こいぬのワルツ - たぶん素敵妄想集（爆@ ウィキ

　せっかく楽屋に二人っきりやのに、ちっともかまってくれへん。
　ずーっと雑誌読んでる梨華ちゃん。
　隣にこ～んなかわいいコがおるのに、もぉ！

　あかん。もぉ、あかん。
　ねぇ、こっち見て！

「り～か～ちゃん」

　雑誌読んでたらいきなり唯ちゃんの顔。
　さっきから突っついてきたりもたれかかってきたりしてたけど、今度はちょっと唇を尖らせて鼻先が触れるくらいまで顔を近づけてのぞきこんでくる。

「ねぇ、ね、り～か～ちゃん」

　いじわるしてわざと逃げても追いかけてきて…。
　なんだか子犬みたい。

「…」
「梨華ちゃん?」

　何が起こったのかわからへんかった。
　でも…一瞬真っ暗になって、唇がなんかふわってあったかくなって…。
　頭ん中真っ白。

　ちょんって唇に触れた梨華ちゃんの小さな指。

「あ！」

　キスって…ウソやん！
　そっけない顔してた梨華ちゃんが、にやっと笑った。

「どうした?」
「梨華ちゃん…ずるぃですぅ」
「は?」
「だって…今の覚えてなぃ」

　そしたら、しょうがないなぁって。

　ほっぺに触れた梨華ちゃんの手。
　自分から迎えに行った。

　キスってな、ほんま甘いんやんなぁ。
　触れてるだけやのに。

「もっとさ、あたしだってかまってほしいんだぞ」

　いっつもエリカと一緒なんだもん。
　そう呟いて、わざとすねて見せた梨華ちゃん。
　ほんまつくづくかわいい。
「ね?」
　にこっとバラ色のほっぺで微笑んで、あたしをだっこ。
「せやったら、梨華ちゃんももっとあたしのことかまってください」
　そしたら、すうって目を細めて、うんって。

　えぇなぁ。梨華ちゃんのことひとりじめ。
　エリカちゃんには悪いけど、もう少しだけ二人っきりでいさせて。ね?

（2007/1/24）