◆01. 【薔薇とユニコーン】
『ロマサガ』世界ではグイン・サーガのヤヌス十二神を元ネタにした
マルディアスの神々が信仰されている。
ゲーム本編に直接関わらないにも関わらず、
各地で信仰されている神々の設定があったりと、
『ロマサガ』というゲームは他のトンデモファンタジー作品に比べると
設定が非常に練りこまれている方だが、
それは『グイン』の同様の設定が根底にあるからである。
しかしそれでも『ロマサガ』の世界設定は
『グイン』に比べて杜撰で完成度が低い。
ロマサガにはグインのパロ王国を元ネタにした
『ローザリア』という国がある。
その名は『薔薇の土地』を意味する。
だがより突っ込むならば、グイン・サーガで自由と貞節を象徴し
パロで特に好まれる架空の花である
ロザリアから取ったネーミングだろう。
この花はパロの支配者アルド・ナリスが最も愛する花でもある。
ロマサガのローザリアは薔薇とユニコーンを国章にしている。
ユニコーンは現実世界では元々竜の一種であったが、
時代が下ると角の生えた白馬となる。
そして懐妊前の聖母マリアの象徴となり、
聖画では好んで処女マリアと共に描かれてきた。
一方薔薇は、白薔薇は処女マリア、赤薔薇は母マリアの象徴として扱われ
聖堂の壁面にある薔薇窓も同様にマリアの象徴である。
つまり歴史的に見てバラもユニコーンもキリスト教のシンボルなのだ。
ロマサガのローザリアは、先に述べた通り
グインのパロを元ネタにした国である。
ただし挿画の少ないノベルであるがゆえに
『グイン』はビジュアル面での資料がほとんどない。
これに対し『グイン』をパクり、ゲームという形で映像化するに当たって、
『ロマサガ』は現実世界の国々を各地のビジュアルや
設定面でのモデルに追加する事で設定を補強した。
その結果、ローザリアは西ヨーロッパの文化を
色濃く投影されて描かれる事になった。
だが、これによっておかしな事になった。
マルディアスはキリスト教が存在しない世界であり、
むしろギリシアやローマの宗教に近い
設定の神々を信仰している。
にも関わらず、ローザリアは
キリスト教のシンボルを象徴として戴いているという、
非常にチグハグな設定になってしまったのである。
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最終更新:2020年04月19日 21:20