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  • 炸裂! 唸れ恋のチカラ

たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ

炸裂! 唸れ恋のチカラ

最終更新:2009年09月27日 13:54

rm96

- view
管理者のみ編集可
 メールが届いた。
 相手はもちろん梨華ちゃん。
 寝る前のお約束、らぶらぶオヤスミメール(一回平均37件(笑))。

 開けてびっくり。

『 ばか 』

 はっ?
 なに? その二文字。意味わかんない。

 2秒考えて、返信。

『 かば 』

 っていうか、美貴のメールも意味不明すぎ。

 返事は2分もたたないで返ってきた。

『 おおばかっ!
  だいっきらいっ! 』

 なっ…なにぃ!?
 だいっきらいって…ええっ! なんかしたっけ!?

『ちょっとまって! どーゆーこと?』

 けど、返事は返ってこなかった。

 結局その後、考えちゃってちっとも眠れなかった。

 ありえるとしたら、昨日楽屋に亜弥ちゃんが遊びに来たことくらい。

 気がついたときにはすずめがちゅんちゅんって…。

   *

「おはよーございまーす」
 体が重い…。
 ドアを開けてふらふらーっと入っていく。
 それぞれ「おはよー」って返してくれるんだけど、みんな美貴を見て、なんか顔に青い縦線が入ってる…。
 とにかくカバンを置いて、愛しい梨華ちゃんを探す。
 あれ? いない?
 いつも美貴より早いのに…。
「梨華ちゃんならトイレ行ってるよ」
 って言うと、よっちゃんはにやにやと笑った。
「やー。ミキティたいへんだねー。今日は」
「どういうこと?」
「すぐにわかるって」
 『パン!』って思いっきり美貴の背中を叩くと、「がんばってねー」って。

 『何を?』って思ってたら、梨華ちゃんが戻ってきた。

「おはよっ!」
「…おはよう」
 ちらりと一瞥。ふいって顔を背けられた。

 ガン!

 まさに頭に金ダライ(大)。

 いつもなら…
『おはよう! 美貴ちゃん!』
 美貴ちゃんの後ろには当然ハートマーク×100くらい。

 うっそー!!

 へたり込む美貴の肩をポンポンって叩くヤグチさん。
「ミキティさぁ。昨日のあれはまずかったよなぁ」
「昨日?」
「なんだ。おぼえてないの? あっちゃー。やばいって。それ」
 心配してる割にはキャハハハハっていつもの笑い。なんっていうか、おもしろがってる?

 梨華ちゃんは辻ちゃんを膝に抱っこして、加護ちゃんに後ろから抱きつかれてる。
 二人がにやって笑って、美貴を見た。

 で、辻ちゃんがむぎゅっ…て、美貴の(←ここ重要)梨華ちゃんの柔らかい素敵な胸に顔をうずめた。

「あ゛ああああっ!」
 うおおおおおおおっ! つぅぅぅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!

 思わずぎゅうっと堅く拳を握り締める。
 殴りかからんと立ち上がろうとしたところを、後ろからコンちゃんに羽交い絞めにされた。
「ダメだよ。ミキちゃん。落ち着いて」
「んなことできないって。はっ…離してっ!」
 うがーっと身悶えてあがく美貴を横目に、今度は加護ちゃんがにかーっと笑った。

 で、梨華ちゃんの美貴の(←もちろんここ重要)あまい唇にぶちゅって…!
「え゛えええぇぇぇぇええええぇぇぇえぇぇっ!!?」
 ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!

 だっ、だめ!  殴る! いや殴るだけじゃものたんない!

「離せっ! 離せえっ!」
 ばたばたとあがく美貴を軽々と抑えるコンちゃんの力が恨めしい。
 梨華ちゃんはっていうと、なんかうれしそうに笑っちゃって、こっちなんか見もしない。

「もーあいぼんたらっ」
「梨華ちゃんだいすきー」

 おーおー見せ付けてくれちゃって…。

 あーもーテンション上がんない。仕事なんかやってらんねー。
 くたっと、力を抜くと、それで安心したのかコンちゃんの腕が緩む。

 ごめんね。コンちゃん。

「ぐっ…!」
 コンちゃんのみぞおちに重い一撃。
「「「あさ美ちゃん!」」」
 まこっちゃんと愛ちゃんとガキさんが駆け寄る。

 悪いけど梨華ちゃんのこととなったら、別だから。

 ダッシュで近づく美貴を見て、ぴょんと二人が離れた。
「ああー。仲間痛めつけてどーすんだよ! ミキティ!」
 止めようと立ちはだかるよっちゃん。

 うなる右ストレート。
 力には力。わりと彼女らしい考え方。

「ああーーーっ!」
 ヤグチさんの絶叫。

 ガッ!

「やるな…ミキティ……」
 上から叩きつけるようにカウンターで右。
 ふっ…と笑って沈むよっちゃん。

 はあーーって、誰かが落胆のため息をついた。

 邪魔者が消えたので、いざ梨華ちゃんの元へと思ったら、どうやらさっきのため息の主、それは彼女ようで、眉間を軽く押さえ呆れたようにうつむいてた。
「美貴ちゃん……」
「何?」
 やっと名前を呼んでもらえたのがうれしくって、つい声が弾んでしまう。
 梨華ちゃんはすっと後ろに立つと、絡めるように首に右腕を回した。
「うぐっ!」
 がっちりともう片方の腕でホールドされて、梨華ちゃんの右腕が首を締め付ける。
「なにやってんの!」
 耳元で低い声。戦慄が走った。
「見事なドラゴンスリーパー。完璧です…」
 みぞおちを押さえながら、うっとりと微笑むコンちゃん。
「だっで…」
 あー目がかすむ……。やわらかい梨華ちゃんの腕…。背中に感じる胸…。あー…なんか幸せ…。
 締め付けられることにちょっと喜びを感じ始めたあたりで、すっと開放された。
「かっけー。梨華ちゃん…」
 よっちゃんが腫れた頬を冷やしながら、きらきらと目を輝かせてる。
 梨華ちゃんは崩れ落ちた美貴の襟を掴むと、
「すいません。ちょっとそこまで…」
 ずるずると引きずってドアに向かう。
「いしかわー。殺しちゃだめよー」
 リーダーがのほほーんと物騒なことを言う。

「っていうか、一人は顔腫らしてるし…。仕事になんないんじゃないか…。ふつー」

 ヤグチさん。ごもっともです。

  *

 空いてる楽屋に押し込まれて早々、梨華ちゃんにきっとにらみつけられた。
 あーそんな顔も素敵。
 ちょっと罵倒してもらいたい、そんな気分になってくるけど、ぶんぶんと頭を振って正気を取り戻す。
 ようやく、絞められた首の感覚も戻ってきた。
「ねぇ、梨華ちゃん」
 ようやく、昨日の夜からの疑問がぶつけられる。
「昨日、美貴…なんかした?」
「なによぉ! 覚えてないの?」
「覚えてないって?」

 頭をフル回転させる。

「昨日…。昨日って…」

 亜弥ちゃんが楽屋に遊びに来てて……。

「キスしたよね。亜弥ちゃんと」
「えっ!?」
「ぎゅーって抱き合ってさぁ」
「しっ…してないって! 覚えてないよ! そんなこと!」
「うそっ! みんな見てたんだから!」
「みんながぁ!? だからいつよ!」
 そしたら、今度は急にぼそぼそとしゃべりだした。
「昨日、収録終わって帰り支度してたとき、来たよね? 亜弥ちゃん」
「うん」
 で、いつもどーり、梨華ちゃんがいる前ではやめてね…って言ってるのに、子犬みたいにぴょんって飛びついてきて…。
「でも、抱きついてきただけだよ」
 そしたら、思いっきり怖い顔でぶんぶんと首を横に振られた。
「抱き寄せてたじゃないっ!」
「ええっ!? ちょっ…ちょっと待って!」
 飛びついてきた…。けど、なんか知らないけど、亜弥ちゃん、コケて倒れそうになったから抱き寄せた。
「あ゛っ」
「ほら」
「でも、あれは、亜弥ちゃんがコケそうになったからで」
「けど、亜弥ちゃんのことぎゅーって!」
   そう。思い出した。で、首にわざと腕をからませてきて、そのまま引き寄せられちゃって…。
「違うよ! あれは亜弥ちゃんが、美貴をぎゅうって抱きしめたんだってば!」
 そうだよ。あの時みんな楽屋の奥の方に固まってて、美貴はみんなより少し離れたところにいて、そしてドアの方に体を向けてたわけで…。

 あー。よくあるパターンだよ。やられたって感じ…。

「あれは亜弥ちゃんにしてやられたの。あの後きつく抱きしめてなんかない。梨華ちゃんに背中を向けてたから、そう見えただけだよ」
「でも、そういう風に思われるほうも悪いじゃない?」
 じとっとしたまなざしを受け止めて、その目をやさしく見つめたまま、そっと肩を掴む。
「ねえ、梨華ちゃん。美貴のこと…そんなに信じられない?」
 梨華ちゃんが目を逸らす。
 そっと抱きしめて、耳元で囁く。
「美貴がぎゅってしたいのは、いつだって梨華ちゃんだけなんだから」
「美貴ちゃん…」
 腕に力を込めてぬくもりを堪能しようとすると、梨華ちゃんが腕を突っ張って体を離した。
「だったら、昨日の電話…あれは何?」
「はぁっ!?」
「覚えてないの?」
「覚えてるよ。でも、心当たりなんかないもん!」

 そう。昨日梨華ちゃんから電話があった。
 主題は楽屋に忘れ物しちゃったのを預かっておいたからって内容。
 だけど、その時はふつーだったよね。
 後で亜弥ちゃんに、『二人ともらぶらぶすぎでつまーんなーい』って言われたし…。
 あっ…。そういえば、そのときは亜弥ちゃん…いたんだよね。

「それに、亜弥ちゃんが遊びに来るっていうのも知ってたじゃん」
「そうだよ。知ってたよ。でも、その電話の最中で亜弥ちゃんの…その…甘えたような声…。それはどう説明してくれるの?」
「へっ!? 甘えた!?」
 確かに、電話の最中も亜弥ちゃん、美貴に引っ付いてて、何かとちょっかい出してきたけど…。美貴は梨華ちゃんとのらぶらぶトークに夢中だったから、何にも覚えてない。梨華ちゃんが話したことなら全部覚えてるけど…。
「いゃっ…とか。ダメ…とか。色っぽい声でさ……」
「なにそれ」
「なにそれ…って、美貴ちゃん!?」
「だって、美貴…梨華ちゃんの話だけしか聞いてなかったら、亜弥ちゃんのこと忘れてたし」
 まったく…。そんないたずらをしてたわけね。
 むーっと口を尖らせる梨華ちゃんをもう一度抱き寄せようと試みたけど、見事に拒否られた。
「ねえ、信じてくれないの?」
 そしたら、すっと視線を床に落として、ポツリとつぶやいた。
「信じたい…。信じたいよ」
「だったら…」
「でもね。亜弥ちゃんにとって、美貴ちゃんは恋人なんでしょ」
「だけど、美貴とって、亜弥ちゃんは友達以上恋人未満だよ」
「そんなの飛び越えるのなんてわけないでしょ。あたしと美貴ちゃんなんか、ファンの人たちから仲悪いって見られてるくらいなんだから」
「そうだけど…でも、美貴にとって、梨華ちゃん以外に恋人以上に思える人なんかいないから」
 目を見て、しっかりと伝える。
 そして、抱きしめた。
 今度は腕の中に納まってくれた梨華ちゃん。
「ごめんね。不安にさせちゃって…」
「ううん…」
 小さく首を振って、美貴の服をぎゅうっと掴んだ。


 そっと、顔を上げさせて唇を寄せる。
 そしたら、指でとん…と止められた。
「ダメ。まだ許したわけじゃないから」
 チャーミースマイルが眩しい。
 でも、お預けをくらって、ちょっとショック。
 いい感じだっただけに金ダライ(小)が直撃って感じ。
「じゃあ、どうしたらいい? なんでもするから」
「ほんとに?」
 うなずいて返したら、抱きしめられた。
 耳に唇のやわらかい感触。
「わからせて…」
 囁きがきゅんって体を突き抜ける。
「美貴ちゃんが、あたしを愛してるってことを…」

 そんなことは簡単で、だけど世界一難しくって…。
 だって、何をしたって伝えきれないほどの想いを抱えてるんだもん。

   *

 楽屋に戻ったら、なんでかみんなちょっとがっかりしたよーな空気が。

 なに? どういうことですか。それって。

「あら? よかったじゃない。生きて帰れて」
 リーダーがさり気なく失礼なことを言う。
 梨華ちゃんと顔を見合わせる。
 でも実は、そう間違いでもなかったりなんかして。

『とりあえず、昨日の夜から溜め込んだ怒りは受けてもらおうかな』
 にっこり笑って、本日二度目のドラゴンスリーパー。
 多少の手加減もなく、きっちり天国に行かされた美貴。
 タップしてもわざと無視するし…。

「どうやら落とされたらしいね。首が痛々しい…」
 苦笑いのヤグチさん。
「梨華ちゃん、手加減しないからなぁ。オイラも前に脇固め食らったときマジやぱいって思ったし」
 それは美貴もよく覚えていて、その後、なんとか逃げ出したヤグチさんのシャイニングウィザードが梨華ちゃんの自慢のあごに炸裂して……。
 なんだかんだと手ごわいヤグチさん。
「ごっちんぐらいだしね。梨華ちゃんとまともに組めるの」
 よっちゃんが苦笑いする。娘。きってのハードパンチャーのあんたが何を言う…。
「ミキティなら…って思ったんだけどなぁ」
「ちょっとぉ! なに言ってんのよぉ!」
 べしっとよっちゃんの腕を叩く梨華ちゃん。
「だぁってさぁ。ホントのことじゃん」
 にやにや笑うよっちゃん。
 顔を真っ赤にして膨れる梨華ちゃんを後ろから抱きしめた。
「そんなことしないよーだ。まぁ、油断しなければ何とかなると思うけどね」
「言うねぇ。ミキティ」
 K-1大好きのヤグチさんの目が嬉々としてる。

 梨華ちゃんと顔を見合わせてくすくすって笑った。

 とりあえず浮気疑惑の誤解は解けた。

 ……はず。

 だって、梨華ちゃんが、
「遊びに行っていい?」
 って、言ってくれたから。

 昨日の分を取り返すくらい、うーんと愛しちゃうんだから。
 全身でね、伝えるの。
 そしたら完璧でしょ!

 梨華ちゃんに掛けるのは、恋のチカラ全開の愛の魔法なんだから!  


(2004/3/21)
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