。

これは"黒化現象"かもしれない。黒化は恐怖に追われる内に生きる希望を無くす、
或いは何かへの執着が強過ぎると、体から黒いオーラがでる。
前者の場合は全ての気力を失い、衰弱死。
後者の場合は中途半端に自我を保ちながら、執着した相手か関係者に危害を加える。
これが黒化現象によるものとするなら、智花は前者の方だろう。


つまり………湊智花はたった今、死亡した。


本当に黒化だとするなら、そうなってしまう。
絶望したまま、他界したということになる。



そこへ、鉄の扉が開かれる音がした。



             ◆◇



「っ!!女の子が倒れてるっ!!」

直ぐに、その場へと駆けつける。
走る最中に願う。無事を祈る。無事じゃなくても、死んでない事だけは……。
足には自信があったので、女の子の元には直ぐ辿り着いた。
急いで様態を見る。気を失っている。息を確かめないと。
息が聞こえる。どうやら死亡していないようだ。
生きてる事は確か。先ずは一安心、してる暇は無かった。
息が荒い。かなり体調が悪いのは明らかに分かる。
おでこに手を当ててみると、かなり熱い。どうやら高熱のようだ。

「えっと………どうしよう………あっ、これを使おう!」

持ち物を探ると、適任なものが中から出て来た。
まさに偶然だった。まさか、自分の支給品の中に熱さまシートがあるなんて。
子供用と大人用の両方があり、それぞれ6枚ずつある。
外見からして子供だと思うので子供の方の熱さまシートを一つ取り出す。
それを、目の前の女の子のおでこに貼り付ける。

「ふ~……これで何とかなるかな?」

今度こそ一安心するその姿は、美男子だった。
その中身は乙女である、そう彼女こそは765プロのアイドルの一人、菊地真。
フリフリなドレスを着てステージで踊りたかったり、男の人にモテモテになったり、
考えが乙女なのに外見がカッコイイ為、理想とは真逆の事に。
カッコイイ系の衣装で、女の子にモテモテになってしまう、それが悩み。
初対面で女の子だと思ってくれる人は先ずいない。
プロデューサーは初対面からずっと女の子として、扱ってくれてるからとても嬉しい。
(そうです、パーフェクトコミュニケーション系列でのお話です、多分)

(起きるまでは待機かなー……雪歩達を探しに行きたいんだけどなぁ……
 でも放ってはおけないよ。小さな女の子を一人する訳にはいかないよ。
 ………一緒にいてあげないと、この子が危ない。)

真は暫くの間、体育館内で待機する。智花が起きるまで。
智花は無事だった。黒化ではない、無事だった。無事だったんだ。
でも精神的には不安定だ。それをどう上手く安定させるかが真の課題となるだろう。


【D-2 学校-体育館内・一日目/深夜】
【湊智花@ロウきゅーぶ!】
【状態】高熱 気絶 精神不安定
【服装】慧心学園初等部女子制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:???
1、昴さん………みんな………。
※愛莉の死によるショックにより、バトルロワイアルの事を忘れてしまっています。


【菊地真@THE IDOLM@STER】
【状態】健康
【服装】普段着
【装備】なし
【道具】基本支給品 熱さまシート(子供×5 大人×6)@現実 不明支給品1~3
【思考】基本思考:???
1、女の子が起きるまで待機。
2、女の子を一人には出来ないので、一緒にいる。


※【熱さまシート@現実】

おなじみの日用品。子供用と大人用がそれぞれ6枚ずつ入っている。
子供用と大人用で何が違うのか、作者は未だ分かっていない。


sm019:こんな夜中には推理をしよう 投下順 sm021:悪夢は終わらない
START 湊智花 sm000:[[]]
START 菊地真 sm000:[[]]


最終更新:2012年02月12日 13:45