たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
満員電車と寝ぼすけさん
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rm96
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電車が駅に滑り込んで、
ぷしゅーっ。
ドアが開くと、うわーってなだれ込んでくる人。
朝の憂鬱な上り方面の満員電車。
ごっちんは下りだから、
「けっこー座れるんだよねー」
って。
ごっちんは下りだから、
「けっこー座れるんだよねー」
って。
美貴ちゃんとの待ち合わせ。
あたしの乗る駅は一つ隣。だから、いったん降りて美貴ちゃんとおちあって列に並ぶ。
そんな毎日。
いつもより少しだけ早く起きないといけないけど、それはそれで楽しい。
もっとも、帰るの面倒だからって、ウチに遊びに来てくれる方がもっと楽だし、楽しいんだけどね。
あたしの乗る駅は一つ隣。だから、いったん降りて美貴ちゃんとおちあって列に並ぶ。
そんな毎日。
いつもより少しだけ早く起きないといけないけど、それはそれで楽しい。
もっとも、帰るの面倒だからって、ウチに遊びに来てくれる方がもっと楽だし、楽しいんだけどね。
けど…うーん。なんかね。
「おはよぉ。梨華ちゃん」
あっ来た来た。あーあー。なんかトローンとしちゃってるよ。
「おはよ。美貴ちゃん。まだおねむ?」
「うん…って、うわっ。きしょっ」
「ちょっとぉ。きっちりつっこまなくてもいいってば」
「ふふーん」
あっ来た来た。あーあー。なんかトローンとしちゃってるよ。
「おはよ。美貴ちゃん。まだおねむ?」
「うん…って、うわっ。きしょっ」
「ちょっとぉ。きっちりつっこまなくてもいいってば」
「ふふーん」
次の電車が来るまで7分。速い回転のせわしない発着と長い列。
とりとめのない会話をしながら、でもなんかすっごく眠そうな美貴ちゃん。
まぁ、いつものことなんだけど…。
「今日はずいぶんと眠そうだね」
「うん…。3時まで起きててさぁ」
「3時!? って、ほとんどさっきじゃん。なにしてたの?」
「んー。電話」
ふぁーってあくびをして、ふにゅと目をこするしぐさがコドモっぽくてかわいい。
かわいいんだけど…ねぇ…。
「なんかさあ、亜弥ちゃんとしゃべってたら…うん」
むぅ…。あーなんかなぁ。ちょっと……ジェラシー?
けど、美貴ちゃんもなんかヘンな表情。なんていうの? 困ってる?
ちらってあたしの顔見て、ちょっとばつが悪そうな感じ。
「あーでもさ。起きれたから…よかったけどね」
「んー。ホントだね」
「あっ。そーゆーこという?」
「だってホントのことだし」
「…まぁね」
「でも、遅れたら遅れたで、待ってるけどね。モーニングコールして」
「あー。でも、それ、いいかも」
くすくすって笑う美貴ちゃん。
「それって?」
「モーニングコール」
「ふふっ。お・は・よ。みきちゃん…って、囁いてあげるから」
「うわっ! さむっ! きもっ! 一発で目、覚めそう」
「でしょ。何気に軽くひどいけど」
「えーっ! うはぁぁぁっ! って感じじゃん」
「まぁね。あたしも言っててきしょいかもって思うし」
「ほらぁ」
あはははって笑って。
そんないそいそしたホームをまるっきり無視した穏やかな流れ。
とりとめのない会話をしながら、でもなんかすっごく眠そうな美貴ちゃん。
まぁ、いつものことなんだけど…。
「今日はずいぶんと眠そうだね」
「うん…。3時まで起きててさぁ」
「3時!? って、ほとんどさっきじゃん。なにしてたの?」
「んー。電話」
ふぁーってあくびをして、ふにゅと目をこするしぐさがコドモっぽくてかわいい。
かわいいんだけど…ねぇ…。
「なんかさあ、亜弥ちゃんとしゃべってたら…うん」
むぅ…。あーなんかなぁ。ちょっと……ジェラシー?
けど、美貴ちゃんもなんかヘンな表情。なんていうの? 困ってる?
ちらってあたしの顔見て、ちょっとばつが悪そうな感じ。
「あーでもさ。起きれたから…よかったけどね」
「んー。ホントだね」
「あっ。そーゆーこという?」
「だってホントのことだし」
「…まぁね」
「でも、遅れたら遅れたで、待ってるけどね。モーニングコールして」
「あー。でも、それ、いいかも」
くすくすって笑う美貴ちゃん。
「それって?」
「モーニングコール」
「ふふっ。お・は・よ。みきちゃん…って、囁いてあげるから」
「うわっ! さむっ! きもっ! 一発で目、覚めそう」
「でしょ。何気に軽くひどいけど」
「えーっ! うはぁぁぁっ! って感じじゃん」
「まぁね。あたしも言っててきしょいかもって思うし」
「ほらぁ」
あはははって笑って。
そんないそいそしたホームをまるっきり無視した穏やかな流れ。
電車がホームに滑り込んで、ゆっくりと止まった。
追い立てられるように電車の中に乗り込んで…。
期待するわけじゃないけど、やっぱり座れなくって、とりあえず降りやすいようにと反対側のドアの方へ向かう。
なんとなくしっかりと寄り添うようにちょっと向かい合うように立って、なんとなくカラダを支えようと美貴ちゃんの腰に腕を回した。
美貴ちゃんもしっかりとあたしのカラダに腕を回して、きゅっとブレザーを掴む。
期待するわけじゃないけど、やっぱり座れなくって、とりあえず降りやすいようにと反対側のドアの方へ向かう。
なんとなくしっかりと寄り添うようにちょっと向かい合うように立って、なんとなくカラダを支えようと美貴ちゃんの腰に腕を回した。
美貴ちゃんもしっかりとあたしのカラダに腕を回して、きゅっとブレザーを掴む。
しゅーっ。
ドアが閉まって、ガタンガタンと電車が動き出す。
「なんか…今日、人多くない?」
耳元で美貴ちゃんが囁く。
たしかに、なんかわかんないけど、いつもよりは少しだけ込んでる気がする。
何かに掴まらなくても身体が固定されるのはありがたいんだけど、でも、知らない人に触られるのって、 どっかイヤだし、それになんか息苦しい。
耳元で美貴ちゃんが囁く。
たしかに、なんかわかんないけど、いつもよりは少しだけ込んでる気がする。
何かに掴まらなくても身体が固定されるのはありがたいんだけど、でも、知らない人に触られるのって、 どっかイヤだし、それになんか息苦しい。
ガタンガタン。
揺れるたびに体を押されて、なんか学校着くまでに疲れるよね…。
本を読んだり、なんとなく外を眺めたり。
目を閉じてる人もいて…。
目を閉じてる人もいて…。
ガタンガタン。
こんなことがあと一駅分。
空はよく晴れてさわやかな朝なのにね。なんか、ちょっとブルー。
みんなガタガタ走る電車の音をぼんやりと聞きながら、自分の世界に入ってるみたいに無関心。
みんなガタガタ走る電車の音をぼんやりと聞きながら、自分の世界に入ってるみたいに無関心。
へんに静かで、なんか窮屈で、あたしも美貴ちゃんもなんとなく黙ってた。
そんなこんなで約5分。
ドアが開いて、降りた人の倍の数の人が乗り込んで、ふらふらと押されていく。
お互いの体をしっかり抱いて、だけどさりげなく反対側のドアの方に近づいていく。
ふうっとため息が零れた。
お互いの体をしっかり抱いて、だけどさりげなく反対側のドアの方に近づいていく。
ふうっとため息が零れた。
ぷしゅーっ。
ドアが閉まって、ゆっくりと動き出して…。
『本日も……』
流れるアナウンスはあんまりよく聞こえなかった。
なんとなく隙間から流れる景色をぼんやりと眺めていたら、コテンと肩に重み。頬にかかる息。
「美貴ちゃん?」
「…」
『あれ?』と思ったら、寝てた。
こんなんでよく寝れるなぁ…って、ちょっと妙に感心。
きゅってブレザーを掴んで、すーすーと静かな寝息。まるっきり無防備な横顔。
「美貴ちゃん?」
「…」
『あれ?』と思ったら、寝てた。
こんなんでよく寝れるなぁ…って、ちょっと妙に感心。
きゅってブレザーを掴んで、すーすーと静かな寝息。まるっきり無防備な横顔。
そんなに遅くまで話してるから…。
きゅぅっと胸が締め付けられる。
やだな…。
やだな…。
そんな…人の気も知らないで…。
気がついたら、うっすらと開いている唇を見つめててハッとした。
「…ん」
たぶん寝言。そして、もそっと動いて顔がさらに近づく。
たぶん寝言。そして、もそっと動いて顔がさらに近づく。
……どう…しよ。
のんきに寝てないでよ。
唇から目が離せないじゃん。
ドキドキする。
ドキドキして……。
唇から目が離せないじゃん。
ドキドキする。
ドキドキして……。
そっと顔を近づけた。
ちょっとだけ背が高いにあたしに、少しだけ顔を上げるように肩に頭を預けてる美貴ちゃん。
まるでしろって…言ってるみたい。
まるでしろって…言ってるみたい。
しらないからね。
かばうように抱きすくめて、そっと無防備な唇の上に、緊張してかすかに震える唇を重ねた。
ガタンガタン。
誰もが無関心。
物足りなさにぎゅっと胸を掴まれながら、5つ数えてさっと離れた。
物足りなさにぎゅっと胸を掴まれながら、5つ数えてさっと離れた。
ガタンガタン。
やけに大きく聞こえる線路を駆ける電車の音。
美貴ちゃんはまるで何にもなかったように相変わらず眠ってて、あたしはなんとなくため息をついて抱きしめた。
人と人とのわずかな隙間から見える流れる景色はコンクリートの灰色で、のーてんきな寝ぼすけさんの吐息に首筋をくすぐられて、あたしはたぶん何にも見えてなくって、ただドキドキうるさい心臓の音だけを聞いていた。
答えを知ってるのに、あたしたちはたぶん…まだとぼけてる。
『まもなく……』
電車がホームに流れ着く。
美貴ちゃんを起こすと、押し出されるようにホームに降り立った。
美貴ちゃんを起こすと、押し出されるようにホームに降り立った。
*
改札をくぐり抜けると、美貴ちゃんがすっと手を絡めてきた。
「梨華ちゃん」
「…なに?」
「…んー」
ゆっくりと息を吐き出して、ふと伏せ目がちに何か言葉を探ってるみたい。
「あのさ…」
なんとなく真顔に近い顔で、不思議そうに唇に触れた。
「梨華ちゃん」
「…なに?」
「…んー」
ゆっくりと息を吐き出して、ふと伏せ目がちに何か言葉を探ってるみたい。
「あのさ…」
なんとなく真顔に近い顔で、不思議そうに唇に触れた。
あっ…!
きゅっと唇を軽く噛むように舐めて、すっと向けられた目にどきっと心臓が鳴った。
「さっき…」
言いかけて、ふと…目をそらして。
「ま、いいや」
ふっと笑って、なんかずるい。
そんなにやさしいカオしないでよ。
「なによぉ。気になるじゃん」
「いいの」
「さっき…」
言いかけて、ふと…目をそらして。
「ま、いいや」
ふっと笑って、なんかずるい。
そんなにやさしいカオしないでよ。
「なによぉ。気になるじゃん」
「いいの」
もしかして、もしかする?
「美貴ちゃん…さっき…」
「ん? なに?」
「え…その…」
「あー。なんかした? 美貴、なんかよく眠っちゃってたからさぁ」
んーって身体を伸ばして、へへって照れくさそうに笑ってる。
あたしの手を握るその手にかすかにだけど、チカラが入ってた。
「ね、今日もさ、お昼二人っきりで食べようよ」
「あそこで?」
「うん」
「いいの? 亜弥ちゃんは」
「うん。さっきまで話してたし、これぐらいで壊れるほど、やわな友情じゃないから」
「ふ~ん」
「それにね、今日は…なんか二人っきりでいたいんだ」
ちょっとはにかむように笑う美貴ちゃん。
たぶんどっかで拗ねてたあたしの心はあっというまに上機嫌。
「じゃ、学校サボって帰っちゃおうか」
なんて言ってみたら、
「あれ。今日の梨華ちゃんずいぶん話がわかるじゃん」
って、くるりとカラダを翻そうとするから、慌てて引き止めた。
「ダーメ。冗談に決まってるでしょ。ほら、もうここまで来てるんだから」
「ちぇっ」
「ん? なに?」
「え…その…」
「あー。なんかした? 美貴、なんかよく眠っちゃってたからさぁ」
んーって身体を伸ばして、へへって照れくさそうに笑ってる。
あたしの手を握るその手にかすかにだけど、チカラが入ってた。
「ね、今日もさ、お昼二人っきりで食べようよ」
「あそこで?」
「うん」
「いいの? 亜弥ちゃんは」
「うん。さっきまで話してたし、これぐらいで壊れるほど、やわな友情じゃないから」
「ふ~ん」
「それにね、今日は…なんか二人っきりでいたいんだ」
ちょっとはにかむように笑う美貴ちゃん。
たぶんどっかで拗ねてたあたしの心はあっというまに上機嫌。
「じゃ、学校サボって帰っちゃおうか」
なんて言ってみたら、
「あれ。今日の梨華ちゃんずいぶん話がわかるじゃん」
って、くるりとカラダを翻そうとするから、慌てて引き止めた。
「ダーメ。冗談に決まってるでしょ。ほら、もうここまで来てるんだから」
「ちぇっ」
いつもの並木道。
通りをにぎわす女の子達の声。
よく晴れた空と眩しい朝の光。
通りをにぎわす女の子達の声。
よく晴れた空と眩しい朝の光。
「おはよー」
って、年中無休で眠そうなごっちんのふんわかした声。
「おっはよーっ!」
朝から元気のいいよっすぃ。
って、年中無休で眠そうなごっちんのふんわかした声。
「おっはよーっ!」
朝から元気のいいよっすぃ。
並んで歩いて、他愛もないことで大笑いして…。
しっかりと繋いだままの手。
しっかりと繋いだままの手。
いつもとおんなじ朝。
だけど何かが少しずつ変わっていく、そんな予感がした。
だけど何かが少しずつ変わっていく、そんな予感がした。
(2004/6/9)