◆02. 【グイン・サーガ】
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト──
神経症で夜な夜な悪夢に悩まされていたこの男は、闇の啓示を受け、
1928年に『クトゥルフの呼び声』という短編小説を発表。
これによりクトゥルフ神話と呼ばれる架空神話大系が誕生する。
その友人であるロバート・E・ハワードは1932年に
『闇の種族』という、クトゥルフ神話体系のひとつである短編小説を著す。
これが濫觴となって、『コナン・ザ・バーバリアン』シリーズが誕生する。
『蛮人コナン』はヒロイック・ファンタジー小説の開祖であり、
原点にして究極の作品である。
『コナン』以降、世界各国の人間によって
星の数ほどもファンタジー作品が生み出されたが、
いまだに『コナン』を超えるものは出ていない。
欧米においてはヒロイック・ファンタジー小説は盛況であったが、
遠く離れた極東の島国──
日本においてはごくごく一部のマニアに受けていたのみの
きわめてニッチなジャンルにすぎなかった。
そのような中、かなり時代が下り、1979年1月になって
『グイン・サーガ』が刊行される。
女流作家・栗本薫の手による
史上最大のファンタジー大河小説である。
『グイン・サーガ』は『コナン』の影響を多大に受けて作られた作品であり、
ファンタジー世界を舞台に、三国の興亡と戦争を描く異世界三国志である。
世界の隅々に至るまで非常に緻密な設定が作られており、
広大な世界を舞台に膨大な人間が活躍する群像劇でもある。
2009年に130巻を執筆中に作者が急逝したが、
その後も別の作家たちが続編を書き、
現在正伝146巻、外伝26巻まで刊行されている。
ギネスブックで「単一作者による世界最長の小説」
として認定されている『失われた時を求めて』の
約4倍のボリュームである。
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最終更新:2020年04月19日 21:09