「ああ、結局誰にも気付いてもらえなかった……」
いつもの帰り道を黒いオーラを出しながら歩く青年。
彼女と誕生日が近かったから、起こった偶然。
せめて、あの人達だけでも覚えていてもらいたかった。
「…………ん?」
自宅前。
隣りの家から楽しそうな談笑が聞こえる。
中では誕生会でもやっているのであろうか?
「……まあ、私には関係ないことですがね……」
―――羨ましくないと言えば嘘になる。
部屋のドアを開けて、玄関の電気を付ける。
リビングに歩を進めて行く。
「ただいま帰りま……「お誕生日おめでとう!」……え?」
テーブルにはケーキや多くの御馳走が並んでいた。
それを囲うように、胡散臭い同居人が、無愛想な師匠が、仲のいい友人が、
そして、自分の大切な相棒がいた。
「……ど、どうして?」
「俺がお前の誕生日を忘れているとでも思っていたのか?」
「まあ、彼と一芝居打っていたって話だったわけなのよね」
「はい、これは私達からのプレゼント」
「……あ、ありがとうございます、妹紅さん」
「なんだ、前から欲しがっていた
ゾフィー直筆のサイン色紙だぞ、嬉しくはないのか?」
「……いえ、嬉しいですよ、フォルカさん!」
「さあ、御馳走もあることだし、今日は無礼講よ!」
「「「オー!」」」
その後はどんちゃん騒ぎ。
本当に楽しい時間でした。ですが……
皆さんに一つだけ言いたい事が有るんですよ……
『………私の誕生日は……明日なんですよ――』
「10/、誕生日おめでとう!!」
「……ありがとうございます」
完
最終更新:2010年09月06日 12:32