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「御庭さん、春野さん、片瀬さん、戌井君。音無君の知り合いで言うと、この4人ね」
「うん。で、森田の知り合いだと、日向さんと三ツ廣さんが知り合いで、かつこのゲームに乗ることは無いと思われるってことだよね」
「そうさ。まぁもう1人知り合いで大音京子って女性がいるんだけど……今はもしかしたら危ないかもしれない」
「……それは」
「……そうね」
「まぁわかんないけどさ。と、それより千堂さんの知り合いだと、支倉さん、紅瀬さん、東儀白さん、東儀征一郎さん、で最後にお兄さんの伊織さんか」
「えぇ。みんなこんなゲームには乗らないと思うわ。……ちょっと紅瀬さんが迷惑を掛けちゃったみたいだけど」
場所はF-6にある名もなき廃屋の一つ。
そこで千堂瑛里華、音無伊御、森田賢一の3人は情報交換をしていた。
3人とも示し合わせたわけではなく、出会いは偶然ではあったが、瑛里華は怪我で休みを取る必要があったこと、伊御と賢一は落ち着いて情報交換をしたかったこと、そう言った要因からたまたま出会えたのだ。
無論、怪我をしている瑛里華からすれば、同世代で自分とは違う一般人とはいえ、男性2人というのは警戒対象であった。
だが賢一が瑛里華の名前を出したことと、その原因である桐葉と交戦をしていたことが功を奏して、情報交換に至ったのだ。
「あ、あともう1人。雨生龍之介って名前の、少しチャラついた感じの人と会ったわ。私たちよりも年上の方ね」
「……なんかあんまりいいイメージ持ってないみたいだね」
「ええ。私の怪我の原因ですもの」
そう言って瑛里華は自分の怪我をした足を指さした。応急処置は施したものの、滲んだ血がランタンの灯りに照らされている。
「罠を仕掛ける程度には用心深いみたいだけど、私に怪我をさせたことには割り切った様子だったわ。……察するに、場合によっては多分非情な決断も下せると思う」
これは瑛里華の混じり気のない評価である。それが良いことか悪いことかは置いておき、もしもの時に決断を下せるのは、ここでは大きな武器になるだろう。
「出会ったのはF-7あたり?」
「そうね。罠を仕掛けるくらいだから、まだいるんじゃないかしら」
「うーん、F-7は……反対方向か」
「行先決めているの?」
「あぁ、まぁね。音無のバイト先が地図上に表示されていてな、とりあえずそちらへ向かおうかなって考えている」
「ふぅん…じゃあ私とも離れちゃうわね」
「千堂さんは別の行先なのかい?」
「ええ。修智館学院に行こうと考えているわ」
伊御のバイト先であるハチポチがあるのはH-3、修智館学院はB-6。
三人がいるF-6を中心点とすると、反対側になる様なものだ。
「そっか……まぁ一緒の行動は強制できないよな」
「ええ、そうね。というか、森田君は音無君と一緒に行動するってことで良いの?」
「俺はもともと街の方に行く予定だったからな」
支給された地図に、賢一や仲間たちが知る様な固有名称の建物はない。
だとすれば、一先ず市街地に行く方が出会える可能性は高くなるだろう。
「じゃあ残念だけど、ここでお別れってことね」
「でも、今すぐには出ないだろ?」
「ええ、この調子だし……ちょっと休んでからのつもり」
瑛里華の足は、当然だが回復には至っていない。
いつも通りであれば回復しているだろうが、これも制限の一つとやらなのだろう。
怪我の回復だけでなく、疲労の蓄積や身体能力という点でも遅れを感じている。
「じゃあ俺たちも少し休んでから出ようぜ、3人なら交代制で休憩できるし」
「賛成。なら俺から――――」
「いーや、こういうのは年上に任せておきな。てことで二人はゆっくり休んどけ」
賢一は自ら率先して見張りを申し出ると、そのまま有無を言わさずに部屋を出た。
まるで二枚目を気取るかのように、部屋を出る際に2人に向ってサムズアップとウィンクをすることも忘れずに。
残された伊御と瑛里華は、その可笑しさに思わず笑ってしまうのだった。
【一日目/4時00分/F-6】
【千堂瑛里華@FORTUNE ARTERIAL】
[状態] 左足に怪我(中)
[装備]
[所持品]基本支給品、応急処置セット、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:ゲームをぶち壊す
1:修智館学院へ向かう
2:休憩し、回復に努める
【備考】
- 体育祭後より参戦
- 音無伊御、森田賢一と情報交換をしました
【一日目/4時00分/F-6】
【音無伊御@あっちこっち】
[状態] 疲労(小)
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム
[思考・行動]
基本:ゲームに乗るつもりは無い
1:ハチポチへ向かいたい
2:休憩する
【備考】
- 参戦時期は未定
- 森田賢一、千堂瑛里華と情報交換をしました
■
森田賢一が最初の見張り役を買って出たのは、決して善意からなるものではない。
彼自身が三人の中で年上であること、こういった非常事態は経験済であることから、自分が適していると思っただけに過ぎない。
それにもう一つ。
考える時間が欲しかった。
「……2人は特別高等人という存在を知らないようだった」
自己紹介の場面で。
賢一は自分が特別高等人を目指している旨を口にした。
特別高等人とは、賢一の常識においては、罪人の更生を促したり、場合によっては罰を与える、誰もが知っているはずの職業である。
だが2人はその存在を知らなかった。
「だが教育を正しく受けてこなかったわけではない。基礎的な知識はもとより、受け答えもおかしなところはなかった」
勤勉。正しい人の在り方。
少なくとも賢一は、2人をそのように評している。
そしてまた、善人であるとも。
「常識の一部に齟齬が生じている。まるで別世界の住人のように」
ありえないことだ。賢一はそう思った。それこそSFの世界である。
「……『人間が想像できることは、人間が必ず実現できる』、そういうことなのか?」
そこまで考えてから、馬鹿らしいと、賢一は頭を振った。
「特別高等人の試験の一部だって考える方がよっぽど可能性は強いぜ」
口に出してから、思った。可能性について対して差はないだろうと。
なんにせよ、判断材料としてのサンプルが少なすぎる。
「……なぁ。あんただったらどう思ったかな」
昔の口癖を零す。今は必要ないのに。
そう、必要ない。
彼女はここにいない。
幸いなことに参加をさせられていない。
今この瞬間、ここにいるのは、真の意味で森田賢一のみ。
詳しい説明は省略するが、極刑に処せられて『いないもの』として扱われている姉はここにいない。
……本当に?
「まだ、断定するな。材料を集めろ、あらゆる可能性を疑え」
自らに言い聞かせるように、一人言葉を零す。
今この場に、その言葉を拾い上げるものは誰もいない。
【一日目/4時00分/F-6】
【森田賢一@車輪の国、向日葵の少女】
[状態] 疲労
[装備]
[所持品]基本支給品、木刀、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:ゲームに乗るつもりは無い
1:情報を収集する
2:市街地へ向かいたい
【備考】
- 最終章前からの参戦
- 音無伊御、千堂瑛里華と情報交換をしました
最終更新:2024年09月11日 17:07