不意打ち。
後ろをとられるということが死を意味するという台詞を考えた人は誰だろう
何があったとしても、その誰にあたる人物がギャルゲーの主人公ではないことは確かなのだが…
女の子が後ろからぎゅーって。
死んでまうやろ!
【第三話「可愛いは正義」】
おれ背中に一人の女の子がくっついていた
彼女の名前は瀬尾七海。
一言、で言うと幼なじみ
二言三言、で言うならば可愛い系天然娘
四言五言六言、で言うと許嫁、フィアンセ(というのは幼稚園の時のお遊び)
「ねぇ、こーちゃん!」
「なんだよもう…ってか大学生にまでなってその呼び名と抱き着くのはなんとかならないのか…」
「えー、んじゃ…こうようさん…?」
「おれはお前のお婿さんじゃねぇ!」
幼稚園の時の遊びじゃなかったのかよ
「久しぶりにあったんだから、そりゃ抱きつきたくなるよぅ」
そういえば久しぶりである
そもそも七海とは地元の幼稚園から一緒で、高校は違ったものの中学までの付き合いもあったし家も近かったから高校に上がってもやりとりはしていた
そんな高校生活の真っ只中のある日、おれが志望する大学を七海に伝えた途端、急に自分も同じところに行くと言いだしたのだ
そんな軽い考えで大学を決めるなと忠告したつもりではあったのだが
これがあまり彼女の耳に入らず
どころか、七海の両親まで、こうくん(と呼ばれている)と一緒の大学なら安心して上京させることができるわ
などと後押し(必要ない?)もあり
結局のところ同じ大学に進学することとなったのである
そして無事に2人とも合格
その後は上京の準備等で忙しかったので、会うのは一緒に受験番号をみつけて喜んでいたあのとき以来である
「あーわかった、わかったから。ところでお前どこにいたんだ?」
「そこ」
門の近くにあった木の下を指さす
「え、ずっといたの?」
「そ、そんなわけないじゃないっ、あんたのために待ってたわけじゃないんだからっ」
「七海、そのネタはおれの前だけにしてくれよ?」
ただでさえ天然な彼女である
本気に言ってるようでいろいろと怖い
「むぅ。。。でもこうちゃんを待ってたのは本当だよ?」
あぁドキがムネムネ
「あぁ、そうなのかそれは悪かったな。でももしおれの方が門を出たのがはやかったらどうするつもりだったんだ?」
「そんなこと絶対ないもん!入学式終わってからすぐ門を出たもん!」
「お前どんだけ待ってたんだ!?」
「えーっと入学式終わってからダッシュで3分ぐらいで外に出たからー・・・」
「地獄の細道はどこへ!?」
地獄の細道って最低でも1時間はかかるんじゃなかったのか・・・
天然は常識をも覆す なるほどわからん
「地獄の細道ー?んー・・・?」
「あぁ、なんでもないなんでもない。ってかお前じゃあサークルとかどうすんの?」
「え、こうちゃん何言ってんの。私陸上部に入るに決まってるじゃん」
「あぁ、そうだったなそういや」
実のところ七海は見た目から想像もつかないぐらい運動神経万能であり
中学の頃から陸上の県の大会では常にベスト3には入っていたりするのである
そんな彼女はもちろん大学に入っても陸上部で運動するつもりで入学したわけで
この大学の陸上部はけっこうレベルが高いとか、そのこともこの大学に入学した1つの理由になっているらしい(本当かどうかは定かではないが)
そういえば彼女は陸上部も見学するからと言ってオープンキャンパスに参加したはずである
だから陸上部も覗かずに出てきたのか
あれ、でも地獄の細道の説明は聞いてたはずだよな・・・?
「あーでもサークルとかには入らないの?」
「いやー、私そういうのよくわかんないしさ」
困ったような微笑みで話す
「陸上の方は大学でも結果残すつもりなんだろ?」
「もちろん!」
「そっか、なら陸上頑張れ!」
「おー!」
もっとサークルでも見てみたら面白いものがあるかもよ
なんて言おうと思っていたが余計なお世話だろうなと心の中でボソッとつぶやいた
というか不本意に漫研に入ったおれが何を言おうとしてたんだろうか赤面。
その後も七海と話しながら今後の大学生活や講義の事について話しながら一緒に歩いて帰っていったのだった
最終更新:2010年11月14日 03:17