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悪夢は終わらない




「……………」


無言で立ちつくす。周りの音も不気味な程に何も鳴らない。
静寂の中で突っ立っている。その姿は少し怖い。
表情は生気が抜けたかのような、絶望的な表情。
まるで身近な誰かの死を目撃してしまったかのような………。
………そう、身近な誰かの死。死、死、死………。

知らなければ良かった事、知ってしまった事。
あんな姿からじゃ予想出来る訳が無い。
廊下に散らばった臓器。勿論、臓器なんて普段見る訳が無い。
それに気持ち悪い。見たいと思う者もいない。
でも見つけてしまったなら、嫌でも見てしまう。
発見していなかったなら、どれだけマシだったのだろう。
結局、身近な者の死という事実は変わらないけども、それを知るか知らないか、
その死がどのようなものなのか、知ってるのと知らないのとじゃ大違いだ。
それが惨殺死体なら尚更、それが身近な者の死と受け止めたくなくなる。

受け止めたくない。………でも、知ってしまったんだ。
いや、知らされた。それも死んだ本人が、しっかりと………。
辛過ぎる内容。知ったその瞬間に、精神は壊れてしまった。
その後、どうなったか、何をしていたかは知らない。
………ただ今、こうやって再び学校内にいる。
ボロボロの旧校舎で一人、真っ暗な中に突っ立っている。

「願い事………」

もう考える気も無いのだが、願い事を叶えるというのには惹かれた。
本当に叶えてくれるなら、願う事はただ一つだけだ。
あの死を無かった事にする。彼女が死亡した事を無かったことにする。
彼女を生き返らせる事を願う。ただ、それだけだ。
生き返らせる為なら何だってやる。やるしかない。
生きる希望を無くし一度壊れた自分はもう、それしかない。
嘘でも信じて動かなくちゃ、今度は自分が死亡する。
それもいい。彼女の元へと行けるなら、それでもいい。
………でも戻って来て欲しい。こっちの世界で、彼女と過ごしたい。
あんな死体を置いたままあの世にいるなんて、絶対に嫌に決まってる。
無かった事にしないと、自分としても嫌だ。

「繭………」

鈴本繭、彼女を生き返らせる為に殺し合いをする。
そう決めた。この時点で、森繁朔太郎の運命は決まったのだろう。
最後の一人、ゲームの優勝というのがどれだけ厳しいか。
それを知ったところで森繁の意志はもう変わらないだろう。
何が何だろうが全員を殺害して繭を生き返らせる。
もう森繁にはそれしか映っていなかった。

一時的に冷静になれてるけど、これもいつまで続くか分からない。
森繁は直ぐにでも壊れそうな精神を抑えて所持品を確かめる。
いつも持っていた携帯はポケットの中には無い。何処かで落としたのだろうか。
無い方が少し有難い……。繭の死を無かった事にする為にあれは邪魔だ。
繭の死体が写された唯一の携帯でもあったのだが………。
でも優勝して繭の死を無かった事にするなら、やっぱり無くてもいい。

携帯が無い事を確認すると、周りを確かめてみる。
真っ暗な校舎の中、そこに一つの鞄が落ちていた。
天神小学校では血まみれの袋を普通に拾った森繁(中身は人の……)
この鞄も普通に拾って、中身を確かめた。
……その中には携帯があった。しかも自分が持っていた携帯と疑似している。
少し過去を想起してしまうが、携帯を確かめてみる。
メールが一通届いている。宛先はよく分からない人からだ。
見るべきかどうか悩んだが、見る事にした。
その内容は、選ばれたという報告だった。
………未来日記というものの所持者に選ばれたという報告だった。


『森繁朔太郎様、貴方は参加者50名の中、未来日記所有者の1名に決定致しました。
 貴方の未来日記は、『死体日記』。死体を写してきた貴方の携帯をより万能にしたものです。
 貴方が発見するであろう死体の場所、死亡時刻、名前等が記されます。
 加えてメールにて死体の写真が送られてきます。その際には名前も記されてます。
 3時間毎にそれまで死者の写真は一括して送りますのでしっかりご確認ください。
 DEADENDフラグがたった場合、文字ではなく貴方の死体となった写真が記されます。
 死体を目の前で発見場合はより詳しい情報を得られる、そういった未来日記となっております。
 未来日記の情報に背いた行動を取れば未来は変わります。また、貴方の行為が他の未来日記所有者の
 未来も変える場合があります。当然、貴方の未来も他の所有者の行動次第で変わります。
 そしてこの未来日記は貴方の心臓と同じようなもの。この携帯が壊された場合、
 貴方はこのゲームに敗北したと見做され、貴方の存在は消滅してしまうでしょう。
 例外もいますが、大体の所有者も同じく未来日記が壊されてしまえば消滅してしまいます。
 以上を踏まえて未来日記を有効活用しつつこの勝負の覇者を目指しください。』


死体を写してきた、何でそんな事を思い出させるんだ。
……でもこの携帯が壊れれば自分の存在が消滅してしまう。
有益な情報が得られるような気がしない、でも死体が見れる。
天神小学校でもやって来た事だ。死体の写真を見て落ち着いていた。
そんな森繁だからこそ与えられた日記なんだろう。
常人には絶対に扱えない代物だ。何せ死体の写真が送られてくるのだから。
こんな携帯を持ってると知られれば警戒されることは間違い無い。
気持ち悪いと思われるだろう、でもそう思わせる暇も与えないつもりだ。
出会えば殺す。それが例え友達だったとしても………躊躇せずに殺す。

(優勝する……絶対に繭を取り戻す……)

森繁はもう、優勝しか目に見えていなかった。
自身の命など気にもとめずただ優勝の為に人を殺す。
それだけを見ていた。だから、森繁の未来は非常に不安だ。
身体が限界だろうが動き続けるであろう彼がどうなるかなんて、まだ分からない。
ただその終わりは死体日記が告げてくれる。
この死体日記が自身の死の有様を最後に告げてくれる。
表示されない限りは自分の身はまだ大丈夫なのだ。

死体日記には何も記されていなかった。まだ死体は発見出来ないということだ。
……この死体日記はあらかじめ設置されている死体にしか反応しない。
森繁自身が殺害した為、死体を発見する。そういった未来は書かれない。
死体となるかならないか、それは書かれない。発見するかしないかだけの日記。
それがこの死体日記の弱点といったところだろう。特にこの殺し合いの中、
時間が経つ度に死体が増えるんじゃ、その死体日記の内容も何度か書き変わるだろう。
今、森繁が誰かを殺す事で死体日記は反応して内容を記す。

それを利用すれば、殺し合いに乗った危険人物が何処にいるか予想出来る。
死亡時刻まで表示されるのだから、時間が新しい程殺った人物はその近くにいる事となる。
森繁はこれを上手く活用出来るのだろうか?


そして死体日記の他に入っていたのは、刃物だった。
好都合だ。銃器は扱った事が無い為、刃物の方が殺り易い。
ただ近くに寄らないと殺せないというのは、難しいところだ。
暗い内なら、不意打ちで殺害するのも可能だろうから今がチャンス。
更にこの包丁、万能包丁は包丁さんの効果も付加している。
学校の扉なんて余裕で切り取れるぐらいの刃物と化しているのだ。
十分と言える武器と道具。森繁は直ぐに殺害の為に動く事にした。
物を準備する必要性も薄くなった。だって、ほぼ揃っているもの。
後は殺す対象を捉えるだけ。でもって不意を突く。

一度精神が壊れた森繁は今、冷静に人殺しをしようとしていた。
旧校舎を歩く森繁は、天神小学校にいた森繁とは違う。
刻命裕也のような、人の命を奪いに行く恐ろしい人物だ。
この先の未来がどう予知されるかは森繁、それと他の日記所有者次第だ。


【D-1 学校-旧校舎2階廊下】
【森繁朔太郎@コープスパーティーBCRF】
【状態】健康
【服装】如月学園男子制服
【装備】万能包丁@包丁さんのうわさ
【道具】基本支給品 死体日記@オリジナル未来日記
【思考】基本思考:繭を生き返らせる為に優勝する。その為に人を殺す。
1、基本的には不意打ちで人を殺す
※参戦時期は携帯に写していた惨殺死体が繭だと知った後です。


※【死体日記@オリジナル未来日記】

所有者が発見するであろう死体の場所、死亡時刻、名前等が記される。
3時間毎にメールにて死体の写真が一括して送られ、その際には名前も記されている。
DEADENDフラグがたった場合、文字ではなく所有者の死体となった写真が記される。
あくまで発見するかしないかを記す。死体を生み出すかどうかは予知されない。


※【万能包丁@包丁さんのうわさ】

至って普通の包丁、でもこの包丁を使う事で包丁さんを呼べる。
包丁さんが使うと扉をも切れる切れ味となり、まさにチートアイテム化するだろう。



             ◆◇



その旧校舎の1階には、森繁と似たような事を思っている男がいた。
違うのは生き返らせる為に殺し合いをしようと思っているのではなく、
この殺し合いに参加させられた大事な人が死なないように他の皆を殺すという目的だった。
自身が優勝するのではなく、その大事な人を優勝させる。
………そんな彼は、春原陽平。彼には妹がいる。
春原芽衣という妹がいる。その芽衣の為に春原は殺し合いに乗ろうとしていた。
芽衣がいなければ、殺し合いには反対して動いていたのかもしれない。
でもいる。妹の芽衣がいる。だから春原は殺し合いに乗る事にした。
芽衣が死んだら………そんな嫌な考えが頭に過る。

森繁は、何が何でも優勝して繭を生き返らせる。
春原は、何が何でも芽衣を優勝させて生き残ってもらう。

そんな二つの思惑が、交差しようとしていた。

森繁が歩く二階の廊下、そこへ向かおうと春原は階段を上る。
上に誰かがいると分かって行動してる訳じゃない、ただ気まぐれだ。
森繁と春原が出会うのは決まっていたのか。それは、誰にも分からない。
そしてこの両者がどうなるかも、全然分からない。
分かるのは、二人が鉢合せになる事ぐらいだ。


―――運命は、どう決断するのだろうか?


………そして、更に旧校舎へと侵入する者がいた。
彼、鎌田吾作もやはり優勝狙いだ。
蟹になりたいと願う彼は、その為に優勝を狙いに行く。
優勝の為には人殺しをする必要がある。
吾作に躊躇いは無い。蟹道を貫くだけなのだから。
その意志の強さは、森繁や春原にも匹敵する。
果たして、吾作はどう介入してくるのだろうか?


【D-1 学校-旧校舎2階廊下】
【春原陽平@CLANNAD】
【状態】健康
【服装】光坂高校男子制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:芽衣を優勝させる為に、人を殺す。
1、何が何でも芽衣を優勝させないと……。


【D-1 学校-旧校舎1階】
【鎌田吾作@本格的 ガチムチパンツレスリング】
【状態】健康
【服装】黒のTシャツとジーパン
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:蟹になるために優勝する。
1、蟹道を貫く


sm020:DESPAIR GIRL 投下順 sm022:有利不利の境界線
START 森繁朔太郎 sm000:[[]]
START 春原陽平 sm000:[[]]
START 鎌田吾作 sm000:[[]]


最終更新:2012年01月30日 22:01