【名前】モモンガ
【出典】オーバーロード(アニメ版。アニメは大本のネット小説版をかなり改定した単行本版を元に作られている)
【性別】男
【年齢】不明(社会人になったのはなんと小卒だが、年齢的には今は大人)
【名ゼリフ】「元より私の仲間は後にも先にも彼らだけだ……。お前を信じてなどいなかったよ」
      「我が名はモモンガ! 我らはアインズ・ウール・ゴウン!
       命あるものたちよ、死を覚悟して尚進むというのなら。その意思の強さを、輝きを、死の支配者たる私に示してみよ!」

【支給武器】
餓骨杖@スレイヤーズEVOLUTION-R
モモンの鎧@オーバーロード

【本ロワでの動向】
オーバーロードの主人公。
あくまでも名簿の表記通り“モモンガ”としての参戦なのが最大のポイント。
本名は鈴木悟であり、なんと小卒のサラリーマン。
オバロ世界は相当なディストピアであり、幼くして母を過労死で失い、天涯孤独の身となった彼は働いて生きるしかなかった。
青春を送る暇もなかった彼は、底辺のサラリーマンとはいえ、大人になって時間ができた時、あるゲームにて初めての友人たちを得る。
彼にとってはゲーム“ユグドラシル”の世界は遅れてきた青春でありかけがえのないものだった。
しかし、彼の仲間たちは転職などのリアル事情からゲームを引退し、去ってしまう。
一人残されたモモンガは、ゲームのサービス終了日もログインし、終わりの時まで静かに待つ。
仲間たちが帰って来てくれるのを。
悪名高い自分たち“アインズ・ウール・ゴウン”に挑戦するものが現れるのを。

……本来なら、この後、彼は自らのアバターであるゲームキャラ“モモンガ”として異世界に本拠地ナザリックごと跳ばされることとなる。
意思を得たナザリックのNPCたちを守り、ナザリックに害するものを叩き潰す支配者“アインズ・ウール・ゴウン”になるのが正史である。
だが、まさにその転移寸前に、彼は“モモンガ”としてバトルロワイアルに喚ばれることとなった。

タイミングがタイミングなだけあり、またとある外的要因もあって、この事態をモモンガは“ユグドラシル”の最終イベントと誤認。
アインズ・ウール・ゴウン最後のひとりとして有終の美を飾ろうと張り切ってしまう。
ちなみにアインズ・ウール・ゴウンは異形種、つまりモンスターオンリーのギルドであり、悪のロールプレイに徹していた。
そのため、有終の美とはつまり「悪役として人間種相手に大暴れして、最後は英雄たちに討たれよう」ということとなる。
誰が言ったかゲーム脳。おかしな方向に空気を読んでしまった最凶マーダーの誕生だった。

とはいえ俺TSUEEEと誤解されがちだが、自分の実力を弁えているのがモモンガ様。
全盛期でもプレイヤー中上の下であり、更にはイベントの仕様かアイテムや装備の大部分は失っている状態でいきなり暴れまわるつもりはなかった。
大物ぶって瞬殺されたのでは、仲間たちにも、挑んできてくれた善玉たちにも申し訳ないと持ち前の律儀さを発揮。
全盛期からのブランクもあったため、しばらくは支給されていた鎧や魔法で人間の戦士に姿を変え情報収集に徹する。
他のプレイヤーの強さや能力を探るためである。
程なくリナ、ガウリイ、ケインのパーティと遭遇。
モモンガは正体がバレる可能性もあったが、名簿の存在やそれほど珍しくもない名前だろうと“モモンガ”と名乗る。
しかしながら3人共モモンガの名に心当たりは無いようで、酷くショックを受ける。
アインズ・ウール・ゴウンを過去の栄光にしてはならない。
最後の機会を活かして今のプレイヤーたちにも刻まなければと密かに熱意を燃やす。

そのまま情報を得る目的でしばらくパーティを組むことに。
社会人としての常識があるモモンガは破天荒なリナやケインに振り回されるも、それなりに上手くやっていた。
かつての仲間たち以外に友を作るつもりはなかったが、久しぶりに誰かと遊ぶのはそれはそれで楽しかったのである。
ファンタジーやSF出身のリナたちと、MMORPGのイベントと思い込んでいるRP中のモモンガとの会話がそれなりに噛み合ってしまったのも大きい。
ただ、この頃から不穏な空気は漂い始めていた。
アインズに支給されていた餓骨杖はリナたちに縁のある危険な武器だといい、破壊を薦められたのである。
剣にもなり、杖にもなる餓骨杖は戦士に化け、本業魔法使いなモモンガにとって強力かつ使いやすい武器であり、コレクター気質もあってこれを拒否。
リナは無理やり壊そうとして諍いが生じるも、ガウリイの仲裁や、双方が強さの片鱗を見せたことで洒落にならないと中断。
ひとまず和解に至る。
武器を壊されればモモンガが素手になることもあり、とりあえずは保留となった。

この段階ではモモンガはPVPでもないのに他人の物を壊そうとするリナのゲームマナーの悪さに憤りはしつつも、本気ではなかった。
自分の持つアイテムに関するRPや、自分の知らないイベント、彼女なりの最終イベの楽しみ方だと踏んでいたのである。
自分の知らない魔王に関する話をモモンガは興味深く聞いていた。

実際はリナたちの危惧通り、魔王の身体の一部でもあった餓骨杖はいわば呪いのアイテムであった。
本来、アンデッドであるモモンガには呪いは効かないはずである。
主催者の一人であり卓越した科学者であるエンブリヲとハルカ・シーマイヤーがユグドラシルのデータを書き換えていたこと、
怒りや不安、恐怖、悲しみといった人間の負の感情を糧とする魔族にはモモンガの孤独はかっこうの餌だったこと。
その2つが相まってモモンガに効力を発揮。
徐々に徐々に人間味が薄れていってしまう……。

そしてモモンガを蝕む呪いは最悪のタイミングで爆発することとなる。

炎に包まれるナザリック大墳墓。
仲間たちとの思い出の地。
ひとまずの目的地かつ、自分の座する玉座としてリナたちにお宝があると言いくるめ向かっていた彼を迎えたのはそんな最悪の光景だった。
自分がいる時に挑戦者として攻め込んでくるのなら歓迎しよう。
だが、もぬけの殻の墳墓を、それも火事場泥棒の如く荒らしているというのなら話は別だ。

激高するモモンガ。
ナザリックに居座っていた両津勘吉、アンパンマン、ノリスケのチームのうち、アンパンマンとノリスケは謝るも、
主犯である両津は禁句を発してしまう。

「いやいやここにいたのはどうやらとびっきりの悪い奴らみたいでさ。悪い奴らっつうかモンスター
 わしは警官として家宅捜査をしていただけなんだよ!
 怒られることなんて何もなし!」
「そういうことなら仕方ないわね。悪人に人権なし! 魔族やデーモンなら尚更ね。
 ちょっと、あたしにもお宝分けなさいよ!」

リナもまた両津の意見にのっかり、ナザリックを物色しにかかってしまう。
これが決定打であった。
異形種だからと迫害を受けた過去があり、またそれらPKからの自衛が基盤となって生まれたギルドの長として。
彼らを許すわけにはいかなかった。

モモンガは戦士化の魔法をとき、死の支配者“オーバーロード”としての姿と力を解放。
主催の干渉や後押しも有り、制限も緩んだ彼は、リナや両津たちを圧倒するも、アンパンマン相手には予断を許さない事態に陥る。
いのちの星の力と打撃主体のスタイルなアンパンマンと死を支配し腐食魔法も使える魔法使いなモモンガは意外な天敵同士だったのだ。
不毛な削り合いになる前に超位魔法で一掃しようとするアインズ。
このまま皆殺しかと思いきや、偶然両津が盾として付き出したギルドの象徴“スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン”の破壊を恐れ、魔法をキャンセル。
ギルド武器こそ取り戻せたものの、にっくき両津たちを逃がしてしまう。

このことが巡りに巡って、モモンガの悪評の始まりとなるのだが、元より悪を全うするつもりだったモモンガにとっては望むところ。
以降は真の姿である骸骨の身を晒し、多くの参加者たちに、あることないこと恐怖を植え付けていく。

憤怒やりきれないモモンガだったが、リナを追い払ったことで同じくリナの被害者であるというゼロスから協力を打診される。
ゼロスがモモンガ及びアインズ・ウール・ゴウンの悪名を知っていたことに気を良くしたモモンガはこれを承諾。
仮初の共闘ながら彼を従え本格的に暗躍を開始する。

自分のいない間にナザリックを荒らされた反省から、まずはナザリックの防衛強化を決意。
手始めにゼロスが“偶然”見つけてきた真田志郎とクローリーの死体でデスナイトを生成。
制限により幾らか劣化しているが手慣れた下僕を手に入れる。
以降モモンガは、着々と死体を回収しつつ、ゼロスによる誘導や、自身の悪評を聞きつけ退治しに来た他の参加者をナザリックで迎え撃つ戦略に出る。
地の利と数を活かし勝てば勝つほど更に新鮮な死体を得て戦力を増やせるループを構築する。
このアンデッド軍団は後の深雪とセイバーを襲撃した時に勝因となる。
刺突斬撃耐性を持つアインズと対魔力を持つセイバーは互いに決定打に欠ける状態であり、勝敗を分けたのは味方の差であった。
深雪の得意とする凍結魔法を始めとした数多の魔法に耐性を持つアインズ。
対してデスナイトは冷気・炎耐性を持ち、引きつけ能力や食いしばり能力で深雪とセイバーに有効打を与えていく。
デスナイトたちは最終的にセイバーに一掃されるも、深雪を逃がすために殿となった彼女を討つことには成功。
あろうことかセイバーの死体に手を加え、セイバーオルタとして使役するようになる。

ナザリックを訪れたのはモモンガという悪を討とうとした人間たちばかりではなかった。
ガルバトロンから同盟を申し込まれるも、凶暴で粗野な彼と、普段は温厚で礼節も重んじるモモンガでは合うはずもなく即瓦解。
ガルバトロンを脅しあしらった結果、いつか必ず殺してやるぞ! と捨て台詞を吐かれる。

死体を使役するモモンガに興味を持ったエシディシもナザリックに訪れるも、異形種プレイヤーだと勘違いしたモモンガはこれにノリノリの魔王ロールで対応。
エシディシはその駆け引きの上手さが裏目に出て、あることないこと裏を読んでモモンガを警戒。
モモンガはモモンガで、エシディシが意外に仲間思いであることを知ったため、敵意を抱くこともなく。
情報交換をしただけで別れた。

更には悪の帝王ディオまでもがナザリックへと乗り込んでくる。
モモンガの噂を聞き“友だち”になりに来たというDIOに、モモンガは自分の友はかつての仲間だけだと言い放ち交戦する。
苦手な近接打撃系のザ・ワールドに追い詰められるも、DIOが時を止めてケリを付けに来た瞬間、戦況は一転する。

「このDIOの世界に……入門してくるだとおおッ!?」
「時間停止対策は基本なんだがな。さて、今度はこちらから行かせてもらうぞ……」

時間を止め返したモモンガはメテオフォールとのコンボでDIOに致命傷を与える。
しかしDIOは操り人形にしていた百夜優一郎の血を吸い、息を吹き返し、吸血鬼となった彼をデコイにすることで戦線を離脱。
モモンガは悠然とした態度を取り繕うも、内心では

「あの人、悪のカリスマって感じでロールプレイングすごかったなあ。
 俺もナザリックの支配者として彼のプレイヤーを見習わないと……」

などという勘違い満載な賞賛をDIOへと送っていた。

死の支配者として悪の帝王を辛くも退けたモモンガ。
この頃にはモモンガ、及びアインズ・ウール・ゴウンの名は最たる危険人物の一人にして、死体を人形とする最悪の外道として広く知れ渡っていた。
アインズ・ウール・ゴウンに最後の華を添えられたとうきうきのモモンガ。
だが予想外の来訪者により、モモンガは選択を迫られる。

やってきたのは両津の仲間であり、ナザリックに土足で踏み込んだ一人であるノリスケ。
モモンガは怒りのままに殺そうとするも、死を覚悟してやってきたノリスケの目に心動かされ、話を聞くことにする。
差し出されたのは両津たちからの手紙。

『お前さんと仲間たちの遊び場を荒らして済まなかった。わしでも怒る』

そんなふざけてるとも取れる文頭から始まった内容は、悔しいほどにモモンガへの理解が示されていた。
ゲーマーとしてモモンガが魔王ロールをしているだけの内心廃人ゲーマーなんじゃないのかと見抜いてきた両津。
更にはリナたちによる餓骨杖及びゼロスに関する繰り返しの警告。
両津たちに合流した未来のモモンガ――アインズを知るというガゼフからの説得。
他にも様々な考察や情況証拠から、モモンガが主催者達による介入を受け、勘違いにより殺し合いに乗っていることを示唆するものだった。
このバトルロワイアルはユグドラシルの最終イベントなどではない。
そう告げられたモモンガは数度口を開こうとして閉ざし、答えを出す。

「私の答えが知りたいか? 教えてやろう! これが私の答えだ!
 《ドミネイト・パースン/人間種支配》! 」

崩れ落ち意思なき人形となるノリスケ。
モモンガは彼に手に入れていたエクスカリバーを持たせ、両津たち対主催の前でこの剣を使って自害しろと命令する。

これでいい。これでいいんだ。

モモンガは何も本気でノリスケを自害させたかったわけではない。
精神支配を受けたノリスケは見るからに怪しく、モモンガの所に和睦の使者として赴いた彼がそんな状態になって刃物まで手にしていたとなるとすれば。
普通は誰しもが警戒するであろう。
そうして自害を取り押さえてくれればいい。もし自害が成功したとしてもまあそれはそれでモモンガにはどうでもいいことだ。
最低でも、主催者たちの目をくぐり抜けて主催に抗う者たちに強力な剣エクスカリバーを渡せるのだから。

モモンガは怒っていた。
仲間たちとの最高の思い出の最後に、泥を塗り、アインズ・ウール・ゴウンを利用しようとした主催者たちに。
まんまと踊らされ、アインズ・ウール・ゴウンの名に泥を塗ってしまった自分自身に。

主催者に、自分自身に、落とし前をつけねばならない。

両津たちと共に戦うのは確かに一つの手であったろう。
しかし自分は主催者は主催者たちが念入りに干渉されている。
主催者たちの意に反すればどうなるか。想像に余りある。

それに両津たちが自分を許したとしても、対主催の誰しもがモモンガを許せるとは限らない。
強大な主催者に立ち向かう前に、対主催がモモンガの処遇を巡って2つに割れればどうなるか。
モモンガは、アインズ・ウール・ゴウンの終焉を導いた事件で嫌でも知っている。

最後に。そもそもモモンガは自らの成したことを罪であるとは頭で理解していても、心では理解していないのだ。
主催者は許さない。自分自身も許せない。だがそれはそれとしてナザリックの敵である両津やリナも許す気はない。
シャブラニグドゥに憑かれたことでデーモンにでもなってしまったか。
或いは元から狂っていたのか。
……恐らくは後者だろう。
本来、魔族の力になるはずの負の念。
それには収まらない輝かしい日々と仲間たちへの妄執、及び純粋な狂気により、モモンガは既に魔王の支配をも振り切り真なる支配者として覚醒していたのだから。

以降、主催に落とし前をつけさせようと、対主催を結束させるために悪役を演じ続けた。
否、演じた、などという可愛らしいものではない。
モモンガは文字通り悪だった。魔王さえも支配するオーバーロードだった。
ワムウと幸村組の決戦に感じ入り、見逃すようなことはあろうとも、モモンガは以前、主催も、対主催も、マーダーも。
ナザリックに害するものを害し、傷つけ、殺し続けた。
何よりもナザリックを、アインズ・ウール・ゴウンを優先するそのスタンスはぶれないどころか更に先鋭化していく。

逆に言えば、ナザリックに敵対しない力なき者には自分から手を出すことはなかった。
ビッグファウにまつわるスパロボ決戦の時、モモンガはかつての仲間が遺したアイテムを使い、大量の悪魔を召喚。
スパロボ決戦に巻き込まれかけていた、ロボットに乗らない参加者たちをまとめてナザリックまで追いやる形で保護に出向く。
無論、そのままモモンガを討ちに来た者は返り討ちにするつもりで。

こうしてナザリックを舞台とした最後の戦いが幕を切って落とす。
“アインズ・ウール・ゴウンの最後”。
そう冠された戦いにて、最後のアインズ・ウール・ゴウンが名乗りを上げる。

「我が名はモモンガ! 我らはアインズ・ウール・ゴウン!
 命あるものたちよ、死を覚悟して尚進むというのなら。その意思の強さを、輝きを、死の支配者たる私に示してみよ!」

ナザリックの機能をフルに活かして自分で巨大ロボの戦いから保護しておきながら、対主催に牙を剥く。
そこに一切の妥協はなく、アインズ・ウール・ゴウンの威光を示すために演技なのか素なのか分からないレベルでぶっ殺していくモモンガ。
遂には両津たちの前で因縁深いリナをも殺し、即死魔法を纏った魔手は両津にも及ぶ。

それを遮ったのはリナを殺されたことで何とも言えない想いをしたゼロスの裏切りだった。

「おやおや、裏切ったなとは喚いてくれないのですか?」
「元より私の仲間は後にも先にも彼らだけだ……。お前を信じてなどいなかったよ」

背後からのゼロスの裏切りにあい、下僕も全て対主催たちに駆逐されて尚一人戦い続けるモモンガに無数の刃が立ち塞がる。
死神、朽木白哉。

「鈴木悟。貴様は生きながらにして虚のようだ。
 失った心を補うために心を欲する貴様は、いつしか貴様の言う仲間たちさえも傷つけるだろう。
 せめてもの手向けだ。そうなる前に私が死神として貴様を斬ろう」

大切な者を失った者同士の熾烈な戦いは朽木白哉の勝利で幕を下ろした。
死の支配者が死神の手で最後を迎える。
皮肉なようでいて当然の結末だった。
独りになったモモンガと違い、白哉には守るべき妹がいたのだから。

「見事だ、よくぞ私を倒した……。だがアインズ・ウール・ゴウンは滅びぬ……。
 せいぜい“足をすくわれぬよう警戒しておくがいい……”。
 フハハハハハハハハハ!」

悪の最後といえばこうだと言わんばかりに崩れだすナザリック大墳墓。
全てはギルドの証、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを誰かに回収或いは破壊されないための措置であり。
そして、

「“逃さぬよ。さあ私と共に滅びようではないか!”」

対主催を道連れにすると見せかけて、魔王シャブラニグドゥ、その7つの分身の一つを自らに縛り付けたまま滅ぼすための措置だった。

こうして、中盤のラスボスとまで称された外道マーダー、モモンガは在りし日の思い出を墓標として散った。

鈴木悟を理解し、彼が生きていたディストピアの世界を知ってしまった両津はなんとも言えない表情をするも、同情などモモンガは求めていなかったであろう。

アインズ・ウール・ゴウンという巨悪が時も世界も超えて万人に刻まれた。

それだけの話であり、手を伸ばされた両津の所持品にいつの間にか死の支配者の名前と存在が刻まれたアイテムがドロップしていようとも。

きっと単なる偶然に過ぎないのだから。






――アインズ・ウール・ゴウンは滅びなかった。

アインズ・ウール・ゴウンの最後は、さらなる終焉の始まりだった。

殺し合いが終わった後のとある世界。

支配者と本拠地を欠いたナザリックのNPCたちは、転移後の世界を征服すれば創造主たちが帰って来てくれると信じ、ありもしない希望にしがみついた。
モモンガどころかナザリック大墳墓を失っていたNPCたちは、半壊どころか壊滅的被害を受けつつも世界征服に成功“してしまう”。
偉大なるアインズ・ウール・ゴウンを称える声が荒れ果てた世界へと響く。
歴史は繰り返す。親の因果は子へと巡る。
彼らは待ち続ける。
空っぽの玉座にモモンガが帰ってくるその時を――。
仲間たちが戻ってくるを待ち続けついぞ叶わなかった鈴木悟のように。

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最終更新:2016年05月03日 13:53