主人公の師匠が提唱した学問。 「『記憶』や『心理』『暗示』は遺伝する」ということを根本原理に据えている。 個体としての『人格』を否定し 「個人の人格とは『血族に伝わり続ける人格や観念、特異な感情』の上に個性が生まれたもの」と考えている。 もちろん擬似科学というか、嘘っぱちだが、ゲーム内ではまことしやかかに語られる、非常にありがたい学問。
たとえば暴力的傾向、性格的欠陥などの『破綻した個性』の修正。 これは、集団で生活を行う「人」としての規範からはずれた存在である。 言い換えれば、「集団生活をするうえで、支障を来たすように変質した人」である。
こういった『破綻個性』は、人格が破綻した原因『人の血脈』を辿り、治療対象者自身によって個性を修正させる必要がある。
治療は、対象者に対して、過去へと退行させていく退行催眠を基にする。 現実の退行催眠では、小さな頃の自分を思い出させて人格の破綻の原因を探るものだが、 精神科学での退行催眠では『血脈』を元に、自分の先祖の人格を辿り続けることを指す。 退行催眠によって、脳へと流れ続ける経験、感情を元に、模範的自己の形成を行う。
脳に負担がかかり、意識が混濁するため、治療後は一ヶ月ほど『予備治療』を行う。 『予備治療』は現実に存在する『森田療法』に近い。 基本原則は外界からの遮断。 生活において最低限の基準となる「食事」「睡眠」「排泄」以外の行動を禁じるところから始まり、 一週間程度の時間を置いて、精神状態が安定次第、次のステップに進む。最終的には実社会への回帰を図る。
ゲーム内の鍵概念の一つ『感情障害』の治療法とは、上記の治療術を応用したもの。
感情障害は、文化依存型の疾患である。 軽度である『狭義の感情障害』では、「特定の原因に対して生まれる感情の修正」という催眠を行う。
軽度の『感情障害』の原因は、社会不安や文化への絶望、自分が置かれた環境におけるストレスなどである。 そのため、『退行催眠』をかけ、遺伝してきた過去の経験から『原因』と『特定の感情の発露』の関連付けを修正させる。 その後、再発防止として不安・ストレスに対して『感情の置き換え』を行う。 社会に対して不安を抱えようとした際、不安を喚起させるような暗示があったとき、 代替反応として幸福感を与えるように、条件付けるのである。
重度の感情障害『感情喪失状態』は社会への絶望感を継続的に続けた患者に発症する。 自意識と感情を乖離させること(切り離すということ)で、精神的ストレスから隔離した状態。 これはそのままにしておくと、精神が極めて空虚な状態となり、患者を自殺へと追い立てる。
「本当に苦しい時、人は何も感じようとしなくなるものだ。」