一日目
ベアトリス「あら、アレス(アリス)さん。よいところにいらっしゃいました。」
フーカ「ガガガウガウ、ガウガウ!(ごちゅうもんの、やさいのシチュー!)」
ルーシー「おー、きたきた!」
プリシラ「今ね、
ベアトリスさんとお話してたら ここのシチューが気になるっていうから…」
プリシラ「みんなで分けようって。アレスくん(アリスちゃん)もいっしょに食べよ?」
主人公「いいの? うれしいな。」
ベアトリス「おお、なんという…! これは湯気が出ているのですね?」
ルーシー「こんなに珍しそうにシチュー見るひと初めて見るよ。」
ベアトリス「ああ、アツアツのお野菜がこんなに…わたくしもこれに慣れなければ……!」
フーカ「ガウガガウ、ガウガウ!(アッチッチのうちに、めしあがれ!)」
ルーシー「うんうん、イモがよく煮えてるな♪ ニンジンもふっくら炊けてそう。」
主人公(ほんと、アツアツだ……。よく冷まさないと)
主人公(ふー、ふー)
ルーシー(ふー、ふー)
ベアトリス「………………ええと。」
ベアトリス(ぱくっ)
フーカ「フギャッ!?(ああっ!?)」
ベアトリス「あふっ!? うあ…あつ……っ!」
プリシラ「
ベアトリスさん! 大丈夫ですか!?」
ベアトリス「ラ、ライヒョーブ……ホ、ホイヒイ…デフ。」
プリシラ「はい、お水です! 舌がヤケドしちゃいますよ!」
ベアトリス(ごくごく)
ベアトリス「はあっ、お、おどろきました……。こんなに熱いものだとは……。」
ルーシー「そのまま口に入れるんだもん! すこし冷まして食べるよ、『普通』は!」
ベアトリス「ふつうは……ですか。」
プリシラ「えっと……ふーふーして、食べるといいですよ。」
ベアトリス「ふーふー…ですか……みなさん、それであのように。」
フーカ「フーカガウ、フーフーガガウ!(フーカでも、フーフーするぞ!)」
ベアトリス「わたくし、はずかしいですわ。人肌以上に熱い料理など、初めてで……。」
ルーシー(人肌……ってけっこうぬるいよね? 熱いものが冷めた感じ……?)
プリシラ(うん、不思議……
ベアトリスさんってどんな暮らしをしてきたんだろう…)
主人公(
ベアトリスさんの正体を探られるとよくないよね……)
主人公「ええと……ご両親が忙しくて食事は作り置きだった、とか…?」
ルーシー(あー! そういうことなのかな)
プリシラ(
ベアトリスさん、かわいそう……あまり聞かないようにしようね?)
ベアトリス(ふー、ふー)
ベアトリス(ぱくっ)
ベアトリス「あつ! ハフハフ!」
ベアトリス「でも、おいしい! 熱くて、おいしいです♪」
プリシラ「よかった! たくさん食べてくださいね。」
主人公(熱い料理を食べたこともないなんて、王女さまなのに意外だな…)
二日目
リュカ「アレス(アリス)、いいところに来た。ちょっと、このお嬢さまを止めてくれよ。」
パルモ「………………!」
リュカ「
パルモさんも怒ってんのかなんなのかずっとこの調子だしさ、困ってんだよ。」
主人公「いったい、なにがあったんですか?」
ベアトリス「まあ、ステキな花瓶がありますわ! こちらのお花で飾って差し上げましょう♪」
リュカ「いやいや、水差しだから! 飲み水入れるモンだから!」
ベアトリス「このサボテンさんに赤色のマントを巻いたらまるでお店の衛兵さんに見えますね!」
リュカ「トゲでカーテンがダメになっちまうだろ! たしかに鳥や獣よけにはなりそうだけどさ!」
ベアトリス「まあ、この光る箱を何個も重ねれば、夜もお店を開いておけるのでは?」
リュカ「行燈を重ねて光るハシラにするのか……? そりゃスゲエ……って燃えちまうよあぶねーよ!」
リュカ「ってワケなんだよ。」
主人公「な、なるほど…。」
ベアトリス「この円い木のカタマリはなにでしょう…小さな入り口がありますから……」
リュカ「ああして見てもらうぶんにはかまわないんだけどさ。」
ベアトリス「わかりました! これはネズミさんとり機ですね!」
ベアトリス「さっそくネズミさんのいそうなところへお運びいたしましょう♪」
リュカ「待て待て! そりゃ香木でつくった化粧箱だ! むちゃくちゃ高いんだよ!」
ベアトリス「はあ、お高いものですか…それほどとは見えませんけど。」
リュカ「ったく、『普通』じゃねえよほんと。」
パルモ「………………。」
リュカ「あのな、これ以上勝手してると、
パルモさんも怒っちまうから。」
リュカ「ほかの客のメイワクにならないうちに、出てってくれない…」
パルモ「おどろきデス、すばらしーデス! 極上のセンス! 目からウロコドロップ!」
リュカ「は!?」
パルモ「グレート……エクセレーーーーント! なんというアイデアガールなのデショウ!?」
パルモ「ワタシ、感動にスーパーパンチされてマース! コレなんてドー見えるデショー!?」
リュカ「ど、どしたの
パルモさん!? それただのついたてだけど……?」
ベアトリス「これは……なんでしょう?」
ベアトリス「ああ……わかりました! ドレスを飾っておくのに便利ですね♪」
パルモ「スウィィィィィート! オープンなショーケースに!?」
リュカ「パルさんとテンションが合うなんてやっぱり『普通』じゃねえな……。」
主人公「あはは…。」
三日目
様子が気になって・たまたま通りかかったんです
▼様子が気になって
ベアトリス「まあ、わざわざこんなところにまで……ありがとうございます。」
▼たまたま通りかかったんです
ベアトリス「うふふ……ウソがお下手ですね。たまたま通りかかる場所ではないでしょう?」
主人公「……なんだか元気、ないですね?」
主人公「僕(私)にできることがあればなんでも言ってくださいね。」
ベアトリス「それではすこし、お話を聞いてくださいますか。」
ベアトリス「わたくし、この町のかたにご迷惑ばかりかけている気がして…。」
主人公「
パルモさんのお店のことなら、気にしなくても……」
ベアトリス「『普通ではない』『常識がない』と言われてしまうのです……。」
主人公「それは…王女さまですから仕方がないところもあるのでは……。」
ベアトリス「……そうですね。」
ベアトリス「わかってはいるのです。わたくしは王宮での生活しか知りません。」
ベアトリス「冷めた料理しか口にしたことがないのは、食事にかならず毒見がいたからです。」
主人公「ど、毒見……?」
ベアトリス「そう…毒が混ぜられていないか、担当の者が先に口をつけるのです。」
ベアトリス「日用品の知識がないのも、王宮のしつらえを自分が選ぶことなどありませんもの。」
ベアトリス「しかも、それらの多くは国宝のようなもので、勝手に触ってよいものではありませんでした。」
主人公「こ、国宝……!」
ベアトリス「だから、あのように自由に選び、触れられることがとてもうれしかったのです……。」
主人公「
ベアトリスさん……。」
ベアトリス「ただ、今は出歩くたびに、皆さんに嫌われていくのではないかと」
ベアトリス「怖くなってしまったのです。」
主人公「……大丈夫ですよ。リグバースはやさしい人ばかりです。」
ベアトリス「アレス(アリス)さんも?」
主人公「もちろんですよ。」
主人公「
ベアトリスさんには、目的があるのでしょう。そのために、この町に来たのではないですか。」
ベアトリス「そうです…そのとおりですね。」
ベアトリス「わたくしには、大事な使命があるのです。」
ベアトリス「姉や弟のため、ノーラッドのためにもそれを果たさねばなりません。」
主人公(
ラインハルトさん、国事にかかわる重大事だって言ってたっけ……すこし怖い目をしてたな)
主人公「どんな使命かわかりませんけど
ベアトリスさんを応援しますよ。」
ベアトリス「ありがとう。」
ベアトリス「わたくしを頼りにしている者のためにも、勇気を持たなくてはなりませんね。」
主人公「そうですよ。」
ベアトリス「お言葉に甘えて、あなたのことも頼りにさせてもらいます。」
ベアトリス「今後ともよしなに。アレス(アリス)さん。」
主人公「よ、よしなに。」
ベアトリス「うふふ。」
最終更新:2022年02月12日 22:16