【名前】
カーズ
【性別】
男
【出典】
ジョジョの奇妙な冒険
【支給品】
【原作設定】
「柱の男」と呼ばれる、人間によく似た生物。『闇の一族』という他の生物からエネルギーを奪うことで長い年月を生きる種族の生き残り。
太陽光を弱点としていて、カーズは弱点を克服するために石仮面というパワーアップ装置を作った。
しかし石仮面の出力はカーズを進化させるのには足りず、長い研究の末エイジャの赤石で増幅させた太陽光エネルギーを利用することを思いつく。
能力として『光の流法(モード)』こと『輝彩滑刀』という闘技を用いる。
これは自身の腕や脚からチェーンソーのように高速回転する機構の剣を出現させ、あらゆる物を両断する能力である。
剣の表面には鮫の歯のような鋭いエッジが揃っており、高速回転する際に一本一本が複雑な光の反射をするため、剣自体が光を発しているかのように見える。
その切れ味はとてつもなく、兵士たちを壁ごと切り裂いたり重機関砲の砲身をたやすく両断したりしている。
仲間に対しては気遣いを見せるが敵対存在には容赦がなく、目的のためならば手段を選ばない怜悧かつ非情な性格。
正々堂々の戦いを自分から宣言しておいて「勝てばよかろうなのだァァァァッ!! 」と影武者を利用した不意打ちをくらわせるシーンが印象に残る。
最終的に石仮面とエイジャの赤石により進化し、「究極生命体」となり主人公たちを圧倒するが、
エネルギーの余波で火山が大噴火を起こし、そのまま宇宙へと飛び出してしまう。どうにかして戻ろうとすぐが宇宙空間の極寒ではどうすることもできず、
死にたいと思っても死ねないので
―そのうちカーズは考えるのをやめた
【ロワ内での動向】
登場話において銀さんこと坂田銀時と遭遇。CV:杉田つながりでジョセフと勘違いし襲い掛かるも、
カーズ「貴様、その声、そのひょうひょうとした態度…何もかもがJOJOを思い出させて腹正しいわ!!」
銀時「なんだてめえ。いきなり襲い掛かってきやがって、更年期障害ですかこのヤロー」
というやり取りをした末、銀さんから一太刀浴びせられた上に逃走を許してしまう。
この出来事から全参加者の抹殺だったカーズの行動方針は、JOJOと並んで真っ先に殺す対象になった銀さんを殺害することが加えられた。
銀さんを追いかけている最中、一人で行動していた桂小太郎を発見。その間の抜けた態度にイライラさせられつつも、銀さんの知り合いであることを突き止める。
銀さんの情報を聞き出そうとカーズが桂を拷問するが桂は一切口を割らず、最終的に殺害する。
その桂の殺害現場に、「もういなくなっただろ」とさっきの場所に戻ってきた銀さんがカーズと再会してしまう。
激怒する銀さんだったが、怒りに任せた剣ではカーズに届かず、川へと落とされてしまう。
だが結果的に標的にはまんまと逃げられた訳で、カーズはまたもJOJOを想起し、イライラを募らせた。
再び銀さんを殺すべく下流へと先回りしたカーズだったが、結局銀さんは途中で脱出していたため出会うことは無く、余計に苛立ちが増すばかり。
行方を追うために会場内を放浪するカーズは、元世界の敵であるベルゼバブを倒すために必要な聖なる石を支給され喜んでいたヤマトを発見する。
石とはもしやエイジャの赤石なのでは?とヤマトを殺害し奪うことに。もちろん見当違いだったので目論見は果たせなかった。
だがその先で、JOJOに声が似ている白髪の男、ラグナと出会う。
ラグナを見かけ声や見かけから銀さんと勘違いし、服装は違うが、ようやくとどめを刺せると息巻くカーズはすぐさま攻勢に出る。
だが天人が支配する江戸で戦い抜いた銀さんと、ブレイブルーの力で戦うラグナは戦闘スタイルが違うため、
その違いから生まれるスキを突かれ逃げられる。一方カーズといえば「まだ力を隠し持っていたか」と完全に銀さんと勘違いし、無駄に銀さんへのヘイトが貯まることに。
俺を舐めた男は必ず殺す。そう意気込むカーズにくらいついてきたのは、宮本明&ラ・ピュセルのコンビ。
明は支給品の吸血鬼を作り出す恐ろしい道具、石仮面の説明を見て、カーズがその制作者の柱の男であることを見抜き、
更にカーズの持つどす黒い悪の精神を嗅ぎとった。ならばここで滅ぼすべきであるとカーズに勝負を挑む。
吸血鬼の上位種といえる柱の男相手に二人はよく食らいついたが、カーズは明がラ・ピュセルを弟のように大切に思っていることを感じ取り、
ラ・ピュセルに対して不意打ちを仕掛ける。カーズの予想道理、明はラ・ピュセルを庇い輝彩滑刀で心臓を貫かれた。
明のしぶとい抵抗によりラ・ピュセルは逃がしてしまうものの、今後の食料を製造できる石仮面を手に入れたカーズは気分を良くし、見逃すことにした。
次いで出会ったステインと珠美との戦いでも似たような戦法をとる。
ただ、今回は無抵抗の珠美の心臓に原作同様(実際にはカーズはやっていないが)"死の結婚指輪"を植え付け、ステインに「助けたければ5人の首を持ってこい」と投げかける。
これは手駒が多くいたほうが効率がいいこと、何よりステインが限りなく「悪」に近い存在であることを察したためでもあった。
ステイン達から離れ、そろそろ人間を吸血鬼化しエネルギー補給を図ろうとしていたカーズは、突如強大な気配を感じ取る。
仮面ライダーブラックとともに世紀王の座をめぐる戦いを繰り広げた怪人、シャドームーンが接近してきたからだ。
人外同士で気が合うような両名ではなく、多少の問答の末当たり前のように戦闘に突入。一進一退の攻防を繰り広げるも両者痛み分けで終わる。
しかしシャドームーンの話したキングストーンの性質を利用し、エイジャの赤石の代用として石仮面を作動させることを思いつく。
カーズの行動方針に「キングストーンの捜索」が加わった瞬間であった。
セフィロスとの出会いでも、お互いがヒトを超えた存在であることを悟り戦闘を始めるが、
ジェノバと柱の男、カーズにとっては所詮人工的なまがい物、セフィロスにとってはあくまでヒトと同じジェノバに支配される存在と相容れることはなく戦闘に突入した。
これまでの戦闘でできた傷を癒すために参加者を捕食すべく探して歩くカーズだったが、遠くに見覚えのある銀髪を見つける。
ここで3度目の銀さんとの出会いとなる。ポルナレフ、東堂刀華と行動を共にしていた銀さんだが、魔剣マガナギに乗っ取られた緋村剣心の襲撃を受けていた。
剣心のマーダー化を引きずっている刀華は、剣心と戦う銀さんに加勢しようとするも、そのタイミングでカーズが襲来。
銀さんに迫っていた攻撃を寸のところで防ぎ、銀さんとの距離を離すことに成功する。しかしこの判断が仇となった。
自身を苛立たせた銀さんを早急に仕留めたいカーズであったが、刀華のデイバックから太陽のキングストーンが見えたことで、標的を変更。
先ほどの計画を思い浮かべ、にやりと笑う。そしてキングストーンを手に入れるため改めて刀華に攻撃を仕掛ける。
刀華も善戦するが、武器であるクサナギが疲労でひょろひょろになったことで戦況は一気に傾き、銀さんが戦いを終え駆け付けたころには、
カーズ「ふん、一手…一手遅かったな…銀時ィイイ!!」
気を失っている刀華を片手にぶら下げ、キングストーンを据えた石仮面を被ったカーズがいた。
本来太陽光を増幅してエネルギーを賄うはずだった石仮面を、太陽のキングストーンの力を使い作動させる。
カーズの全身が変形していき、完全生命体ともまた違う、異質な存在へと変貌した。
しかしキングストーンを使用したことにより、キングストーンが共鳴してシャドームーンが、ビルゲニアが。キングストーンを知るものが乱戦に加わる。
さすがに四つ巴は避けたいカーズは飛翔して戦いを離脱するが、決して自らが劣っていると悟り逃げだしたわけではない。
むしろジョセフ、銀時、シャドームーン、ビルゲニアと、障害になりうるすべての存在を殺して生物界の頂点に立つことを高らかに宣言し、飛び立った。
ちなみにこの時、銀さんはラグナとタッグを組んでおり、先ほどのカーズの誤解が解けている。
そのラグナの“蒼の魔導書”の力の性質がヤバイことに気付いていたのか、その力を解明し取り込むことも企んでいた。
カーズはこの時に得た力および形態を自ら「生命王」と名付け、参加者をせん滅するために行動を開始する。
自身の本来の目的が思わぬ形で達成されたこと、そしてその強さゆえに、今まで以上に大胆な行動をとった。
隠れることもせず堂々と。生物の存在を感じ取れば、確認や観察をすることもなく速やかに殺しに掛かる。
そんな愚かな行動方針をとっていても不覚を取ることがないのは、ひとえにその強さが故だった。
鬼龍院皐月とバネヒゲのコンビやブーティカ組など、決して弱くない相手と戦い、大した手傷を負わぬままに数名の殺害に成功している。
また実写版志々雄の作ろうとしていた連合にも襲撃をかけるなど、会場を荒らしまわっていた。
そんなカーズの順風満帆な道中を破ったのは、自生している日本刀を構えた島津豊久との遭遇だった。
手にする得物は鈍ら刀、波紋のような特殊な技術を持つわけでもないのに歯向かう豊久にカーズはせせら笑った。
力の差もわからぬ、狂った下等生物と嘲笑うカーズ。だが豊久はその言葉を肯定どころか当たり前であるかのように返す。
怪訝な表情をするカーズに、島津の産んだ薩人マシーンが跳び、跳ね、斬りかかる。
首おいてけ。
恐れるどころか嗤いながら剣をふるう豊久に、ほんの一瞬、カーズは気圧されてしまった。
カーズの言う通り豊久は狂っている。ただし狂い方が違う。
強大な敵だと理解せずに火の中に飛び込むあほうではない。
強大な敵には勝てないことを悟り窮鼠猫を噛むことに期待したいかれでもない。
強大な敵「だからこそ」立ち向かい、攻めこみ、首を取る、そこに喜びを感じる。大変にいかれであほうな侍だ。
カーズは心の中で一瞬恐怖を覚えたのを感じた。波紋使いでもないただの人間に対して、生命王たるカーズが恐れを抱いたのだ。
カーズはその感情を振り払うがごとく、生命王の能力を全開にして豊久を攻め立てる。
腕や足を食いちぎられるも剣戟はやまず、幾度も胴体を貫くが進撃は止まらない。
最期には、豊久の剣がカーズの顔にめり込むも、そのまま圧倒的な物量攻撃によって豊久の息の根を止めた。
結果的に見れば豊久は死に、カーズの負った傷は少し経てば回復する程度のもの。
しかし波紋の戦士でもない人間に恐れを抱き、あまつさえ生命王たる己の有り余るほどの力を全力で使わされたという事実に。
カーズの圧倒的勝利で終わるはずの戦いに、カーズが抱いたのは勝利の余韻ではなく謎の敗北感だった。
カーズの初めての精神的敗北であった。
豊久による敗北感を晴らせぬまま、彷徨うカーズはここで、この場で何度も殺し合った顔を見つけた。
四度目となる、銀さんとカーズの対決。ラグナと連携しつつ斬りかかる銀時にカーズは応戦する。
銀髪二人組もお互い息ピッタリな連携を見せるが、それでも生命王となったカーズ相手には劣勢だった。
しかしそこに、突然の乱入者が現れる。
"死の結婚指輪"によって共に行動していた少女を人質とし、脅しをかけていたはずのステインが、解毒剤の指輪を奪いに不意を突く形で襲い掛かってきた。
完全に虚を突かれたカーズに対し刀傷を負わせるが、カーズにとってそれは致命的ではない。そしてステインにとっても、そのことは問題ではなかった。
カーズを切りつけた際に刃に付着した血を舐め、ステインの個性「凝血」が一瞬だが発動し、カーズの持つ指輪を奪うことに成功する。
だがそれが逆にカーズの逆鱗に触れた!ステインが指輪を銀さんに投げ渡すその瞬間、カーズの輝彩滑刀がステインを貫く。
致命傷を受けたステインは、しかしその瞳に灯った命の炎は消えず。自らの顔に巻いた包帯を外し、抱き続ける狂気じみた信念を高らかに咆哮して事切れた。
カーズ「馬鹿なァ…全ての生命を超越して、太陽をも克服したこのカーズが、なぜ恐怖するのだ!?」
取るに足らないはずの人間に苦戦させられ、辛酸をなめさせられ、あまつさえわずかに恐怖をも抱いてしまったカーズ。
銀さん達も、ステインの連れていた珠美を危険から逃がすためにこの場から消えてしまった。
やりきれない気持ちであふれているカーズ。そこに現れたのは、数刻前カーズが壊滅させたグループの生き残り、ブーティカ。
プラシドとツルギの仇を討たんと、差し違える覚悟でカーズへ戦いを挑みに来た。
宝具を出し惜しむことはせずに"約束されざる守護の車輪"で防御を固めつつ、高らかに真名を宣言し"約束されざる勝利の剣"を連射する。
さしものカーズもブリテンの「勝利の女神」と呼ばれるブーティカの猛攻をさばききれず、あと一歩のところまで追い詰められるが、
―――そ の 時 不 思 議 な こ と が 起 こ っ た
キングストーンの持つ力が覚醒し、カーズの光の流法が更にパワーアップ。
一呼吸のうちに超々高速の斬撃を放ち続ける抜刀攻撃、のちに「極光の流法」と名付けられる剣技を扱えるようになる。
ブーティカは何が起こったもわからぬままばらばらになった。だが柱の男を越えた生命王と言えど一度の使用に体力を大幅に消費するらしく、連発は不可能だということが判明した。
新たなる強さを身に付けたカーズ。その前に現れる、敵意ある参戦者が一人。
かつてキングストーンの争奪戦に参戦していた剣聖ビルゲニアが、カーズへ勝負を挑みにきた。
かつてのカーズであれば苦戦したかもしれないが、キングストーンの力を得、生命王となったカーズとは力の差が出来てしまっていた。
しかし、ビルゲニアのシャドームーンに対する異常とも呼べる敵愾心と執念で、カーズはキングストーンを奪われてしまう。
自分に埋め込み、その姿は一瞬だけブラックサンに変わる。血みどろの戦場に、ビルゲニアの雄叫びが響く。
だが、それだけだった。
カーズの目覚めた力はあくまで石仮面によるものであり、キングストーンを奪取されたことがカーズの弱体化につながるわけではなかった。
激怒したカーズはブラックサンに行動をさせる暇も与えず、いたるところに斬撃を浴びせ殺害する。
キングストーンの有用性を見出していたカーズは奪われたことに腹を立て、その後もビルゲニアの死体に対しひどく凄惨な損傷を与え続けた。
かつての宣言通りに障害となりうるビルゲニアを殺したカーズ。しかし、この場にはまだ多くの強者がいることを、カーズは忘却していた。
目の前に現れたのは、青い衣服を着た男。その姿を見たカーズは、即座に戦闘体制をとった。
ロラン――今は無きローレシアの第一王子にして、勇者ロトの血を引くもの。そして、破壊神を破壊した男。
数時間前にこの会場で一人の魔王を下した男が、カーズへと戦いを挑んできた。
今までの経験から、油断をすることなく初めから全力を出してロランとの戦いに挑む。
特に波紋のような技術を持つわけではない。ただこの男は、力、スピード、身体能力の全てが恐ろしいほどに高かった。
カーズはしかし、ロランに対し違和感をもつ。その男は"悪を倒すために"というよりも、"死に場所を探すために"戦っているように感じた。
はたしてその真意がどうなのかはわからないが、ただひたすらに剣を振るい続けるロランに対し手加減などせず全力をもって叩き潰そうとする。
しかし生命王たるカーズの全力をもってしても、破壊神を破壊した男にはかなわなかった。
これまでの敗北心が募って何故とるに足らない人間に勝てないのだと叫ぶカーズ。
破壊神すら破壊した力でカーズを圧倒しながらも、生命王すら自分に及ばないのかと慟哭するロラン。
お互いに呪いながら戦った挙げ句、最後はどちらからともなく剣を降ろして背を向ける………
カーズ「そうだ…どんな手を使おうと…………
最終的に、勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」
背を向けたロランに、不意を突く形で極光の流法を放つ。
カーズは目的のためならば手段を択ばない。
カーズの放ったそれは、ロランの命を削り取り、ここに勇者対生命王という戦いの勝敗が決した。
会場に定時放送が流れ、たった今打倒した勇者の名が読まれる。
昇ってきた太陽が、生命王となり克服した太陽が、勝者であるカーズを照らす。
だがその姿にはもはや、絶対強者としての威厳は残っていなかった。
ロワ終盤に入り、カーズはオビワン=ケノービが中心となり作り上げられた対主催集団、通称「騎士団」へ襲撃を仕掛ける。
これは、打ちのめされたカーズ自身のプライドや精神を取り戻す意味もあった。
矮小な存在をすべて蹴散らし、己こそが生態系の頂点であることを己自身が認められるように。
この時、偶然反対の方向から壬生宗次郎が騎士団に攻め入っており、騎士団のうち数人がそちらに対応していた。
結果、攻め入ったカーズと相対したのは衛宮士郎とぶりぶりざえもんであった。
カーズを前にしても、剣を構え戦おうとする士郎。だがその傍らには尻もちをついて蹲る豚がいた。
おそらく参加者であろう怯える豚を見たカーズは、改めて自分が柱の男であり、生命王であることを実感する。
まずは確実に殺せるものからだ、とカーズはぶりぶりざえもんに対し刃を放つ。しかしその刃が切り裂いたのは、ぶりぶりざえもんを庇った士郎であった。
思わぬダメージを与えられたことに喜ぶカーズだが、突如カーズの周囲の風景が変化する。
それは致命傷を負った士郎が、せめてぶりぶりざえもんだけでも逃げられるように、と発動した固有結界だった。
命を張ったあまりにも有用な時間稼ぎにカーズは腹を立てるが、閉じかけようとする固有結界の隙間から、士郎が逃がそうとしたぶりぶりざえもんが飛び込んできた。
下等な豚の分際で、士郎を助けに来たとのたまうぶりぶりざえもんに、今度こそ死を与えるべくカーズは刃を薙ぐ。
所詮は豚。一撃で終わるだろうというカーズの予想は、しかし紙一重で刃を回避し、尻に思い切り千 歳 飴を突っ込まれたことで、たやすく瓦解する。
下等で下品で愚かなただの豚に一撃をくらわされた、その事実を味わった瞬間、カーズの中で決定的な何かが切れてしまったことを感じた。
そしてその隙を見逃すわけがなく、士郎の持つ最大級の攻撃がカーズに襲い掛かった。
士郎が力尽きたのを境に、固有結界が崩れだし、再び現実世界へと戻っていく。
士郎がカーズに負わせたダメージは決して無視できるほどの大きさではない。だがそれ以上に、ぶりぶりざえもんに対する憎しみのほうが勝った。
士郎の死体に寄り添うぶりぶりざえもんをなぶり殺しにしようと刃を振り下ろす。しかしその刃は、横から現れた刀によって止められた。
固有結界の中にいる間に、接近していたのだ。この場で幾度となく剣を交えた男が。
銀時「よお、弱いものいじめなんてずいぶんシミッタレたことしてんじゃねぇーか?
えぇ? 生命王さんよぉ。」
ロワの開始から続く因縁。ジョセフ・ジョースターを思い起こす声の男、坂田銀時がカーズのもとへとたどり着いた。
そしてその背後には複数の仲間が、更にはこの喧騒を聞きつけ、シャドームーンまでもがこの場に集結する。
カーズと銀時達の最終決戦が今、幕を開けた。
シャドームーンが先手を取り、カーズに斬りかかる。それに対してカーズは、全身の皮膚を昆虫めいた装甲に変身させてガードする。その姿はどことなく、仮面ライダーとよく似ていた。
初遭遇の時点から、シャドームーンにも肉体の修復機能があることを知っていたカーズは、長期戦を捨て、短期決戦を狙いに行く。
シャドームーン、銀さん、ラグナ、乱戦のさなかにカーズは全員の攻撃が自身に集中する瞬間を待ち、そして『わざと身体を切り落とさせる』。
カーズの体から零れ落ちた肉片は、次第に生物の姿をかたどる。数十匹の獣の群れが、カーズを除く戦場の全員に襲い掛かった。
カーズを斬ると敵が増える。まさにそれは「剣士殺しの戦法」。だがカーズの首輪からは「剣士らしくない戦法」を使ったとして警告音が鳴り響く。
もとよりカーズは剣士の恥だの正々堂々だの、そういった言葉からは程遠い存在。使えるものは何でも使う。
そして今まさに、襲い掛かる獣の波に両手を使い対応しているシャドームーンが。全てはこのための布石だった。
防ぐ手段のないシャドームーンに、奥の手の極光の流法を放つ。さすがに体力の消費は激しかったが、そのかいあってかついにシャドームーンが膝をついた。
ボロボロになったシャドームーンを見て、カーズは勝利を確信する。
ああ、なぜカーズはいつまでも慢心が捨てられないのか。最期まで警戒を怠らなければ、もしかしたら違う結末を迎えたかもしれないのに。
もしくはそれは、正真正銘自分の力をすべて出し切ったから生まれたものだったのかもしれない。だが、全ては過ぎたことだ。
意気揚々とトドメを刺そうとしたその瞬間、シャドームーンが高らかにサタンサーベルの名を呼ぶ。
世紀王の持つその剣が、ビルゲニアが持っていたサタンサーベルが、その呼び声に応じ飛来して、カーズの脳天を貫き通した。
突然遥か彼方から剣が飛んできたことに驚愕するカーズ。更には、体の中に埋め込んでいたはずのキングストーンが、先の衝撃で飛び出してしまった。
その隙を見逃さなかったシャドームーンが、シャドーセイバーでカーズの全身を切り刻む。制限がかかっている現状では、その肉片を生物化することもできない。
そして完全に体外に出てしまったキングストーンは、今度こそシャドームーンに奪われた。
シャドームーンによって、肉体も精神もボロボロにされたカーズ。極限まで弱りきった姿にもはや自分が手を下すまでもないと傍観を決め込んでいるシャドームーン。
キングストーンも奪われてはあの時のような逆転劇が起こるはずもなく、もはや全てをあきらめ朽ち果てようとしていた時。
視界に白銀が映った。
刹那、カーズの瞳に光が戻る。もう生命の頂点を証明するということは考えない。
ただ一人、眼前の侍、坂田銀時を滅ぼす。せめてそれだけは果たさねばならないと、カーズは立ち上がり、構えた。
銀時もまた、カーズに合わせて剣を構える。
お互い視線を交わし、同時に駆け出す。
銀時が剣を振りかぶったのを見計らい、カーズは己の右手を引きちぎり、数えきれないほどの刃を生やしたそれを、全力で銀時に投げつけた。
それで仕留められれば良し。切り抜けられたら残った腕で体制の崩れたやつを真っ二つにするまで。
カーズの攻撃は、しかし空中で全ての刃が叩き折られ、銀時に傷の一つも付けることは無かった。
更に回避行動をとらなかったことから銀時は一切隙を残しておらず、逆にカーズが一太刀をくらうこととなった
最後の最後で、憎き相手に手が届かなかった。その事実に、思わずカーズは吠える。
カーズ「銀時、貴様ァアアア!なぜこのカーズに刃向かう!?特別な剣を持つでもない!
強き技があるわけでもない!所詮下等生物の人間にすぎん!ただの人間風情がなぜ何度もこのカーズに立ちはだかる!?」
銀時「んなもん俺も知ったこっちゃねーが、だけどカーズ。これだけは言っとくわ」
「てめえが生命王になろうが、精子王になろが、てめえなんぞにゃ俺たちの剣は折れねーよ」
もはや策も何もなく、ただ怒りのままに、猛獣のように襲い掛かるカーズに、銀時は剣を振り抜く。
その瞬間、カーズは己の目を疑った。
「首ィ……置いてけェ!!!」
「腐りきった英雄気取りも、身勝手な悪も……全て、正さねばならない!」
「私は『勝利の女王』!これ以上誰も殺させない!」
「無駄とはいわない。だが、この程度で僕は殺せない」
「俺は世紀王だ!見ているか創生おぉぉぉぉぉっ!」
カーズの目に写る銀時に、かつて自分を苦しめてきた人間の姿が重なる。
葬ったはずの姿が、声が、今まさにカーズへ立ち向かっているように感じ、カーズの心の中は完全に恐怖で埋め尽くされた。
視界に一閃がはいる。その瞬間、カーズの目は完全に機能を失った。
光を操るカーズが、克服した太陽すら見れない闇の中に閉じ込められた。
滅ぼすと誓った人間の位置すら、もう知ることはできない。
カーズ「何故だ…生命王とまでなったのに、一体何が足りなかったのだッ!?」
銀時「カーズ…てめえの剣をいくら鍛えても、てめえ自身の魂を錆らせちまったら、剣も腐っていくに決まってんだろ」
銀時が憐れむような言葉をこぼす。その言葉は確実にカーズのもとへ届き、
カーズは失った視覚の代わりに聴覚を用いて銀時の位置を割り出した。
闇一色の視界で、カーズは銀時へ手を伸ばす。
その腕が、指先から徐々に裂けていく感触がする。
繰り出した拳を、銀時がカウンターで切り裂いたのだ。
裂け目は肩にまで達し、遂には頭部まで破壊の波が届いた。
迫りくる死の感覚、永遠に訪れないと思っていた死という概念に。
究極生命体になりきれなかった男は、呑み込まれていった。
原作では死ぬ事が出来ず、物語から退場後最大級の精神的苦しみを味わうが、
今ロワでは精神的に滅多打ちにされた結果最早死ぬことが救いにすらなっており、
原作と対になるカーズの最期はある意味皮肉めいているといえる。
殺害人数13名と堂々のトップキルスコアをあげ、このロワ名物の『因縁の対決』という面も多く、
『剣ロワ五大因縁』に堂々とランクインするほどの存在感を見せつけた。