【名前】蛇喰夢子
【出典】賭ケグルイ
【性別】女
【年齢】16~17(架空学園では全員中学三年生なので15)
【キャラ解説】
出典元の主人公。黒髪ロングの姫カットと巨乳が特徴的な美少女。そして美少女ぶりを台無しにするオリジナル笑顔。
普段はお淑やかな振る舞いをしているが、含みのある嫌みな言い方をするため、相手の顰蹙を買うこともしばしば。
その実態は「リスクを負う極限のギャンブル」を異常なまでに好む、破滅的思考の狂ったギャンブル中毒者。
博才を持ち、相手のイカサマや策略を瞬時に見抜く洞察力、ほんの些細なことも覚えておく記憶力、言葉巧みに相手を意のままに誘導する交渉術、手先も器用でサイコロの出目を操作する技術(所謂イカサマにならないイカサマ)、卓越した能力を遺憾なく発揮する天性のギャンブラーである。
弱点は体力が低く運動神経が鈍い点。
ギャンブルは大好きだが得た金や失った金には執着しない、賭け事自体を好む勝負師。
勝負事には冷徹であり敗者へのペナルティは絶対だと思う一方、ルールを無視してゲームそのものを破綻させたり「弱った相手にわずかの希望を与え、更なる絶望を叩き込む」卑怯なやり方を嫌悪する。

主人公だけにギャンブルは強いが決して無敵ではなく、負ける時もある。
また、自分がルール違反を嫌うために盤上のイカサマはまだしも、薬物など盤上外からの反則にも脆い。

ギャンブルが絡まないと意外と女の子らしい部分もあり、おきにいりの男友達(鈴井)を取られかけて嫉妬したりもする。

【架空学園での設定】
ロワ開始一年前に死亡した狛枝と入れ替わりで蓬莱学園のクラスに入ってきた転校生。

正体はリピーターであり、架空学園ロワより前に行われた殺し合いに参加し優勝した模様。
その際に主催者にして架空学園世界の支配者であるベルンカステルに手足となって動く魔女の駒にされた。
また架空学園の世界が魔女ベルンカステルによって作られた箱庭だと見抜いていた模様。

クラスの交流としては正嗣と組んでヤクザからギャンブルで孤児院のための金を巻き上げたり、一見性格上合わなそうな雪乃と絡んでいる。
また、文化祭ではこなたを店長にターニャ・セリューの変顔組でメイド喫茶をやったことも。


【あらすじ】
殺し合いの状況も命を懸けたギャンブルと解釈してマーダーになる。
というのも、彼女は殺し合いのリピーターであり、ベルンカステルに魔女の駒にされているのでジョーカーに近い存在である。

単なるジョーカーではなく、扇動者に近いポジションとして動く。
時に参加者であるクラスメイトに支給品を賭けたギャンブルを仕掛けて追い剥ぎをし、魔女に抗う組織であるナイトレイドと接触したことのある神楽に坂田銀時という人物を知っているかと揺さぶりをかける。

やる夫とのギャンブルの際に、コインに仕込まれた毒針(蛇喰でも見破れないほど精巧に作られていた)により
麻痺状態に。
しかし、やる夫に真実を突きつけることで、彼の正体である最凶マーダー・キル夫に覚醒させる。
最期はキル夫と化したやる夫に絞殺されるが、彼女の呼び覚ました殺人鬼はクラスに多くの犠牲をバラまくことになる。


【本ロワの動向】
彼女が会場に転送される前に会ったのはクラスメイトのこなたの母親である泉かなたであった。
彼女により告げられたのは元ロワと同じくジョーカーとして働いて欲しいとのこと。
何はともあれ断れば殺し合いに参加する前に死ぬことになるのでかなたの手足となって動くことになる夢子。
それでも、実の娘であるこなたも死ぬ可能性もあるのに殺し合いを助長させる必要はあるのかと疑問に思ったが。


今度こそ会場へ、と思った瞬間。
今度は主催陣営の一人であり放送係でもある上級AI、BBに呼び止められる。
かなたの見えないところで殺し合いが有利になる参加者百人の情報と引き換えに、自分の手足としても動かないかと取引を受ける。
なんでもかなたの下には「ホモビ・ジ・オリジン」「運営の皮を被った悪質なプレイヤー」「なぜか人質にエアーズロック持ってきた頭のおかしいテロ指導者」と評された幹部がおり、表面上はともかく水面下では互いを出し抜こうとしていること。
中心人物であるキャスター(と思わしき)かなたはムーンセルに囚われていたBBにとっては恩人に等しい存在であるが油断ならない存在なので、あえてかなたも幹部も知らない懐刀が欲しかったとのことである。
純粋に殺し合いという勝負を楽しみたい夢子としては攻略本に近い参加者百人の情報はどうでもよかったが、BBの話から主催が一枚岩ではないことがわかり、二重スパイになる価値はあると思って承諾した。



最初に出会ったのは生徒会長であり、元ロワの対主催の要であったジェシカであった。
ジェシカはクラスメイトとして殺し合いを打破しようと夢子に申し出るが、夢子はそんな彼女に残酷な真実を突きつける。
架空学園におけるループのそもそもの原因はジェシカにあると。

本来の右代宮朱志香は六軒島に起きた殺人事件により既に死んでいる。
こなた・よしこ・魔理沙と違い、彼女が魔女の箱庭から解き放たれた先に待っているのは死による消失だけなのだ。
そのために無意識的に魔女を求めてしまい、せっかく倒したベルンカステルの復活を許してしまい、何度も殺し合いをするハメになってしまっている(ループ毎に参加者の記憶は、ゲームクリアかゲームオーバーまで消去される)。
ループエンドによって全ての者の尽力を無駄にしていたのは他でもないジェシカであったのだ。
その真実を告げられたジェシカは死と喪失の恐怖から発狂、さらに主催によって支給されていたジュエルシードが反応し、本物の魔女と化してしまう。
夢子自身はすまないとは思いつつも、ワープ能力を持つ帝具シャンバラを使って逃亡するのだった。


そして、時にはギャンブル、時には扇動で殺し合いをかき乱していく夢子。
支給品を賭けたギャンブルではフィン・メイトリックス・ケイシーによるトリオ、痴漢さんや聖澤に勝利して食料品や装備を巻き上げている。
前者は食料がなくなったのでやむなく毒入りじゃぱりまんを食べてしまったことにより死んでしまい、後者は身を守る装備が不足したためにサメに食われて死亡するなど間接的な死の原因を作っている。



中盤においてBBからラングセンと接触するように指示を受ける。
彼女の上司である泉かなた(?)が彼の暴れっぷりから主催陣営の新たなジョーカーとして迎え入れたいとのこと。
ラングセンが映像にかける情熱は夢子がギャンブルにかけるそれと同じくらい酔狂であったが、同族意識と同時に嫌悪感を覚えた。
彼は自分が取りたいスナッフ映画のためならばどんなやり方もする……卑怯なやり方も辞さないからだ。



そして彼女が向かった先はラングセンによって惨劇の地と化した偽磯野家の周辺。
途中で炎上する偽磯野邸にイオクが慌てて走っていく様が見えたが、MSもないのにプライドが高いだけの無能な男に何ができるものか。
そう行っても言いぐらい、既に内部は手遅れだったのだ。


惨劇の絵を取れて絶好調なラングセンの背後に現れる夢子。
「どうやら主催があなたに会いたがってるようです」と伝え、シャンバラを使ってラングセンと共にBBの待つ主催本拠地へ向かう。


BB「はーい。ようこそいらっしゃいましたー☆
”俺は主催側から会いたいと言われてやってきたら意味不明な空間に連れてこられた”
というわけでBBちゃんに奇跡的に選ばれたようこそ低俗な1bitさん。

BB Channel バトルロワイヤル出張編。ここに開幕!です!」

夢子「(ため息にすらならない)」
ラングセン「(意味不明すぎて硬直)」


デッドプールの次くらいにハイテンションなBBには夢子やラングセンですら引き気味である。
なんにせよ、現状は仲良くやっているように見えて裏では他を出し抜いて自分の目的を果たそうとしていることを教えられ、ライバルを出し抜くための一手としてラングセンもまた夢子と同じ、彼女の配下になった。


おつかいを果たして会場に戻った夢子だったが、そこで夢子は気になることがあったのでBBに秘匿回線で連絡する。

夢子『――聞こえますか、BBさん』

BB『そこはBBちゃんで構いませんって前回も言ってたじゃないですか』

夢子が提供したのは架空学園世界での泉かなたの情報。
あの世界の彼女は大東亜帝国の優れた科学者であり、おそらく魔法やトンデモ科学にも精通していたが、本人が魔法使いになれるほどの力はなかった。
もしそうならば、元の世界でBR法の支配者であるエスデスに殺されるのはおかしい。
そもそも直接的に会ったことはないが、こなた曰く娘思いのいい人だったらしいが、それが娘を巻き込んでまで殺し合いを開くとはどういうことだろうか?

今まではBBを信頼してなかったこともあってかなたについて知りうる情報は秘密にしていたが、会場では真実の糸口が見えてこないのでやむなくBBにホットラインを繋いだ夢子。
夢子から泉かなたがどう言う人物か一通り聞いたために一層怪しむBB。
一先ず、BBは主催本部から独自の調査を開始する。


その結果……恐るべき真相が明らかになる。
泉かなたの中にいる者の正体は殺生院キアラ――またの名を七つの人類悪の一つ、『快楽』の理を持つ第三の獣のうち、『愛欲』を担う片割れビーストⅢ/R。
具体的には人類種から出た癌細胞であり、アポトーシス(自殺細胞)。
通常のサーヴァントでは到底太刀打ち出来ないレベルの強さを持ち、自滅に向かう性質的にも戦力的にもBBにとって驚異。

そこまででも十分危険だが、このキアラは混沌ロワ3で主催戦力(本編には出てきてないが、べーオウルフの妨害で出陣できなかった)として存在した際にべーオウルフ(ブラックヴォルフ)が明けた次元孔に吸い込まれた結果、多次元へ侵略する手段を発見。
そこから今まで以上に力をつけて新宿、アガルタ、セイレムと言った拠点を特異点ごと吸収。
夢子らのいた魔女の箱庭をも乗っ取りベルンカステルをも吸収したとのこと。
更に今回を含めて1000回を超える殺し合いを行っており、10万以上の命を吸収。
かなたは999回目の殺し合いで仲間と共にキアラに立ち向かったが、現主催幹部である浄化杜指導者に裏切られて対主催が壊滅し、脱出できた一部例外を除いて皆殺しにあい、最も強い特異点であったかなたを寄り代にしたようだ。
そしてキアラの目的は『人類悪変生』や『人類悪顕現』の上をいく『人類悪完成』。
完成にいたればブラックホールのようにキアラは多次元世界を滅ぼし続けて数え切れないほどの魂を取り込む。
取り込まれた魂は輪廻転生もできないまま終わりない快楽の海へ沈むという死よりも辛い世界へ行き、自我を失う。

それは主催に付き従っていたBBや夢子にとっても恐るべき事態であった。
これならまだ参加者の生き死でトトカルチョをやっているような下衆な連中が主催の方がまだマシである。
自分をも巻き込んだ破滅の先には何も待ってないからだ。

BBもムーンセルからサルベージした万物を生み出した女神を取り込んだこともあり、人類悪完成の暁には吸収される予定であった。
(すぐに殺されなかったのは特異能力の他に999回目の主催戦で殺し合いの管理に向いている人材が全滅したため、それも人類悪が完成すると必要なくなる)
BBはかなたへの反旗を翻すことを夢子に伝えるが、その直後に主催に招き入れたラングセンによりBBが裏切りを企てていることを密告し他の幹部から攻撃を受けて通信が途絶える。
夢子はこれにより主催サイドで唯一の味方であるBBが死んだことを理解する。
(実は自我を分身のアルターエゴに移し替えて生き長らえていたのだが夢子視点では死んだと判断)

ラングセンが裏切ったということはBBのスパイでもあった自身もいずれはキアラや手の者に殺されるだろう。
死は時間の問題だ。
ならばせめて対主催に自分の知る限りの主催情報を渡すのが筋だろう……





が、どうせ死ぬのならばやりたいことを最後にしたい。
彼女の最後の願いは最高にスリルのあるギャンブルであった。
勝者には利益を、敗者にはペナルティを。
せっかくの情報をタダで渡すのは、最高の試合を捨てるのも一緒であり、自分に賭け事で勝った者に賞品として情報を渡すことを決めた。
仮に自分に負けるようなら対主催には主催を倒せるだけの運がないということにもなるからだ。
その点では勝負をする意味は十分にあった。


そして、魔理沙及びエンブリヲがジェシカの説得を目指していることを知っていた彼女は、あるオリジナルゲームを思いつく。
次に生き残っている対主催の中で最も知力があると思われるエンブリヲを探し出す。

この殺し合いで最後となる放送まであと30分を切ったところ。
トランクスとイオクと共にジェシカの手によってぬいぐるみにされていたしんのすけをタイム風呂敷で元に戻し、イオクに預けたエンブリヲは魔理沙を助けるために合流を目指すべくロボディに乗り込もうとする。
ところが、コクピットの中には先にシャンバラで先回りしていた夢子がおり、イオクたちの目の前でロボディごとどこかに転送されてしまう。

転送された先はBBが隠し砦に使っていたモニタールーム。
夢子はそこで主催にまつわる重要な情報の入ったディスクを持っていることをエンブリヲに話し、自分が考案したゲームに勝てば渡し、負ければ転送の間際に首輪につけたC4爆弾(聖澤から奪ったもの)を起爆して死んでもらうと告げる。
モニターに映されたのは生存者たち。
そこには魔理沙やジェシカ、その周辺にいる参加者たちも映っている。


夢子が提案したゲームとは――名前をつけるなら「殺す?殺さず?」

ルールは親友のために説得を行う魔理沙と、箱庭世界で生き続けるために殺し合いに乗り続けるジェシカがメインになる。
タイムリミットは次の放送時間。
それまでにジェシカもしくは魔理沙が、時間までに誰かを殺す……即ち説得に失敗してジェシカが参加者を殺したり、魔理沙が説得を諦めてジェシカを殺したり同調して殺し合いに乗って誰かを殺した場合は夢子の勝ちになる。
逆に放送時間までに魔理沙とジェシカが誰も殺さなかった場合はエンブリヲの勝ちになる。

エンブリヲは夢子から殺し合い開始時にBBから渡された参加者の情報を閲覧することができる。
またプレイヤーができることとして、糸なし電話@ドラえもんを現存する参加者の誰かにシャンバラを通じて渡し、たったの数十秒だけ通話することができる。
参加者ならば魔理沙とジェシカを含む誰と話しても良い。

糸なし電話そのものに細工を加えた場合は、細工を加えた側が負けになる。
プレイヤーへの直接的攻撃は禁止、エンブリヲが破った場合は情報が詰まったチップを破壊、夢子が破った場合は容赦なく殺してもいい。
シャンバラを使えるのは夢子だが、糸なし電話の渡す相手を間違えたりした場合は自動で夢子の負けになる。

まとめると魔理沙とジェシカが対話の果てに誰も殺さないまま、放送を乗り切れるか否かに全てがかかっているのだ。




魔理沙とジェシカが接触し、ゲームは始まる。
エンブリヲは相棒である魔理沙のために、主催への反撃の糸口を手に入れるために参加者の詳細名簿を読み、モニターをよく見て誰に糸なし電話を送るか考える。

魔理沙はジェシカと戦闘に陥り苦戦する。
少なくともジェシカを魔理沙一人の力で時間切れまで拘束するのは到底無理だ。
だが、魔理沙は説得を諦めない。
そこで彼女は相手の心の中に入れる鍵『五停心観』を思い出し、心と心で直接対話をすることになる。
一方でエンブリヲが糸なし電話で会話をする相手に選んだのは――ドバーランドにいる泉こなただった。
手短に状況を説明し、指示通りにして欲しいとこなたを説得。
こなたは支給品のアイアンマンスーツを着て先ほど合流したよしこを連れてドバーランドを飛び立ち、現場に降り立った。
さらにこなたはリパルサーで空に向けて数回ビームを放つ。
このビームを目撃した正嗣と世界は、ビームが一定の感覚を有しているところから蓬莱学園の戦闘授業で習った「モールス信号」であると察し「ジェシカのためにここにきて」と読んだ二人も現場に急行。
結果、たった一度の通話で説得の場にこなた・よしこ・正嗣・世界も馳せ参じることになった。

エンブリヲはジェシカをよく知っている人間こそ、彼女を説得しやすいと判断し、こなたを軸にクラスメイトを一回で集められる方法を考えついたのだ。

説得は心の中で行われているので、うまくいっているかどうかは祈るしかない。
その途中でリパルサーの光を目撃し、気絶中のしんのすけを抱え麻痺毒でまだ体が動かないトランクスを引きずったイオクがやってきた。
気を感じることができるトランクスは、動かなくなった六人は「必要な何かをしている」と判断しイオクに六人を護衛するように伝えた。
さっきまでイオクとトランクスと行動を共にしていたエンブリヲは、二人の人となりを知っているので信頼に値できると判断。
後は信じるだけであった。



そして、魔理沙ら蓬莱学園の生徒のおかげで説得は成功し、ジェシカを中心に笑顔に包まれた少年少女たちの笑顔がモニターの中にあった。
放送まで残り5分だが、ジェシカの澄んだ瞳は人を殺そうとする殺意は感じない。
周囲に殺し合いに乗った者の影もない。
もう大丈夫だろうと、溜飲が下がりホッとするエンブリヲ。










『――起きてくださいしんのすけさん、こわ~い魔女さんが背中を見せている今こそがチャンスですよ』



夢子の声が聞こえた瞬間、エンブリヲの安堵は一瞬にして崩れ去った。
モニターに集中しすぎたばかりに今になって、夢子がプレイヤー権限である糸なし電話を今まで使ってなかったことを思い出したのだ。
そして夢子が糸なし電話に選んだ相手は野原しんのすけ。
そのしんのすけが気絶から覚めたのだが、その目は誰からもわかるぐらい、幼稚園児には不釣り合いの殺意と敵意に満ちていた。
そして、抱えていたイオクのポケットから彼の支給品であるルールブレイカー――ジュエルシードに侵された今のジェシカには特攻武器である刃――を奪い、ジェシカを背後から突き刺して致命傷を与えたのだった。



しんのすけは元ロワと今回のロワで散々不幸な目にあっていた。
直近でもジェシカによってぬいぐるみSINちゃんに変えられた挙句、殴られウサギ同然の扱いを受けていた。
いくら冒険や戦いを経験してきたとはいえ少年の精神はとっくに限界を超えていたのである。
そこを夢子が突き、糸なし電話で発破をかけたのだ。

エンブリヲは元ロワでの体験がきっかけで人間の力や善の心を信じることを学び、このゲームでもそれを踏まえて蓬莱学園の仲間を一挙に集めた。
しかし、一方で人の善性をエンブリヲは信じすぎていた。
しんのすけが受けた不幸は既に詳細名簿から知っていたのだが、彼自体は丸腰だったので油断し、武器を奪って幼稚園児が人を殺せると想像できず、精神的な死角となったのだ。


続けて悪鬼のように魔女ジェシカの仲間である魔理沙たちにも襲いかかるしんのすけ。
よしこが止めにかかるが、殺したジェシカのディパックからスペツナズナイフを取られ、反撃に手足を深々と抉られる大打撃を受ける。
こなたは相手が幼い子供であり、過去に自分の過失でクラスメイトを死なせてしまったトラウマからしんのすけを撃つことができない。
イオクは呆気に取られている。
正嗣・世界は連戦の消耗でまともに動けず、トランクスは未だに麻痺状態。
動けるのは魔理沙だけであったが、彼女は救いたかった親友が殺された怒りと憎しみを抑えることができずに明確な殺意をしんのすけに向けていた。

ゲームの勝敗はジェシカか魔理沙が放送までに誰かを手にかけたかで決まる。
即ち、『魔理沙がしんのすけを殺した場合』でも夢子の勝利は成立するのだ。

お互いに殺意を向ける魔理沙としんのすけ。
放送まであと一分、おそらくどちらかが相手を殺す方が早い。
憎しみに飲まれた魔理沙はミニ八卦炉を向け、恐慌状態のしんのすけはスペツナズナイフの射出スイッチを押す。
待つのはどちらが死ぬか両方死ぬか、最悪の結末だけ。
モニターごしに魔理沙としんのすけにやめるんだと叫ぶエンブリヲだが、届くわけがない。
夢子は友の希望を奪ってしまった罪悪感と同時に、これまでの殺し合いの中では味わえなかった最高級のスリルにエクスタシーすら感じた。
どちらが勝つかわからないギリギリの戦い、やはり人生最後のギャンブルはこうでなくってはと感動を覚える。



……そして






魔理沙と、しんのすけは死ぬことがなかった。
イオクが己を犠牲に、魔理沙の腕を掴んでマスタースパークを逸らしてしんのすけを守り、射出されたナイフを胸に受けたことによって魔理沙も守ったのだ。
しんのすけも信頼していたイオクを誤って刺してしまったことと気づき、ようやく正気に戻る。
魔理沙も死にかけていたジェシカからしんのすけを殺していけないと教えられ、矛を収めるのであった。
そしてゲームオーバーを迎えてほぼ同時に消滅するジェシカとイオク。
鳴り響く最後の放送。

ジェシカは誰かを殺す前に死に、魔理沙は放送までに誰も殺『せ』なかった。
『殺す?殺さず?』ゲームの勝者はエンブリヲとなったのだ。

だが相棒の親友とかけがえのない仲間を失ったことにエンブリヲは、モニターの先で嗚咽を漏らす者たちにすまないと謝るしかなかった。

敗者となった夢子であるが、この敗北を受け入れていた。
彼女の場合は無能だとこき下ろしていたイオクが殺し合いの中で成長していると思えず、彼を無意識的に盤上の外にいると認識していたらしい。
どうやら二つの殺し合いの経験から人の悪意や殺意を操る術を学び、それをしんのすけの暴走に生かしたが、人の力そのものを見る目は衰えたらしい。

最後に負けを認めた夢子はエンブリヲに主催の情報を託し、魔理沙としんのすけに自分の謝罪を伝えて欲しいと告げた。
人生最後に最高のギャンブルをしたいがために両者に絶望を与えてしまったことには夢子自身も責任を感じており、「これから責任を取る」つもりなのだ。
ここまできてエンブリヲが夢子が勝敗に関係なく死のうとしていたことを悟り、止めようとするがそれよりも早くシャンバラで会場へ転送されてしまった。



そして夢子は主催の裏切り者として幹部であるTDN、正宗に捕まり、人類悪完成を待つ泉かなた……否、殺生院キアラの元へ送られる。

囚われた夢子がキアラと対面してわかるのは、この女はただひたすら破滅的な思想の持ち主で、自分はまともな勝負もしないくせいに利益を得ようとし、その利益も最終的には無に返そうとする唾棄すべき邪悪。
まともな人間ではない夢子すら嫌悪する、勝利のために自分の何かを犠牲にできる誇るある勝負師でもなければ、ラングセンのような酔狂とも違う、破滅のための破滅的思考の持ち主であった。

そして主催の手で行われる夢子の処刑。
助けられる味方は誰ひとりいない。
死ねばキアラに魂を取り込まれ、キアラが死ぬまで永続する。

最後に言い残すことはないかという言葉に、夢子はキアラに最後の賭けをしないかと申し出た。
それは主催が勝つか、参加者が勝つかである。
もちろん夢子は参加者が勝つ側に賭けたが、キアラそして正宗と浄化杜指導者は鼻で笑った。
戦力差は圧倒的、さらにキアラの人類悪完成が成されれば対主催に勝機はない。
それで対主催側に賭けるには無茶としか言いようがなかった。

逆に夢子は主催は参加者を舐めていると心の中で罵った。
人の力をあまりにも過小評価しすぎている……夢子は先ほどのエンブリヲとの戦いでそれを知ったのだ。
彼らはここにいる主催が考えるよりもずっと強い、と。

処刑される間際だというのに、僅かにも怯えた様子なく、明らかに不利な側に賭けた夢子にTDNは狂っていると評した。


「そうですよ、だって……ギャンブルは狂っているほど面白い!さあ、賭け狂いましょう!」


主催に物怖じするどころか、狂ったような笑顔を見せる夢子。
その笑顔はキアラや幹部を除いた集まった主催の手の者をゾッと身震いさせた。
浄化杜指導者は負け犬の遠吠えだと罵り、正宗は死ぬ寸前で気が触れたようだと笑い、TDNはただ黙す。
キアラもいい加減不快に思ったのか、夢子に主催が負けるはずがないと言った後に処刑を執行。
夢子の首にギロチンの刃が落とされた。
ゴトリと落ちた夢子の笑顔は裁断されても変わることはなかったという……




さて、夢子の最期の賭けの結末がどうなったのか?
それはこの項目ではあえて解説しない。
できることなら他の項目を閲覧し、あなたの目で見て賭ケグルイの少女の勝敗を見極めて欲しい。
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最終更新:2024年01月21日 22:17