子ネコのキモチ - たぶん素敵妄想集（爆@ ウィキ

「みきねぇみたく、上手くなりたい」

　れいながまっすぐに美貴を見て言う。
　それもずいぶんと真剣なまなざしで。

「ありがと。でも…っていうか、れいな上手いじゃん。歌」
　そしたらへへってうれしそうに笑って、けど、ちょっと考え込むようにうつむいて…。
「うーん。うれしい。うれしいっちゃけど…」
　覗きこむように上目遣いで美貴を見上げる。
　あー…。
　やっぱネコだよね。うん。のど撫でたい。
　ぐるぐるいいそうだもん。
「みきねぇみたく、通る声になりたいっちゃ。れいな声薄いから、どーーんって迫力がほしか」
「ふーん」
　そういう言われるとうれしいけどね。
「れいなの声、かわいいからいいと思うけどなぁ」
　別にそんなトコまで美貴に似なくてもいいと思うけど。
「かわいいは…キャラじゃないっちゃ」
「はぁ？　ってことは美貴はかわいくない…と」
　そしたら、ぶんぶんとすっごい勢いで首をふって、飛びかかるようにがしって肩を掴まれた。
　おぉーっ。必死必死。
　ふふっ。かわいいなぁ。
「そっ！　そんなことなかっ！　かわいいっちゃ！　すっごくかわいいちゃっ！　れなのお嫁さんにしたいくらいかわいいちゃっ！」

　……。

「お嫁さん！？」
「はっ！　えっ、あっ！　そっ…そんくらいかわいいってことっ！」
「ふーん。そっか。ありがと」
「…もっとよろこんでほしいっちゃ…」
　ぼそっと呟いて、いやいや、じゅーぶんうれしいけど、照れるじゃん。
　それにさ、美貴の方が歳が上なわけだしさ。どっちかっていわなくても、逆？

　むーっとほっぺ膨らませて、ちょっと怒ってる？
　とりあえずのど、なでてみようか？

「れいな？」
「れいな…かっこよくなりたい」
　うつむいてた顔を上げて、すっごい真剣にまた美貴を見る。
　やべ…。ドキドキしてきた。よっちゃんさんじゃなくって、亜弥ちゃんでもなくって、ましてやエロいバディの梨華ちゃんでもなくって…。
「みきねぇみたいに、かっこよくてかわいいひとになりたい」
「でもさっき、かわいいはキャラじゃないって…」
「ただかわいいなら、さゆとかエリで十分たい。だから…」
「…だから？」

　真剣に見つめられたまま、れいなの小さな手が美貴の頬を包む。

「だから、すきっちゃ。みきねぇ」

　それ、ぜんぜん話し繋がってないよね？

　そんなことを言おうと思ってたら、れいなの唇が美貴の唇に重なってた。

　…。
　…重なってた？

「あ…」

　れいなはへへへって笑ってて、くそっ。にくったらしいけど、かわいいじゃん…。

「すきっちゃ。みきねぇ」

　きらきらした笑顔と瞳。
　うわ…。どきどきしてるし。美貴。

「れいながみきねぇみたくなれるように、おまじない」

　そんなところが、まだまだコドモなのかなぁ。
　そう思ったら、悔しいっていうよりもかわいくってかわいくって…。

「ったく」

　とりあえず、のどをなでて、

「うわっ！　ネコじゃなかっ！」
　って逃げようとするから、しっかりと捕まえて、おかえし。

　小さな唇に、触れる程度のかわいいキス。

「美貴の気持ち」

　ぼんって真っ赤になったれいな。
　言っておきながら美貴もけっこう照れくさかったり…。
　だからぎゅっと抱きしめた。

　なんかぐるぐるいってそうに目を細めてるれいな。
　このままとじこめて、いっそうちで飼っちゃおうかな…なんてね。　

（2005/2/28）