むらくも「よお、アレス(アリス)。よく来たな。ゆっくりしていってくれ。」
主人公「ありがとうございます、むらくもさん。……ん?」
主人公「むらくもさん……この壁の穴は?」
むらくも「ああ……さっき俺が壊しちまってな。いまから修繕しようと思ってたところだ。」
主人公「ええっ、壊した……!?」
むらくも「うむ……。」
観光客の男「すみませーん。一泊したいんですが、お部屋は空いてますか?」
むらくも「おお、いらっしゃい!いますぐお部屋にご案内──」
バキッ!
むらくも「のわーっ!?今度は床が抜けちまった!!」
主人公「わああ、タイヘン!」
むらくも「よーし、なんとかふさがったな。手伝ってくれてありがとうよ、アレス(アリス)。」
主人公「いえ。でも、あちこち修繕した跡がありますね。これも、もしかしてむらくもさんが……?」
むらくも「ああ。どうも俺は力の加減が苦手でな……。」
むらくも「親父に任された旅館も、こんな調子でよくぶっ壊したもんだぜ。」
むらくも「そのたびに、姉上に説教されて、もっとメチャクチャにしちまったりな。」
主人公「そ、そうだったんですね……。」
主人公「(みささぎさんの説教……なんだかわからないけど、背筋にくるものがあるなあ)」
主人公「でも……このままじゃ、いずれ館内がボロボロになってしまいますよ?」
むらくも「うむう……やっぱり、まずいか?」
そうですね ・ うーん……
▼そうですね
主人公「はい……キレイに修繕はされていますが、だんだん見栄えは悪くなっていくでしょうし……。」
▼うーん……
主人公「お客さんもびっくりしていましたし……良くはないと思います。」
主人公「せっかく大陸一の旅館にするために頑張っているのに、もったいないですよ。」
むらくも「うぐ……たしかに、あんたの言うとおりだ。だが、どうすれば力を加減できるんだ!?」
主人公「むらくもさんは、お客さんのことを大切にしているからこそ、力が入っちゃうんですよね?」
主人公「さっきも、すぐにお客さんのところへ駆けつけていましたし。」
むらくも「ああ、せっかく来てくれたお客さんを待たせたくなくてな。」
むらくも「それで勢いあまって床を踏み抜いちまったんだが……。」
主人公「あはは……。」
主人公「旅館って、ゆっくり落ち着いてくつろぐ場所だと思うんです。」
主人公「だから、館内を走ったりせず、大事にゆったり歩くようにしてみたらどうですか?」
主人公「つい、力を入れてしまいそうになったときは、深呼吸をすれば、力も抜けると思います。」
むらくも「おお、なるほど!それなら俺にも出来るかもしれねえ!」
むらくも「あんたはいつも面白いことをかんがえるな!」
主人公「ふふ、役に立ててよかったです。」
むらくも「よーし、気合いを入れなおすぞ!うおぉおおおおおっ!!!!」
主人公「あっ、むらくもさん!そんなに力んだら……!」
べキッ!
むらくも「ぬわっ!?」
主人公「むらくもさん、また床に穴が開いちゃいました……。」
むらくも「うげっ!俺としたことが、またやっちまったー!」
主人公「(むらくもさんが力の加減を覚えるには、まだまだ時間がかかりそうだな……)」
最終更新:2024年10月25日 10:51