こちら修智館学院体育館前広場
漫画は教育上相応しくないないなんて言葉が、一昔前は声高々に言われていた。
そんなものは自分たち学生からすれば世迷い言もいいところだが、提唱した人たちからすれば悪も同然だったのだろう。
今も出版社には目敏い教育主たちから苦情の電話や便り来ると聞くが、全盛期――まぁ、十年も経っていないのだが――に比べればその数は大いに減少したという。
時代が変われば流行りも変わるということだろう。ありとあらゆる技術の進歩が激しい昨今であるなら、特に。
まぁ、当時の漫画のジャンルに不良モノがたくさんあったことも一つの理由だったに違いない。大手週刊少年雑誌の何れもが不良モノ系の連載作品を掲載しており、中には連載策の殆どが不良モノないしアウトロー系の作品で構成されていた雑誌があるくらいだった。
と、前置きが無駄に長くなってしまたが、結論を言ってしまえば『漫画は有害ではない』というのが一男子生徒としての答えだ。
それは、前述の不良モノだって例外じゃない。
だって、ほら。
今だってその知識が生かされているわけだしね。
■
「ふぅ、無事着地っと。わりと早い段階で脱出できましたね」
一汗拭うような仕種を見せる宇佐美ハル。その後に続いて、春野姫が地面に降り立った。
「河野くん、こっちは大丈夫ですよ」
パタパタと手を振って送られる合図を確認し、最後に
河野貴明がロープに手をかける。
しっかりと握って引っ張るが、フレームの強度は問題ない。後はさっさと降りるだけだ。
同じように手を振って、合図を返す。
「よっ、と」
高所恐怖症というわけではないが、真っ暗闇の中を高い所から降りるというのは、中々に恐ろしいものがある。
女性二人がすでに済ました後なので泣き言は言っていられないが、今後は実に御免こうむりたい。
というか、ハルは随分と手慣れた様子で降りていたが、本当に彼女は自分と同じ学年なのだろうか。
どうしようもない疑問点が貴明の頭をよぎった。
「ふぅ、到着」
「無事、全員脱出成功ですね」
「一時は本当にどうなるかと思いました……」
「そもそもなんであんな密室に三人纏めて入れるかなぁ……」
三者三様の感想を零しつつ、やや恨めしげに自分たちを閉じ込めた場所――体育館を見やる。閉じ込められていた時間は二時間程度だが、逆を言えばそれだけの時間を脱出に使ってしまったことになる。目ぼしいものも手に入れられなかった状況は、正直芳しいとは言えない。
もっとも――三人の仲を深められたという観点で見れば悪くは無かったが。
「さて……それじゃあ、何処に行きましょうか」
取り直すようにハルは口を開いた。
とりあえずは脱出する事だけを考えていた他二人は、先のヴィジョンについては持ち合わせていない。
二人して顔を見合わせ、困ったようにハルへと視線を向けた。
「特に案が無いようであれば、学生寮へと向かいませんか?」
そんな状況も織り込み済みなのか、ハルは手持ちの地図を見せながら行動方針の説明を始めた。
「今私たちがいるのは、この修智館学院内にある体育館です。この簡易的な地図では詳細は分かりませんが、施設紹介の言葉を信じるならば敷地内に学生寮があるはずです」
「なんで寮へ?」
「寮ならば一通りの生活用具が揃っているでしょう。夜が明けるまで隠れる場所として、またそれ以降の拠点としても充分に活用可能です」
「成程」
言われてみれば道理の通った話だ。無暗に動き回るよりも、今の状況ならば体力の消費を抑えられる選択の方が理に適っている。
「異論が無いようであれば、早速出発しましょう。極力音を出さないようにはしましたが、何時誰が来るとも分かりません」
一も二も無く二人は頷いた。
マトモな武器を所持していない三人にとって、誰かに襲われるという事は全滅の危険性を孕んでいる。
であれば、結論が出た以上早急な行動は必須と言えた。
「ところで……学生寮は何処にあるのでしょうか?」
「……虱潰しに探すしかありませんね」
「マジか」
【一日目/2時00分/B-6、修智館学園内・体育館付近】
【宇佐美ハル@G線上の魔王】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム×1~3
[思考・行動]
基本:ゲームからの脱出
1:学生寮を捜す
2:知り合いと合流
【備考】
【一日目/2時00分/B-6、修智館学園内・体育館付近】
【
河野貴明@To Heart2 XRATED】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、各種パン@現実×7、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:ゲームに乗るつもりは無い
1:学生寮を捜す
2:知り合いとの合流
【備考】
【一日目/2時00分/B-6、修智館学園内・体育館付近】
【春野姫@あっちこっち】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム×1~3
[思考・行動]
基本:皆との合流
1:宇佐美さんと河野くんと行動する
【備考】
■
「……行ったみたいだな」
ハルたち3人が体育館ら出て行ったその直後、近くの物陰に身を隠していた秀樹は、安堵の息とともに身体の緊張を解いた。
「びっくりしたぜ、危なかった…」
ナギの言うハヤテとマリアの2名を探しに出たはよかったが、たまたま偶然体育館近くを通った際に、微かにガラスの割れる音がしたのだ。
念のためにと身を隠してみれば、何故か体育館の窓から3人も出てくるではないか。
敵意があったかは不明だが、単純な人数比でみればこちらが不利である。隠れて正解、バレなくて僥倖というやつだ。
「ハヤテとマリアは……いなそうだったな」
ひょっこりと。秀樹の裏から身を乗り出したナギだったが、その表情は芳しくない。
もしかしたらと淡い期待を抱いたが、2人の声は3人の中からはしなかったのだ。
「まぁ、とりあえず三千院邸目指そうぜ。2人もそこを目指すだろ?」
「うむ、多分な」
三千院邸は地図で言うとH-1。今2人がいるところからは対角線上にほぼ正反対である。
これから森を抜けてと考えると、最短でも到着は日が昇り切った後だろう。
「なぁ……ほ、本当に夜のうちに移動するのか?」
「まぁな、だって早く会いたいだろ?」
「そ、それはそうだが……」
「それに夜の内なら、誰かに見つかる可能性も低いと思うんだよな」
その分道中は苛酷になる。普段なら休む時間に動くのだから、疲労も倍増するだろう。
要は体力と危険度を天秤にかけて、どちらを取るかだ。
「……分かった、行こう」
「おう。あ、せっかくだから支給品の暗視ゴーグルつけとけよ」
秀樹が夜の内の出発を決めたのは、支給品に暗視ゴーグルがあったのも一因だった。これなら何かあっても、優位にこちらは動くことができる。
(まぁそれだけじゃないんだけどな)
夜の内に出発を決めた理由、それにはまだ別の理由があった。
直感。
何となくだが、このままここにいるのはよくない気がする。
それは言語化できない、感覚的なところだが、『死んだ世界戦線』の一員として数多くの戦闘をこなしてきた身としては、この感覚に従った方がいいと思うのだ。
もちろん、それをナギには言ってはいないが……
「よ、よし! 行くぞ!」
「あいよ」
【一日目/2時00分頃/B-6】
【日向秀樹@AngelBeats!】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム
[思考・行動]
基本: ゲームには乗らない
1:仲間たちと合流したい
2:ハヤテとやらを捜す
【備考】
エンディング後からの参戦
【一日目/2時00分頃/B-6】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム
[思考・行動]
基本: 殺されたくない、殺したくない
1:ハヤテを捜す
2:秀樹と行動する
【備考】
参戦時期は未定
最終更新:2024年09月01日 12:46