【名前】邪魅
【出典】今昔画図続百鬼
【性別】不明
【人物】

邪魅ハ

魑魅乃

類なり

妖邪の惡氣なるべし

今昔畫圖續百鬼・卷之下・明 鳥山石燕


【本ロワでの動向】

邪魅 狂宴にてじつと動かず
雫の如き極極微細な邪氣を人の心中に落とすのみ
然れど落ちた雫は波紋となり
誰しもが持ち得る昏い考えを呼起し
狂乱の道に至らせん

邪魅の雫垂らされし者 皆顛末哀れなり
愛しき女を守るため修羅となりし男は
女に全て拒絶され絶望し彼女の頸を絞め
愛した少年を失いし少女は
彼がため狂宴にのるも 最期は躰を捌かれ贄となり
愛する皇子がため泥の河を往く従者は
血に染まりし様を敬愛する皇子に知られる

邪魅 彼らの行末を見て実に愉しげに頸を傾ぐ

宴も半ばを過ぎた頃 竹林にて一匹の虎と争う
その虎嘗て人間なり
臆病な自尊心と尊大な羞恥心故虎に身を貶し
今は人としての理性を取戻し
再び虎に還ることに抗いながら邪魅を討たんとす
争いの果て牙が邪魅の頸に食い込み遂に屠らんと思う
然し邪魅死なず
虎の脳髄を奪い彼の中の人間を惡氣にて塗り潰す
人間は一人として無く
唯々獸の咆哮が竹林に響くのみ

虎の身を我物とし 邪魅叢を往く
其処で嘗て雫を垂らした従者が皇子に再開するのを遠目に見
皇子従者に自らは強欲が故お前の罪をも得ようと云う
此れを見て 邪魅甚だ不愉快なり
熱り立ち叢から身を翻し 従者を襲いて藪中へと引きずり喰い殺す
皇子怒りて邪魅を殺すこと決意す

因縁巡り邪魅と皇子相見える
邪魅皇子の中に怪物巣食うこと見抜き惡氣注ぎ心揺さぶる
皇子怨念の海に呑まるるを見て邪魅惡しき笑みを浮ぶ
己が手で屠らんと皇子に近づく
此れ邪魅の過ちなり
皇子の内の怪物 彼の身より別れ虎の内へと入り心臓を潰す

邪魅 激しく傷つき虎の身を捨つ
愉快さも消え失せ叢の中を無様に逃げだす
然し皇子に追いつかれ最後の戦いに入らざるを得ず
必死に抗い皇子を屠らんとするが皇子の手には既に妖を封ず符あり
邪魅遂に絶望するも時既に遲し

_______禁

己が起こした波紋が果て 皇子の手により滅される
真に因果応報なり

後に語られるところ 
あらゆる書に邪魅の記述無く
ましてや邪魅を知るもの無し

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最終更新:2014年11月30日 01:38