お誘い
ベアトリス「わたくし、お願いがあるのです。」
主人公「どんなお願いですか?」
ベアトリス「アレス(アリス)さんと2人きりでお話ししたいことがあります。」
主人公「2人きりで……?」
ベアトリス「たとえば、ファームドラゴンさんのお背中で…とか。」
ベアトリス「ダメでしょうか?」
主人公「いいですよ。」
ベアトリス「やった♪明日、10時にドラゴンさんの下へ行きますね。」
主人公「わかりました。それでは、明日!」
ベアトリス「明日の10時に(Seed)リグバース署前でお会いしましょう。」
翌日
ベアトリス「今日の10時に(Seed)リグバース署前でお会いしましょう。」
ベアトリス「ごきげんよう、アレス(アリス)さん。」
主人公「ごきげんよう、ベアトリスさん。……じゃあ、行きましょうか。」
ベアトリス「うふふ♪」
主人公「あっ、そんなに走るとあぶないですよ?」
ベアトリス「古来、竜は偉大な存在として人のおそれとあこがれでありましたからーー」
ベアトリス「その存在は詩に歌われ、書に編まれ、もちろんわたくしも竜の物語を数多く読みました。」
ベアトリス「美しき王女を悪の大魔法使いから救い出すため、竜の背に乗り大空を飛ぶ勇敢な騎士の物語!」
ベアトリス「ああ……こうしていると、わたくし自身が英雄の伝説に登場しているような気分になります。」
ベアトリス「ふふっ♪」
主人公「へえ……その話は、どうなるんですか?」
ベアトリス「救い出された王女は、城へ戻る前の日に竜の背で騎士に愛を告白するのです。」
ベアトリス『わたくしは、あなたのことが大好き!この出会いは、きっと運命……!』」
ベアトリス「『ずっと…ずっとそばにいたい!!たとえすべてを投げ捨てでも……っ!!』」
ベアトリス「『あとは、あなた次第よ……』」
主人公「……騎士の答えは?」
ベアトリス「……………………。」
主人公(すぅーっ)
『私もあなたのことが好きだ、愛してる!!』・『王女のことをずっとお守りいたします!!』・『このままいっしょに……どこまでも共に!!』
▼どれを選んでも同じ
ベアトリス(手を取れば……いっそう離れがたい。でもーー)
主人公「ベアトリスさん……?」
ベアトリス(今のわたくしは物語に生きる王女。だからせめて、今だけは……)
主人公「………………。」
ベアトリス「……ありがとう。」
ベアトリス「今日はとても楽しいです。アレス(アリス)さん、ありがとう。」
主人公「……今日はなにかおかしいですよ?心配ごとでも?」
ベアトリス「そ、そんなことありません。ほら、こんなに笑顔……♪」
主人公「………………。」
ベアトリス「………………。そう、ですね。」
ベアトリス「アレス(アリス)さんは、わたくしのことを誰よりも見ていてくれるから。」
ベアトリス「ウソは、つけないですね。」
主人公「どうしたんですか?」
主人公「心にかかっていることがあるなら、なんでも話してください。」
ベアトリス「……以前、お話ししましたね。使命があってリグバースに来たこと。」
ベアトリス「いずれ、王都に戻らねばならないこと。」
主人公「………………。」
ベアトリス「………………。」
ベアトリス「わたくしはここでの生活に慣れすぎてしまいました。」
ベアトリス「リグバースでの、自由でなににも縛られない暮らしに。」
ベアトリス「それでもわたくしは……。ノーラッドの第2王女なのです。」
ベアトリス「王都にいる父と母、姉と弟…そして多くの民の未来のために、ここに来ているのです。」
主人公「……はい。」
ベアトリス「でも、もう1人のわたくしが……さきほどの『王女』のようにありたいと言うのです。」
ベアトリス「『ずっと…ずっとそばにいたい!!たとえすべてを投げ捨てでも……』と」
ベアトリス「好き……大好き!!」
ベアトリス「アレス(アリス)さんとずっといっしょにいたいの……!」
ベアトリス「こんな気持ちじゃ……いけないのに……使命を果たすなんて…ぜったいムリ……!」
ベアトリス「王家やノーラッドのことよりも……わたくしは……っ!!」
主人公「ベアトリスさん……。」
主人公「ベアトリスさん……大丈夫。きっと、うまくいきます。」
ベアトリス「う……うわあああああああん!!あああああああ!!」
主人公「僕(私)がいるから……!ベアトリスさんのために、なんでもしますから!」
主人公「大丈夫です、大丈夫……。だから、自分だけで抱え込まないで…。」
ベアトリス「うん!うんっ!」
主人公「いっしょにがんばりましょう?そのために、2人は出会ったんですから。」
ベアトリス「あなたという人は……本当に……。」
主人公「ベアトリスさん……!」
ベアトリス「ああ……アレス(アリス)さん!!」
ベアトリス「ありがとう……アレス(アリス)さん。わたくし、あせっていました。」
ベアトリス「王家のことも、あなたのことも。そして、自分のことも。」
ベアトリス「すべてを一度に手に入れたくて……。」
ベアトリス「性根がぜいたくなのです、わたくし。」
主人公「それくらいでいいんですよ。『お嬢さま』なんですから。」
ベアトリス「そうです、ベアトリスは……ノーラッドで一番、よくぶかい『お嬢さま』になってしまいました。」
ベアトリス「王家の使命も、『騎士』のことも、どちらも解決して見せます。」
主人公「それでこそ、ベアトリスさんですよ。」
ベアトリス「頼りにさせてもらいます、アレス(アリス)さん。わたくしの『騎士』よ。」
主人公「喜んで。僕(私)の『お嬢さま』。」
最終更新:2024年11月11日 14:39