- イベント関係者:プリシラ、マーティン、セシル、むらくも、ユキ、ドグ
1日目
プリシラ「え、
セシルくんはお兄さんから洋服のおさがりをもらったことないの?」
セシル「うん。兄さんが新しいのを買ったり作ったりしてくれるから。」
プリシラ「いいなあ。わたしは小っちゃいとき、おさがりばっかりだったよ。」
プリシラ「やっぱり同じ弟と妹でもセシルくんのところとはずいぶん違うみたいだね。」
主人公「なんの話?」
セシル「お互い、兄さんと姉さんがいる同士だけどあんまり似てないねって話してたんだ。」
プリシラ「セシルくんのお兄さんはマジメな働き者で、うちのお姉ちゃんはずぼらでさぼり癖がある、とかね。」
プリシラ「そうそう、セシルくんは今まで一度もおつかいに生かされたことないんだって。」
セシル「ボク1人に行かせるのは心配だって兄さんが自分で行っちゃうんだ。」
セシル「あ、でも共通点が1つあるよ。」
プリシラ「なんだろう?」
セシル「
エルシェさんも兄さんも家に帰ってこないことがあるでしょ。」
プリシラ「そういえばそうだね。」
プリシラ「でも……
マーティンさんはお仕事だけどお姉ちゃんは帰るのがめんどくさいだけだけど。」
主人公「帰ってこないのは同じでも理由はずいぶん違うみたいだね。」
セシル「そっか……じゃあ、共通してるのはお互い、帰ってこない兄と姉を心配してるってことかな。」
プリシラ「うん、それは同じだね。」
2日目
ドグ「マーティン、根を詰めすぎダ。そろそろ帰って休んだほうがいイ。」
マーティン「いえ、まだ大丈夫です。こいつを仕上げるまではやらせてください。」
ドグ「そんなにあわてることはなイ。納期まではまだあるんダ。」
マーティン「早く終わらせれば、それだけ師匠の教えを受ける時間が増えるでしょう。」
ドグ「まったク……。勤勉も度がすぎると毒だっての二。」
ドグ「お前さんからも休むように言ってくレ。昨日からろくに休もうとしねエ。」
主人公「昨日からずっとお仕事をしているんですか?」
主人公「マーティンさん、少し休んでください。」
主人公「家にも帰っていないんでしょう?セシルくんが心配していましたよ。」
マーティン「セシルが?」
マーティン「……そうか。」
マーティン「師匠、今日は帰ります。」
ドグ「おウ。おつかれさんダ。」
主人公「マーティンさんはいつもこんなムチャをしているんですか?」
ドグ「まあ、そうダ。早く一人前になろうと頑張ってル。」
ドグ「だがああも肩にチカラが入ってちゃいい剣は打てやしねエ。」
ドグ「ゆっくり温泉にでもつかってチカラを抜いてくれりゃいいんだガ。」
主人公「温泉ですか……。」
主人公(
むらくもさんに相談したらいい知恵を貸してくれないかな)
主人公「むらくもさん、少しいいですか?」
むらくも「おう、どうした。」
むらくも「ふむ、なるほどな。マーティンを休ませたいわけだ。」
むらくも「たしかにアイツは働きすぎだな。風呂もコケホッホーの行水だしよ。」
主人公「なにかいい方法はないでしょうか?」
むらくも「うーむ。」
むらくも「あの頑固者を休ませる方法か……難題だな。」
ユキ「横からごめんなさいよ。」
むらくも「なんです、ユキさん。」
ユキ「ひと芝居打ってみてはどうかしら?」
主人公「芝居…ですか?」
ユキ「一期一会のペア宿泊券が抽選で当たった、ということにするの。」
ユキ「セシルくんがそう言って誘ったらマーティンくんもむげにはしないんじゃないかしら。」
むらくも「そいつぁいい!」
むらくも「部屋を1つ空けておくから、アリス(アレス)からセシルに話してやれ。」
主人公「わかりました。ありがとうございます。」
主人公「セシルくん。マーティンさんのことで少しいいかな?」
セシル「なに?」
主人公「じつは……。」
セシル「それいい!ボクも兄さんには休んでほしいと思ってたから!」
セシル「あ、でもなあ……。」
セシル「あらたまって兄弟で旅館に一泊っていうのは照れくさいっていうか……」
セシル「兄さんも同じじゃないかと思うんだ。だから、ね?」
セシル「アリス(アレス)さんが兄さんを誘ってあげてくれないかな。」
主人公「私(僕)が?」
主人公「それはどうだろう。断られると思うんだけど……。」
セシル「そんなことないって。アリス(アレス)さんなら大丈夫♪」
セシル「兄さん、家でよくアリス(アレス)さんの話してるもん。アイツはみどころがあるって。」
主人公「そうなの?」
主人公「うーん……わかった。乗りかかった舟だし、誘ってみるよ。」
セシル「ありがとう!兄さんをよろしくね!」
主人公「あの、マーティンさん。」
マーティン「なんだ?」
主人公「えっと……私(僕)といっしょに温泉に行きませんか?」
マーティン「なぜオレとオマエが?」
主人公「じつはですね、一期一会のペア宿泊券が当たったんです。」
主人公「それで、よかったらマーティンさんもいっしょにどうかなと思いまして。」
マーティン「だから、なぜオレとオマエが?」
主人公「それは、その……マーティンさんにゆっくり休んでもらいたいからです。」
マーティン「……やれやれ。」
マーティン「セシルといい師匠といいオマエといい、みんなしてオレを休ませたがる。」
主人公「それだけ心配している……いえ、心配させているということです。」
マーティン「フッ……はっきり言うな。」
マーティン「が、たしかにそうだ。」
マーティン「わかった。厚意に甘えさせてもらおう。」
マーティン「だが、まだ仕事が終わっていない。明日の夕方なら時間が取れるが、どうだ?」
主人公「わかりました。それじゃあ、明日の夕方の旅館前ということで。」
3日目
主人公「お待たせしました、マーティンさん。行きましょうか。」
むらくも「おう、来たな。」
マーティン「世話になります、むらくもさん。」
むらくも「今日は2人のために貸し切りにしたからよ。ゆっくりしていってくれ。」
主人公「ありがとうございます。」
マーティン「すまん、待たせたか。気持ちよくて少し眠ってしまったんだ。」
主人公「大丈夫ですよ。私(僕)も今出てきたところですから。」
マーティン「そうか。」
主人公「私(僕)の顔になにかついてますか?」
マーティン「いや、なんでもない。」
主人公「夕食、おいしかったですね♪」
マーティン「ああ。むらくもさんが腕によりをかけてくれただけある。」
マーティン「……ふあ……。」
主人公「眠そうですね。」
マーティン「ゆっくり風呂につかって気がゆるんでしまったらしい。」
主人公「それでいいと思います。ドグさんが言ってましたから。」
主人公「肩に力が入りすぎていてはいい剣は打てないって。」
マーティン「師匠がそんなことを……。」
マーティン「そうか……。」
マーティン「…………。」
主人公「ふふ、おやすみなさい。」
(強制的に翌朝9:00へ)
マーティン「お世話になりました、むらくもさん。おかげですっかり疲れがとれました。」
むらくも「はっはっは、そうだろう?うちの湯はトクベツの格別だからな。」
マーティン「アリス(アレス)も、世話をかけたな。」
マーティン「すっかりカラダのこわばりもなくなって頭も冴えている。」
マーティン「休むのが大事という意味がよくわかった。ありがとう。」
主人公「いいえ。お役に立てたならよかったです♪」
マーティン「これで―――今まで以上に働ける。」
主人公「今まで以上って……本当にわかってくれたんでしょうか。」
むらくも「あいつは仕事バカだが、それだけじゃない。」
むらくも「休む大切さも、あんたたちの気持ちもきっちり伝わってるさ。信じてやんな。」
主人公「はい♪」
最終更新:2022年01月26日 17:36