たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
5.傍観者たち
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rm96
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わずかな記憶。
だけど怖いくらい鮮やかな浅い浅い蒼い世界。
だけど怖いくらい鮮やかな浅い浅い蒼い世界。
顔に降り注ぐあたたかい雨。
穏やかな微笑み。
穏やかな微笑み。
すうっと暗くなった視界。
最期に唇に触れたぬくもりは、やさしかった。
最期に唇に触れたぬくもりは、やさしかった。
*
こめかみにそっと口付ける。
「ん…」
ほら。ゆっくりと目を開けてあたしの首筋から離れた唇から零れ落ちたのは甘い吐息。
うっすらと赤くなった頬。
そっと撫でながら、まだぼんやりとまどろんでいる血のように紅い瞳を覗き込む。
「リカ」
「うん…」
小さくうなずいて、再び閉じたまぶた。
はぁ。
小さなため息。
ゆっくりと開いたまぶたの向こうにある瞳はまだぼんやりとしたままだけど、いつもと変わらない深い茶色。
「かおたん…」
もたれかかってくる華奢な体を抱きとめて、背中を撫でて落ち着かせる。
うっすらと赤くなった頬。
そっと撫でながら、まだぼんやりとまどろんでいる血のように紅い瞳を覗き込む。
「リカ」
「うん…」
小さくうなずいて、再び閉じたまぶた。
はぁ。
小さなため息。
ゆっくりと開いたまぶたの向こうにある瞳はまだぼんやりとしたままだけど、いつもと変わらない深い茶色。
「かおたん…」
もたれかかってくる華奢な体を抱きとめて、背中を撫でて落ち着かせる。
どんなユメを見たのかしらね。
遠い遠い世界。
暗い森。
永遠に明けることない静かな夜。
暗い森。
永遠に明けることない静かな夜。
少しずつ少しずつ、このコの中に広がって染み込んでいる世界。
いたずらっこたちがどうやら騒いでる。
「石川?」
「はい」
ゆっくり体を起こすと、まだ眠たげな顔。
「ごめんね。先、戻っててくれる?」
「うん」
「はい」
ゆっくり体を起こすと、まだ眠たげな顔。
「ごめんね。先、戻っててくれる?」
「うん」
膝から降りて、ありがとって頬にキスをして部屋から出て行く石川。
この間はあのコが隙間から見てたっけ。
そんなことを思っていたら、のんちゃんが入ってきた。
「カオリ?」
とてとてとやってきて当たり前のように膝に座る。
いつまでもずっと変わらなくて、あたしとしてはうれしい。
「どうしたの?」
「ん? んー…」
「のんちゃん?」
珍しく難しいカオを見せる。
だっこして、ちょっと揺れてあげた。
「ねぇ」
「ん?」
ちらりとのんちゃんの目線がドアに流れた。
「どうなるんだろうね…。あの二人」
せっかくあいぼんと背中押してあげたのに…って。
「ふふっ。ちょっと…刺激が強かったのかもね」
「…へたれ」
ぷーと膨れたのんちゃん。かわいい。
「カオリ?」
とてとてとやってきて当たり前のように膝に座る。
いつまでもずっと変わらなくて、あたしとしてはうれしい。
「どうしたの?」
「ん? んー…」
「のんちゃん?」
珍しく難しいカオを見せる。
だっこして、ちょっと揺れてあげた。
「ねぇ」
「ん?」
ちらりとのんちゃんの目線がドアに流れた。
「どうなるんだろうね…。あの二人」
せっかくあいぼんと背中押してあげたのに…って。
「ふふっ。ちょっと…刺激が強かったのかもね」
「…へたれ」
ぷーと膨れたのんちゃん。かわいい。
素直じゃない狼と吸血鬼。
まだまだ先は長いようね。
*
ずーっとよっちゃんがそわそわしてる。
と、思ったら楽屋を出て行った。
ふーん。
どれどれ。
偵察開始!
偵察開始!
のんはかおりんのトコへ。
梨華ちゃんの様子を見に行ったまま。
梨華ちゃんの様子を見に行ったまま。
その梨華ちゃんはかおりんといつのまにか楽屋からいなくなって20分。
まだ20分? もう20分?
まだ20分? もう20分?
王子様、気が気じゃないんだろうねぇ。
だって、最近梨華ちゃん、ちょっとお疲れ気味。
いつもみたいにテンション高いけど、なんかふわーってしてる感じ。
まぁねぇ、わからなくもないんだけどねぇ。
だって、最近梨華ちゃん、ちょっとお疲れ気味。
いつもみたいにテンション高いけど、なんかふわーってしてる感じ。
まぁねぇ、わからなくもないんだけどねぇ。
って、あ。
ささっと角に隠れて…。
よっちゃんはなんか頭をかきながら、
「おせーじゃん」
「そう?」
って梨華ちゃんはふわっと笑った。
「どうしたの? よっちゃん」
「ん? 別に。散歩」
「ふーん。もうすぐ収録始まっちゃう?」
「いや、まだだけど、さ」
「おせーじゃん」
「そう?」
って梨華ちゃんはふわっと笑った。
「どうしたの? よっちゃん」
「ん? 別に。散歩」
「ふーん。もうすぐ収録始まっちゃう?」
「いや、まだだけど、さ」
なんかよっちゃん、ホントにこれじゃ男子だよね…。
「なんだったら、行く? 一緒に」
「うん」
「うん」
少し考えて、梨華ちゃんはうなずいた。
並んで歩く二人。
よっちゃんの左手が梨華ちゃんの手に触れる触れないでさまよってる。
あーもぉ!
手が触れるほど近くにいて心臓の音が聞こえるほどドキドキする付き合いじゃないでしょーに。
並んで歩く二人。
よっちゃんの左手が梨華ちゃんの手に触れる触れないでさまよってる。
あーもぉ!
手が触れるほど近くにいて心臓の音が聞こえるほどドキドキする付き合いじゃないでしょーに。
でもこれ、狼さんが見たらまたうきーってなるだろうなぁ。
だって、歩いてる後姿が新婚さんだもん。
…。
「とーちゃーん! かーちゃーん!」
なんかびっくりして振り返る二人の顔。
間に入って、えいって二人と手を繋ぐ。
ちょっとの間協力してあげるから。よっちゃん。
間に入って、えいって二人と手を繋ぐ。
ちょっとの間協力してあげるから。よっちゃん。
ちゃんと自分の気持ちを見つけてね。
王子様。
王子様。
廊下に響く三つの足音。
かつんかつんって青い蛍光灯の明かりの中に消えていった。
かつんかつんって青い蛍光灯の明かりの中に消えていった。
(2006.5.3)