今日はうちの学校に転校生が来るらしい。
そんな話を聞いてしまっては普段 な数学教師で通っている俺でもいろいろ考えてしまうってもんだ。
幼馴染と言えばゲームの世界では小さなころからキャッキャウフフな特別な関係を築いていて、将来の誓いとかまでしちゃってたりするもんだ。
ここ最近のくーら先生のはしゃぎ様は尋常じゃない。
あれは絶対ゲームのような幼馴染の関係を築いてきたに違いない。
俺は今日もいつもの様に大和学園の正門を通り過ぎ、校内の小さな駐車場を抜け教員用昇降口へ向かった。
駐車場にはいつものように俺より先に学校に来る伊吹教頭の車があった。
「教頭の車もう修理終わったのか。今度は何日無事な姿拝めるかな」
つい先日も教頭の車は修理に出さなければならないような事態になっていたが、もうそれはいつものことなので慣れていた。
「教頭もよく毎回修理費とか出せるよな・・・デュエルが強いし、教頭職だし給料いいのかな」
大和学園は特殊な学校で遊戯王を教育に取り入れている。
そのため教師陣も下は新任教師から上は校長までもがデュエルをする。
デュエルが強い。そんなことがこの学校ではステータスになるのだ。
「そういえば今日来る転校生、デュエルの腕前はどんなもんなんだろうな」
「気になりますか、ペパ先生」
今、後ろから声をかけてきたのは化学教師のつかっち先生だ。
つかっち先生には大和学園に来てからお世話になっていてデュエルもよくする間柄だ。
「そうですね、うちの生徒はレベル高いですし、あのくーら先生が連れてきた生徒でしたらおそらくそこそこ以上に出来るんじゃないかと思いますよね」
くーら先生はうちの学校でも無類のデュエル好きとして知られている。
生徒と一番よくデュエルしてる先生なんじゃないだろうか。
「ちょっと小耳に挟んだんですけど、どうも今回の転校生はあのサーヴィも一目置くくらいの実力の持ち主らしいですよ」
「・・・マジか、また負ける相手が増えるってことか。でもそこまでの実力の持ち主なら早くデュエルしてみたいですね」
「そうですね、楽しみです。でもデュエルもいいですけどお酒も飲みましょうよ、最近校長忙しくて飲む相手してくれないんですよ」
つかっち先生は校長と仲がよく、よくつかっち先生の家で一緒に飲んでいるのは先生だけでなく生徒もほとんどが知っていることだ。
「おぉ、いいですね、じゃあ教頭も後で誘ってつかっち先生の家で今日はパーッとやりますか。伊吹教頭いじるの面白いですからね」
「いいですね、そうしましょう」
つかっち先生と俺はその後も転校生の話、夜の飲みの話、そしてデュエルの話で盛り上がりながら職員室まで一緒だった。
職員室の窓から見える既に散ってしまった5月の桜の木は、暖かくなってきた最近の風を受けて葉を揺らしている。
遠くから聞こえるくーら先生の声と伊吹教頭の声を聞いて、今日もまた喧騒に満ちた1日になる予感がした。
最終更新:2009年12月20日 18:00