一日目
リュカ「うーん……。」
主人公「なんだか難しい顔をしていますね。」
リュカ「おお、アレス(アリス)。いつもいいトコに来てくれるな。」
リュカ「じつはさ、パルモさんに仕事を手伝うって言ったら、」
リュカ「パルモさんが抱えてる案件の1つをまるまる任されることになっちまったんだ。」
リュカ「考えられるか?」
リュカ「有名建築家のパルモさんに来た依頼をまるごとだぜ?」
リュカ「ありえねえよ。」
リュカ「おかげでメシはノドを通らないしずーっと設計図とにらめっこだ。」
リュカ「な、頼むよ、アレス(アリス)。」
リュカ「天啓にも似た導きが降りたつような刺激をくれないか!」
主人公「し、刺激ですか? いきなり言われても……。」
リュカ「そこをなんとか! このままじゃパルモさんの名前にキズをつけちまう。」
主人公「わかりました。なにか考えてみます。」
ルーシー「わっっっ!!!!」
主人公「な、ななななに?」
ルーシー「あはは、びっくりした? なにか考えごとしてるから、今だ!と思って。」
主人公「ぜったい今じゃないでしょ。」
ルーシー「ごめんごめん。お悩み相談にのるから許してよ。」
主人公「もう……。」
主人公「でも、助かるよ。じつは、リュカさんのことで悩んでて――」
主人公が説明する
プリシラ「言われてみれば最近、リュカさんがお昼寝してるの見ないかも。」
ルーシー「それだけマジってわけだ。そりゃあひとはだ脱がないわけにはいかないね。」
ルーシー「とは言ったものの、刺激か~。さっきみたいに驚かすのじゃダメなのかな?」
主人公「どうだろう…びっくりはしたけど、そんなには刺激的じゃないかも。」
プリシラ「ルーシーちゃんの場合、いつものことって思っちゃうのもあるよね。」
ルーシー「そこはアレス(アリス)なら大丈夫じゃない?」
主人公「リュカさんに考えてみるって言っちゃったけど。」
ルーシー「あ~…なにかしてくるかも、とは思ってるか。」
プリシラ「うーん……。」
ひなが背後から近づいてくる
ひな「わっ!」
プリシラ「ひゃあっ!?」
主人公「び、びっくりした……心臓が飛び出るかと思った。」
ひな「えへへ、ルーシーちゃんのマネ~。」
ルーシー「くうっ。まさかの不意打ち……やられた。」
主人公「ルーシーより小さな声だったのに、何倍もびっくりしたよ。」
プリシラ「なにかに集中してるときって小さな物音でもビクッってなるもんね。」
ルーシー「そのうえ、まさかのひなだもんなあ。そりゃびっくりするよ……」
ルーシー「って、これじゃん?」
ルーシー「まさかのタイミングで意外な人がしかければ、」
ルーシー「すごく刺激的になるってこと。」
主人公「そうか、リュカさんが集中してるところをおどかせばいいんだ。」
プリシラ「でも、アレスくん(アリスちゃん)だと効果が薄いかもしれないんだよね?」
ルーシー「そこはあたしに任せといて。おどかし役にぴったりの人に心当たりがあるから。」
主人公「ひなちゃんじゃなくて?」
ルーシー「ふっふっふ、ヒ・ミ・ツ♪」
主人公(不安だ……けど、任せるしかないか)
主人公(リュカさん、すごく集中してる……)
主人公(僕(私)に気づいてないみたいだし、今なら――)
リュカ「わっ!!」
主人公「きゃあっ!」
リュカ「ははっ、残念だったな。」
主人公「気づいてたんですね。」
リュカ「修行してっからな。気配には敏感なんだ。」
主人公「そうだったんですか……。」
主人公(建築家の修行に気配に敏感になる要素なんてあるのかな…?)
リュカ「刺激を与えようとしてくれたんだろうけどオレに不意打ちは通用しないぜ。」
主人公「うー……べつの方法を考えてみます。」
リュカ「わりぃな、頼むわ。」
二日目
マーティン「おい。人にぶつかったら謝るのが筋だろう。」
リュカ「はあ? ぶつかってきたのはそっちだろうが。」
主人公(またケンカしてる! 止めなくちゃ――)
主人公(待てよ……今ならリュカさん、僕(私)の気配に気づかないかも……)
主人公(よーし……)
マーティン「オマエがフラフラしているからぶつかったんだろう。」
マーティン「まったく、フラフラするのは生き方だけにしてもらいたいもんだ。」
リュカ「るっせえ。オレは誰よりまっすぐ……」
主人公「わっっっ!!!!」
リュカ「うおっ?」
マーティン「……なんのつもりだ、アレス(アリス)?」
主人公「あれ……あんまり驚いてません?」
リュカ「いや、まあ…少しはドキッとしたけどさ。」
主人公(失敗か……)
ランドルフ「きぃええええええいっ!!!!!」
リュカ「な、なんだ!?」
マーティン「くっ……腰が。」
ルーシー「あはは、大成功♪」
主人公「ルーシー! ……と、ランドルフさん?」
リュカ「今の声、ランドルフさんかよ。」
ルーシー「腰が抜けるくらい驚いたでしょ?」
ルーシー「やっぱりびっくりさせるには意外性が大事だよね♪」
リュカ「いや、意外性とかじゃなくて声に殺気が混じっててびびったんだけど。」
マーティン「同感だ。強烈な圧にふるえた。」
ランドルフ「ちとやりすぎましたかな。面目ない。」
主人公「でも刺激にはなりましたよね。なにかひらめきませんでしたか?」
リュカ「言われてみれば……」
リュカ「いや、わかんねえな。」
リュカ「けど刺激を受けたのはたしかだ。」
リュカ「サンキューな、アレス(アリス)。ルーシーにランドルフさんも。」
リュカ「帰って設計図に向き合ってみるよ。」
リュカが退場
マーティン「アイツ……マジメに仕事をしていたのか。」
主人公「はい。大仕事を引き受けて大変なんです。」
マーティン「……そうか。オレも負けていられないな。」
マーティンが退場
ルーシー「いちおう……成功、だよね?」
主人公「そうだね。ありがとう、ルーシー。」
主人公「ランドルフさんも、ありがとうございました。」
ランドルフ「お役に立ったならなによりですよ。ほっほっほ。」
三日目
パルモ「フォーーーーーウッ!!」
パルモ「見てクダサイ、アレス君(アリスさん)! リュカが描いたこの設計図!」
パルモ「手を変え品を変えのびっくりサプライズが詰まった宝石箱!」
パルモ「おみごとな物置小屋の設計図デス!!」
リュカ「でしょ? 特にここがお気に入りでさ。」
リュカ「収納棚の底板が回転するようになってて、モノを置いてトビラを閉めると自動的に回るんだ。」
リュカ「次に開けてみたら、中のモノがなくなっててビックリってわけ。」
パルモ「スバラシイ! モノをなくして声を失うというわけデスネ!」
主人公「いいんですか、それ。お客さんが怒りそうですけど。」
パルモ「いいのデス! 感動と刺激は人生をいろどるエッセンス!」
パルモ「お客さんも必ずや満足してくださることデショウ!」
主人公「そ、そうですか。」
リュカ「……パルモさん。」
リュカ「じつはさ、この設計図を描けたのはアレス(アリス)のおかげなんだ。」
リュカ「こいつがすげえ刺激をくれなかったらできなかったと思う。」
リュカ「だから……喜んでくれてうれしいけど、これはオレ1人のチカラじゃない。」
主人公「リュカさん……。」
パルモ「なるほど、そうデシタカ。」
パルモ「ありがとう、アレス君(アリスさん)。リュカがお世話になりマシタ。」
主人公「い、いえ。」
パルモ「リュカ。」
パルモ「人生に刺激を与えてくれる人はダイジにしないといけマセンヨ?」
リュカ「うん。」
パルモ「それから、お世話になった人に礼を尽くすことも忘れないヨウニ。」
リュカ「わかってるよ、パルモさん。」
リュカ「アレス(アリス)。ありがとうございました。」
主人公「ど、どういたしまして。(リュカさんが素直だ……)」
パルモ「さあ、話が終わったらオシゴトを続けマショウ!」
パルモ「このグレートな素晴らしい設計図をもっとふざけたものに仕上げマスヨ!」
リュカ「おう!」
パルモとリュカが作業にとりかかる
主人公(ふざけたものって言っちゃった)
主人公(でも……この2人の場合はそれでいいのかも)
最終更新:2021年10月31日 18:33