- イベント関係者:ラインハルト、フーカ、マーティン、セシル、ハインツ
フーカ「ガウガウ、ガガウ!(見て、キレイないし! ひろった!)」
主人公「わあ、きれいだね! 光に当たったところがきらきらしてる。」
マーティン「これ……なにかの鉱石みたいだ。磨けばもっと光るかもしれない。」
ラインハルト「なるほど。フーカどの、少しその石をお借りしても?」
フーカ「ガウ?(いいけど……?)」
ラインハルト「ありがとう。では失礼して。」
ラインハルト「ここをこうして……こう……。」
フーカ「ガウ……! ガウ、ガガウガウ!(すごい……!石、ぜんぶぴかぴかになった!)」
ラインハルト「今使ったのは、武器の手入れに使う、研磨用の石……?」
ラインハルト「そうだ。さすが鍛冶師だな、すぐに見破るとは。」
マーティン「さすがなのは、そっちです。あっという間に、こんなにきれいに磨き上げるなんて。」
マーティン「鍛冶師じゃないのがもったいないくらいです。オレより上手いかもしれない。」
ラインハルト「こんなものは小手先の技術でしかない。」
ラインハルト「私はマーティンどののように才能があるわけではないからな。」
マーティン「え……?」
ラインハルト「私も武具の手入れは好きなほうだが、夢中にはなれない。」
ラインハルト「好きな作業に専念できるというのも才能だ。つまり、マーティンどのの方が、鍛冶師の才がある。」
ラインハルト「自信を持つといい。」
マーティン「……はい。」
フーカ「ガウガウ、ガガーウ!(ありがとう、ぴかぴかうれしい!)」
主人公(フーカもマーティンさんもうれしそう。ラインハルトさんは人と打ち解けるのが上手だな)
セシル「ね、お願い!」
ラインハルト「セシルどの、すまないが私は……。」
主人公「どうしたんですか?」
セシル「あ、アレス(アリス)さんもラインハルトさんの説得を手伝ってよ!」
主人公「説得?」
ラインハルト「騎士の戦い方を教えてほしいと頼まれている。」
セシル「探偵はアタマで戦うものだけど、いざというときに腕っぷしが強いのも格好いいでしょ?」
セシル「ラインハルトさんが教えてくれればきっと強い探偵になれるんじゃないかと思ってさ。」
ラインハルト「別に教えるのが嫌というわけではないのだが、私は不自由な身なのでな。」
ラインハルト「定期的に訓練をするという約束をするのは難しい。」
セシル「そっかぁ……。」
ラインハルト「ただ、案ずることはない。セシルどのは将来きっと、強く賢い探偵になる。」
セシル「えっ?」
ラインハルト「セシルどのは若い身ながら、並々ならぬ向上心がある。」
ラインハルト「今すぐ無理に学ばずとも、身に着けるべきときが来れば武術も探偵業も、すぐに上達するだろう。」
セシル「そ、そうかな?」
ラインハルト「そうだとも。私が保証しよう。」
セシル「えへへ……ありがとう、ラインハルトさん!」
主人公(よかった、セシルくんも納得したみたい)
主人公(それにしても……ラインハルトさんは本当に褒め上手だな)
主人公「ハインツさんにラインハルトさん? 珍しい取り合わせですね。」
ハインツ「だよね~。おじさんも、あんまり話したことなかったなと思ってさ。」
ハインツ「いまは趣味とか、好きな遊びを効いてたところなんだけどね~。」
ラインハルト「そういったものは特に……。いろいろと忙しかったもので。」
ハインツ「いや~、真面目でかっこいいねえ!あ、でもおじさんも負けてないよ。」
ハインツ「このあいだもお客さんにかっこいいですねって褒められたんだ。」
ハインツ「うれしくて鼻が高くなりすぎて天井まで届いちゃったよ。」
主人公「いやいやいや!?」
ハインツ「あ、そのときの鼻をまごの手にして売ってるんだけど、1本どう?」
主人公「余計かゆくなりそうなんでけっこうです。」
主人公「それよりハインツさん、お仕事はいいんですか?」
ハインツ「おっと、そうだった。」
ハインツ「おじさん、世界中のカワイイ子を待たせてるんだった。それじゃ2人とも、まったね~。」
ラインハルト「……ううむ。」
主人公「苦戦してましたね、ハインツさんの相手……。」
ラインハルト「あのように愉快な御仁と接した経験はあまりなくてな。好ましい人物だとは思うのだが。」
ラインハルト「アレス(アリス)どのは、ハインツどのと話すのが上手なのだな。」
ラインハルト「ああいうユーモアに溢れる相手にはどのように接すればいいのだろうか?」
主人公「うーん……いっしょに楽しくなるのが重要なんじゃないですか?」
ラインハルト「なるほど……いっしょに楽しく。共に言葉を交わすことを楽しむ……か。」
主人公(真面目に悩み始めちゃった……)
大樹の広場
ハインツ「でさあ、目の前にきらっきらの鉱石が顔を出したわけよ。」
主人公「なんの話ですか?」
ハインツ「アレス(アリス)も聞いてよ~。昔見つけた、すんごいお宝の話。」
ハインツ「もうすごいの、超巨大な宝石。抱えきれない大きくってさ~。」
主人公「すごいじゃないですか!」
ハインツ「そりゃもうすごいよ!持って帰ったら大金持ち確実!」
ハインツ「だから掘り当てた人にすごいですね~って言って帰ったよ。」
ラインハルト「なるほど、掘り当てた人に……」
ラインハルト「……って、見つけたのはハインツどのじゃないんか~い!」
ハインツ「あっはっは、腕をあげたねぇ!」
ラインハルト「ハインツどののボケがきれいだからですよ。」
ハインツ「うれしいこと言ってくれるねえ。おじさんもまた、腕を磨いてくるね。」
主人公「ハインツさんとのお喋り、あっという間に上手になりましたね!」
ラインハルト「アレス(アリス)どのの助言があったからだ。おかげでハインツどのの求めているものがわかった。」
主人公「いえいえ、ラインハルトさんの努力の賜物ですよ。」
ラインハルト「……私の、努力?」
主人公「はい、だってラインハルトさんはいつも相手の欲しい言葉をかけてあげるじゃないですか。」
主人公「それって言われる相手の気持ちを考えて、努力してるからですよね?」
ラインハルト「そ、それは……。」
ラインハルト「……いや、なんでもない。失礼する。」
主人公「え? ラインハルトさん?」
主人公(そんなに動揺するようなこと、言ったかな……?)
ラインハルト「アレス(アリス)どの……折り入って頼みがある。」
主人公「な、なんですか?」
ラインハルト「私が人付き合いに関して努力している、という評価を改めてほしい。」
ラインハルト「いや、評価はそのままでもいい。それを他の人に言わないでほしい。」
主人公「構いませんけど……なんでですか?いいことじゃないですか。」
ラインハルト「相手が欲しい言葉を選んで言う…… そうした行動は、ときにうさんくさく見られる。」
ラインハルト「お嬢さまを守る騎士という立場である私が他人から怪しまれることなど、あってはならない。」
主人公「そんな大げさな……。」
ラインハルト「このリグバースで、敵を増やしたくない。頼む、このとおりだ。」
主人公「わ、わかりました、ナイショにします!」
ラインハルト「そうか……感謝する。」
ラインハルト「……付き合いの長いお嬢さま以外に私の対人術を見抜かれたのは初めてだ。」
ラインハルト「しかもこんな短期間で、裏の企みや悪意もなく……。」
主人公「うーん、ラインハルトさんはいつも真面目にがんばってるじゃないですか。」
主人公「がんばってる人を、すごいって思うのも思ったことを言うのも、普通だと思うんです。」
ラインハルト「なるほど……。」
ラインハルト「感覚で相手の欲しい言葉を見抜き、誠意で人の心を開いていく。」
ラインハルト「アレス(アリス)どのは、稀代の人たらしなのかもしれないな。」
主人公(ラインハルトさんに言われると複雑だなぁ……)
ラインハルト「あなたのような人がいるなら、私が町を留守にするときもお嬢さまは安心だ。」
ラインハルト「今後とも、どうかよろしく頼む。」
主人公(よくわかんないけど……信頼されてるってことでいいのかな?)
最終更新:2025年02月07日 01:53